INTERVIEW
2017.11.15
松井 でも、2サビの<今日まであったいろんなキセキを(いっぱいとどけるんだ)>という歌詞は自分でも好きな部分で、〈キセキ〉は〈奇跡〉と〈軌跡〉の両方の意味を持たせてるんですけど、いまのお話を聞いてると中川さんそのままだなと思って。いろんなきっかけがあってこの世界に入られたのもそうだし、アニソンを歌いたいっていう想いも、一個一個がキセキというもので繋がって、ひとつのこの歌になってると思うとすごいなと感じますね。
中川 こんなに命を削ってまで作っていただいたうえに、さっきトラックダウン前日までこだわって作業されてたことも知りまして……。
松井 そう。前作の「Round&Round&Round」のインタビューのときもお話しましたけど、今回はアナログシンセ縛りということで作っていたんですが、この曲の最後のトラックダウンの前日にMOOG III-C※が届いたんです。なのでTECHNOBOYSで初めてあのムーグを使った曲になるんですよ。
※MOOG III-C ロバート・モーグ博士が開発した大型モジュラー・シンセサイザー。その見た目から〈タンス〉の愛称で知られ、日本では冨田 勲、松武秀樹らが使用した。2017年に25台限定で再生産。
フジムラ リスレゾの連載※にもギリギリ間に合ったので写真を載せましたけど、日本に来たのは今のところ1台みたいですね。
※リスレゾにて連載中の『TECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDのPulse Craft Information』 第10回に掲載された→こちら
松井 買われる方はたぶんまだ間に合いますよ(笑)。
───そんなに気軽に買えるほどお安くはないですよね(笑)。
石川 ベンツを買えるのであれば買えますよ。
中川 買えないですよ(笑)。
松井 でもTD直前に届いたというのもひとつの奇跡ですよね。普通は入手したばかりの楽器をうまく扱うことはできないじゃないですか。でも、うちのプロデューサーは到着したときのためにずっとソフトシンセでシミュレートしてたんですよ(笑)。だからすぐ使うことができたという。
石川 いやいや、でも大変だったよ。
中川 でもそんな貴重な楽器を使えたことはとても大きなことだし、使用した曲の第1号だということは事実として残るから、本当に奇跡に導かれてやってきた感じがしますね。
松井 それだけ『グルグル』という作品自体にパワーがあるということですよね。
フジムラ 『グルグル』に合わせて言うなら召喚ですね。
松井 うちのプロデューサーはえらい代償を払ってましたけどね(笑)。石川さんも睡眠時間を削りまくってたし。
石川 寝なかった!もう2日どころじゃないぐらい(笑)。

───その甲斐あってかサウンド面でも非常に凝った作りになってますね。まず鳥のさえずりから始まって、鳥のさえずりで終わるというのが意外でした。
フジムラ TECHNOBOYSではもう金輪際ないと思いますけどね(笑)。
松井 これはいつものことなんですけど、石川が曲を作ってきた時点でかなり出来上がってるので、何の音を入れるか悩むんですよ。特にこの曲はすごく悩んで、とりあえず電話で直接相談したんです。そしたら〈フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドみたいな感じにしたい〉と言われたので、それなら「Welcome To The Pleasuredome」※だと思って、鳥の声を入れることにしました。
※「Welcome To The Pleasuredome」 フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッドが1984年にリリースしたファースト・アルバムの表題曲。イントロ部分に鳥のさえずりや羽ばたきの音が入っている。
───なるほど!TECHNOBOYSさんらしい発想ですね。
石川 本当は鳥の声もムーグで作ろうと思ってたんですけど、なかなか難しくて。
松井 なので鳥の声は既存の音源を使ったんですけど、ただ僕たちのこだわりとしてそこはハイレゾ音源のものを探しました。あれは32/96です、そこは譲れません!(笑)。
フジムラ そこを24/48にはできないよね。
中川 ??

石川 音の周波数の話で、普通のCDよりも音質がいいんですよ。
中川 おおっ!なるほど。
松井 わかりやすく言うと、鳥の声に透明感が出て、森感が増すんです(笑)。ここでCDクオリティーの音源を使ったら、たぶん他のメンバーから「周波数が足りへん!」って怒りの電話がかかってくるんで(笑)。
中川 あかるく妥協しないように見えて、実は皆さんで殴り合ってるんですね(笑)。
───その鳥の声に加えて、エディットされた声が左右に散りばめられていたりして。全体的にいろいろな音を左右に振ってる印象がありました。
石川 あれは中川さんの声をエディットしてプチプチと入れました。
フジムラ 音があちこちから聴こえてくる感じにしてますね。
松井 それと面白いのは、今回は普段とはちょっと違う音作りをしていて、ブラス系の音はあまり使わず、ウインド(木管)系の音が多いんですよ。それも全部アナログシンセで作ってるんですけど、ピッコロとかオーボエ、フルートも作ったよね?
石川 ウインド系はProphet T-8※で作りました。
※Prophet T-8 Prophet-5などで知られる電子楽器メーカー・Sequential Circuitsが、1983年に発表したポリフォニック・シンセサイザー。ハワード・ジョーンズやトンプソン・ツインズらが愛用していた。
松井 でも、リバーブのピッコロは本物と聴き比べてもわからないと思います。生のストリングスを入れても、全然シンセサイザー感を損なわないし。
石川 感触がそのままだよね。
───ほぼシンセで作られているにも関わらず、全体的にオーケストラル・ポップスという印象に仕上がってますよね。
松井 そう、ちゃんとオーケストラル・ポップスみたいな感じになってますよね。
フジムラ でも、あれほとんどアナログシンセの音なんですよ(笑)。

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