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INTERVIEW

2018.01.17

3rdアルバム『color of time』ChouChoインタビュー

ChouChoのニュー・アルバム『color of time』は、おそらく彼女のキャリアの中でも大きな意味を持つ作品になったのではないだろうか。前作『secretgarden』から4年ぶりのオリジナル・アルバムとなる本作には、「Asterism」「Elemental World」「明日の君さえいればいい。」といった近年のアニメタイアップ曲を含む全13曲を収録。特に彼女が第1期から関わってきたアニメ『プリズマ☆イリヤ』シリーズの楽曲は4曲を数えるなど、アニソンシンガーとして評価を得てきたChouChoならではの魅力が詰まっている。

だが、その一方で今作では自ら作詞・作曲を手がけた楽曲が増加。実に13曲中7曲がChouChoの自作曲となっているのだ。その中にはアニメ主題歌となる「kaleidoscope」「薄紅の月」も含まれているが、それ以外はアルバム表題曲など彼女のパーソナルな表現が強まっており、いわばChouChoというシンガー・ソングライターのアーティスト性がさらに大きく花開いた作品とも言えるだろう。さまざまな色合いの楽曲を並べることで自身の中にあるあらたな可能性を引き出した本作について、ChouChoに話を聞いた。

Interview & Text by 北野 創
at Lantis

ChouCho『color of time』のレビューはこちら

──アルバムの話を聞く前にお伺いしたいのですが、ChouChoさんにとって2017年はどんな年でしたか?

ChouCho こんなに曲を作ったのは初めてというくらい、人生でいちばん作曲した年でした。自分の中では『劇場版Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 雪下の誓い』の主題歌を作詞・作曲させていただいたことが大きくて。アニメの主題歌を自分で作詞・作曲することが目標だったので、それが叶ってうれしかったです。

──作曲する際にはどんな楽器や機材を使われてるのですか?

ChouCho 以前は鼻歌を歌いながら鍵盤を弾いて作ってたんですけど、「bouquet」(2016年のベスト盤『ChouCho ColleCtion “bouquet”』に収録)からはLogicというソフトを使って作曲してます。私は小さい頃にエレクトーンを習ってたんですけど、あの楽器は自分でリズムパターンを打ち込んだり、音色を変えることができるんですね。それとLogicのパソコンで打ち込んで音源を作るやり方はリンクする部分があるので、始めてみたらのめり込んでしまって。パソコンだと頭の中にあるイメージをピンポイントで作れますし、作曲の楽しさに目覚めましたね。

──その気持ちがダイレクトに反映されたのが、今回のニュー・アルバム『color of time』だと思いますが、まずどんな作品にしようと思って作り始めたのですか?

ChouCho 実は2017年の6月に病気で入院してしまって、デビュー後初めてお仕事を休んでしまったんです。それまではずっと活動してたのでせわしなく時が過ぎてたんですけど、入院したら何もできないので一日が長く感じられて、自分が置かれてる環境によって時間の見え方や色が変わるんだって思ったんですね。そして歌を人に届けられることの貴重さを改めて実感して、今という瞬間をすごく大事にしたいと思うようになって。それで〈color of time=時間の色〉というテーマでアルバムを作ることにしたんです。

──一度立ち止まることによって気づくことが多かったわけですね。

ChouCho そうですね。本当に感謝の気持ちが溢れましたし、入院のことを発表したときにたくさんの方からメッセージをいただいて……なんか泣きそうになってきちゃった(笑)。

──そういった〈今この瞬間を大切にしたい〉という気持ちを込めて作詞・作曲されたのが、アルバムの1曲目に配されてるリード曲「color of time」になるのかと。

ChouCho この曲はそこに尽きますからね。今、目の前に置かれた状況一つひとつを大事にしていきたいし、みんなにも大事にしてもらいたいという想いを込めてて。それと歌詞では視点の広がりや距離感を表現したかったんです。最初は手のひらから始まるんですけど、そこをどんどん離れて大きな世界に行ったり、でもサビではパーソナルな目の前のことを書いたり。

──なるほど。歌詞の視点が大きく変わっていくことで不思議な壮大さがもたらされてますし、メロディーの豊かさも相まってすごくドラマティックな物語性を感じさせる楽曲になってると思います。

ChouCho 自分でも良く書けた歌詞だと思ってます(笑)。書きたいテーマは最初から決まっていて、具体的な言葉は後から乗せていったんですけど、表現したいことがメロディーの中に収まったし、それが自分の想いとフィットするものになって、すごく納得のいくものになりました。

──編曲は村山☆潤さんが手がけてますが、ご自身の中で描いていたアレンジのイメージは?

ChouCho 私が作ったデモはもう少し落ち着いていて、ちょっとダークな感じだったんですよ。でもこの曲はリードトラックになるのでプロデューサーさんや村山さんと相談しつつ、もっと華やかさを出したいと伝えました。サウンドとしては、アニメタイアップの場合はアップテンポになることが多いんですけど、テンポは落としてよりエモーショナルな楽曲にしたかったんです。

──たしかに壮大なスケール感がありつつ、透明感もあって、ChouChoさんのイメージに合う楽曲です。個人的にはサビ前のギターがガッと刻まれるところに痺れました。

ChouCho たぶん村山さんの遊び心だと思うんですけど、そういうのも入れてもらってます。

──今回ご自身で作詞・作曲された曲についてはすべて村山さんが編曲されてますね。

ChouCho 村山さんにはセカンド・ツアーのときからライブのサポートをしていただいてて、今もバンマスをやってもらってるんです。引き出しをたくさんお持ちで才能に溢れている方で、最初に楽曲をアレンジしてただいたときにすごく好みのサウンドだと思ったんですよ。好きなアーティストもビートルズとかオアシス、レディオヘッドなんかのUKロックで似てますし、そういう部分でもお互いにわかりやすいというか。

──村山さんのサウンドの魅力や特色はどんなところにあると思いますか?

ChouCho 華やかな中にも独特の品があるところが特徴なんだと思います。あとはコーラスワークがすごく緻密で、メインのボーカルに対してどの和声にしたらキレイに聴こえるかを計算して作られるんです。複雑になるのでレコーディングはすごく大変なんですけど、いつも完成したときに「こんな響きになるんだ」って驚きますね。

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