ベストアルバム『LIFE of DASH』リリース記念インタビューPart2 鈴木このみ×白戸佑輔 スペシャル対談

鈴木このみが12月20日に初のベスト・アルバム『LIFE of DASH』をリリースすることを記念して、リスアニ!WEBでは全3回の特集記事を掲載。その第2弾となる今回は作曲家・白戸佑輔との対談をお届けする。2ndシングル「DAYS of DASH」を作曲・編曲して以来、「夢の続き」「Love is MY RAIL」といったシングル表題曲やベスト盤収録の新曲「夢へ繋ぐ今」の編曲などを手掛けてきた彼が、彼女の成長と魅力について大いに語ってくれた。

――白戸さんは鈴木さんに2ndシングル「DAYS of DASH」(2012年)から現在に至るまで多くの楽曲を提供されてます。おふたりが最初にお会いしたのはいつなんですか?

鈴木このみ 「DAYS of DASH」のレコーディングですよね?

白戸佑輔 そうだね。レコーディングのスタジオで初めてお会いしました。そのときはちょうど畑さんもいらっしゃって、鈴木さんがブースで歌ってました。

――白戸さんから見た鈴木さんの第一印象は?

白戸 人見知りの少女ですね。「全日本アニソングランプリ」から見てたんですけど、歌声は本当にすげえ!って感じなのに、中身はまだ子どもの印象がありました。

鈴木 それ、畑さんも言ってました(笑)。

白戸 でも本当にそんな感じで。人見知りで目もあまり合わさない感じだったんですよ。だから最初は言葉を交わすといっても「こんにちは」とかの挨拶ぐらいでしたね。

鈴木 たぶん最初にちゃんとお話したのは『さくら荘のペットな彼女』のアニメの打ち上げのときだと思います。そこでアニメの話をした気が……。

白戸 いや、「夢の続き」のレコーディングのときじゃないかな?

鈴木 ああ、そうかも!あの日は私が16歳の誕生日当日だったので、スタッフさんにサプライズ・バースデー的なことをしていただいて、そこから少しずつお話するようになりました。白戸さんにはすでに沢山楽曲を書いていただいてましたし。

白戸 レコーディングのディレクションは基本プロデューサーの方がやってるんですけど、その場所に自分を呼んでいただけるんですよね。それでスタジオで歌ってる合間に余計な話をしたりして。

鈴木 余計って(笑)。

――鈴木さんから見た白戸さんの第一印象はどのようなものでしたか?

鈴木 初めてお会いした2ndシングルのときはまだ緊張が抜けなくて、正直その場のことをあんまり覚えてないんです。「DAYS of DASH」は2日間かけて録ったんですけど、1日目が本当に上手くいかなかったんですよね。それでワーッてなってしまって、畑さんになぐさめてもらったりして。

――でもいまやすっかり打ち解けてる様子ですね。先ほどレコーディングの合間によくお話をされるとおっしゃってましたけど、普段はどんなことを話されるんですか?

鈴木 本当に他愛のない話から、最近は自分が作曲を始めたのでわからないところを教えてもらったりしてます。今回のベスト盤に入ってる新曲「夢へ繋ぐ今」の編曲は白戸さんにしていただいたんですけど、メロディを作るときに自分でボイスレコーダーに吹き込んだデータを送ってアドバイスをいただいたりして。

白戸 そうそう。でも、僕は理論的なことを言ってしまうんで、鈴木さんは「うんうん」ってうなずいてるんだけど絶対わかってないんだろうなと思ってて(笑)。

鈴木 私は「なんのことだろう?」って思いながら聞いてます(笑)。

――(笑)。白戸さんは鈴木さんが作曲された「夢へ繋ぐ今」を聴いてどう思われましたか?

白戸 弾き語りのデモをもらったんですけど、作曲は2回目なのによくできてて、キャッチーにまとまったなあと思いましたね。僕は昔そんな曲は作れなかったので、今後どうなっていくんだろうなって(笑)。ホントいい感じにできたよね。

鈴木 そう言ってもらえて良かったです!前に白戸さんに普段どうやって曲を作ってるのか聞いたことがあるんですよ。白戸さんの曲は歌ってて気持ち良いメロディやアレンジの曲が多いので、どうやったらそんなメロディが出てくるのか気になったんです。そしたら「家で大声で歌いながら作ってる」というお話だったので、それはマネするようにしました。

白戸 歌いながら作ると、歌詞がメロディの気持ち良いところに当たるんだよね。

――じゃあ白戸さんは作曲の先生でもあるわけじゃないですか。

白戸 そうですね……とか言っちゃった(笑)。

鈴木 すごくお世話になってます。

――「夢へ繋ぐ今」の編曲は白戸さんが担当されてますが、どのようなイメージで作っていかれたのでしょうか?

鈴木 この曲に関してはこれで完結ということじゃなくて、「夢へ繋ぐ今」だから歌詞も〈続く〉ことを感じさせるものにしたいと思ってたんです。だから、編曲も例えば最後は歌が終わってすぐにピアノが鳴って終わるパターンもあると思うんですけど、今回はそうではなくて、「もっと続きを感じさせて、先が見たくなるような感じでお願いします!」ってすごく曖昧なお願いをしました。

白戸 それで僕も曖昧な部分を含めてとりあえず「了解です!」って返事だけして(笑)。

鈴木 でも、私はこの曲で初めて自分で作詞したんですけど、自分で作詞も作曲した最初の楽曲は白戸さんに編曲をお願いしようとずっと思ってたんですよ。私のことを16歳のときからずっと見ていただいて、始めのころはガッチガチに緊張してましたけど、今は打ち解けて自分の内面まで知っていただいているので、やっぱり安心感がすごくありました。

白戸 そこは長い歴史ですよね。

鈴木 白戸さんとは普段もスタッフさんと一緒にパーティーとかバーベキューとかキャンプとかしたりして、仲良くさせてもらってるんですよ。

――白戸さんは鈴木さんのことを初期のころからずっとご覧になってるわけですが、どのような部分に成長を感じますか?

白戸 グランプリのときから本当に“口からCD音源”みたいなすごい歌を歌ってたんですけど(笑)、やっぱり最初の頃はそれしか表現できなくて、一本調子で抜き差しができてなかったんですよ。でも、今はこっちが何も言わなくても歌をコントロールできるようになりましたね。それと子どもっぽい部分が抜けていって、発言の内容も変わったのかな。それまでは大人にうながされて行動してたことが多かったんですけど、自分から発言することも増えてきましたし、それと共に歌も変わった印象があります。

――そう感じられるようになったのはいつごろからでしょうか?

白戸 ここ2年ぐらいですかね。やっぱり昔の歌を聴くと、あのときはすごいなと思ったけど今は拙い部分も感じるもんね。

鈴木 それはすーごく思います。自分ではライブで歌う自分の声が馴染んじゃってるので、今回ベスト盤ができて改めて音源で聴きなおしたときに、「私こんな声だったんだ!」ってすごくビックリしました。歌い方も今と違いますし、あのときにはあのときしか出せないものがあったんだろうなって思います。

白戸 あれはあれでね。

――白戸さんは鈴木さんに曲提供するにあたって、心がけていることはありますか?

白戸 最終的にライブで歌って絵がハマるといちばん良いと思ってるので、そこがいちばん映えるキーでというのは考えてます。やっぱりキーがいちばん重要なので。でももっと大人になっていくと、またキーが変わっていくんだろうね。いままで歌えてたところがだんだん出なくなったりして。

鈴木 うわ~! そう考えるといろいろヤバそうな曲がありますね(笑)。保てるようにがんばらないと。

白戸 「Absolute Soul」は絶対ヤバいよ。

鈴木 白戸さんはことあるごとに「『アブソ』はヤバい!」っておっしゃってますもんね(笑)。でも、私もすでにデビューのころと比べて声質が変わってきてて、今も徐々に変わってるんですよね。特に自分のなかでは毎年、〈アニサマ〉が終わった後に、表現力が変わったのをわかりやすく感じるんですよ。

白戸 へー。それはなぜ?

鈴木 きっと大きな舞台を踏むことで何かを吸収してるんだと思います。たくさんのアーティストさんのステージを一気に観れるというのもありますし、自分が〈アニサマ〉の一日に辿り着くまでにいろんな準備をするというのもあると思いますし。毎回、何かが変わったターニングポイントみたいなものが必ずあるんですよ。

白戸 ステージでの影響がでかいんだろうね。

鈴木 それはすごくあると思います。そういうときって自分でもわかるんですよ。例えば曲をいただいたときに気持ちが変わるパターンもあって、「Love is MY RAIL」のときも自分の気持ちが入れ替わって変われたんです。3rdアルバムの『lead』のときも、白戸さんが作ってくれた「One day sky」が収録曲の中で最後のレコーディングだったんですけど、明確に自分のなかで変わったなって感じましたし、エンジニアの方にも「なんか今日すごく違うね」っていうふうに言われました。

白戸 たしかにあの曲は転換になるような歌詞の世界観だった気がする。

鈴木 歌詞の最初が“僕らいつか変わってゆく”で始まるので余計にそういうふうに感じて、自分のなかでもいろいろ考えたんだと思います。歌詞の内容が自分にすごくフィットしてて、曲調的にも歌いやすくて、気持ちが乗せやすいメロディというのがあると思うんですけど。

――鈴木さんが白戸さんに提供いただいた曲のなかでいちばん印象に残ってる曲は何でしょう?

鈴木 いちばんは「Love is MY RAIL」なんですけど……。

白戸 ああ、僕もそうだ。

鈴木 この曲を録ったとき、トラックダウンの前にエンジニアさんとかも含めてスタッフさんみんなでキャンプに行きまして。歌詞の中に“沈んだ夕陽から 朝日へ還る”というフレーズがあるんですけど、本当にみんなで沈む夕陽を見ながら、他愛もない話とかこれからの仕事の話をしたりして。そういうのがトラックダウンにも出てたと思いますし、そういう意味でも思い入れがある曲です。

白戸 キャンプ行ったよね。

鈴木 それとこれは個人的なことになるんですけど、「夢の続き」はいまでも大事に歌っている曲で。この曲はすごく大切な友だちのために歌った、初めて自分以外の人のために歌いたいと思った楽曲なんです。ライブのMCとかでも話してるんですけど、この曲を歌った当時、周りの友だちはみんな進路とかで悩んでて。でも、自分は物心ついたときから歌手になりたいと思ってて、夢のない時期がなかったので、その悩みに対して何も言えなかったんですよ。でも、何かを届けたいと思ってたときにこの曲をいただいて。それでその友だちのためにこの曲を歌おうと思ってプレゼントした曲なんです。

白戸 そうだったんだ。

鈴木 今年のツアーでも歌ったんですけど、そのころ進路のことで悩んでた子もみんな自分の夢を見つけて、就職して自分と同じように仕事を頑張ってる人がいたり、夢のために勉強を頑張ってる時期だったりというのもあって、また違う気持ちで歌えるようになった曲でもあるんです。

白戸 そんな気持ちが込められてたんですね。普段はこんな長時間マジメな話を聞くこともないですから(笑)。

鈴木 そうですね。普段は何を話してるんだろう(笑)。

――逆に白戸さんにとって思い入れの深い提供曲は何でしょうか?

白戸 やっぱり「Love is MY RAIL」ですね。この曲とそのシングルの通常盤のカップリングに入ってる「miss blue」はリリースから1年以上経ってますけど、いまでもプレイリストで再生しちゃいますからね。僕は普段自分で作った曲はあまり聴かないんですけど。この曲は最初に「『DAYS of DASH』の現代版にしたい」というお話をいただいて、そんなの無理だよなと思いつつ作ったんです(笑)。「DAYS of DASH」自体が僕が鈴木さんに最初に提供した曲だったので、それを思い返しつつ作業したので思い出深いですし、カップリングの「miss blue」も夏の思い出に浸れるような内容の曲で。それを作りつつ、みんなでキャンプに行ったりもしたので、本当に記憶に焼きついた曲になりましたね。

――畑さんとの対談でも「Love is MY RAIL」はお互いにとって大切な曲だというお話でしたけど、ご自身のキャリア的にも重要な曲になっていますか?

鈴木 だと思いますね。例えばこの「Love is MY RAIL」がデビュー曲だったらまた違うんだろうなと思います。最初のころはガムシャラに走るしかなかったんですけど、今はいろいろわかってきて、足を緩めて周りを見ることが増えてきたんです。それで周りから自分はどう見えてるのか気にするようになった頃に歌った曲なので、だからこそ沁みたんだと思うんです。

白戸 だってこの曲、畑さんは完全に鈴木さんソングとして書いてる感じがあるもんね。

鈴木 本当にこのタイミングじゃないと歌えなかった曲だと思いますね。この頃は自分が歌い続けていいのか悩んでた時期だったので、この曲がなかったらいまだにそう思ってたかもしれないですし、すごく良い出会いだったと思います。

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