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REPORT

2018.01.08

765プロの生き様に憧れ、背中を追いかけた10年間。「THE IDOLM@STER ニューイヤーライブ!! 初星宴舞」初日レポート

765プロの生き様に憧れ、背中を追いかけた10年間。「THE IDOLM@STER ニューイヤーライブ!! 初星宴舞」初日レポート

「アイドルマスター」元祖765プロの単独ライブ「THE IDOLM@STER ニューイヤーライブ!! 初星宴舞」初日が1月6日、千葉・幕張メッセで開催された。

ライブには中村繪里子(天海春香役)、今井麻美(如月千早役)、仁後真耶子(高槻やよい役)、若林直美(秋月律子役)、たかはし智秋(三浦あずさ役)、釘宮理恵(水瀬伊織役)、平田宏美(菊地真役)、下田麻美(双海亜美・真美役)、長谷川明子(星井美希役)、原由実(四条貴音役)、沼倉愛美(我那覇響役)が出演した。

近年、「アイドルマスター ミリオンライブ!」としてのライブや、西武プリンスドーム(現・メットライフドーム)で行なわれた「THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD!!2015」など765プロのキャスト陣がステージで歌う機会は数多くあったものの、アイドルマスター・765プロ単独名義でのフルライブといえば2014年のツアー「THE IDOLM@STER 9th ANNIVERSARY WE ARE M@STERPIECE!!」にまでさかのぼる。3年と半ぶり、待望のフルライブステージだ。

キャスト陣は新春らしい和のテイストの衣装で登場。衣装は各アイドルカラーで、メンバーそれぞれにデザインが違う。ベースのデザインは共通だが細部の違いで印象はだいぶ変わり、たとえば仁後のオレンジの衣装ならちょっと中華風のテイストにも感じたりするのが面白い。オープニングで歌った「THE IDOLM@STER」も新年らしいアレンジがされていて、アウトロに琴のような余韻が残ったのが印象的だ。長谷川によると、この「THE IDOLM@STER」は「初星mix」とのことだ。




第1ブロックを見た時点では、今日のセットリストのコンセプトがうまくつかめず、ちょっと考えこんでしまった。トップバッターは中村の「START!!」。765プロライブ開幕の大定番曲であり、765プロのライブが帰ってきた安心感が強い。そのあとにはPS3「アイドルマスター ワンフォーオール」追加シナリオの各アイドル専用曲から「プラ・ソニック・ラブ!」「私だって女の子」「トリプルAngel」と3曲続き、最後は釘宮が「ぷちます!」楽曲の「ロイヤルストレートフラッシュ」を披露した。「ロイヤルストレートフラッシュ」の歌詞を体現するような、釘宮の表現のかわいさとキラキラ感たるや! レアで聴いてみたかった楽曲が多かったものの、このあとに続く流れが予想しにくいと感じたのが正直な感想だった。


その答えは、MCの中で仁後が何気なく話していた「今回ソロで何が歌いたいか聞かれたんです」の一言でつかめた気がした。語られたのはあくまで仁後はソロの希望を聞かれたということだけだったが、ソロ曲に各演者の希望が入っていると考えるといろいろと腑に落ちる部分が多い。原は「addicted」、今井は「Just be myself!!」を歌い、「ミリオンライブ!」で見えたアイドルの新しい一面を披露した。特に今井の楽しさと幸せさに満たされて、解き放たれたような表情と表現は千早の新しい扉を開いたように感じる。ライブ中盤、頭がすっかり765プロになった頃に投入されたオリジナルメンバーによる「合言葉はスタートアップ!」にもやられた感じだ。作品の枠を越えていろいろなアイマスを愛しているプロデューサーなら、2日前にニコニコ生放送で行なわれた「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! 3rdLIVE TOUR BELIEVE MY DRE@M!!」幕張初日全編放送の中で、同じ会場で山崎はるかと田所あずさが「合言葉はスタートアップ!」を歌っていた姿を思い出して、不思議な感慨を覚えた人も多いのではないだろうか。


たかはしの「隣に…」、平田の「チアリングレター」のように、長年歌ってきた楽曲に新たな息吹を吹き込むステージもあった。7年半前に同じ場所で歌った「隣に…」に挑み、凄絶なまでの表現を見せたたかはし。超難度の楽曲を技術でねじふせるような歌唱を見せたあとの、深々とした一礼が記憶に残った。平田がこの日気合を入れたのは「髪型を雪歩っぽくすること」だそうで、数年ぶりのライブで今日参加できなかった仲間の存在を連れてくることをまず大事にするというのが彼女らしい。そんな平田は「LEMONADE」の初披露前は緊張で気が気でなかったそう。「Light Year Song」では沼倉も含めた3人が優しい浮遊感のある表現だったこともあり、平田の歌声の力強さ、特別な存在感を改めて感じることができた。


歌う機会に恵まれなかった楽曲で光を当てたいのはどの曲か、あるいは今の自分が表現したい楽曲はどの曲か。それぞれに異なる答がある問いに対して、アイドルと共に生きてきたキャストたちに委ねたのだとすれば、それは信頼があればこその大いなる信任であり冒険だ。

MCで驚いたのは、お正月になぞらえたトークやコーナーの中で、たかはしが「下田麻美さんご結婚おめでとうございます」「(その時ステージにいた)自分以外全員人妻」といったことを話していたこと。アイドル作品のステージでこのやりとりを聞くことはアイマスでしかありえないのではないだろうか。そして戻ってきた仁後や長谷川たちが久々のソロライブに緊張しながらステージに立ち、それをプロデューサーたちが温かく迎え入れる。赤に、オレンジに、緑に、アイドルの色に目まぐるしく変化するサイリウムの海は今や765プロだけの光景ではないが、そこに漂う空気には、何か765プロの会場オリジナルなものがある。たかはしは2年前、声優ユニット・Aice⁵のライブリハ中にアキレス腱を負傷した時と、今回のライブのリハスタジオが偶然同じ場所だった秘話を紹介、今度は立って歩いてスタジオを出られた喜びを爆発させていた。その言葉の、アイドルマスターが人生と共にあることを感じさせる深さ。

久々のソロステージで子鹿のように足がふるえたという仁後は、ゆっくりした曲が歌いたいという希望や、(平田による)誰かステージで浮いて(フライングして)ほしいとの提案に積極的に乗っていく姿勢を見せた。今この時期のライブだからこそ考えたことがいろいろあるのではないだろうか。「Funny Logic」のラップっぽさを交えた不思議な浮遊感は仁後の新しい表現を感じるとともに、楽曲と仁後の表現にぴったりと寄り添っていくような下田の引き出しの多さ、天才さを改めて感じた。

若林はオープニングの「THE IDOLM@STER」から全身からエネルギーが吹き出すような、命を燃やすようなパフォーマンスで、キュートな表現の「私だって女の子」にも全力で完全燃焼する美しさを感じる。「聖炎の女神」ではパフォーマンスを牽引する原への信頼があればこその暴れっぷりを見せた若林。手を取り合って見つめ合う振りにはドキッとするものがあったが、そういった視線の合わせ方などはやはり若林提案であることを原が明かしていた。

長谷川は長く伸ばした髪にカラーを入れ、かなり美希度が高いビジュアル。そして765ライブに長谷川が帰ってきたからこそ歌えた楽曲が、今井、中村、長谷川というオリジナルメンバーによる「Fate of the World」だった。劇場版「THE IDOLM@STER MOVIE 輝きの向こう側へ!」の劇中劇曲がこの3人で歌われるのは初めてのこと。実はこの3人だけの組み合わせは驚くほど少なく、長谷川のデビュー直後に3人がイベントで幾度か歌唱していたのは12年前のことだ。765プロライブでは一人でこの曲を担うことが多かった今井は「ひとりの時より数百倍楽しかった」と語っていた。

そして初日のライブでもっとも鮮烈でまばゆいようなステージを見せたのが、沼倉の「Next Life」だった。初期沼倉のソロの代名詞である曲であり、身体性を含めた彼女のパフォーマンスの素晴らしさを知らしめた曲。遠山明孝=AJURIKAがアイマスに初めて提供した、異質で新しい世界観の楽曲。この曲がなければ、「Never say never」も「Nation Blue」も「Trancing Pulse」も、生まれることはなかったかもしれない。「THE IDOLM@STER 5th ANNIVERSARY The world is all one !!」では、この場所・幕張メッセイベントホールで沼倉が初めてダンサーと共に歌った。最後の公式な場での歌唱は、2012年横浜アリーナ。個人的に年表につけくわえるなら、2014年の「THE IDOLM@STER 9th ANNIVERSARY WE ARE M@STERPIECE!!」でこの曲を沼倉のアイマスでの同期・原がカバーした時の鳥肌が立つほど鮮烈で強烈なパフォーマンスを見てから、“今の”沼倉がオリジナルの凄みを見せてくれることを待ち望んでいた曲でもある。

ステージで彼女が見せたのはダンサーに助けられるのではなく、先頭に立ってダンサーを率い、従えるかのようなパフォーマンス。歌声に、視線に、指先のひとつひとつまでに血が通った精度と情感、コントロールされた熱量に圧倒される。ダンスや表現を含めて新生した「Next Life」がそこにあった。その姿が会場と、LVのスクリーンの向こうにどれだけの衝撃を届けたかは、Twitterのトレンド上位に「Next Life」の文字が刻まれたことにもあらわれていた。

ラストのMCでは、今日のライブの楽しさ幸せさ、ステージに臨むまでの不安と緊張の両方が垣間見えたが、プロデューサーさんに会いたい、またライブがやりたいという気持ちは共通であるように感じた。個人的には自身に対する要求と理想の高いプロフェッショナルのイメージが強い釘宮が、ステージで失敗してしゅんとすることがあっても「それでも楽しいと思える空間って素敵だなって、感謝しながら立っていました」と語っていたことが、今日のステージの空間の幸せさをあらわしていたように感じた。

最後に、アイマスの後輩たちが「765プロの先輩たちはすごい」と口を揃える“すごさ”について、この上なく的確に、端的に表現してくれた言葉を紹介したい。原と共にアイマス参加10周年を迎えた沼倉は、765プロがどれだけかっこいいか、素敵かを心から誇らしげに語ると、「765プロは、生き様を見せる人たちだと思います。それを一生懸命追いかけてここまでやってきました。かっこよくて大好きな人たちとステージに立てて光栄ですし、みなさんに出会えてよかったと思います。みんな最高だ! アイマス大好きだ、ありがとうございました!」と続けた。それは3年目にアイマスに加入して、765プロの背中を追いかけ、走り続けてきた765プロである彼女ならではの言葉だった。

Text By 中里キリ

THE IDOLM@STER ニューイヤーライブ!! 初星宴舞
2018.01.06 幕張イベントホール

セットリスト
M01:THE IDOLM@STER -初星mix-(765PRO ALLSTARS)
M02:START!!(中村繪里子)
M03:プラ・ソニック・ラブ!(仁後真耶子)
M04:私だって女の子(若林直美)
M05:トリプルAngel(下田麻美)
M06:ロイヤルストレートフラッシュ(釘宮理恵)
M07:聖炎の女神(原由実、若林直美)
M08:LEMONADE(たかはし智秋、中村繪里子、平田宏美)
M09:Funny Logic(下田麻美、仁後真耶子)
M10:BRAVE STAR(今井麻美、若林直美、中村繪里子、原由実)
M11:addicted(原由実)
M12:Day of the future(長谷川明子)
M13:Next Life(沼倉愛美)
M14:edeN(原由実、たかはし智秋、平田宏美)
M15:Fate of the World(今井麻美、中村繪里子、長谷川明子)
M16:合言葉はスタートアップ!(レジェンドデイズ・沼倉愛美、仁後真耶子、若林直美、下田麻美、釘宮理恵)
M17:Light Year Song(沼倉愛美、平田宏美、下田麻美、仁後真耶子)
M18:隣に…(たかはし智秋)
M19:チアリングレター(平田宏美)
M20:虹のデスティネーション(長谷川明子、釘宮理恵、たかはし智秋)
M21:Just be myself!!(今井麻美)
M22:Destiny(765PRO ALLSTARS)
EC01:自分REST@RT(765PRO ALLSTARS)
EC02:ToP!!!!!!!!!!!!(765PRO ALLSTARS)

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