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INTERVIEW

2017.10.11

声優デビュー25周年記念アニソン・カバーアルバム 『アニメグ。25th』 緒方恵美 インタビュー

あらたなアレンジで楽曲の世界観とシンクロした「桜流し」

───宇多田ヒカルさんの作品で『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の主題歌である「桜流し」は、収録されることが最後に発表された曲でした。

緒方 実は最初から入れさせていただけたらと思っていた曲でしたが、タイミング的に許諾の時間がかかってしまい、万が一最後のストレッチゴールに手が届いたら……と思っていたので、本当に決まって驚きました。同時に感謝です。何よりアレンジを誰に頼むにしてもハードルが高い曲でして、中土智博さんお願いしますー!と泣きついて(笑)……いえ、素晴らしいアレンジャーさんなので! 原曲は宇多田さんのボーカルとピアノと同録で録っているんですが、ピアノがとても上手な方を呼んでも、このグルーヴを再現するのは不可能だろうということで、ピアノは中土さんの打ち込みで、何か生楽器を入れることになりました。そうしたら純さんからチェロというアイデアをいただいて、じゃあ誰に弾いてもらおうかという話になったとき、チェロといえば、碇シンジは元々チェロを弾いている設定だったと思い出しまして。

───そういえば!

緒方 仮歌を録るときにそのことを純さんに話したら、その場でチェリストの柏木広樹さんにオファーを出してくれたんですよ。そうしたら、仮歌が終わったところで純さんから「返答が来ました。OKです」って(笑)。そんな感じで、シンジがチェロを弾いているときの「中の人」が弾いてくれるという奇跡が実現したのです!

佐藤 あのときのスピード感は楽しかったですね(笑)。また、アレンジが上がってきたときもすごかったんですよ。どんなフレーズを弾いてくれるのかと思っていたら、チェロだけのカルテットというアレンジを多重録音で作ってくださって。

緒方 みんな当然、チェロが1本のみの演奏譜面が届くと思っていたんですけど、「チェロ1」「~2」「~3」「~4」「~5」というものが届いて「あれ?」って(笑)。

佐藤 そうそう。僕の発注としては、「緒方さんとデュエットしてくれるようなチェロをお願いします」というシンプルなものだったんですけど、最後にリズムが入って盛り上がるところだけは多重録音になっていて。寄り添っているチェロとは別に、支えるチェロを4人分入れてくれたんです。

緒方 途中で鳥の鳴き声みたいな音も入っていますよね。

佐藤 そうなんです。特殊な奏法で、SE的にキッキッキッって弾いているところがあるんです。それが鳥の声のように聴こえるので、遠くから聴こえて空間を感じさせるようにミックスさせてもらいました。柏木さんは、こちらのオーダーからさらにイメージを膨らませていろいろとご提案してくださって、それらがいくつも曲に入っていますね。

───ハイレゾならその奥行きも感じてもらえますね。

緒方 そうなんです! 元の楽曲も素晴らしいんですけど、大変な楽曲になっています。内容はもちろん、許諾の間に入って下さったキングレコードのSさんはじめ、繋いで、作ってくださったすべての皆様に「ありがとうございます」という気持ちでいっぱいです。

───「Hikari」はアニメ『ハマトラ』のED主題歌で、ムラサキ役の羽多野渉さんが歌われていました。

緒方 楽曲としてすごく好きで、「いい歌だね」ってよく渉に話していたんですよ。元々ハードロックな楽曲なんですけどもっとゴリゴリ感を強めたかったので、もはやこの分野の巨匠で、信頼申し上げているR・O・N君にお願いしました。そしたらもう完璧なものが上がってきて! 最高に熱い。ライブが楽しみ。本当にありがとうございます。

───『暗殺教室』のOP主題歌である「バイバイ YESTERDAY」をアレンジしたのは、『real/dummy』収録の「アルター・エゴ」を作曲した藤戸じゅにあ(ジェッジジョンソン)さんですね。

緒方 彼とはもう1回何かやらせて頂きたいと思っていたので、多忙な中引き受けてくれてうれしかった。この曲では「このワイワイした感じをエレクトロ・ロックで仕上げてください」とオーダーしました。

佐藤 下北でめっちゃかっこいいことをやっているとがった連中、というイメージのジェッジジョンソンがアニソンのカバーを作っているというのが面白いですよね(笑)。

───2015年にリリースされたアルバムはiTunesのオルタナチャートで1位を獲得していますね。

緒方 そんな人に『暗殺教室』をお願いするという(笑)。彼は今、ハリウッド映画音楽制作チームにいて、日本と映画の舞台である台北とハリウッドを行き来しているんですけど、ハリウッドのチームの皆さんに週刊少年ジャンプの『暗殺教室』のお仕事をしているって言ったらとても喜んでくれた、って話をしてくれました。そんな所でも、繋がりを感じてうれしかった。『暗殺教室』は、アニメのスタッフ・キャストも本当に仲がいいチームで、今回もこのためにみんなが尽力してくれました。E組に入れてよかった。寺坂組のみんなにも感謝です!

───最後は「Komm, susser Tod」。鷺巣詩郎さんが作曲された、『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』の劇中挿入歌でした。

緒方 これも「桜流し」と同様にハードルが高い曲でした。でも、困ったときの黒須(克彦)先生ということで(笑)。中土さん同様、「僕にもハードルが高いです」と言われたんですけど、そこはやはり凄い。世界観を残しながら見事なアレンジをしてくださいました。後奏部分もまた素晴らしくて! あと、アルバムのコーディネートをしてくださっている宮澤正人さんは、VOJA-tensionというゴスペルチームも担当しているのですが、その皆さんがゴスペルコーラスを担当し、厚みを出してくださいました。歌に関しては、これはもうシンジで歌うのがいいだろう、と……「無に還ろう」という歌詞が、まさにあの頃のシンジの心情で、なので。ドイツ語が話せずに「バームクーヘン」とか言っていた子がこんなに英語をしゃべっているというところは、ご愛敬(笑)。

クラウドファンディングで得られた貴重な経験

───『アニメグ。25th』でもライブツアーを行いますが、以前から震災復興の活動を継続的にされている緒方さんらしく、郡山にも行かれますね。

緒方 おかげさまで一般流通版にも多くの予約をいただきまして、ライブツアーを行えることになりました。ツアーですが東京・大阪だけでなく、どうしても「北」に行きたくて。復興にはまだまだ遠い。でも、何とか私にできることをさせて頂きたいと思い、福島には、ファンミーティングに行ったり、福島で学園祭ライブをお引き受けしたりさせてもらったりしてきました。少しでも、福島にお金を落とさせてもらえたら、と。あと、郡山はロック系のライブハウスが多いんです。ライブをやると、当日券で入ってくださる地元の皆様が本当に熱くて! 単純にとても楽しいんです。みんなで盛り上がって、笑顔になりたい。

───クラウドファンディングから始まった企画がここに至るまでを振り返り、どんな感想をお持ちですか?

緒方 クラウドファンディングが成立しているので、すでにお金がある状態っていうのが本当にすごい。しかも、私がいろいろと決めていいので、今までなら遠慮したり、手間やスタジオ代を考えるとできなかったり、というものも、私がやりたいって言えばできる。こんな幸せなことありますか!?(笑) ただ、楽曲に関するプロデュースはできても、お金がどこにどれくらいかかるとか、どこに申請しなければいけないのかとか、そういうことはいっさいわからなかったので、純さんや、ランティスのプロデューサーの吉江(輝成)さんに何回も電話をかけては「どうしたらいいんでしょう」って、ずっと相談してました(笑)。

佐藤 ありましたね(笑)。

緒方 各所に通す順番、カバー曲の申請にかかる費用など様々なことを教えてもらいました。ありがたいことにたくさんの人が「手伝う」「代わりにやってあげますよ」と言ってくれて……、レコード会社のスタッフさんは本当に大変なんだということが身に染みてわかりました。全部を自分でやらせてもらって、本当に勉強になりました。周りの皆さんへの感謝の想いを、改めて深くしました。

───アレンジャーへの依頼にどれくらいのお金がかかるか、普通わからないですよね。

緒方 「実際にこれくらいかかるんだぁ」って思いましたし、その反面、「このくらい出すとこういうこともできる」というのも知ることができ、非常に良い経験となりました。本当にありがたかったですね。そもそも「ランティスで出しましょう」と言ってくださっていたのに、それを「クラウドファンディングにしたいんです」などと言うのが通る方がおかしい。なのに「いいですよ」と言ってくださって……「今回の主旨に賛同します」「協力します」「やってごらんなさい」と。そんなレコード会社なんかなかなかないですよ! 全体コーディネートをしてくれたjEoの宮澤正人氏も、最初から採算度外視で、「なんとかなるよ」と笑って支えてくれて。もちろん、クラウドファンディングで直接支援してくれたファンの方達も! いろんな方たちに支えられながら出来上がったアルバム。みんなのおかげで、本当に中身の濃い、唯一無二の、素晴らしい作品になりました。私の、関わらせていただいたすべての作品と、役と、関係者と、好きでいてくれている方々への、愛と感謝をたくさん詰め込むことができました。ひとりでも多くの方に聴いていただけたら……そして、「あの頃」を思いだし、明日へのチカラの一端にしていただくことができたら、これ以上幸せなことはありません。(終)

●リスアニ!WEBのインタビューはこちら
●緒方恵美『アニメグ。25th High Edition』のレビューはこちら

緒方恵美 | Artist | Lantis web site
緒方恵美オフィシャルサイト M.O.bay
緒方恵美 – Twitter

緒方恵美 
アニメグ。25th High Edition

Lantis
2017.10.11

FLAC・WAV 96kHz/24bit、WAV 96kHz/32bit

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 収録曲

 1.プラチナ TVアニメ「カードキャプターさくら」OP主題歌
   作詞:岩里祐穂 作曲:菅野よう子 編曲:鈴木マサキ

 2.不完全燃焼 TVアニメ「神様ドォルズ」OP主題歌
   作詞・作曲:石川智晶 編曲:manzo

 3.神様のいたずら TVアニメ「たまゆら」ED主題歌
   作詞・作曲:大江千里 編曲:菊池達也

 4.Moon Revenge 緒方恵美 feat. 勝生真沙子 劇場版「美少女戦士セーラームーンR」ED主題歌
   作詞:冬社花代子 作曲:小坂明子 編曲:ミト

 5.Driver’s High TVアニメ「GTO」OP主題歌
   作詞:hyde 作曲:tetsuya 編曲:宮崎京一

 6.キミの記憶 劇場版「ペルソナ3」ED主題歌
   作詞:小森成雄 作曲:目黒将司 編曲:ZAQ

 7.太陽がまた輝くとき 緒方恵美 feat. 檜山修之 TVアニメ「幽☆遊☆白書」ED主題歌
   作詞・作曲:高橋ひろ 編曲:増田武史

 8.絶望性:ヒーロー治療薬 TVアニメ「ダンガンロンパ The Animation」ED主題歌
   作詞・作曲:スズム 編曲:ZiNG

 9.桜流し 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q」主題歌
   作詞・作曲:宇多田ヒカル 編曲:中土智博

10.Hikari TVアニメ「ハマトラ」ED主題歌
   作詞・作曲:永谷喬夫 編曲:R・O・N

11.バイバイYESTERDAY 堀部糸成 feat.寺坂組(木村 昴、はらさわ晃綺、下妻由幸、斎藤楓子)TVアニメ「暗殺教室」OP主題歌
   作詞:藤林聖子 作曲:三原康司 編曲:藤戸じゅにあ

12.Komm, susser Tod 「新世紀エヴァンゲリオン劇場版Air/まごころを、君に」
   作詞:庵野秀明・MIKE WYZGOWSKI 作曲:鷺巣詩郎 編曲:黒須克彦

13.太陽がまた輝くとき (Solo Ver.)

14.Moon Revenge (Solo Ver.)

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