リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2018.04.19

TVアニメ『メガロボクス』EDテーマ「かかってこいよ」収録!『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.5』リリース記念NakamuraEmiインタビュー

シンガー・ソングライターのNakamuraEmiが3月25日にリリースしたニューアルバム『NIPPONNO ONNAWO UTAU Vol.5』。現代社会に残る泥臭い部分を描いた本作の中で「かかってこいよ」は、アルバム世界を支えるピースのひとつとして鈍く輝きを放っている。そんなNakamuraEmiらしい楽曲が、原案『あしたのジョー』というアニメ『メガロボクス』のための書き下ろし(EDテーマ)曲とは驚きを隠せない。『笑ゥせぇるすまんNEW』でのOPテーマ曲「Don’t」に続いて、2度目のアニメタイアップをNakamuraEmiはどのように書き下ろしたのだろうか。

闘争心のない自分が『メガロボクス』の力で生み出した曲

──「かかってこいよ」はどういったイメージから生まれた曲だったんですか?

NakamuraEmi まず『メガロボクス』の脚本を読んで、そのリアルさに泣きました。「安全な道を選んでいる自分は、戦うってことを忘れているな」って感じたんです。血だらけの映像や自分の力で立ち上がる姿が頭に浮かんだので、まずはそこからいろんな言葉を書き出していきました。

──詞先で制作を?

NakamuraEmi はい。私は今、歌詞がかなりでき上がらないと曲を作れないので、まずは言いたいことをまとめてるんです。アニメのタイアップ曲だとしても「自分の曲だ!」って自信を持って言える曲にしたいので。だから、最初に“かかってこいよ”という言葉が出てきたのが大きかったですね。いつも考えている「自分の芯はどこにあるのか」に通ずる感覚でしたし、自分が言いたい「人間の芯の部分」を詰め込むことができました。ボクシングに限らず、相手がいてもいなくても、結局は自分が立ち上がれるかどうかという自分ありきだとあらためて感じたんです。そのあと、“かかってこいよ”がきっとサビになると思ったんですけど、みんなが「かかってこいよ!」って曲を聞きながら“かかってこいよ”って歌えるようなわかりやすいものにしたかったんですね。いつも全体をアレンジしてくださる(プロデューサーでギタリストの)カワムラヒロシさんからは、「もうちょっとフックになる“かかってこいよ”がほしいなぁ」って一言をいただいたので、作り直しを3回くらいやってからこのメロディに決まりました。

──この歌詞を書くとき、NakamuraEmiさんの中で何か「敵」をイメージされていたんですか?

NakamuraEmi 実は最近、たくさんの人に見ていただけるようになって初めて、自分を応援してくれる方だけではなく、胸が痛いような言葉がSNSやメールから降ってくるようになったんです。その中で、言った人に対して「はぁ?」ってなるのか、それともこの言葉を言われないようにまわりのスタッフとともに頑張るのか、そういうことをいろいろと考えました。言葉や人があふれてくるけれど振り回されずに自分はどうしたいのか。つまり「敵」は自分ですね。

──アニメーションの制作サイドから何か要望はありましたか?

NakamuraEmi いえ、「とにかく自由に作ってください」って。なので自分としては「アニメの世界観を伝えてもらおう」とたくさんお話させていただきました。

──アニメの主題歌を手がける上で難しかったと感じたところはありましたか?

NakamuraEmi 初めてタイアップを経験した『笑ゥせぇるすまんNEW』でも「自由にやってください」という話だったんですけど、一発目に書いた詞は『笑ゥせぇるすまん』臭があって。デビューする前からのメンバーであるエンジニアもプロデューサーたちみんなから、「ここの歌詞だけEmiちゃんっぽくない」「『笑ゥせぇるすまん』のバックがあるからこその曲になっていて、NakamuraEmiの曲としては違うと思う」って言われたんです。自分でも気をつけていたところでしたけど、自分のフィルターを通して言葉にするということの難しさを感じました。

──では今回はその経験を生かしつつ?

NakamuraEmi そうですね。今まで作ったどの曲よりも一番戦闘態勢になっているのは『メガロボクス』のおかげだと思います。自分らしい言葉が書けたと思いますけど、その中でも一番強い曲ですね。

──あまり闘争心が沸いてくる方ではないのですか?

NakamuraEmi 闘争心はないですね。もっと持たないとダメなくらいで。根がネガティブなのですぐにビビるし。でも、ランニングしながら自分の曲を聴くことってあまりなかったですけど、この曲はたまに聴きますね。自分を奮い立たせたいときとか。『メガロボクス』って人間の弱いところもきちんと描かれているので、「みんな頑張ってんだな」ってすごく感じるんですよ。そんな人たちがジャンクドッグに出会うことで変わっていくところは胸にきました。本当にアニメで見るのが楽しみです。

──89秒のTVサイズも作る必要がありましたが、その際に気を付けた点はありましたか?

NakamuraEmi とにかく全体を作ってから、と思っていたのでまずは一曲全部作って。エンジニアの兼重哲哉さんがいろいろとアイデアをくださったので、「ここは入れたい」という歌詞を全部入れることができて嬉しかったです。全部入れたかったのは、TVサイズを聴いた人もフルがわかる世界にしたかったんですね。

──NakamuraEmiさんは『あしたのジョー』世代よりも若いですが、どの程度ご存知でしたか?

NakamuraEmi 20代のときに働いていた居酒屋のボスが『あしたのジョー」をすごく好きで。丹下団平の真似をよくしていたんですよ。それで気になってアニメを見たり漫画を読んだりしました。あの人間臭さが好きでしたね。忘れちゃいけない部分というか。なので、『メガロボクス』のお話をいただいたとき、すごく嬉しかったんですよ。だから、ボスに伝えたいんですけど連絡がつながらなくなってしまって。『あしたのジョー』50周年作品、ということなのでどこかで知って見てくれたら、と期待しています。

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP