リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

REPORT

2017.12.12

芹澤 優、23歳の幕開けは“最強”のステージに! “Yu Serizawa 23rd Birthday Live~#Love Letter~”レポート

芹澤 優、23歳の幕開けは“最強”のステージに! “Yu Serizawa 23rd Birthday Live~#Love Letter~”レポート

12月3日、Zepp DiverCity(Tokyo)にて“Yu Serizawa 23rd Birthday Live~#Love Letter~”が開催。声優・芹澤 優の自身の誕生日当日に開催されたライブは、23歳の幕開けを飾るにふさわしい、芹澤らしさと最強度合いを同時に感じられるものとなっていた。本稿では昼夜2回公演のうち、夜の部の模様をお届けする。

ステージの中央には、この日のタイトルにちなんだ大きなラブレターが鎮座。ステージ向かってその右手側にはスマートフォン型のモニターが、左手側には12月3日に大きな印のついたカレンダーがそれぞれ並び立つ。

開演時間を迎えると、EDM調のサウンドに乗せてそのラブレターの縁のLEDが輝き出し、本日の主賓・芹澤 優がステージに登場。リリースされたばかりの2ndミニAL『only you? only me!』のリード曲、「PRINCESS POLICY」でライブの幕開けを飾る。Aメロのコーラス部やサビのハモリパートでは前述のモニターにリップシンクする彼女の映像が映し出され、ふたりの芹澤 優が1曲を作り出す形に。そのボーカルを崩さずに、ダンサブルな楽曲に合わせてノリよく踊りながら、サビでは自らの手でスカートを少しひらりとさせたり小悪魔感とセクシーさをそのパフォーマンスから醸し出させる。間奏のダンスタイムの制度も見事で、直後の「Only you…でしょ?」のセリフでは、もちろんファンからの大歓声が起こっていた。

続く1stミニALのリード曲「Voice for YOU!」で、一気に会場はヒートアップ。リリースから半年以上を経て完璧になったファンのコールを、振付に交える形で芹澤も煽っていく。もちろん同時に自身のパフォーマンスも全開。2サビ後のコールアンドレスポンスで、今日“一緒に遊ぼう”というコンセンサスを作り上げると、高ぶった感情はDメロ直前のジャンプの高さと美しさにでアウトプット。加えて「PRINCESS POLICY」の衣装ということもあってか、音源よりも歌声にセクシーさが乗っていたような印象も受けた。

そのまま、ブラスの音色とテンション感のリンクする「ハウ?トゥ!パーティ☆」へと繋げ、序盤いきなりぶっ飛ばしていく芹澤。歌声の感情と自身の表情をリンクさせてアウトプットする。1サビ明けにはモンキーダンスで盛り上がり、間奏ではハイジャンプから続けてエアギターも織り交ぜた、かわいくも楽しいダンスを披露。ファンと一緒に、自らもハチャメチャに楽しんでいく。

曲明け、23歳初となるMCパートでは、ファンへおねだりした自己紹介の口上「あいらぶゆうちゃーん!」への大きなコールを、イヤモニを外して全身で感じると、「タイトルどおり、みんなに愛を届けちゃおうかな!」と意気込みを語りセット裏へ。驚かされたのが、その衣装替え中もトークや観客との掛け合いを続行した点。安易にVTR企画等に頼らず、あくまでも“2017年12月3日の芹澤 優”によってこのライブは繰り広げられていく。

衣装チェンジを終えた芹澤は、「Kiss! Kiss! Kiss!」から3曲続けて1stアルバムの曲を曲順通りに披露。まずこの曲ではミドルテンポの曲らしく激しさこそないものの、細かくメリハリの利いた振付を見せ、2サビ明けのダンスタイムでは滑らかかつスピーディーなダンスで観客を魅了。曲の最後には、客席後方に向けて大きく投げキッスも飛ばす。

続く「ドラマチックレイディオ」ではスマートフォンを取り出し、ポップな楽曲に合わせたストーリーを歌とダンスで展開していく。さらに、曲中ではそのスマホのインカメラがステージ上のモニターと連動。そのまま自撮りを行うと、その画像がメッセージ付きでリアルタイムに彼女のTwitterアカウントに投稿され、このメモリアルな瞬間を全世界に向けて刻み込んでくれた。

そして「WAGA-MA-MA-MAGIC」では、音源よりもさらに肩の力の抜けた、甘々な歌声を披露。ファンに歌わせた「会いたいな」のフレーズを受けて、デレッデレの笑顔と歌声でそれに呼応する芹澤の“魔法”に、会場中のファンがかかっていくかのような1曲となった。その総仕上げは、曲ラスト。「I LOVE “ YOU ” !! 」のフレーズでハートマークを作って、その声にキス音を乗せてファンをイチコロに。さすがにこれには芹澤自身、曲明けに「さすーがに、かわいこぶりすぎた(笑)」と振り返っていた。

そのままトークを続ける芹澤のうしろには、ギターとキーボードが登場。今回のライブでギターの弾き語りの披露を公言していた芹澤、パートナーとしてキーボードに「Kiss! Kiss! Kiss!」などの編曲を担当したEFFYを迎え、観客を着席させる。そして演奏を始めたのは、TVアニメ『けいおん!!』挿入歌「U&I」。高校生の頃から大好きだった作品の楽曲であるのと同時に、直前に自身が語ったようにライブタイトルともリンクするという、このライブで披露される意義のある1曲だ。珍しく彼女の表情には緊張の色が見えたが、自ら爪弾くギターとキーボードの音色に、まっすぐながらも温かみを持った歌声を乗せていく。そのボーカルも、ギターに集中しすぎてブレるということはなく、彼女に身についた地力も感じさせる1曲となった。そのうえ2サビでは歌詞にリンクしてくしゃっとうれしそうな表情ものぞかせるなど魅せる意識も忘れることなく、“プロとして”完奏を果たしたのだった。

ここでメインモニターには、手紙を書く芹澤の映像が。最初こそ朗らかだったその表情がだんだん苛立ちをみせ手紙を丸めて捨てたところで、モニターにはヒビが。そのまま「No Regulation」のイントロが流れ、ステージ後方のラブレターが開き芹澤再登場。ここまで甘く出していた感情を、出力はそのままに方向を刺々しく激しいものへと転換。このデジタルロックで、自らの想いを世界にぶつけていく。落ちサビへの入り方の激しさは、彼女の学生時代の感情が反映されたこの曲ならではのものだったのだろう。

これに続いたのが、「TRIaL HEART ~恋の違反チケット~」。ラブレターを前にした“恋愛裁判”の開廷が、キャラソンゾーンの幕開けを告げる。1サビ明けにはスカートをつまんで自らはためかせたりと少々セクシーな魅せ方を交えつつ、歌声もあわせて見事に一人三役を演じ分ける。そのなかで、特に印象深かったのがスピンの美しさ。広がるスカートの円錐形は、彼女のライブ史上もっともきれいなものだったように思う。スピン時に広がったスカートが、これまでどこで観たときよりも、きれいな円錐形をしていたのだ。これはニューヨークで生の舞台を見たりと、アウトプットだけでなくインプットの多かった1年間の賜物でもあり、それを実現させようとする努力の表れでもあったのではないだろうか。

一旦MCを挟み、後半戦に差し掛かったライブは本格的にキャラソンゾーンに突入。まずはTVアニメ『賭ケグルイ』9話の特殊EDとして使用され、自ら振付も担当した「恋のロシアンルーレット」を堂々パフォーマンス。レスにも転用できる指差しポーズが多い点が、芹澤らしい。また、サビ頭のSEに合わせてロシアンルーレットらしく頭をパンと撃つような振付など、わかりやすく見せるアイデアも織り込まれ、彼女の5年間の経験がここにも大いに反映されていることがわかる。

そして「続いては、グリーンのサイリウムで!」と呼びかけてから、TVアニメ『アイドル事変』のカーバンクルのキャラソン「ワンダーランドの角砂糖」へ。原曲より少々甘さ控えめに、爽やかなサウンドの楽曲により馴染む歌声で歌いながら、この曲でもすーっとしなやかさを感じるダンスを披露。その合間にも自然な形でレスを織り込む、堂々たるパフォーマンスだ。

ここからライブはラストスパートへ突入。「ひとりで歌ってないキャラソンも、歌っちゃえばいいじゃん!」との想いから、もう1曲“相方”のいる曲を歌うことに。その曲は、「cherry-picking days」。ステージ上のスマホを模したモニターには、この曲で芹澤演じる福原あんとペアを組む森園わかなが映し出され、“ふたりのステージ”が実現。このミラクルな展開に、ファンからは割れんばかりの大歓声が、そして大きな大きなコールが場内には響き渡る。それも、ただ単に曲をなぞるだけではない。落ちサビで芹澤はステージ上のラブレターのセットに近づいて「赤いheart」のフレーズに合わせてシール部分のハートを指差し、このステージで歌う意味も同時に生じさせていた。そして彼女のキャラソンゾーンで忘れてはいけないのが秋月マキシ曲。こちらも久々となる「KIRA-KIRAしましょう?」で、イントロで「タオルくるくるタイムですよー!」と煽り、客席いっぱいにタオルが回る。そんなステージ上にも客席にも楽しさが飛び交うこの曲では、マキシ様が意識された照明の演出が印象深い。頭サビなど要所ではステージ上をレモン色のライトが照らしたり、ラブレター縁のLEDがブルーとイエローに染まるなどして、彼女のステージを引き立てていた。

盛り上がり最高潮のなか、ラストナンバーに選んだのは自身の楽曲「片思いExpansion」。この曲ではボーカルへの力の入れ方もさることながら、実は振付も要注目。難しい足首の返しを難なくこなしていたりと、細部で“すごそうに見えないところがすごい”パフォーマンスを見せていたからだ。また、スマホ型モニターには曲に合わせて芹澤自身による手書きのタイトルや歌詞、イラストが映し出されてステージに華を添え、ファンもエレキギターのリフが印象的な勢いあるナンバーで最後まで盛り上がっていった。

本編を無事締めくくった芹澤は、『YOU&YOU』リリース前後の気持ちを「全然力が足りなくて全然ダメなのに、みんなが応援してくれるのがうれしいのに悔しくて……でも今『片思いExpansion』でみんな盛り上がってくれて、大事な1枚だったなってみんなも思ってくれてるんじゃないかなと思えて、本当にうれしかったです!」と、声をつまらせながらも大事にしっかり素直に伝える。そして長い一礼ののち降壇。ステージに残ったラブレターには、ライブロゴにちなんだデザインがプロジェクションマッピングによって映し出されていた。

それを前に、ファンからはアンコールを求める「ゆーちゃん!」のコールが。そのときフロアを照らしていた光の色が赤とピンク、そしてホリゾントはブルー。それは彼女のソロアルバム2枚の衣装と、グループでのイメージカラー。これは深読みであり偶然かもしれないが、ひょっとしたら「どちらも大切な、23歳の自分の大切なもの」という意味が、そこにはあったのかもしれない。

そしてその青く染まったステージ奥には三日月が登場し、「今夜も月がきれい」をしっとり披露。その三日月以外には大掛かりなエフェクトなしに、楽曲の持つ切なさを自らの歌声でしっかりと表現し、魅了していく。唯一視覚的な演出といえば、サビの部分で芹澤に当たったスポットライトだろうか。彼女の部分だけが影になってラブレターに映り、うつむくシルエットへと変わる。その見せ方がまた哀しさをより引き立てていた。

……が。曲明け、ラストにミスがあり不満の残った芹澤は「もう1回歌いたい」と直訴。なんと急遽、「今夜も月がきれい」の再歌唱が実現する。変わらず感情を乗せつつも、そのボーカルの精度は一度目以上に上がったもので、サビの最後の脱力感も、思いの起伏を感じさせる素晴らしいポイント。ただのやり直しではなく細部のクオリティを高め、リベンジを果たしたのだった。

そして恒例となった観客をバックにした撮影の準備中に、場内に「HAPPY BIRTHDAY」が流れ、ファンの合唱とともにバースデーケーキが登場。喜びつつも、先ほどの急遽のやり直しの際に袖で慌てていたスタッフを観て「やっちまった」と思った、と懺悔も。

そんな今日を、「今年は、絶対絶対絶対絶対、23年間でいちばん楽しいお誕生日になりました!お世辞じゃないんだよ?」と喜びを素直に表現。「ずーっとみんなと一緒にいたいから、この仕事やめない!」と宣言し、「これからもずっと歌っていけたら」という曲「パラレルスターズ」へ。イントロからステージ上で跳ねまくる芹澤は、サビでは自らリズムに合わせてワイパーを繰り広げたり、短いコール部分でもファンへマイクを向けたりと、会場全体で一緒に盛り上がろうとする。それを受けたファンの熱狂で、彼女のライブでのラスト定番曲が、真に完成したように感じられた。

そして降壇後、そこからダブルアンコールの声に呼ばれてまたも登場した芹澤は、改めてこの日のライブに込めた想いを語る。

「ライブタイトルになぞらえて、みんなに何かあげたいなと思った」と切り出す芹澤、このライブにまつわる数々の仕掛けを挙げると、最後に「あげられるのは、セリコの歌とダンスと、セリコ自身しか残ってないなと思ったんですよ!」と語り「ケータイ出しちゃえー!」と呼びかける。そして撮影OKのダブルアンコール曲として、「PRINCESS POLICY」を改めて披露。そのお返しを受け取ろうとするファンに向けて、芹澤のパフォーマンスはそのカメラへレスを飛ばしたり歌詞のアレンジを挟んだりと、最後まで全開。ダンスのキレもライブ冒頭よりもさらに増したようにも見えた。

曲が終わっても鳴り止まない拍手を受け、深々と一礼する芹澤。「ママが私を産んでくれて育ち上がって、こうやってみんなの前にいられて……全部が奇跡で運命。みんなと一緒にいられるこの瞬間が、幸せで楽しいなぁって思いました」と今の率直な想いを改めて口にすると、それを「みんな、大好きだー!」と爆発させる。そして「まだまだまだまだ終わるつもりも止まるつもりもやめるつもりもありません! 一緒に駆け上がっていきましょう!」と意気込みを語り、「以上、みんながだーいすきな、芹澤 優でした!」とダブルミーニングなひと言で、ライブを締めくくった。

加えて終演後には、オフィシャルのお見送りも敢行。「あげるものはセリコ自身」という言葉には、どこまでも嘘はなかった。

改めて、レポート後にもう一度言いたい。芹澤 優のステージは、“最強”である。そこに至るまでには我々には見えない様々なプロセスがあったことだろうが、このライブはそういったものを想像させる余地のない最強のステージであり、それこそが誕生日当日を祝ってくれたファンへの最高のお返しとなっていた。

声優・アイドルとしての活動を開始してから5年が過ぎても、すさまじいスピードで成長し続ける芹澤 優。23歳の1年間の成長と変化とが楽しみになる、その1年の幕開けにふさわしいライブだった。

Text by 須永兼次

Yu Serizawa 23rd Birthday Live~#Love Letter~
2017.12.03@Zepp DiverCity(Tokyo)

【SET LIST】
M1.PRINCESS POLICY
M2.Voice for YOU!
M3.ハウ?トゥ!パーティ☆
M4.Kiss! Kiss! Kiss!
M5.ドラマチックレイディオ
M6.WAGA-MA-MA-MAGIC
M7.U&I(カバー:放課後ティータイム)
M8.No Regulation
M9.TRIaL HEART ~恋の違反チケット~ / 南 みれぃ(芹澤 優)
M10.恋のロシアンルーレット / 夢見弖ユメミ(芹澤 優)
M11.ワンダーランドの角砂糖 / カーバンクル(芹澤 優)
M12.cherry-picking days / 福原あん(芹澤 優)
M13.KIRA-KIRAしましょう? / 秋月マキシ(芹澤 優)
M14.片思いExpansion
EN1.今夜も月がきれい
EN2.パラレルスターズ
W-EN.PRINCESS POLICY

関連リンク

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP