度肝を抜くストレートパンチ+新境地+王道安定感 喜多村英梨ニューシングル「妄想帝国蓄音機」インタビュー

2017年はシングル2枚にミニアルバム1枚をリリースし、ライブも活発化させた喜多村英梨の2018年第1弾シングル「妄想帝国蓄音機」が届けられた。本人をして、「巧みな玄人感」や「新たな喜多村を提示」といった言葉が飛び出すなど、意欲あふれる1枚に仕上がった模様だ。声優アーティストとしての誇りを持って作り上げたその姿勢を見てほしい。

――2018年の第1弾シングル「妄想帝国蓄音機」はいつ頃から制作されましたか?

喜多村英梨 10月28日にワンマンライブ“Nightmare † Alive 2017”をやる際に、「せっかくの機会だからここで初披露できる曲があったらいいね」と話をしていたので、夏の終わりから秋口にかけての制作でしたね。この日一日をどれだけレアなものにできるかということをすごく意識してやっていたので、演奏陣もそうそうたるメンバーで、レコーディングに先駆けて皆さんに披露することができました。

――そこで披露されたのが今回のシングルに収録されている「fairy ∞ world」と「ViViD DESiRE」。お客さんのリアクションはいかがでしたか?

喜多村 私がステージ上で立っていると、それぞれの曲に対する盛り上がり方で、そのお客さんがどの属性なのか分かるんです(笑)。この人は深夜アニメが好きな人、この人はメタラー、あの子はV系が好きなバンギャなんだなとか。そこは良い意味での異種文化交流みたいなアーティストなんだろうなと自分では思っていますね。今回は初披露ということで、地蔵(客が反応せず固まること)になるんじゃないかと心配していたのですが、楽曲が持っているクリエイティブなところを「喜多村のヤツ、また難易度高い楽曲をやっているな」と反応してくれたんじゃないかと思っています。この日のライブはそれまでのスリーピースではなくてツインギターだったので、重厚感があり場所も「かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール」だったことあり、どこかどっしり構えて、ハイクオリティなものを作っていく期待感を持たせるようなライブで、そこで先行して披露することができたのが嬉しかったです。その後、ラジオにもこの曲の感想に関するお便りがたくさん届いてそれも嬉しかったですし、リード曲の「妄想帝国蓄音機」が皆さんの耳に届く頃には、また大きなインパクトを残せそうだなという確信に繋がりました。

――「妄想帝国蓄音機」の制作はどのように進められましたか?

喜多村 私の方からは「いわゆる電波ソングプラス、メタルやデスコアの音楽性で、テンポ感がとにかく速いもの、ただし人力で歌えるレベルで」と意思表示をしました(笑)。そこから集めていただいた曲の中に鬱Pさんの曲があったんです。彼はボカロの界隈の神クラスであるだけではなく、ご自身でもアーティスト活動をされていて、それが私の好きなジャンルでもあったので、まず間違えのないものになるだろうと思っていましたし、実際に制作はトントン拍子で進んでいきました。

――歌詞についてはいかがでしょうか?

喜多村 そこにとにかく奇天烈な歌詞をいっぱいに詰め込みたかったんです。これを聴いて、一発で歌える人はいないだろうと思えるくらいの、巧みな玄人感溢れるものに仕上げたいなという意思は自分でもありましたね。

――歌ううえではどういうところを意識されましたか?

喜多村 Aメロの「気心の知れてる」とか「邪魔できない」といった、節がついているところは意志を強く、語気を強めています。アニソンや声優の曲の一般的な歌い方の基準で言うと、これはNGなんですよ。でも作曲の鬱Pさんのメロディーってすごく日本人好みというか、ある種、演歌にも通ずるような日本のソウルを感じるラインで、そのクセが上手くハマるように作られているので、そこは気持ち良くコブシを効かせてエグみを意識して歌っています。でも、したり顔でBメロを歌っている割にはサビ周りで淡々と歌っているところもあり、キャラソンで使うような節をつけるところもあり、パーティー感を意識するところもあり、ミックスの段階では綿密に計算しながら、ああでもないこうでもないと遣り取りをしつつ、そこではロックを捨てたくはないというエゴもあって、エグみとエゴみのいいところに落ち着いたなという感じです。

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