デビミュ第三弾となる「Dance with Devils~Fermata~」がついに幕開け。前2作とは内容も一新。新キャラクターも登場し、ますますスケールアップした作品となっている。「前作を超える作品にしよう」というキャストの総意のもと稽古を重ねてついに迎えた本番直前に行われたゲネプロの模様をレポートします!
機械時計の内部のような美しい舞台美術に彩られたステージは、中央が低い階段状になり360度回転。プロローグでは「禁断のグリモワール」をめぐり戦う人、悪魔、ヴァンパイアの物語を語り始める。
次々と回転舞台に登場するキャラクターたち。レム、リンド、ウリエとキャラクターたちが代わる代わるにメインを取り、歌われていく「スイート・グリモワール!」。回転する舞台セットを生かした迫力とスピード感のある演出に冒頭から目が離せない。ゲネプロ前の囲み取材で、神永が第3弾のレベルアップしたものの一つとして上げていた舞台セットが冒頭から効果を発揮していた。今作も「禁断のグリモワール」を探す手がかりである立華リツカと鉤貫レムら四皇學園生徒会役員たちのストーリーを主軸に、キャラクターそれぞれのドラマが展開されていく。
初演、「Dance with Devils~D.C.(ダ・カーポ)」に続き、今回もレム役として座長を務めるのは神永圭佑。「初演と『D.C.(ダ・カーポ)』から今回はちょっと内容が変わるので、続投組としては、前回を超えられるように稽古をしてきました。初参加のキャストもそこに食らいついてきて、お互いがお互いを刺激し合って高め合ってきた稽古期間だったのではないかと思います」と合同取材で稽古場の様子を振り返ってくれた。アクマ界の名門・アーロンド家の次期当主としての誇りとリツカへの愛の狭間で揺れ動く貴公子を神永は凛とした佇まいで表現。幼なじみのウリエとのエピソードでは、共演者との掛け合いやコメディータッチの芝居も見せ、シリアスな顔になりがちなレムに良いスパイスを加えていた。
レムの恋敵ともいうべきリツカの兄・リンドを演じたのは今回初出演の高野 洸。「イケメンなアクマがたくさんいますがお兄ちゃんのリンドはヴァンパイア。他のキャラクターと違った一面を際立たせられるようにがんばりたいと思います」と囲み取材では意気込みを語っていた。お兄ちゃん感を出すために、リツカとの絡みをたくさん稽古したそうで、アクマとヴァンパイアから狙われる妹リツカに寄り添い、守る頼もしい兄を演じていた。
「ウリエはすごく女の子にモテる役なので、(稽古では)自分に自信を持っている空気感を作っていきたいと思いました」と囲み取材で語った山崎晶吾のウリエは、優男でナルシスト的な雰囲気たっぷり。だがスイッチが入るとアグレッシブになるギャップのあるウリエを作り上げていた。レムの幼なじみであるウリエの教育係として、ヴィフとグランという新キャラも登場。ふたりはウリエに強い男に育って欲しかったが、その願いもむなしくウリエは手に持つバラがトレードマークの物腰やわらかな青年に……。山崎晶吾演じるウリエと、彼を「くねくねバラ小僧!」と罵る鷲尾 昇のヴィフとのやりとりがおもしろく、クスッとさせられる場面も多かった。
メィジ役の吉岡 佑も今回で三回目の「デビミュ」。「メィジは唯一オラオラ系のオレ様キャラなので、ふとしたときにヤンキーチックになってしまうことがあるんです。でも演出の三浦 香さんからヤンキーじゃないからと指摘をいただき、メィジは妖艶なところもあるので気をつけないといけないなと実感しました」とメィジを演じるにあたり意識したことを語った。ミュージカルらしい楽曲が多い「デビミュ」の中では異彩を放つラップ風な歌唱も披露。オラオラな雰囲気を出す一方で、制服を着崩して肩を出すなど細かな仕草から男らしいセクシーさを放つ。それができたのは第3弾まで連投した役者ならではだろう。
またキャラが濃い生徒会の中でもひときわ独特なシキ役の安川淳平も今回が3回目。「稽古場でウリエが自信を持つために三浦(香)さんに『街でナンパしてきなさい』と言われていたので、僕は何かありますか?と聞いたら『あなたはもう気持ち悪いから大丈夫』と言われました。“気持ち悪い”を追求した稽古場でした(笑)」と囲み取材で語り笑いを誘っていた。シキは悲しい過去のドラマや後半の見せ場でもキモキャラぶりを発揮。セリフ回しやいわゆるキョドった立ち居振る舞いなどで気持ち悪さを見せ、安川自身が楽しんでいるのがわかる熱演だった。
そして本作はミュージカルだけに歌の見せ場もたくさん。今回が初披露となる楽曲があるのもお楽しみのひとつだろう。中でも歌唱力の高さを見せつけていたのがローエン役の内藤大希。囲み取材での「本編の中にキャラクターそれぞれがリツカを導いていく求愛メドレーという見せ場がありますが、続投組は楽曲に慣れ親しみすぎていました。そのせいかお客さんに対するショーとしてのパフォーマンスを追求するようになっていたんですが、演出の三浦さんから、初心に返ってお客様をリツカとして、どうやって空気感を変えていくかということを指摘されました」という言葉通り、ローエンの心情を情感込めて歌い上げる姿に惹きつけられてしまった。もともとは魔王マキシスに使えるケロベロスだったこともあり、犬のぬいぐるみと一緒に登場する場面も。ころっとした犬のぬいぐるみと役者陣との共演はほっこりするちょっとした見せ場になっている。
四皇學園生徒会以外の見どころもたっぷり。オネエ口調で人気のヴァンバイア・シキは「このシーンは何してもいいと言われてるの!」と颯爽と登場してパフォーマンスする場面も。「僕は前回から引き続いての出演なんですが、三浦さんと『ワンパターン化するとおもしろくないから、ジェキというキャラの広がりを見せられたらいいよね』と話しました。今のままじゃ本物のオネエの皆さんに怒られてしまうから、いろいろ探って広がりを見つけられるようにしていきましたね」と囲み取材では今回の課題を語っていた。劇中では、スウィング風の楽曲に合わせてダンサブルなステージを見せたかと思うと、一般生徒役のキャストとコミカルな掛け合いも。「禁断のグリモワール」を探す場面では残虐性と、オネエキャラならではのおもしろさという振り幅の広さを見せつけてくれた。
今作には、本編とは離れた場所から「禁断のグリモワール」をめぐる、アクマ、ヴァンパイア、エクソシストのやりとりをシニカルに見つめるストーリーテーラー・マリウスが登場。マリウスを演じたのは、今回が初出演となる北川尚弥。「今回は語り部という立ち位置なので、ここにいる誰ともお芝居の中では絡みがなくて、稽古場でも一人でいることが多かったです。でもそれがマリウスという人物を作り上げていくために生かせたのかなと思いました」と合同取材で語り共演者たちの笑いを誘っていたが、メインストーリーの傍らで喜怒哀楽入り交じった一人芝居を見せた北川が、波乱の展開をさらに盛り上げる役割を担っていたのはたしか。リツカ、レム、リンドといった登場人物たちが翻弄されていくのはもしかして……?と思わせるミステリアスなキャラクターに仕上がっていた。
本編終了後には劇中で人気のナンバーがライブで楽しめるミニコンサートも。「本編では声を出せませんが、コンサートでぜひその思いの丈を僕らに届けていただければと思います」(内藤)とのことなので、ぜひ声を出してキャストを応援したいところ。また今回は“Elegante”と“Calma”、ふたつの2つのエンディングを用意。「優美と静寂という意味ですが、ふたつのパターンを楽しんでいただけるように、お芝居を演じ分けて、曲の構成も変わっていますので、その辺りも楽しみにしていただけたらと思います」(神永)とのことなので、どちらも楽しみたいという方は、是非二つのステージを観てほしい。
Text By 佐久間裕子
●公演情報
ミュージカル「Dance with Devils~Fermata(フェルマータ)~」
2018年3月15日(木)~25日(日)
劇場:AiiA 2.5 Theater Tokyo
チケット料金:8,800円(税込/全席指定)※特典付き
©グリモワール編纂室/デビミュ製作委員会
©グリモワール編纂室/Dance with Devils製作委員会
SHARE