TVアニメ『宝石の国』OPテーマ「鏡面の波」YURiKAインタビュー

今秋に放送されているTVアニメの中で大きな注目を集めている作品『宝石の国』。人の形にして人ならざる宝石たちが織りなす豊かなドラマはもちろん、原作の繊細なニュアンスを汲んだ煌めきと躍動に溢れる映像や音響も話題となっている。「宝石を演じる」その難しさの中でそれぞれの個性や情感を表現する、声優陣による演技の妙も光る。

この話題作のOPテーマがYURiKAの「鏡面の波」だ。幼い頃からアニソンシンガーをめざし、『リトルウィッチ アカデミア』テレビシリーズのOPテーマでデビューを果たした彼女だが、この「鏡面の波」では早くも、これまでと異なる雰囲気、新しい魅力を感じさせてくれる。楽曲の制作は、オルタナティブ・ロック/ポストロックのフィールドで活躍するハイスイノナサの照井順政が担当。ミステリアスで儚く美しいこの曲にYURiKAはどのように向き合い、その世界を表現したのか。YURiKAに詳しく話を聞いた。

なおリスレゾでは『宝石の国』のEDテーマを担当している大原ゆい子のインタビューも掲載している。こちらも併せてご覧いただきたい。

●TVアニメ『宝石の国』EDテーマ「煌めく浜辺」大原ゆい子インタビューはこちら

 

Interview & Text by 高橋 敦
at 東宝

YURiKA「鏡面の波」のレビューはこちら

原作の余白に「どういうこと?」って引き込まれた

───『宝石の国』は独特で不思議な世界観をもつ作品です。初めてご覧になられたときどのように感じられましたか?

YURiKA OPテーマを担当させていただけることになるかもということになり、まず原作を読ませていただきました。そのときはもう「アニメ化決定!」という帯がついていたので、「本当に私が歌わせてもらえるのかな?」なんてドキドキしながら(笑)。そして、表紙を見て「なんてきれいなんだろう!」って思いました。

───あの美しい装丁がまず目に入ることで、『宝石の国』の世界の輝きや色彩の印象が強まりますね。

YURiKA その表紙を開いて読み始めたら、あえて言葉や描写を少なくしていて、説明的じゃないというか、余白を残してある作品だなって。だから読んでいて次々に「?」が出てきました。「この子たち宝石だっていうけど人に見えるし、動いてるし、話してるよね?」「『僕』って言ってるけど見た目は女の子だよね?」みたいな。その「?」を自分なりに解釈していくのも面白くて、どんどん引き込まれました。

───ちなみにお好きな宝石はいらっしゃいますか?

YURiKA うーん、しいて言うとモルガナイトですね。でもフォスもかわいいし、先生のミステリアスな雰囲気にも惹かれますし(笑)。ホント、個性豊かで魅力的なキャラクターばかりですよね。

───アニメの映像をご覧になられたときはどのように感じれらましたか?

YURiKA 宝石たちのキラキラとした髪の輝きに驚きました! 色は非常に鮮やかですし、動きもとてもしなやかですよね。フォスが新しい足でどこまでも走っていくシーンは、風の音やなびく草の描き方だったり、走った後の余韻とか、すごい爽快感がありました。観ている30分は現実世界を忘れてるというか、映像も音楽も素晴らしくて大好きです。

宝石たちを好きになるほどその心情と歌詞がリンクしてきた

───作品へのそういった印象があったうえで、照井さんによる「鏡面の波」の歌詞と曲を受け取ったとき、どのように感じられましたか?相当なインパクトがあったのかと思われますが。

YURiKA 私がこれまでに歌ってきた曲とはぜんぜん違いますよね。でもだからこそうれしくて。今度はこういう曲を歌えるんだ!っていう、挑戦できる喜びを感じました。……ですけど戸惑いもありました。「どうやって歌おう?」って(笑)。

───サウンドは複雑なリズムで構成されているポストロックとなっていますね。

YURiKA こういった曲は初めてだったのでとても新鮮でした。でも、どうやってボーカルを乗せたらよいのか、歌詞もどう解釈したらよいのかちょっとわからなくて。そこでまた原作を読み返してみたら、ひとりだけで夜の見回りを続けているシンシャの孤独とか、キャラクターたちの心情と歌詞がリンクしてきたんです。主人公のフォスもシンシャとは別の孤独を抱えているし、またダイヤとボルツの関係にはちょっと切なさがありますよね。宝石たちを好きになればなるほど、歌詞のこの部分ってあのときの宝石の気持ちなのかもしれないって思えてきて。そうやって自分なりに歌詞の言葉を物語と紐付けていくのは楽しかったです。

───歌詞の解釈や歌の表現については照井さんからお話があったのでしょうか?

YURiKA レコーディングのときも、その前のプリプロのときも、いろいろとお話をさせていただきました。照井さんは「ここの歌詞はどう感じましたか?」などと話を聞いてくれて、私の意見も取り入れてくださるんです。歌い方も一緒にいろいろ試しましたね。力を抜き気味に歌ってみたり、逆に強めて歌ってみたりとか。そうやってその場で照井さんと相談しながら進めていけたので、歌詞の解釈や歌い方に迷って行き詰まったりとかはなかったです。

───Aメロ・Bメロのポツンポツンと言葉を置いていくような部分は、歌うのが難しかったのではないですか?

YURiKA 今まで歌ったことのない歌い方でした。でも照井さんから「言葉とメロディが途切れ途切れになっているのは、宝石が砕けてかけらになっているイメージを表現している」という意図を教えていただいてすごく納得しました。サビのメロディは「そのかけらを合わせれば宝石はまたひとつになる」というイメージということも。それってまさに宝石たちの姿そのものですよね。照井さんはそこまで作り込んでくださっていて。なので、歌い方のイメージもしっかり持てました。

「鏡面の波」アニメ盤のジャケット

───どのような視点から歌詞を捉えて歌っているのでしょうか?

YURiKA 特定のキャラクターの視点ではなく、『宝石の国』の世界全体を見ていたり、そこに溶け込んでいるような感覚です。私自身の気持ちを歌うのではなくて、私を通して物語が映し出されるようなイメージ。『リトルウィッチアカデミア』の曲ではヒロインのアッコになりきったり、アッコの友達のような気持ちで歌っていましたが、それとは対照的な立ち位置ですね。

───たしかにこれまでとは違うアプローチですね。曲の中で印象的なパートはありますか?

YURiKA 間奏が好きです! 歌の“揺らめく”からチェロのソロが入ってきて、コーラスも重なってくるところは特にお気に入りですね。

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