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INTERVIEW

2018.03.02

立花理香 デビュー・ミニアルバム『Flora』リリース記念インタビュー

立花理香 デビュー・ミニアルバム『Flora』リリース記念インタビュー

──「赤いアネモネ」はさらに懐かしい歌謡曲っぽいメロディーが艶やかなダンスポップです。

立花 アネモネの花言葉は〈儚い恋〉で、この曲は大人の恋の儚さですね。今回の収録曲の中でいちばん最初に決まった曲なんですよ。旋律に懐かしさもあるし、カッコよさもあるし、もう直感的に好きです!という感じで。

──こういう懐かしい感じの曲が好きだったりするのですか?

立花 もちろん新しい曲も好きなんですけど、今回はいろいろな曲を入れたかったし、せっかくデビューさせていただくのであれば〈立花理香だからこそ〉と言える曲もあればと思ったんです。それで私だからこその曲を考えたときに、私はバンドさんも歌謡曲も好きなんですけど、元々アイドルさんが好きで、特にモーニング娘。さんのプラチナ期と呼ばれる時期がすごく好きなんですよ。

──ああっ!なるほど。

立花 プラチナ期の楽曲はいい意味で辛気臭いところがあって、だからこそ歌詞も刺さるし、その時期にいらっしゃったメンバーさんのパフォーマンスはもう抜群にカッコイイんですよ。そこを尊敬する部分が私の中にすごくあったので、この曲では憧れが出ちゃったのかもしれませんね。これをカッコよく歌うことができたなら、どれだけカッコいいんだろうと思っちゃって、欲が出てしまいました(笑)。

──アーティスト活動においては自分が情熱を持って〈やりたい!〉と思うことをやるのが大切でしょうからね。

立花 そうですね。でも憧れるからといって、その人と同じことをするのかというとそれも違うと思うんです。じゃあそれを自分なりにどう表現するか、どうすればカッコよく見せられるかというのを噛み砕く作業というか。なのでこの曲は楽しかったですねー。個人的にすごくありがとうございます!という曲です(笑)。

──いまのお話でいろんなことが腑に落ちました(笑)。次の「Say Goodbye」は、趣きがガラリと変わって、別れを描いた切なくも清涼感のあるミディアムです。これは歌詞の中にも花が出てきませんが?

立花 この曲のモチーフはスイートピーなんです。花言葉は〈門出〉とか〈別離〉ですね。歌詞で〈さよなら〉と言ってるぐらいなのでちょっと寂しい感じがするんですけど、なんか爽やかな感じがするんですよね。ドロドロと尾を引くことのない、爽やかな別れというか。ちなみに、この曲のレコーディングが2018年の初仕事だったんですけど、お正月が終わって実家から東京に戻る新幹線の中でずっとこの曲をリピートで聴いてたので、実家に向かって〈さよなら さよなら〉って言ってる感じがして。初めて親元を離れて暮らす時もこんな感じだったなあっていうのを思い出しながら、今年は甘酸っぱい気持ちで東京に戻ってきました(笑)。

──歌詞の内容的には、現在進行形ではなく過去の別れのことを歌ってる感じがしますが。

立花 そうですね。それまでしこりになってた別れを何かのきっかけで思い出してしまったんだけど、意外と思い出しても大丈夫なのかもと思って、そのときに吹っ切れた感じというか。けど、そのしこりの部分が最後らへんの歌詞でチラッと覗いてるのかなとは感じました。

──たしかに<今でも好きだよ 会いたいよ すぐに>という部分は未練を感じさせるフレーズです。

立花 1曲を通してずっと〈大丈夫〉ということを歌ってきて、最後の最後で〈会いたい〉という気持ちをバーッと出してスパッと終わるこの去り際、切ないけど素敵ですよね。

──立花さんは歌う時、曲の主人公をイメージして歌うタイプですか?

立花 「REALISTIC」以外の曲はそうかもしれないですね。どの曲も一人の主人公がいて、ストーリーが展開するイメージで歌ってました。「Flaming Rose」の歌い方で困ったときに、歌の主人公を立てて噛み砕いたら声優さんのお仕事と一緒だということに気付いたんですよ。セリフを読み解いたり人の気持ちを考えるというのは、こういうことなんだなというのを痛感しました。

──今回の歌手活動は声優のお仕事にも活かしていけそうですね。次の曲は「marguerite」ですが。

立花 はい、かわいい!

──ハハハ(笑)。これはもう曲の中身そのままな感じですが、マーガレットの花言葉は……。

立花 (即答で)〈恋占い〉なんです。これはスッと覚えました(笑)。

──先ほどの「赤いアネモネ」では大人の恋が歌われてましたけど、この曲は同じ恋の曲とはいえだいぶ雰囲気が違いますね。

立花 この6曲のなかでいちばんキュートですよね。でも私は最初この歌詞を読んだ時に「これ私が歌うの?」って思っちゃったんですよ。だって「REALISTIC」で〈踏み出すんだぜ!〉とか〈もう夢なんて語らねえ!〉って言ってたのが、花占いで<叶う?叶わない?>とか歌うのはどうなのかなあと思って(笑)。けど、歌詞を最後まで読んでいくと<いつかはあなたに 言わせてみせるわ 私を好きだって 必ず>というフレーズがあるのを見て「ついに正体を現したわね!」と思って(笑)。この歌の主人公はオシャレしたり可愛く着飾ってるけど、内面はすごく強い子なんだと思って好きになりました。

──たしかに「赤いアネモネ」の主人公は大人だけど内面は弱い感じですが、「marguerite」の主人公は子供っぽさとは裏腹に内面は強く描かれてるんですよね。

立花 そうなんですよ!どちらもパッと聴きと最後までしっかり聴いたときの印象が逆になってるんですよね。自分で言うのもなんですけど、やっぱり女性って恐ろしい生き物ですよねー(笑)。

──最後まで付き合ってみないと本性はわからないという(笑)。

立花 ほんとそうですよ。可愛い感じの子でも芯はけっこう強かったりするんですよね。「marguerite」の主人公はいい性格の女の子だなあと思って、すごく好きです。

──そして最後のオリエンタルな旋律が印象的なミディアム「gradation」は、歌詞に登場するアジサイがモチーフということで。

立花 アジサイには〈辛抱強さ〉といった意味合いがあるんです。この曲は暗いわけでも明るいわけでもない絶妙なところを突いてくる曲調で、いちばん最後にレコーディングしたので、あと1曲録ったら終わるんだと思うと、ちょっとだけさみしい部分もありましたね。でも、そこの微妙な揺らめきみたいなものが、曲調とか<涙と雨の境界><冷静と情熱が>っていう歌詞に出てる気がしてて。不安定だけど心地良い感じが好きだなあと思いました。

──微妙に移り変わっていく心のグラデーションが書かれてるような楽曲ですよね。そういう意味では歌の表現が難しかったのでは?

立花 でも、気持ち的にはいちばん楽に歌った曲で、テイク数もこの中ではいちばん少ないと思います。この曲は不思議なもので、歌う時に浮かんだのが景色とか状態だったんですよね。

──歌詞の最後は<真実の 私の色>という言葉で締めくくられていますけど、1曲目の「REALISTIC」は<決して色褪せない想いがある ずっと>という歌詞で始まるじゃないですか。なので作品の終わりと始まりが繋がってる感じがしたんですよね。

立花 そうなんですよ!「gradation」も最初は<動き出した電車が>で始まって前に進んでる感じがしますし、静かに次に移行する感じというか。私も今回の制作でたくさん勉強させてもらってありがたかったんですけど、じゃあすぐに「次はこれをやりたい!」という気持ちにはならなくて、それを一回噛みしめて、心に置きつつ、次に向かおうというテンション感だったんです。そこはすごくリンクしたなあと思いました。

──今回、初めての音楽作品を作ってみて、例えばご自身の〈真実の 私の色〉みたいなものを見つけることができましたか?

立花 6曲ともバラバラで別ベクトルを向いてる作品ではあるんですけど、どれも〈強さ〉というのは共通して入ってるんです。「REALISTIC」の<折られる花じゃあいられない>という歌詞にも繋がるんですけど、やっぱりへこたれないということじゃないですかね。

──ご自身のそういう〈強さ〉をいろんな形で表現した作品になったわけですね。さて、今後アーティストとしてどのような目標を持っていますか?

立花 いや~、どうしよう(笑)。今回の制作を通じて、いままでやったことのなかったニュアンスのつけ方とか、いろんな引き出しを開けてもらったので、これをお芝居の方に活かすのはもちろんなんですけど……やっぱり人というのは欲深いもので(笑)、もっといろんな曲に挑戦したいと思うようになりましたね。

──例えば具体的にこんな楽曲をやってみたいというものはありますか?

立花 これは『Flora』には絶対に入れられない曲調なんですけど、コミックソングを1曲やってみたいなあと思ってまして。

──それは意外ですね。いまコミックソングと言われて個人的に頭に浮かんだのはドリフターズとか志村けんさんの曲なんですけど。

立花 コミックソングと言うとなんか語弊があるかもしれないですね(笑)。ストレートにお笑いの曲というのでもなくて、例えが難しいんですけど、なんか単純なことを歌う曲を作ってみたいんです。

──単純なことを歌う曲?

立花 『Flora』はカッコよさとか強さが核になってる作品ですけど、もうただただダメな曲を作ってみたくて(笑)。これは完全に歌詞は自分で書きたいんですけど、例えば二日酔いの歌とか。<もう二度と呑まないと誓ったのに また私は手を伸ばしてる>みたいな(笑)。

──それ完全にダメな人じゃないですか(笑)。

立花 で、それをお酒の歌とわかるタイトルにはしないで、でもどう考えてもお酒のことを歌ってることがわかる感じの歌詞を書いてみたいんです。私を知ってる人が見たらすぐわかるだろうなというような。

──なるほど。そういったユーモアのある曲に挑戦されたいんですね。

立花 それはいつかやってみたいですね。今回はアーティスト・デビューとはいえ、いろんな方に曲や歌詞を作っていただいてるありがたい状況なので、これはアーティストと名乗るの申し訳ないと思ってまして。多少はアートしようというのは、ひっそりとした野望としてあります。いま言っちゃいましたけど(笑)。

──今後どんな酒飲みソングが生まれるのか、楽しみにしております(笑)。

立花 ウフフ(笑)。そういえば昔に「自動車ショー歌」(小林旭)という車の車種がひたすら出てくるダジャレソングがあったんですけど、私はその曲が好きなので、お酒の銘柄を連ねたりするのもいいかなあとも思ってて。そういうコミカルな曲も楽しそうですよね。

──いいですね。お酒のCMのタイアップとかも狙えそうですし。

立花 夢は広がりますねー(笑)。ビールのCMとかいいなあ。私、何テイクでも呑めるので(笑)。

Interview&Text By 北野創


●リリース情報
立花理香
『Flora』
2月28日発売

品番:TECI-1566
価格:¥3,000+税

<CD>
1.REALISTIC
2.Flaming Rose
3.赤いアネモネ
4.Say Goodbye
5.marguerite
6.gradation

<DVD>
「REALISTIC」 MUSIC VIDEO
「REALISTIC」 MUSIC VIDEO メイキング映像収録

●イベント情報
立花理香バースデーイベント

3月11日(日) 新宿 ReNY
[1st]開場 14:30/開演 15:00
[2nd]開場 18:00/開演 18:30

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