サウンドクリエイターの小島英也とボーカリストのぽんによる2人組ユニットのORESAMAが、ニュー・シングル「流星ダンスフロア」をリリースした。
前作「Trip Trip Trip」に続き、TVアニメ『魔法陣グルグル』のOP主題歌に連続で起用されることとなった本作。彼らの『グルグル』という作品に対する深い愛情と、小島のディスコ・ミュージックへの情熱が〈ダンス〉というキーワードのもとでマッチングした、仕掛け満載のダンサブルなポップナンバーに仕上がっている。同アニメの劇伴を担当するTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDが編曲で関わっていることも、この楽曲の『グルグル』との親和性を深めているはずだ。
リスレゾでは、そんなシングルの主に音楽面でのこだわりについて深く掘り下げたインタビュー取材を実施。カップリングの2曲や表題曲のミュージックビデオ、ふたりがORESAMA名義で提供した上坂すみれの新曲、小島が参加する新プロジェクトのCHRONICLEに至るまで、たっぷりと語ってもらった。
なお、リスアニ!WEBではニュー・シングル「流星ダンスフロア」に焦点を絞ったインタビュー記事を掲載。本インタビューとの連動記事となっているので、ぜひ併せてご一読いただきたい。
※リスアニ!WEBのインタビューはこちら
Interview & Text by 北野 創
Photography by 山本哲也
at Lantis
ORESAMA「流星ダンスフロア」のレビューはこちら
【アニメ・スリーブケース内のCDジャケット】
───リスレゾのインタビューでは、ニュー・シングルに収録される各楽曲について、さらに詳しくお話を伺えればと思います。まず表題曲のディスコナンバー「流星ダンスフロア」ですが、サウンド的にはストリングスが肝に感じました。
小島英也 そうですね。今回はストリングスをTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND(以下、テクノボーイズ)さんにリアレンジしてもらいまして、なおかつ生で録ったんですね。これまでストリングスはずっと打ち込みでやってきて、打ち込みの音も良いのですが、なにかもやもやしていた部分があったんですけど、今回初めて生で録ったら自分は打ち込みじゃなくて生の音を求めてたんだということを改めて実感しました。フィラデルフィア・ソウルのストリングスの華麗さや優雅さを表現していただいて、やっぱり生は素晴らしいですね。
───フィリー・ソウル感はもちろんですが、サビの鋭角的なストリングスはシックからの影響を感じさせますね。
小島 そうですね。あれはフォール奏法といって、ディスコではよく使われる奏法なんですけど、僕が好きなので今回めちゃくちゃ多用してます。ドラムのクラッシュ代わりに入れてたりするので、ここまで多用してる曲は他にあまりないと思いますね。
───この曲は編曲の共作クレジットにテクノボーイズさんのお名前が入ってますけど、どのように作業されたのですか?
小島 最初に僕が基本のデータを全部作って、それをテクノボーイズさんにお送りして、例えばシンセの音を差し替えていただいたり、フレーズを新しいものに変えたりと、僕のアレンジをベースにいろいろ音を足したり変えていただきました。
───それによって曲のどの部分が変わりました?
小島 特にストリングスは大きく変わって、Aメロに新しいフレーズを入れていただいたり、さっき言ったように今回は生で録ったので人間が弾けるようにリアレンジしていただいたり。なのでデモのときよりもゴージャスになった感じはありますね。それとベースが面白くて。スラップ奏法を生で録っていただいたんですけど、親指と人差し指で2回弦を弾くうちの親指で弾いた部分がモーグの音に差し替えられてるんですよ
───エッ?
小島 一音一音差し替えて細かくやっていただいて。たぶん今までにない素晴らしいベースになってると思います(笑)。
───それはテクノボーイズさんらしいこだわりが凄まじいですね(笑)。
小島 たぶんインストで聴くとわかると思うので、ぜひインストをチェックしてほしいです。
ぽん インストで聴くのもすごく楽しいです。いろんな音が聴こえてきて、本当に踊りたくなるんです。あと、テクノボーイズさんに入っていただいたことで、間奏がとても賑やかなことになってます。もうソロ回しがすごくて。
小島 そこも爆発した部分ですね(笑)。その部分は楽器をメインにしつつ、J-POPの主役である歌も途中から入れたりして、楽器とボーカルが音でコミュニケーションを取る箇所にしたいと思ったんです。きっと僕ら自身もライブで演奏していてすごく楽しめる部分だと思いますね。お客さんを楽しませるし、僕らも楽しむっていう。実際にシックがそういうライブをやるんですよ。ナイル・ロジャースとベーシストのジェリー・バーンズがステージ上で会話をするみたいに演奏するんですね。そういうのに憧れて間奏を入れてみました。
───そのあたりから男性の裏声コーラスも入ってきますが、あれはどなたが歌われてるんですか?
小島 あれは僕ですね。たまーに自分の声を使ってコーラスをするんですよ。まあ声に加工とか編集はしてるんですけど、この曲で久々に歌ったかもしれないです。
───そうだったんですね。いずれはぽんさんとのデュエットもありえたりします?
ぽん うーん、要検討ですね(笑)。でも小島くんは歌もうまいんですよ。今回は賑やかさを演出してもらえて良かったなと思います。それと途中の〈クラッピング〉という声はテクノボーイズさんにボコーダーで入れていただいたり、私以外の声もたくさん入っているので、楽しい作品になったと思います。
───間奏の電子ドラムの連打もすごいですよね。めちゃくちゃ楽しそうに叩かれていて。
小島 あのシモンズも、テクノボーイズさんのサポートをされてるよしうらけんじさんに生で録っていただきまして、実際にめちゃくちゃ楽しそうに叩いてらっしゃいました(笑)。 実は2Aの部分でもよく聴くとすごい連打が入ってるので、ぜひ聴いていただきたいポイントですね。
───ほかに機材面で新しく取り入れたものはありますか?
小島 僕が取り入れたというよりかは、テクノボーイズさんにアナログシンセをバンバン使っていただきましたね(笑)。初めてシモンズの実機を見たりもできて、実機は本当にいいなあと思いました。この曲を作って気づいたのは、生のアナログシンセを使うとその音自体は太いのに、ボーカルの声がすごくキレイに、抜けるように聴こえてくるんですよ。ソフトシンセでも良い音は十分出せますが、アナログシンセの影響や威力は計り知れないと思いましたね。
───以前の取材でアナログシンセを揃えたいというお話もされてましたね。
小島 やっぱりマイ・アナログシンセはほしいですね。音楽の幅は絶対に広がると思いますし、アナログシンセはここ最近でいちばんの出会いだったかもしれないです。音楽観が変わるというか。
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