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2017.11.16

「私をスフィアにしてくれてありがとう!」充電前ラストの新たなスタート地点!「Sphere live tour 2017 “We are SPHERE!!!!!”」レポート

「私をスフィアにしてくれてありがとう!」充電前ラストの新たなスタート地点!「Sphere live tour 2017 “We are SPHERE!!!!!”」レポート

11月11・12日、幕張イベントホールにてスフィアのツアーファイナル公演「LAWSON presents Sphere live tour 2017 “We are SPHERE!!!!!”」が開催された。
2009年2月の結成後、声優ユニットとして一歩先を進み続けてきたスフィアだが、今春、今回のツアー最終公演をもって、2019年の結成10周年に向けて音楽活動を一時休止=充電期間に入ることを発表していた。6月にスタートした全17公演のゴールであり、充電期間前ラストライブとなった2日目の公演の模様をお届けする。

天候に恵まれ快晴のファイナル公演。ツアー最大キャパシティの会場を埋め尽くしたファンがオーバーチュアにあわせて青い光を灯してメンバーの登場を待つ中、ステージのセット上には4人のシルエットが浮かび上がり、「SPHERE-ISM」で幕を開ける。スフィアの主義・主張が詰まった楽曲に、原点を思い出させてくれる白い衣装が、より彼女たちを大人に見せる。間奏でステージに下りると、会場全員で「We are SPHERE!」の掛け声を元気よく揃えた。

「私たち、スフィアです!」と恒例の自己紹介でスフィアポーズを決めると、さっそく会場の盛り上がりっぷりにふれる4人。初参加のファンも多いようで、「初めてスフィアのライブに参加した人?」という問いには、多くの手が挙がった。それぞれがこのライブへの意気込みを語る中で、「この幕張メッセにスフィア“マークはり”つけるぞ。ぺたぺたぺたぺたっ!」とダジャレを披露してメンバーからタオルを投げつけられるのは“長”の高垣彩陽。ドラム・外薗雄一の判定つきだ。これまで終盤のMCではおなじみの光景だったが、さすがはファイナル公演。公演を重ねるごとに増していく自由さがスフィアらしい。豊崎愛生も「ね?自由でしょ?(笑)」と笑ってみせた。

3時間超えの公演を宣言しファンの期待を高めると、「vivid brilliant door!」、11月8日にリリースしたばかりの「Heart to Heart」を歌い、明るく前向きな歌詞で充電期間前ラストライブへの寂しさも吹き飛ばす。続く4曲目はバラードの「LOST SEASON」。淡くオレンジ色に照らされたステージで、胸に手を当てしっとり歌い上げた。

再びMCに移ると、話題は10月に発売になったメモリアルブック「スフィアニ!」へ。本誌に掲載されているクリエイターインタビューにふれながら音楽活動を振り返ると、特に大きな出来事として残っているのが2012年放送のTVアニメ『夏色キセキ』だと話し始める。主題歌を担当し、それぞれが声優としても主演を務めた作品で、充電期間中のスフィアの目標は“プライベートで『夏色キセキ』の聖地・下田を訪れること”だとか。そのオープニング主題歌の「Non stop road」、そして「Eternal Tours」「キミが太陽」と3曲続けて歌唱。歌い終えて「楽しい!」とはしゃぐ姿はまさに太陽のようでまぶしかった。

ここでステージに椅子が用意され、4人は腰を下ろす。ここからは活動9年目のスフィアの新たな挑戦、アコースティックパート。まず始まったのは、彼女たちにとってターニングポイントとなった「Spring is here」。アコースティックバージョンでの披露は初めてで、ボサノバ調にアレンジされた今日だけの特別な1曲だ。続く「My Only Place」ではお互いに顔を見合わせながら美しいハーモニーを響かせる。最後はキーボード・籠島裕昌のアレンジによるアウトロで締められ、大きな拍手に包まれた。

ライブはあっという間に中盤に差し掛かり、恒例のソロコーナー。一番手は、白いワンピースに身を包んだ豊崎が「letter writer」を披露する。スカートの裾をきゅっとつかんで、跳ねるように動き回り一人ひとりに言葉を届けていった。歌い終えて「ありがとう!」と袖に向かう豊崎と入れ替わって、ドレス姿の高垣がステージのセンターにつく。今ツアーでは2回目の披露となる「夢のとなり」のイントロには歓喜の声も上がり、美しい歌声で惹きつけた。スパンコールの映える黒地の衣装で登場した寿 美菜子は、寿ロック「girly highester!」で会場の熱気をさらに高めていく。何度も客席を煽りながら、一体となって声を出した。そして次に聞こえたのは「いくよ」の声。ラストは制服風のブラウスとスカートがかわいらしい戸松 遥の「Q&A リサイタル!」で、盛り上がり必至のナンバーが展開された。
ソロコーナーを構成した4曲は、すべてUNISON SQUARE GARDENの田淵智也が作詞・作曲したものだ。同じく田淵が楽曲を手掛けたM02「vivid brilliant door!」とあわせて、今回のライブは“田淵祭り”という一面もあった。

興奮が冷めないまま始まったのは朗読劇「音雨エンタテイメント旅行クラブ」。“声優ユニット”であるスフィアのライブはソロコーナーと芝居パートがあるのも特徴で、ほぼすべてのワンマンライブが、スフィア×ソロ×芝居というスタイルで構成されている。「旅行クラブ」シリーズは1stツアーの音雨高校旅行クラブに始まり、音雨アカデミー、音雨エンタテイメントと、徐々に登場する4人が大人になってきたが、今回は、ツアーで訪れた先で出会う偽物のスフィアたち(演じるのはスフィアの4人)と「We are SPHERE」の合言葉で仲間になっていくストーリー。脚本は、初日神奈川公演、福岡公演、台湾公演の脚本も手掛けた上野耕一郎が担当した。

朗読は、ツアー最終日、スフィアの楽屋に豊崎演じる謎の人物・エラ井が現れるところからスタートした。エラ井は「SPHERE-ISM」の「気づけば冒険譚 書けるぐらいは歩いたね」というフレーズに「冒険譚なんて書きました? 書いてないですよね?」といちゃもんをつけ、「Non stop road」は曲名が信号無視をしているなどスフィアの楽曲の問題点を次々と挙げていく。エラ井の目的は、スフィアの充電期間突入を阻止するため、このラストライブが開催できないようにスフィアから曲を奪うことだった。そんなスフィアを助けようと、全国ツアーの集大成として、各地で仲間になった“偽スフィア”たちが楽屋に集結。4人は、ヒップホップユニット・スフィア、お笑いユニット・スフィア、おじいさんナンパ師4人組のスフィアなど、偽スフィア総勢62人を次々と演じていく。偽スフィアからの助言で、自分たちの歩んできた道のりを“冒険譚”にすればエライの目論見を阻止することができると分かったスフィアは、「Future Streamに乗っかったDangerous girlsは、本当だから困るんだけど、君の空が晴れるまでDictionaryにらくがきしながら……」と、まくし立てるようにこれまでにリリースした約70曲すべての曲名や歌詞を組み合わせた長台詞を披露した。最後は「そんな冒険譚を書けるぐらい歩いてきた私たち、スフィアでーす!!!!」とスフィアポーズを決めて大喝采を受ける。
無事に事件を解決させると、仲間になったエラ井、そして客席と、おなじみの「We are SPHERE!!!!!」の掛け声で全員が一つになった。

「スーパー声優」らしい見事な朗読劇のあとは、スペーシーな衣装に着替え、「Sticking Places」「HIGH POWERED」を披露する。MCでアコースティックパートから朗読劇までを振り返り、高垣の「充電するからこそ、このあとまだまだ放電していくよー!」という一声で始まったのは「& SPARKLIFE」。バンドメンバーとしては2010年より皆勤賞のギター・平井武士と、今回初参加のベース・平本陽一郎がステージの前方に出てきて、スフィアと背中合わせでパワフルなロックを演奏する。毎公演、曲中で戸松が豊崎にジェスチャークイズを出すという、とにかくフリーダムな楽曲でもあり、ツアーファイナルの今回はその総集編。中野公演・すしざんまいポーズ、名古屋公演・ナナちゃん人形、ステージで仰向けになり富山公演・ホタルイカなどを再現し、笑いを誘った。アウトロにかけて4人がセット上へ移動すると、次の曲「MOON SIGNAL」を真っ赤に染められた会場でクールに歌い切った。

「We are SPHERE!!!!!」のコール&レスポンスを挟むと、「LET・ME・DO!!」へ。イントロで先ほどまでの衣装を華麗に脱ぎ捨て、蛍光カラーのラインが入ったミニスカートにパーカーという、スポーティでキュートなスタイルに早着替えした。「クライマックスホイッスル」では、初の武道館ライブを想起させるウェーブと「スフィ」「アー!」コールも行い、ついに最後の1曲「Miracle shooter」へと突入する。ハイテンポな2曲が続く中、両腕を前後に動かすキャッチーなダンスをバンドメンバーも踊り、勢いのままにすべてを出し切る。ドラムに合わせた全力のジャンプで本編が終了した。

アンコールでは「Animelo Summer Live 2017」出演時の衣装でステージに。黒のシースルーに、スパンコールで彩られた打ち上げ花火の模様がきらめく。まず歌ったのは「Super Noisy Nova」「サヨナラSEE YOU」で、この流れといえば、2010年に開催されたスフィア初のライブツアー「~Sphere’s rings live tour 2010~」のアンコールをほうふつとさせる。盛り上がる定番曲であるにもかかわらず、一方で懐かしさも感じられる選曲だった。

サヨナラを感じさせない全力のパフォーマンスからMCに入ったスフィアは本公演の映像化を告知、今まで以上に“ライブ感”を大事にした映像作品になると話すだけに発売が楽しみだ。次に、2018年2月に「LAWSON premium event 360°SPECIAL LIVE at舞浜アンフィシアター」を開催することも発表。17日(土)に高垣彩陽、18日(日)に豊崎愛生、24日(土)に寿美菜子、25日(日)に戸松遥がソロライブを行う。ライブを360度どこから見ても楽しめるという新たな試みには期待だ。ほかに、コラボモデルとして限定販売される「ウォークマン®Aシリーズ “We are SPHERE”モデル」には、「ハイレゾの無駄遣い」(豊崎)とも言える内容のスペシャルトークがプリインストールされることにも言及。寿は幕張1日目の公演後に同じくハイレゾでプリインストールされる「Endless Anniversary」を聞きながらメンバー3人への手紙を書いたと教えてくれた。

アンコールラストの1曲を残しての挨拶は、そんな寿から、充電を控えた現在の心境が語られる。「歌いながらぐっときていました」と思い入れを話すのは、今回すべての公演で歌ってきた「MOON SIGNAL」について。「私たちにとって鎧のような、どこかに戦いにいくときに武装するための曲です」と、これまであまり語られることのなかった思いが明かされ、2011年4月、『MUSIC JAPAN』に出演した際の選曲が「MOON SIGNAL」であったことを思い起こさせる。そして「今日の1曲目で、『私はスフィアが好きだ』と心から思いました。私をスフィアにしてくれて、楽しい時間を過ごさせてくれて、本当に本当にありがとうございます」と、感謝を述べる。

続く高垣はスフィアという存在について、家族や友達、好敵手(ライバル)、仲間でもない「唯一無二のスフィアという関係性」だと言う。「今日は『しゃべっていいよ』って言われてるから」とファンへ着席をうながすと、過去にユニットを組む自信がないとマネージャーに訴えたエピソードから続けて、「スフィアになれたことで、自分のこともみんなことも、もっと好きになれました。スフィアを好きになってくれて、存在させてくれて、ありがとう」とコメント。「一度でもスフィアの音楽に触れて、存在を知ってくださったみんながみんな、嫌でも“We are SPHERE!!!!!”です。5人目のスフィアです」と今回のツアーのタイトルを強調し、大きな拍手が贈られる。

豊崎は、この日寿から受け取った手紙に「お姉ちゃんでいてくれてありがとう」と書かれていたそうで、「彩陽ちゃんは年上だけど妹のようで、3人とも子犬のようになついてきてくれて。そんな妹たちがかわいくてしょうがなくて(笑)」とメンバーへの思いを嬉しそうに話す。約8年間を全速力で駆け抜け、時には背伸びをして困難も乗り越えてきた4人の絆は固い。充電についても「しんみりしがちだけど解散しないんですよ!」と前向きで、「またここからが、背伸びしないスフィアのスタート地点です。さらに大きな遠くの景色を見られたらと思います。また必ずお会いしましょう」と新たな希望を感じさせてくれた。

結成時にインタビューで「ユニット組むならこのメンバーじゃないと嫌だったんで」と答えていた戸松は、「この3人じゃなかったら私はユニット活動を続けられなかったと思います。この3人だからこそ今の私があります」と、その変わらない思いを口にする。「団体行動ができない」と言う戸松を、それも一つの個性として輝かせてくれるのが、隣に並ぶ3人の存在だ。「スフィアはこれからも存在し続けるので、寂しい気持ちになるけど笑顔で楽しくこのライブの幕を閉じたいです。スフィアを好きになってくれて、応援してくれて、興味を持ってくれて、本当にありがとうございます」と締めくくった。

アンコールラストは「キミ想う旋律」を会場全体で大合唱。ステージのバックスクリーンには、寿のアイデアでスフィアメンバーによる手書きの歌詞が映し出された。

歌い終えた4人が「虹色の約束」をBGMにスフィアポーズを決めてから退場すると、客席からは「もう1回! もう1回!」の声が鳴りやまない。そのダブルアンコールに応え、カラフルなTシャツに着替えたスフィアが再びステージに登場する。結成当初からスフィアの衣装を担当するスタイリストの“ゆきねぇ(國本幸江)”が、サプライズで17公演分の会場カラーTシャツを組み合わせたオリジナルのTシャツを作ってくれたそうだ。

「皆さんが皆さんでよかったと心の底から思います。皆さんは私たちの自慢で自信で誇りです」(豊崎)、「心から幸せです。この日、この光景は一生忘れられない宝物です」(戸松)、「スフィアでいられてよかったと改めて思いました。みんな大好きです!」(寿)、高垣は『変わらない為に変わる』『休むことも 必要な予定表』などの歌詞を取り上げ、「本当に、言いたいことが全部歌詞に書いてあるの!」と話す。「変わるのは怖いけど、みんなの選択が間違いじゃなかったと思えるように、前向きな気持ちでまた笑顔を交わしたいです。スフィアは私にとって人生一の誇りです」と結ぶと、客席をバックに記念撮影を行った。

正真正銘のラストナンバーは、4人それぞれが10周年のスフィアに向けて書いた手紙をもとに作詞された「Endless Anniversary」を初披露。最後はバンドメンバーの演奏がフェードアウトしていき、4人の歌声と、ハンドクラップのみが会場に響き渡った。涙を浮かべながらも笑顔で歌う姿は、いつまでもファンの心に残り続けるだろう。この日一番の惜しみない拍手の中、4人はその景色を目に焼き付けるように客席を見渡し、ステージを去った。こうして、全24曲、約3時間40分に及んだ「LAWSON presents Sphere live tour 2017 “We are SPHERE!!!!”」最終公演は幕を下ろした。

2009年のデビュー以降、目覚ましい活躍を見せてきたスフィアは、これより音楽活動の充電期間に入る。結成10周年を迎える2019年、充電が完了した彼女たちは、どのようなパフォーマンスを見せてくれるのだろうか。次の「約束」の日を心待ちにしたい。

Text By 倉知美琴(セブンデイズウォー)

LAWSON presents Sphere live tour 2017 “We are SPHERE!!!!!”
2017年11月12日(日)幕張イベントホール

【セットリスト】
M01. SPHERE-ISM
MC
M02. vivid brilliant door!
M03. Heart to Heart
M04. LOST SEASON
MC
M05. Non stop road
M06. Eternal Tours
M07. キミが太陽
MC
M08. Spring is here(acoustic ver.)
M09. My Only Place
M10. letter writer(豊崎愛生)
M11. 夢のとなり(高垣彩陽)
M12. girly highester!(寿美菜子)
M13. Q&A リサイタル!(戸松遥)
芝居 〜音雨エンタテインメント旅行クラブ〜
M14. Sticking Places
M15. HIGH POWERED
MC
M16. & SPARKLIFE
M17. MOON SIGNAL
M18. LET・ME・DO!!
M19. クライマックスホイッスル
M20. Miracle shooter
アンコール
EN01. Super Noisy Nova
EN02. サヨナラSEE YOU
MC
EN03. キミ想う旋律
ダブルアンコール
WEN01. Endless Anniversary

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