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2018.04.11

新たな旅路の始まりに、想いの力が架けた虹。「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Initial Mess@ge DAY02」台北現地レポート

新たな旅路の始まりに、想いの力が架けた虹。「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Initial Mess@ge DAY02」台北現地レポート

「アイドルマスター シンデレラガールズ」初の海外単独ライブ「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Initial Mess@ge DAY02」が2018年4月8日、台湾・台北國際會議中心(TICC)にて開催された。

ライブには大橋彩香(島村卯月役)、福原綾香(渋谷凛役)、原紗友里(本田未央役)、青木瑠璃子(多田李衣菜役)、五十嵐裕美(双葉杏役)、大空直美(緒方智絵里役)、大坪由佳(三村かな子役)、桜咲千依(白坂小梅役)、黒沢ともよ(赤城みりあ役)、鈴木絵理(堀裕子役)、高森奈津美(前川みく役)、松井恵理子(神谷奈緒役)、松嵜麗(諸星きらり役)、佳村はるか(城ヶ崎美嘉役)、ルゥ ティン(塩見周子役)が出演。今回は8日の2日日公演を現地からレポートする。

初日公演で15人中7人がソロ曲を披露したことで、2日目のセットリスト構成がおぼろげに見えた人も多いのではないだろうか。2日目の冒頭の挨拶では、松井が「今日は虹の橋を架けような!」と宣言したり、ルゥティンが「会場に和の風を吹かせてみせるから」と語ったり2日目ソロ組の言葉が目立った。松嵜がきらりとして「台北101みたいに大きく!」と、会場のすぐ隣にそびえるビルの名前を出したのはご当地ネタとして出色だった。また、前日アンコールで「Vast World」を披露したことでネタが解禁されたのか、大空が「キャビンアテンダントさんみたいに、皆さんを広い世界に連れて行きます」と「デレステ」の最新イベントをイメージさせるトークをしていたのも印象的だった。

2日目のブロック間のトークコーナーでは、「中国語でチャレンジ! キャラクターボイス!」と題して、各アイドルの決めゼリフに中国語で挑戦。キュートチームなら「討厭!我才不要工作!」「我會加油的!」、クールチームなら「愛死~~~ 大家了~」といった具合だ。国籍を超越していたのがパッションチーム松嵜(諸星きらり)の「今天也 happy happy にぃ~」で、会場の大歓声を集めていた。キャスト陣が単に中国語を「読む」のではなく、漢字から大体の意味を読み取りながら中国語でアイドルを演じようと頑張っていたのは、台湾のブロデューサーにはとても嬉しいプレゼントだったと思うし、日本語圏のプロデューサーにも興味深いものだった。

2日目はソロ曲歌唱アイドルを全員チェンジ!

2日目公演では、ソロ曲を歌うメンバーを前日とそっくり入れ替えた構成になった。各アイドルが最初のソロ曲を歌い、「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 1st LIVE WONDERFUL M@GIC!!」を思いだす構成は前日を踏襲した感じだ。

M02:Romantic Now(黒沢ともよ)
M03:おねだり Shall We ~?(高森奈津美)
M04:ましゅまろ☆キッス(松嵜麗)ダンス指導アシスタント:高森、松井、桜咲
M05:ショコラ・ティアラ(大坪由佳)
M07:風色メロディ(大空直美)
M08:青の一番星(ルゥティン)
M09:2nd SIDE(松井恵理子)
(M18:S(mile)ING!(大橋彩香)は後述)

切り込み隊長を務めたのは黒沢の「Romantic Now」。ライブでは誰かと一緒に歌うことが多かったこの曲の、久々のソロでの表現を一言で表すなら喜怒哀楽の感情の洪水だ。泣き出しそうに、叫び出しそうに、びっくりしたように、楽しそうに。落ちサビで瞳をまんまるに見開いて、みりあそのものの笑顔を見せた黒沢が、ふっと遠くを見つめる。その視線に引き込まれると、また再びエネルギーと感情の爆発が押し寄せてくる。小気味よく弾んで飛び出していく「大好き」のフレーズ。「なでなでしてね」の笑いの含ませ方。初めての表情と感情が暴れまわるステージは、慣れ親しんだ「なーう!」の大ジャンプからのハートマークで締めくくった。圧巻の黒沢ともよ劇場だった。

「おねだり Shall We ~?」からはあまーいお菓子の時間。高森は黒い猫しっぽをゆらしながら、「喵(みゃお)! 喵(みゃお)!」と中国語バージョンの煽りで会場を盛り上げる。最近は大会場のきらびやかな大階段で歌うイメージが強い楽曲だが、今回のステージではほぼ身ひとつ。ビッグバンド風のサウンドに乗せて、のびやかなエレガントダンスを華麗に舞ってみせたのだった。最後に見得を切った高森が「おねだりしたら甘いもの食べたくなったにゃあ」とアピールすると、続く松嵜が「マシュマロはいかがな~?」と登場。

高森、松井、桜咲がアシスタントとなって始まったのは、「ましゅまろ☆キッス」の応援ダンス指導のコーナーだ。☆のついたスティックで☆の字を描くおなじみの振付を松嵜自ら指導し、アシスタントの3人が見本を見せていく。面白かったのは桜咲と松井の並びで、ちょこまかと一生懸命にスティックを動かす桜咲と、動きがダイナミックでスティックの動きから楽しさや感情が伝わってくるような松井の対比がすごく面白い。「台湾でもきらりと一緒にハピハピしようにぃ☆」と歌いだす松嵜の爪に輝くのは、「喜喜」と喜をふたつ合わせた意匠のハピハピネイル。国籍を問わないハッピーなステージを繰り広げた松嵜は「我愛你!(だいすきだにぃ☆)」で締めくくった。

そしてスイーツ並びといえば、次はもちろん大坪の「ショコラ・ティアラ」だ。今日のこの曲の大坪はちょっと落ち着いたトーンというか、甘いだけではないハーフビターだったような気がするのは気のせいだろうか。タピオカミルクティなど甘いものにまつわるネタに人一倍楽しく貪欲に食いつくトークとのギャップがとても面白かった。

前日に続く「ススメ☆オトメ ~jewel parade~」とMCを挟んで、2日目のもうひとつの衝撃だったのが大空の「風色メロディ」だった。照明の照り返しで瞳をキラキラと輝かせる大空の前には、客席いっぱいの四葉のクローバーが広がる。無垢で可憐という言葉がぴったりな風情の大空が、とつとつとささやきかけるように歌いかけると、清浄な空気が広がっていくようで思わず聴き入ってしまう。前日からトークでも、なるべくゆっくりと話しながら言葉が伝わっているのか、想いが伝わっているかを誰よりも気にしていた大空。そのステージは、たとえ言葉が通じなくても緒方智絵里というアイドルがどんな女の子かを、全身で伝えようとしているようだった。

ルゥティンが冒頭の挨拶で「和の風を吹かせてみせる」と宣言したとおり、彼女の「青の一番星」はまさに塩見周子流の和の表現を存分に見せつけるようだった。圧巻だったのは扇子さばきの進化で、歌声に合わせて緩急自在に舞い踊る。特に間奏で扇子を激しく舞わせる姿は、身体とダンスの一部のように感じられた。歌いきったルゥティンの表情はやりきった晴れやかさに満ちていて、今までで一番力の抜けた自然なパフォーマンスだったように感じられた。

ソロの流れのトリ、「2nd SIDE」ではちょっとした奇跡が生まれた。「セカンドサイドー!」の叫びと共にステージに登場した松井は、会場からの「ほ・し・い・の」の大合唱ににこっと笑って「謝謝!(ありがとう!)」。そしてドラマが待っていたのは、後半の「虹色橋を掛けるから」のフレーズ。日本では客席のプロデューサーたちが、このフレーズに合わせて様々な色のサイリウムを広げるのが定番なのだが、今回のライブでは台湾在住のプロデューサーが中心になって、客席を虹の七色に塗り分けようと企画を発案していた。

今回の企画…というか現象の肝は、提案したプロデューサーたちも、会場にいる多くのプロデューサーも、おそらくはライブを運営する側の人々も、本当にこの企画が成功するかわからなかったことだろう。そこにあるのは実現したらいいな、という願いとできるかぎりの準備だけであり、その瞬間まで結果はわからない。現場で成功の鍵になったのは、おそらく客席が急斜面になったTICCという会場の妙だろう。最前列付近に“赤”が広がったのを“視た”プロデューサーたちが、即座に対応したことでドミノ倒しのように虹が一気に広がったのである。対応力があり、横の情報伝達のつながりがある百戦錬磨の日本のプロデューサーたちが数多く参加していたのもプラスに働いたはずだ。

今後この演出をどうするかといった話はひとまず置くとして。日本でのファーストライブで、「Twilight Sky」の客席を青とオレンジに染め分けるというチャレンジが成功した記憶が残っているように、海外で行なわれた初めての単独ライブで、客席を美しい虹色に染め上げた光景があったことを覚えておきたい。予想を超える光景に演者が息をのむ気配は、やはり何度感じても素晴らしいものだった。

照明演出と物語面から見た台湾

さて、ユニット曲や全体曲に関しては前日との共通点も多いので、変化したところや演出面で感じたことを書いていこう。TICCはとても豪華で快適な会議場だが、あくまで「会議場」なのでセット面でも、映像を中心とした演出面でもある程度限界がある。アイマスの中でもステージのLEDモニターやスクリーンの演出に力を入れているコンテンツ(だと思う)である「シンデレラガールズ」としては、色々と考えたのではないだろうか。

今回の演出で際立っているように感じたのは、照明のリズム感だ。象徴的だったのがオープニングナンバー「Yes! Party Time!!」。この曲は「大胆でもいい?」のソロフレーズでの大橋のコミカルな節回しがとても印象的なのだが、ここに合わせて全体照明を落として、大橋一人をパーンとピンスポットで抜く。このテンポの良さが視ていてとても気持ちいい。

初日の記事において、原曲は5人編成を8人で歌った「ハイファイ☆デイズ」は全体曲のように感じたのに、同じく5人ユニット曲を7人で歌った「Tulip」はあくまでLiPPSの曲であり、佳村、ルゥティン、大坪がメインを担っているように感じた…という印象を書いた。

2日目、照明の流れを見ると、その理由がよくわかった。冒頭佳村はるかのロングソロをピンスポットで抜き、そこから大坪→ルゥティン→大橋&福原→青木&松井というように続く。現場ではすぐには判断しづらいパート分けを、めまぐるしいピンスポットでビジュアライズしてくれているのだ。あくまでTulipの5人編成を、3人プラス2人×2に割り振っているからユニット感は損なわれないし、二枠を埋めているのが大橋&福原、松井&青木という最強タッグたちなら印象が豪華なのも当然だ。「なんてね」のようなキーフレーズをオリジナルメンバー中心で回しているのもLiPPS感を後押ししたはずだ。

間奏は音のリズムに合わせた激しい明滅で7人を行ったり来たり。照明の明滅とピンスポットの移動による手数の多さで照明効果を最大化させるのが台北公演のひとつのコンセプトだったのではないだろうか。

もうひとつ、照明の使い方でうまいなと思ったのは「キュート」「クール」「パッション」のシンデレラ三原色の使い方だ。全員曲を歌う際、さりげなく各アイドルをキュート・クール・パッションの色照明に染め分けているのである。初めてライブを見る人にとっては全員曲でアイドルを見分けるのは意外に難しいし、ピンク、青、黄色の三色のサイリウムがあれば応援できるのはやはり初心者に優しい。属性曲の非常に多いライブでもあった。

ピンスポットの使い方、属性ライトの使い方の集大成ともいえたのが「流れ星キセキ」だ。初日は「できたて Evo! Revo! Generation!」を歌ったアニメ楽曲パートのトリで、2日目は大橋、福原、原が「流れ星キセキ」を歌った。この3人が揃った時に放つ無敵のエネルギーについては言うまでもないが、スポットライトと属性ライトを上手く使うことによって、ひとりひとりが最強の、無敵の光を放つ星になって、みっつ揃って絡み合いながら流星になる……というアニメの映像にも通じるものがあった。

そして、最後に色を添えたのが我々の中にあった物語だろう。new generationsのセンターに立つのが原の時間と、大橋の時間。楽曲と進行に合わせてセンターの立ち位置を変える、それだけのことが、意味がわかる人にはとても大切な意味を持つ。それは積み重ねてきた物語の力だ。かけがえのない仲間とステージで笑いあった大橋が、ソロで歌う「S(mile)ING!」。それはTVアニメ「アイドルマスター シンデレラガールズ」と、ライブ「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 3rdLIVE シンデレラの舞踏会 – Power of Smile -」で描かれた輝かしく大切な光景を、台湾のプロデューサーたちに届ける並びだった。

3rdライブでの大橋の「S(mile)ING!」が物語を背負った感情のステージだとすれば、この地で彼女が見せたのは高く安定した技術と、心からステージを楽しむ気持ちを併せ持った、最高のアイドルを体現するような姿だった。

ラストの挨拶では、メンバーたちから台湾に来れた喜びと、また台湾に来たい、世界にライブで幸せを届けていきたいという声が次々に聞かれた。いつかきっと、このライブが世界に広がるWONDERFUL M@GICのはじまりだったと思い出される日が来る、そんな予感がする2日間だった。

 Text by 中里キリ

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS Initial Mess@ge DAY02
2018.4.8 台湾・台北國際會議中心(TICC)
<セットリスト>
M01:Yes! Party Time!!(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS!!)
M02:Romantic Now(黒沢ともよ)
M03:おねだり Shall We ~?(高森奈津美)
M04:ましゅまろ☆キッス(松嵜麗)ダンス指導アシスタント:高森、松井、桜咲
M05:ショコラ・ティアラ(大坪由佳)
M06:ススメ☆オトメ ~jewel parade~(黒沢ともよ、大橋彩香、福原綾香、原紗友里、五十嵐裕美)
M07:風色メロディ(大空直美)
M08:青の一番星(ルゥティン)
M09:2nd SIDE(松井恵理子)
M10:Blooming Days(大橋彩香、大空直美、大坪由佳、高森奈津美、五十嵐裕美)
M11:秋めいて Ding Dong Dang!(福原綾香、青木瑠璃子、松井恵理子、桜咲千依、ルゥティン)
M12:Snow*Love(松嵜麗、原紗友里、鈴木絵理、黒沢ともよ、佳村はるか)
M13:Happy×2 Days(大空直美、五十嵐裕美、大坪由佳)
M14:私色ギフト(黒沢ともよ、松嵜麗、佳村はるか)
M15:ØωØver!!(高森奈津美、青木瑠璃子)
M16:Wonder goes on!!(松井恵理子、鈴木絵理、桜咲千依、ルゥティン)
M17:流れ星キセキ(大橋彩香、原紗友里、福原綾香)
M18:S(mile)ING!(大橋彩香)
M19:ゴキゲンParty Night(大空直美、桜咲千依、松井恵理子、鈴木絵理、大坪由佳)
M20:Near To You(佳村はるか、ルゥティン、松嵜麗、青木瑠璃子、高森奈津美)
M21:ハイファイ☆デイズ(黒沢ともよ、高森奈津美、桜咲千依、松嵜麗、鈴木絵理、大空直美、原紗友里、五十嵐裕美)
M22:Tulip(佳村はるか、ルゥティン、大坪由佳、大橋彩香、福原綾香、青木瑠璃子、松井恵理子)
M23:GOIN’!!!(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS!!)
M24:メッセージ(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS!!)
-ENCORE-
EC01:Vast World(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS!!)
EC02:お願い! シンデレラ(THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS!!)

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