初めての後輩たちが、舞台に描いた新風景。「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! EXTRA LIVE MEG@TON VOICE!」夜の部レポート

「アイドルマスター ミリオンライブ!」フリーライブイベント「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! EXTRA LIVE MEG@TON VOICE!」が9月17日、東京・中野サンプラザにて開催された。今回は夜公演をレポートする。(※写真は昼公演のもの)

同ライブは「アイドルマスター ミリオンライブ!」関連BD/CD商品累計が100万枚(=ミリオン)を突破したことを記念して開催。山崎はるか(春日未来 役)、田所あずさ(最上静香 役)、Machico(伊吹翼 役)、上田麗奈(高坂海美 役)、大関英里(佐竹美奈子 役)、香里有佐 (桜守歌織 役)、末柄里恵(豊川風花 役)、南早紀 (白石紬 役)、渡部恵子(周防桃子 役)、渡部優衣(横山奈緒 役)が出演した。なお、香里有佐と南早紀はアイマス関連のライブ初出演となる。

今回のライブは最新CDシリーズの「THE IDOLM@STER MILLION LIVE! M@STER SPARKLE 01」リリースイベントを兼ねていることもあり、前半はクイズやゲームプレイコーナー中心でバラエティ色がある楽しい内容になった。

クイズコーナーは「(ランティスの)えいちPが「ミリラジ」の放送前の顔合わせに参加できなかった理由は?」「LTP02のイベントで田所あずささんがどうしてもうまくできなかったことは?」といった他愛もない問題にキャスト陣が大喜利風にフリップ解答していくもの。話題の流れで山崎はるかさんから「当日もちょ(麻倉ももさん)にメイクさんかと間違われた」「収録スタッフさんへの差し入れはいつもナゲット」といったエピソードが飛び出したりと盛り上がっていた。

「ペアで挑戦巨大「ミリシタ」対決」のコーナーでは、キャスト陣がフェアリーチーム(田所あずさ&渡部恵子)、エンジェルチーム(Machico&末柄里恵)、超プリンセスチーム(大関英里&上田麗奈)、残念プリンセスチーム(山崎はるか&渡部優衣)に別れて「アイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ」のリズムゲームに挑戦。タッチに反応する大型モニターでのプレイということで、チームメンバーで左右半分ずつを担当するシステムだ。

なのだが、なんとなく“昼の部で誰もクリアできなかった難易度6M(今回のプレイ環境では無理ゲーレベルに難しい)を誰がクリアするか”のような空気になった結果、全チームが途中で失敗してスコア記録なしになるという波乱の展開に。そんな展開でも前フリや小芝居、見ていて飽きない動きでエンターテイメントとして成立させているのは流石だ。とはいえ全員失敗のままでは終われないということで、最後は司会を担当していた新人チームの南&香里が少し簡単な難易度4Mでのプレイに挑戦。2人は期待に応えて見事クリアしたのだが、プレイ中スペシャルアピールを成功させて手を取り合って喜んだりの仲の良さが特に印象的だった。

後半のライブパートは田所あずさの「Precious Grain」からスタート。田所は最上静香の台詞としてこのステージでまた歌える喜びを語っていたが、ファーストライブ2日目ソロのラストを飾ったこの曲から、新しいステージが始まるのは感慨深い。聴かせどころはボリュームを抑えながら表現の深さで勝負し、そこから自然にどこまでも伸ばしていく歌声へとつなげる。間奏は挑むように鋭い表情のダンスで魅せ、サビでは歌声のエネルギーを爆発させ、とパフォーマンスのメリハリが目立った。全体的にはソリッドな色に寄せた、最上静香そのものの表現だった。

今回のステージは比較的シンプルなセットと背後からの照明中心でどれだけしっかりした演出ができるか、という実験の意図も感じた。その中であえて素に近い演出だったのが渡部優衣の「ハッピー☆ラッキー☆ジェットマシーン」だ。彼女が全身から発散するエネルギーとダイナミックな動き、身体性と天性の明るさこそがどんな演出にも勝るということだろうか。楽しそうなエアギターから横にぴょんぴょん跳ね回る動きがすごく絵になる。渡部優衣は全体曲の「Brand New Theater!」でも歌詞に合わせた動き(爆発を表現したり)を見せたりで飛び抜けた存在感だった。

大関英里が久しぶりの「スマイルいちばん」を歌う姿を見て、最初のブロックのソロ曲には1stライブで歌った楽曲を同じ会場で披露する意図があるのかもしれないと感じた。動きの思い切りの良さや精度など3年前との変化はたくさんあるのだが、一番大きな違いは硬さがとれて柔らかくなった表情、とりわけ魅力的な笑顔だろう。「スマイルいちばん」という楽曲名がなんだか運命的に感じた次第だ。

南早紀の「瑠璃色金魚と花菖蒲」に関しては、昼公演のこともふれておいた方がいいかもしれない。昼公演の彼女のパフォーマンスは完璧、あるいは完璧以上だった。初ステージという特別な場所、初披露のテンション、挨拶でふるえるほどの緊張感……様々な要素が複雑に噛み合った結果か、ステージの神が降りたかのようなパフォーマンスだった。夜の部では、雅で華やかな頭サビを歌っている時にほんの半フレーズだけ、歌が出てこない歌い抜けがあった。その気づかないほどのささいなミスについて、歌い終えた彼女が本当に本当に悔しそうだったのは、昼公演で悔いなくやれた残像が自身の中にも残っていたからではないかと思う。

だが大事なのは、その空白から彼女自身が一瞬で立て直したことだ。真剣で少し硬質な、切なげな表情から放たれる歌声の安定感、伸びの良さ、華やかさ。間奏のソリッドなダンスから貫くようなボーカルへの切り替えの鮮やかさ。自身もこだわったというラストのロングトーンの安定感。付け加えるなら、夜の部はより感情の起伏を感じるパフォーマンスだったかもしれない。失敗の悔しさを、最後は「次があるならば、完璧にできたらと思います」と前向きに捉え直した彼女のこの先を、期待とともに見届けたい。

香里有佐の「ハミングバード」は、初ステージとは思えない輝くような笑顔とふくらみのある豊かな表現力が魅力であることは、昼のステージでも感じた。だが夜の部では、表情と指先にまであたたかい感情が通っていることがさらにはっきりと伝わってきた。昼の部のたった一度のステージがはかりしれない経験になっているのか、それともこれが彼女の本来のポテンシャルなのか。フルサイズならではの転調後、さらにテンションを上げた歌唱からは、巧さだけではない生の体温が伝わってきた。そして素晴らしい歌唱であるにも関わらず、きっともっともっと良くなるであろう予感を感じさせるステージでもあった。

照明が落ちる中、ゆっくりと腰を回す2人のシルエット。Machicoと上田麗奈の叫びが闇を切り裂いてスタートしたのはもちろん「インヴィンシブル・ジャスティス」だ。劇中劇「アイドルヒーローズ ライジング」主題歌である超攻撃的なヒーローソングが、Machicoと上田の熱くてクールな一面を引き出す。ステージの全面に歩くMachicoの足取りまでかっこいいのである。個々でも強烈な個性の持ち主である2人が、お互いのボーカルを追いかけるように畳み掛ける中でどんどんテンションを上げていく。基本上田は攻めの表情が多かったが、Machicoと向かい合って歌声をぶつけあうパートのあとには華やかな笑顔を見せるのがまたいいのである。そのかっこよさをさらに効果的にしていたのが照明の妙で、青いベースライトの中で緑のピンスポットを薄くあてることで輪郭だけを際だたせたりと、「逆光」だけでも何パターンもの演出を使い分けて、ヒーロー感を演出していた。

ここからのソロは「M@STER SPARKLE 01」の新曲コーナーだ。豪華すぎて忘れがちだが、このライブは「M@STER SPARKLE 01」のお披露目も兼ねているのである。渡部恵子の「ローリング△さんかく」もまた第1ブロックの渡部優衣に近い、素のステージを活かした演出だ。渡部恵子のステージの魅力はやはり、どこを切っても周防桃子そのもののキャラクター声での歌唱だろう。テンションの上がったところも一生懸命に歌うところも落ちサビののびやかさも、とにかくあらゆる歌声からにじみ出る桃子らしさが、見る側の脳に「これは周防桃子のステージだ」というシグナルを送ってくるのである。

もちろん「もうちょっと」でちょいっとつまんで見せたり、空中に楽しそうに□や○を描く姿のかわいらしさもそのイメージを後押ししてはいるのだが……トドメはラストのオクターブが上がった「ね?」のかわいさでダメ押しだ。声優とは声が優れていると書き、声の芝居が本分なんだなぁと改めて感じさせられた。

末柄里恵の「祈りの羽根」は、演者の背後の足元に設置されたミラーボール状の器具で青と白の光条を乱反射させて、末柄の背後に後光のようなエフェクトを生み出していたのが印象的だ(昼の部はさらに強烈な光だった)。そんな神々しいとさえ感じる演出がぴったりとくるぐらい、末柄の高らかな歌声は美しい。歌の合間に見せるちょっと困ったような優しい笑顔がまさに風花という感じだ。ラスサビ前の舞いのような振付から畳み掛けていく流れでは、末柄の背後に真っ白な羽根が舞っているように見えたのだった。最後の最後「会えて良かった」のフレーズで感情があふれそうになる末柄の姿と、そのままシルエットだけになって余韻が残る感じが素晴らしかった。

山崎はるかの「未来系ドリーマー」はこの日初披露の楽曲なのだが、同時に彼女が積み上げてきた日々の集大成でもあるように見えた。自分の中にいる春日未来をキュートに前向きに表現しながら、まるで未来がライブをやっているように、どんどん客席を煽って、カメラの向こうの観客さえもよびこんで一緒にステージを作り上げていく。間奏で「みなさんも未来! って言ってくださいね!」とお願いすると、後半はいろんなパートを客席に任せていく。新曲でもプロデューサーさんならやってくれる、と完全に信じて全身を預けていく信頼こそが、今まで彼女が築き上げてきた関係性によるものだろう。落ちサビの真摯でまっすぐな歌唱を見て「(山崎ではなく)未来が成長したなぁ」と感じるステージだった。

「Sentimental Venus」は前列末柄と香里、後列は左から山崎、上田、大関という並びで、特に二階席からの見下ろしだと上田センター感が強い。上田麗奈と「Sentimental Venus」という比較的新鮮な組み合わせを見て思ったのは、やっぱり笑顔が素敵だなということ。そのイメージの中、抜群の歌声の世界を持っている末柄と香里が並んでいるのはパートわけ的にもすごくしっくりきたのである。上田のコミカルキュートで表情豊かなロングソロの時、中継カメラの手前に笑顔の香里を入れ込んでいたのは事前に決めこんだ勝負アングルのひとつだったと思う。ひとつのユニット曲を一緒に練習してライブで披露することで新しい仲間を迎え入れるような、そんなステージだった。

「Marionetteは眠らない」の5人と歌い分けを見たときはうわ、マジか、と思った。前列は渡部恵子、渡部優衣という、キャラ声歌唱でキャラクターを体現させたら右に出るものがいない2人。後列はMachico、田所あずさという、MCでは残念キャラだがこと歌唱とライブパフォーマンスに関しては超一級の2人…という、色合いの違う本物たちの中に、新人の南早紀が放り込まれたかのように見えたのである。だが田所の歌い出しに続けて、南が響かせたちょっと低音でビターな歌声はものすごくかっこよくてオリジナルな、今まで聴いたことのない「Marionetteは眠らない」だった。田所の歌声が南の歌声を引き立て、南の歌声がMachicoの小悪魔的なハイトーンを際立たせる。そしてアーティスティックな後列3人の歌唱が、続く前列W渡部のキャラクターボイス歌唱とのギャップの魅力を生み、最後はサビで全員の歌声が響き合うという理想的なクインテットがそこにあった。明滅するライトの中、スタイリッシュなダンスにも注目される楽曲でチームの一員として歌い踊りきった南に拍手を送りたい。

「Sentimental Venus」も「Marionetteは眠らない」も3人前後での披露が多かった楽曲に、プラスワンとして香里、南という新しい存在が加わることで、既存アイドルたちのカラーも改めて確認した気がする。こうした新しい光景をこれからたくさん見ることができることを予感した2曲だった。

ラストは全員での「Dreaming!」。実は、山崎が曲中台詞をちょっととちってしまう場面があったのだが、すごかったのは歌い終えたあと 、ステージの先輩組全員がそのことを軽妙な会話のキャッチボールで笑いに昇華して、「間違えたって大丈夫なんだよ」という後輩へのメッセージに変えてしまったこと。あの瞬間の台本なしで掛け合って助け合うやりとりの妙は、小さなステージからあまたのライブを共有してきた『ミリオンライブ!』チームの財産だし、これから後輩たちがその輪に加わってくれればいいなと感じたのだった。

なお、夜の部では『アイドルマスター ミリオンライブ!』4thライブBDが2018年1月17日に発売されることや、すき家と『アイドルマスター ミリオンライブ!』とコラボキャンペーンなどの発表が行われた。詳しくは公式サイトを確認してほしい。

Text By 中里キリ

THE IDOLM@STER MILLION LIVE! EXTRA LIVE MEG@TON VOICE!
2017.09.19 中野サンプラザ(夜の部) セットリスト

M01:Brand New Theater!(全員)
M02:Precious Grain(田所あずさ)
M03:ハッピー☆ラッキー☆ジェットマシーン(渡部優衣)
M04:スマイルいちばん(大関英里)
M05:瑠璃色金魚と花菖蒲(南早紀)
M06:ハミングバード(香里有佐)
M07:インヴィンシブル・ジャスティス(Machico×上田麗奈)
M08:ローリング△さんかく(渡部恵子)
M09:祈りの羽根(末柄里恵)
M10:未来系ドリーマー(山崎はるか)
M11:Sentimental Venus(山崎はるか、上田麗奈、大関英里、香里有佐、末柄里恵)
M12:Marionetteは眠らない(田所あずさ、Machico、南早紀、渡部恵子、渡部優衣)
M13:Dreaming!(全員)

©窪岡俊之 ©BANDAI NACO Entertainment Inc. ©BNEI/PROJECT iM@S

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