劇場版『Dance with Devils–Fortuna-』主題歌「KING & QUEEN」リリース記念、羽多野渉インタビュー

アクマとヴァンパイア。そして彼らの求める「禁断のグリモワール」。それらを繋ぐ少女・立華リツカを巡る運命の物語『Dance with Devils』が劇場版アニメに。ゲームにアニメにCDに、と人気のシリーズで、リツカの兄・リンドを演じる羽多野 渉が歌う劇場版『Dance with Devils–Fortuna-』の主題歌「KING & QUEEN」がリリース。映画について、そして羽多野の音楽に新たな扉を開く一枚について話を聞いた。

――ニューシングル「KING & QUEEN」は劇場版アニメ『Dance with Devils–Fortuna-』の主題歌になっています。劇場版になるまでにもCDが数々リリースされているこの作品なので、そういったところで、キャラクターの表現については深まっていっているのかなとも感じますが。

羽多野 渉 そうですね。深まってもいますが、「if(もしも)」のストーリーだったりもするんですよ。たとえばゲームでは各キャラクターの物語の行く末があって。主人公をどのように巻き込んでいくのか、という部分でいけば、アニメでは全く描かれていないストーリーやエンディングもたくさんあります。

――個人的にゲームはフルコンプをしているのですが、ゲームではリンドさんもかなり濃い展開になっていました。

羽多野 それはよく言われます(笑)。アニメでしか見ていなかった方がゲームでリンドに触れると驚かれるようですし、ファンの方からよく言われたのが、「どのエンディングがトゥルーエンディングかわかりません」ということでした。そこがRejetさんの作るゲームの面白さかなとも思うんですが、どのエンディングを迎えても、リンドのまっすぐさというのは変わらなかったので、そこはブレないで演じられたかなと思っています。

――その『ダンデビ』ではこれまでにもアニメのオープニング「覚醒のAir」、そしてゲームのオープニング「運命のCoda」と歌ってこられています。これまでの2曲についてはずっと歌い続けていらっしゃるだけに、ご自身の中でも歌への想いも深まってこられると思います。こちらの2曲については今、どのような印象をお持ちでしょうか。

羽多野 今年の夏のイベント「おれサマー(おれパラ- 10th Anniversary 〜ORE!!SUMMER)」で「覚醒のAir」と「運命のCoda」を歌ったときにも思いましたが、長く歌えば歌うほど自然な所作で曲の世界観をお客さんとひとつにできる、と言いますか。お客さんの持っているこの曲の世界観と、自分の持っている世界観がイントロから一致していくというのが、すごく気持ちよくなれる楽曲だなと思っています。特にテレビを観てくださっているお客さんも多いので、曲を聴けば『ダンデビ』の世界観を想像できるだろうし、歌い続けたことで応援してくださる、ライブに来てくださる皆さんと一緒に、どんどんこの楽曲が形を変えて、みんなの形になっていったのかな、と思っているんです。自分の中でも、モードが切り替わる楽曲のひとつですね。タイアップ曲のありがたいところは、その曲になった瞬間にお客さんも楽しみ方がわかっているし、僕自身もその作品の羽多野 渉になれる、そういうスイッチを持っているところです。どの曲もそうで、タイアップ曲がかかると、その瞬間に自然と違うパフォーマンスができるようになります。特にこの「覚醒のAir」はライブ毎に演出が変わっているので、楽しい曲のひとつですね。

――羽多野 渉としても、そしてリンドとしてもたくさんの楽曲を歌っていらっしゃいますが、羽多野さんとして『ダンデビ』の曲を歌うときはどんな意識なんですか?

羽多野 歌っているときに頭の中でイメージしているのは、キャラクターたちが全員、俯瞰で出てくる感じです。リンドの歌を歌っているときには、正直な話、リツカのことしか考えてないです。リツカの顔とか姿を思い浮かべながらただひたすらに歌い上げているんですけど、ただ今回の「KING & QUEEN」も「覚醒のAir」もそうですが、全てのキャラクターをバッと思い浮かべてそれを引きの絵でイメージしながら歌っている感じなので、リンドだけにクローズアップして、この詞を無理やりリンドに結び付けて歌っているというよりは、全てのキャラクターに当てはめた歌い方をイメージしています。

――その新曲「KING & QUEEN」ですが、これまでの楽曲とガラリと雰囲気を変わっていて、羽多野さんの曲としても新鮮でした。

羽多野 新しいですよね。しかもアフレコ前にレコーディングをしたので、「劇場版の『ダンデビ』の曲になります」と最初に届いたデモを聴いたとき、正直、別の女性アーティストさんの楽曲を間違えて渡されたんじゃないかと思いました(笑)。完成版は立派なサウンドアレンジになっていますが、いちばん最初のデモでは生音のブラスバンドが入っていなかったので、もっと明るかったんですよ。ポップで。「これは『ニチアサキッズ』の曲かなにかが間違えて届いたんじゃないの!?」って考えちゃって(笑)。エイベックスさんもたくさんの作品を手掛けられているからやってしまったのかな、と思って「間違っていませんか?」と尋ねたら「いえ、これが羽多野さんの楽曲です」ということで。それから曲をよく聴いていて、岩崎さんからの歌詞が届いたらようやく「なるほど」と。そして劇場版のアフレコになって「おお!」とすべてが繋がっていきました。この楽曲は監督さん、脚本家さん、作曲のElements Garden藤田さん、作詞の岩崎さんのみんなが、どういった楽曲にするかとアイディアを出し合った末に完成した曲なんですが、レコーディングのときに伺ったイメージとしては、劇場版『Dance with Devils–Fortuna-』という作品がひとつのミュージカルだとするなら、ストーリーがすべて終わったあとのカーテンコールのような楽曲にしたかったということらしくて。この楽曲って、登場する人物ひとりの視点で描いているわけではなくて、全てのキャラクターが「今日は観に来てくれてありがとう」と言っているイメージ、というところから制作がスタートしたそうなんです。だからすごく前向きだし、『Dance with Devils』というメディアのいろいろなイメージがこの曲には詰め込まれているのかな、と思いました。

――レコーディングはいかがでしたか?

羽多野 うれしかったことに、ブラスバンドやバンドで奏でるジャジーな響きといったサウンドが、僕と相性がいいんじゃないか、と藤田さんがおっしゃってくださったそうなんです。まだ僕がレコーディングしたときには生バンドの音は入っていなかったんですが、そういう賑やかなサウンドをイメージしながら、藤田さんともいろいろとお話をしながら歌えました。たとえばセンチメンタルな歌詞をセンチメンタルな雰囲気のままに歌ってしまえばアレンジを加えたときにちょっとそこだけ沈んだ感じに聴こえてしまうから、イメージ的には切ない歌詞の部分でも前を向いて進んでいるような歌い方をしたりだとか。しかもこの楽曲の構成が非常に面白いんです。Aメロ、Bメロ、Cメロ、というのはあるんですが、2番になるとサビ前にめちゃめちゃ長い間奏があるのが面白かったり、楽曲自体も緩急がつけられた構成になっていますから、盛り上がるところではめちゃめちゃ盛り上がりながら歌いましたし、みんなで歌える要素をたくさん入れてくださっていて。賑やかさがあるんですが、ライブではぜひ皆さんにも一緒に歌って欲しいですね。僕が、聴いている人に向かって、アンサーをもらっているような作りになっているんです。コール&レスポンスのところで。みなさんと一緒にライブで完成させたい、そんな曲になりましたね。

――羽多野さんのあらたな扉を開かれた一曲となりましたが、同じく新しい羽多野さんを感じさせるのがカップリングの「路地裏のラプソディ」かなとも感じます。こちらの曲はいかがでしたか?

羽多野 「KING & QUEEN」は『ダンデビ』スタッフによる『ダンデビ』のための楽曲として生まれていますが、カップリングのこの曲は「羽多野さんの好きな、やりたい音楽にしましょう」とプロデューサーさんから言っていただいたんですね。それでオーダーしたのが「過去の後悔を引きずる男の暗い歌が歌いたいです」と。

――一曲目とのギャップ!(笑)。

羽多野 そう!同じテーマにはしたくなかったんです。僕のイメージよりもだいぶ明るく前向きな曲が表題曲になったので、カップリングではギャップを楽しんでもらって、ちょっと落ち着けるような曲がいいな、と思ったんです。実際に出来た「路地裏のラプソディ」は暗いというよりしっとりと大人な雰囲気にしていただきました。作詞はRUCCAさん、作曲はこちらも藤田さんがしてくださるということだったので、藤田さんへ「路地裏の小さくて寂びれたバーのカウンターで、小さな後悔を肴に一人でちびちびとお酒を飲んでるような雰囲気がいいです」とオーダーしたら、おしゃれな歌詞と、めちゃくちゃおしゃれなピアノのメロディを作ってくださいまして。今回の曲はどちらも自分っぽいなと思うんですが、「KING & QUEEN」が普段皆さんに見せる表の自分だとすれば、「路地裏のラプソディ」は人前に見せることはないけれど自分にもこういう時間があるよな、という、二面性を感じてもらえたらいいな、という一枚ですね。

――特にお気に入りの部分は?

羽多野 レコーディングのときからすごく好きだったんですが、大サビ前の一行です。「小さじひとつ分のリグレット」というところですね。何度か出て来るんですが、本当に小さな後悔なんだけど、ぐじぐじと思い悩んでいるんです。「こうしていればよかった」と。そんな小さな後悔を、大サビのいちばん最後でちょっとずつ過去の物として前に進んでいく。後悔も含めて自分だから、すべてを愛して前に進んでいこう、というストーリーにしたくて。それで作業の終盤で、曲の最後に出て来るこのフレーズは、過去の自分が言っているような雰囲気で、ラジオの向うから聴こえるように加工をしてもらったんです。ここでは今の自分ではなく、過去にこの発言をしていた自分を思い出している、というドラマっぽさを出したくて。そうしたら藤田さんもすぐに「いいね、それ!」とフレキシブルに対応してくださって。だからこの一行は、たかが一行ですが、自分の想いが入った一行になっていますね。

――そんな「KING & QUEEN」が主題歌の映画も楽しみです。では最後に読者へメッセージをお願いします。

羽多野 テレビ放送から約2年。『Dance with Devils』が劇場版になって帰ってきます。僕ら役者陣も作品に対する愛情が深すぎて、久しぶりという感覚もなく、和気あいあいとしながらの収録でした。テレビシリーズを観て下さった方も劇場版は新鮮な気持ちで観ていただけると思いますし、テレビを観ていなかった方も劇場版をきっかけにテレビシリーズがどんな感じで進んだのか、興味を持っていただけると思います。それと豊永利行くん演じる新キャラクターのマリウスにも期待をしながら観ていただきたいと思います。

Interview&Text By えびさわなち


●リリース情報
「KING & QUEEN」
11月22日発売

【CD+DVD】(アーティスト盤)

品番:EYCA-11679/B
価格:¥1,800+税

【CD only】(アニメ盤)

品番:EYCA-11680
価格:¥1,200+税

<CD>
01 KING & QUEEN(劇場版「Dance with Devils-Fortuna-」主題歌)
02 路地裏のラプソディ
03 KING & QUEEN(Instrumental)
04 路地裏のラプソディ(Instrumental)

<DVD>
・ KING & QUEEN Music Clip

●作品情報
劇場版『Dance with Devils-Fortuna-』
公開中

●ライブ情報
Wataru Hatano Live Tour 2018“LIVE KING & QUEEN”
2018年3月3日(土) 東京 中野サンプラザ
2018年3月18日(日) 大阪 サンケイホールブリーゼ

チケット:羽多野渉8thシングル「KING & QUEEN」に、本ホールツアーのイベント優先申込券が封入

©グリモワール編纂室/Dance with Devils F 製作委員会

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