声優デビュー25周年記念アニソン・カバーアルバム 『アニメグ。25th』 緒方恵美 インタビュー

ふたりの声が優しく寄り添う「Moon Revenge」

───「Moon Revenge」は『劇場版美少女戦士セーラームーンR』のED主題歌で、多くの方にカバーされてきた人気曲です。クラムボンのミトさんがアレンジを担当されています。

緒方　ミトさんが作る音が素晴らしいのはもちろんですが、ミトさんがどれだけ素晴らしいオタクでいらっしゃるかということも『real/dummy』のときに痛感しましたのでお願いしました（笑）。セーラーネプチューンこと海王みちるを演じられた勝生真沙子さんをお迎えすることをお伝えしたら、『セーラームーンR』の曲を私たちふたりが登場した『セーラームーンS』の曲風に見事仕上げてくださいました。冒頭からもう完璧で、デモを聴いただけで泣けてきて……しかも、私と勝生さんが歌った声に対しても、ふたりがぴったりと寄り添っている雰囲気を残すように仕上げてくれました。歌声はそのままに、「緒方さんに包み込んでほしいので勝生さんより4分の1だけ先に出したい」とか、声の位置とか、すごく細かいところまで気を遣ってくださって。さすが稀代のアニオタです（笑）。誉めてるんですよ！　本当にありがたかった。素晴らしいアレンジでした。

───当時よりも、緒方さんが演じた天王はるかは男性らしく、勝生さんの海王みちるは女性らしい声で、非常にラバーズ感を感じるデュエットでした。

緒方　でしょう？（笑）。この曲は、サビではオクターブの上下で歌っているので、下は相当低いんです。でも、『real/dummy』のときと同じ原田光晴さんがマスタリングしてくださるので、その音もきっとクリアに出していただけるに違いないと思い、お預けし、思うままに歌いました。

───『GTO』のOP主題歌「Driver’s High」はまさに原曲へのリスペクトを感じるアレンジでした。ボーカルも力強く。

緒方　許諾が下りるとは思っていなかったので決まったときは「本当に!?」「ありがとう！」って。感謝です。この曲はストレートにやりたいと思っていたんですけど、宮崎京一君のおかげで実現できて。京一君はラルクがとても好きですし、先輩／後輩の関係でもあるので、実に見事にガツンとやってくれました。ドラマーのSHiN君は最初、元のL’Arc～en～Cielの音に見事に寄せて叩いてくれたんですけど、京一君は今回はもう少し太い感じにしたいとこだわりをみせてくれたり、トシノさんもめちゃくちゃ気持ちを入れてくれて粘って頑張って下さって。それがミックスで、エンジニアの白井康裕さんにさらにバッキバキにしていただけて。最高でした！

───劇場版『ペルソナ3』のED主題歌「キミの記憶」も佐藤純之介さんとのご縁が働いたということですが。

緒方　純さんは元々ゲームの『ペルソナ3』の時にエンジニアをされていて。なのでこの曲は愛のある純さんに録ってもらいました。アレンジに関しては、原曲を作曲された目黒将司さんにお願いすることも考えたのですが、バージョン違いがいろいろ出ていますし、それらのいくつかを目黒さんが手がけられているので、あえてここは目黒さんではない方に、という話になりまして。そこで、作品愛がある人を選ぶか、楽曲の方向性から選ぶかを考えたとき……。

───両方ですか？

緒方　です。『ペルソナ3』の舞台版でアイギスというヒロインを演じたZAQを純さんからご提案いただいたんです。ZAQは本当に『ペルソナ3』が好きで、「芝居なんてできない」って言ってたのにアイギス役だけはと引き受けられたそうですし、舞台でもこの曲を歌っているんです。実にZAQらしい、また『ペルソナ』愛溢れるアレンジにしてくれました。『ペルソナ3』の別の曲のフレーズがちょっと入ってきたり、彼女のやったアイギスを彷彿とさせる音が入っていたり（笑）。それでいて私のキャラクター、天田乾の雰囲気もいい感じにミックスされています。純さんの要素とZAQの要素が強く入っている曲だと思います。楽曲を聴いたとき、全編が私の声ではない方がいいと思い、冒頭は私が歌って、サビは天田に歌わせて、という構成でレコーディングしました。

───『幽☆遊☆白書』のED主題歌である「太陽がまた輝くとき」はアルバムではもっとも古い曲になります。

緒方　すごく90年代を感じさせる楽曲ですので、そこを生かしたくて増田武史君にお願いをしました。優しいギターフレーズが効いている曲が本当に上手な人なので。実は増田君は2000年前後に、私のサポートバンドでギターを弾いてくれていたんです。久々にランティスの新年会で再会して、増田君の作曲家・編曲家としての仕事を素晴らしさを知り、今回お願いすることにしました。彼らしい、とても温かくて、染みいる曲になりました。

───さきほどの「Moon Revenge」とこの「太陽がまた輝くとき」は、緒方さんのソロバージョンがボーナストラックとしてハイレゾ版に収録されます。

緒方　はい。レコーディングは自分のソロバージョンを先に録ってから、勝生さんや檜山修之君に歌ってもらいました。ガイド的な意味合いででしたが、それを、ハイレゾのアルバム一括購入特典にミックスしなおしたカタチです。もちろんおふたりが歌っている間は、ずっとそばで……勝生さんも檜山くんも、本当に変わらない、彼女・彼を魅せてくれて、本当に感謝です。

───「絶望性：ヒーロー治療薬」は『ダンガンロンパ The Animation』のED主題歌でした。アレンジは話題のユニット、“ZiNG（ジング）”が手がけていますね。メンバーはピエール中野、ANCHOR、Nob、滝善充、とそうそうたる顔ぶれです。

緒方　中心メンバーのANCHORとは以前から知り合いだったので、アレンジを今回お願いしました。ZiNGの初仕事ということで非常に気合が入れていただきました。中野さん・滝さん・Nobさんもみんながレコーディング現場に来てくれて、そのスタジオ風景は本当に……！　超カッコよかったです。いい感じに熱くて。今後も何かご一緒できたらうれしいなと思います。