INTERVIEW
2017.12.20
アニメソング・アーティストにも様々なスタイルがあるが、angelaの場合はひとつの作品に対する関わりの深さが特に深いアーティストという印象がある。『蒼穹のファフナー』シリーズ、『K』シリーズなど、熱烈なファンを持つこれらのシリーズに深くコミットし、作品=主題歌=アーティストとが代名詞のような関係性になっている。それぞれの作品のファンから厚い信頼を得つつも、angela自身の世界観に魅了されるファンを多く持つこの2人は9thアルバム『Beyond』どのように創り上げたのか。武道館公演を超え、デビュー15周年の先を見据えるバラエティ豊かなアルバム制作について伺った。
――今回のアルバム『Beyond』の内容の前にまず伺いたいのですが、この作品のジャケット発表の前日に、冗談でバナナの着ぐるみジャケットにした“フェイクニュース”(angelaが想像をビヨンドしてきた!渾身のニューアルバムジャケット?を公開!)を出されて、翌日、”訂正”のニュース(angela「大人なのに調子に乗ってしまったため」ニューアルバムジャケ急遽変更!!)を出されたのが面白かったです。これもangela流のエンターテイメントかなと思いました。この取り組みはどういった経緯だったのでしょうか?
atsuko このアルバムにも収録されている「全力☆Summer!」はアニメ『アホガール』の主題歌で、その主人公がバナナが大好きという設定なので、これまでにもいろいろとモチーフとして使っていたんです。それとはまた別に、日髙のり子さん・山寺宏一さん・関俊彦さんで組まれているバナナフリッターズというユニットが今年復活して、ライブを観に行ったところ、もう大ベテランの方がバナナの着ぐるみを着て歌い踊ってらっしゃるのに感動して、後日ラジオにも呼んでいただいたときにそれをお話したところ「着たかったらいつでもいい貸すよ。いやむしろ着るよね?」という話になり(笑)。そこで本物のジャケット撮影の際に一緒に撮って、すべてがノリノリで進んでいったというわけです。先にバナナをリリースとして出して、その後で正式なものを出そうと考えた段階で、我々としては怒られること覚悟だったんです。だって真面目な『蒼穹のファフナー THE BEYOND』のイメージソングとか入っているアルバムですから「何をやってるんだ!」って。そうしたら意外とファンの人から受け容れられてしまって(笑)。
KATSU 炎上商法失敗!
(一同笑)
atsuko 「本人たちがやりたいならしょうがないよね」みたいに(笑)。でもそれでファンの方がすべてを受け入れて下さっているんだなということに気が付きました。バナナのジャケットの方が可愛くて良かったという人もいましたし(笑)。
KATSU 今回、この『Beyond』を作る段階で既発表の『アホガール』と『BLAME!』の主題歌がそれぞれ1枚のアルバムに入ると決まった段階で、収集がつかないことは分かっていたんです。バナナの着ぐるみという、angelaらしい表現で、事前にこういうアルバムなんですよという遊び心を感じてもらえたら嬉しいなという意味での企画でした。
atsuko angelaというと『蒼穹のファフナー』(以下、ファフナー)や『シドニアの騎士』の主題歌を歌う人というイメージがどうしてもあって、そこで格好良い曲だけではない部分もビジュアルとして出せたらいいなと。その意味で今年、『アホガール』の主題歌を出せたのは私たちにとって大きな転機だったと思います。よくある「節目の曲は何?」という質問には、今後5年10年経っても「全力☆Summer!」だと答えると思います。
――『Beyond』というタイトルと、「angelaのその先へ」というコンセプトはいつ頃、意識されましたか?
KATSU 3月の武道館が終わった後ですかね。やっぱり自分たちが目標としていた一つの場所に立ち、本当にangelaがやりたいことだけをやって、最後は「来たぜ武道館、いくぜその先へ」で終わったので、その先に何があるんだろうとか、何を持っていけばいいんだろうと考えたんです。そのときにプロデューサーから「angelaさんは自由を手に入れましたね」と言われて。それはどういう意味かというと、何をやっても「angelaならやるよね」とファンから認識してもらえるということ。今回のアルバムでも本当にやりたいことだけを集めたアルバムになっていて、『ファフナー』や『K』のイメージソングが収録されています。angelaがそれぞれの作品について「こうだよね」とイメージソングを出すと、それをファンが受け容れてくれるという、すごく幸せな状況に来られた。これはangelaにとって新しい世界観のスタートというアルバムにしたかったんです。
――今、話題に出た『蒼穹のファフナー THE BEYOND』、『K SEVEN STORIES』はまだファンの間で全貌が明らかになっていないなかでの、イメージソングです。これらはどのように作られていったのでしょうか?
atsuko 『K』は2018年に順次劇場公開され、ストーリーはすでに小説や漫画化されているものなので、そこを楽しみに待ってくれているファンの方に一足早く新曲をお届けするという感じです。今回の劇場アニメを統括したものをイメージソングとして最初に聞いてもらうので、抽象的な部分はかなり多いのですが、歌詞の断片を切り取っても想像力が豊かなファンの方は「ここはきっと誰かの子供の頃のイメージだろう」と思ってもらえるような曲にしたいなと思いました。『K』はスタイリッシュな男性達が美しく戦う絆の物語で、その部分は今まで書いてきたロックとスピード感とせつなさを意識して曲作りをしましたね。
KATSU TVシリーズ2期(『K RETURN OF KINGS』)の最終回で「KIZUNA」という曲がエンディングで流れた時の反応がスゴかったんです。中でも面白かったのが、「angelaは『K』を見捨ててなかった」みたいに書かれてて(笑)。見捨てるわけないし!(笑)。共に歩んでいるものだと思っていますよ。それに僕らも2期で終わりだと当初は聞いていて、その後の展開が続いているのは本当にファンの熱意によるものなんです。それにも感動したので、この「SEVEN STORIES」はファンの方に対して、遠回しではあるんですけれども、angelaからの感謝として序章の曲を1曲捧げたいなと申し出て作ったイメージソングなんですよ。そしてこれはまだ序章です。
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