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INTERVIEW

2017.09.20

SawanoHiroyuki[nZk] 2ndアルバム『2V-ALK』リリース記念 澤野弘之インタビュー

SawanoHiroyuki[nZk] 2ndアルバム『2V-ALK』リリース記念 澤野弘之インタビュー

『進撃の巨人』『アルドノア・ゼロ』『甲鉄城のカバネリ』など、数々の話題作のサウンドトラックを手がける劇伴作家・澤野弘之が、2014年の立ち上げ以来、ボーカル楽曲へと活動の幅を広げる契機となった「SawanoHiroyuki[nZk]」プロジェクト。アニメ、ゲーム、ドラマと幅広い劇伴楽曲のアレンジから、最新作『Re:CREATORS』『機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096』の主題歌までを詰め込んだ、2ndアルバム『2V-ALK』がリリースされる。2015年発売の1stアルバム『o1』から約2年、多岐に渡る活動のエッセンスが凝縮された最新アルバムについて、澤野氏本人に話を伺った。

――9月20日にSawanoHiroyuki[nZk]名義での2ndアルバム『2V-ALK』が発売となります。タイトルはVがふたつ並ぶということで、「WALK(ウォーク)」と読むんですね。

澤野弘之 「澤野がまた何か変なことやってるぞ」みたいな感じで……すみません(笑)。

――1stアルバム『o1』から2年ぶりのリリースですが、当時から2ndアルバムを作りたいというお気持ちが?

澤野 「出そう」というよりは「出せたらいいな」ぐらいに思っていました。パッケージのシングルは「gravityWall/sh0ut」が久々でしたが、去年からデジタルシングルのリリースが多く、いつの間にか曲がたまっていたので。

――今までの澤野さんの作品は無機的でインダストリアルなデザインワークが印象的でしたが、4thシングル「Into the Sky EP」以降、特に今作は打って変わってファンタジックなイメージです。

澤野 「Into the Sky EP」のジャケットについて相談したとき、『機動戦士ガンダムUC』の主題歌なので、幻獣のユニコーンを使うのはどうかと提案しました。そこからアルバムに向けたデザインコンセプトとして、毎回のシングルで幻獣をモチーフにするようになったんです。

――タイトルの意味なのですが、最初はCHAGE and ASKAの「WALK」なのかな?と思いまして。

澤野 まさにそれです(笑)。チャゲアスは初期の頃、当時流行っていた音楽に寄せた曲を作っていた時期もあったそうなんですけど、ちょうど「WALK」の頃から自分たちが信じる音楽を作る方針に舵を切ったらしいんです。「SAY YES」の大ヒットという要因はあれど、その後再発売した「WALK」もすごく評価し直されたというエピソードがあって。自分に置き換えるのはおこがましいですが、とても勇気づけられる話だなと。それをふまえて、「自分のペースで歩きながら自分なりの好きな音楽を作っていこう」という今の思いを込めたタイトルですね。

――今回のアルバムは、序盤は澤野さんらしい楽曲が続きますね。「1ntr0duct10n」から「Amazing Trees」へのかっこいい繋ぎが印象的です。

澤野 「1ntr0duct10n」は最初から「Amazing Trees」のテンポに合わせた曲として着想しましたね。譜面はなく、口頭で「こんな感じ」とだけ伝え、ほとんどミュージシャンのアイデアで構成していきました。

――アルバム中盤からは打って変わって、新録曲を始めとしたポップなサウンドの楽曲が中心を占めています。

澤野 既存のタイアップ楽曲とのバランスを考えた結果、最近のテイラー・スウィフトやマルーン5のような、ここ数年アメリカで流行っているEDMやエレクトロニカの要素を自分なりに取り入れることにしたんです。ああいった海外のサウンドが元々好きなので。コンセプトとして意識はしませんでしたが、たしかに今回は結果的にポップなアルバムに仕上がったと思います。

――EDM以降のアメリカのポップミュージックの影響がある一方で、90年代的なJ-POPの香りもしますよね。いずれの曲もコンパクトな長さで、1曲単位で軽やかに聴ける。あらためて澤野弘之が作るポップス像というものを提示されているようにも感じました。

澤野 元々すごく長い曲を作るわけではありませんが、たしかにここ最近は3分台で収めちゃう傾向がありますね。どしっと聴いてもらう長い曲もある一方で、気軽にもう1回聴きたいと思うような短い曲もあれば良いかなと。

――11曲目の「mio MARE <2v-alk_v>」はNHKの連続テレビ小説『まれ』から、14曲目「HERE I AM <2v-alk_v>」はTVアニメ『Re:CREATORS』から、それぞれ劇伴音楽のアレンジになります。

澤野 [nZk]のアルバムには過去のサントラ楽曲を今の解釈で作り直すというコンセプトもあるので、直近の曲として入れています。「mio MARE」は朝ドラに合わせたアレンジでしたが、アップテンポの曲ですし、もう少しロック寄りにしようかなと。

――それこそSurvive Said The Prophetのボーカリスト・Yoshさんが参加されていますね。

澤野 Yoshさんが参加したら聴こえ方が変わってくる楽曲だろうと思って選んだ面もありますね。前回のアルバムではシャウト多めなロックバンドとしてのYoshさんでしたが、今回は普段とは少し違うYoshさんの歌声が聴ければと思ってお願いしました。

――15曲目「Into the sSky」は『機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096』OPテーマですが、アルバムの終盤に聴いてもしっくりとくる重厚感がありますね。

澤野 バラードでも元気の良い曲でもないミディアムテンポが終盤に合うかなと思い、単純にサウンド的な意味で配置したんです。ただ、『UnChild』というコラボアルバムを振り返れば、[nZk]プロジェクトが始まるきっかけのひとつになった作品ですから、『ガンダムUC』の楽曲をここに持ってこれたのは感慨深いですね。

――ラスト16曲目「pian0s0l0」ではご本人直々にピアノを弾き倒されています。

澤野 全部アドリブですけどね。曲数も考えておまけ的に作ったというのが本当のところですが、個人的にピアノは重要な楽器ですし、作曲家に重点を置く一方で演奏家の立場としても、1曲ぐらいは欲しいかなと。それと、特別意識したわけではないのですが、僕は小室哲哉さんにも影響を受けていて。TM NETWORKの曲の途中や、globeのアルバムのイントロやアウトロなどで、ピアノソロが入りますよね。あれは良いなと思って聴いていたものが、無意識に出たのかもしれないですね。

――この曲は実際にライブで演奏されることも?

澤野 いや、大変そうですね。アドリブで全然覚えていないので、多分弾けないでしょう(笑)。

――『o1』発売記念に催された「全国CDショップディスプレイコンテスト」にて、店内放送用BGMとして書き下ろされた「ëmot1on」がボーナストラックに収録されています。 ファンにとってはうれしいところではないかと思います。

澤野 タワーレコード八王子店で期間限定で流していただいたものですね。自分も結構気に入っていたので、どこかで音源としても収録したいなと思っていたんです。

――こうして見ると、1stアルバム『o1』以降の多岐に渡る活動全てをぎっしり詰め込んだアルバムになっていますね。

澤野 実を言えば普段の劇伴仕事も、自分のオリジナルアルバムを作っているような感覚はどこかにあるんです。ただ、[nZk]の活動にはそれとは違う思い入れがあって。2年分の集大成というと大げさですが、その時々の本当にやりたかったことを全部詰め込めて、すごく納得がいく一枚を作れた満足感がありますね。

――初回版付属BDにはライブも全曲収録となりますし、ボリューム感もすごいですよね。

澤野 お得感が出せればと。今回はタイアップ楽曲が9曲もあり、必然的に17曲の大ボリュームになっただけで、今後も毎回この曲数ができるかは分からないのですが(笑)、洋楽のデラックス盤みたいなバラエティ感を楽しんでもらいたいですし、ひとつでも好きな曲を見つけてもらえたらうれしいですね。

――あらためて今後の活動はいかがですか?

澤野 あおきえい監督と荒木哲郎監督というお二方の作品に、しかも同時期に関われたのはすごく光栄なことで、やりがいがある仕事でした。「emU」で初のインストのライブをやれましたし、Do As Infinityの楽曲プロデュースなど徐々にボーカル楽曲提供の機会も増えてきましたし、今年は色んな機会を与えてもらえた年でした。来年はSawanoHiroyuki[nZk]プロジェクト名義では2年ぶりのライブがあり、また動いている作品も複数あるので、自分的にも来年からの活動が楽しみになってきています。

Interview By 澄川龍一(リスアニ!) Text By 寺田龍太


●リリース情報
SawanoHiroyuki[nZk] 2nd album
『2V-ALK』
9月20日発売

【初回生産限定盤(CD+Blu-ray)】
品番:VVCL-1098-1099
価格:¥4,200(税抜)

【通常盤】
品番:VVCL-1100
価格:¥3,000(税抜)

<CD>
M1「1ntr0duct10n」
M2「Amazing Trees」by SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle(SEGA『BORDER BREAK』OPテーマ)
M3「gravityWall」by SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle & Gemie(TVアニメ『Re:CREATORS』1stOPテーマ)
M4「e of s」by SawanoHiroyuki[nZk]:mizuki(SEGA『SOUL REVERSE ZERO』OPテーマ)
M5「Club Ki3ε」by SawanoHiroyuki[nZk]:Gemie
M6「VV-ALK」by SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle
M7「rabBIThole」by SawanoHiroyuki[nZk]:Yosh
M8「ninelie<cry-v>」by SawanoHiroyuki[nZk]:Aimer(『甲鉄城のカバネリ 総集編』EDテーマ)
M9「sh0ut」by SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle & Gemie(TVアニメ『Re:CREATORS』2ndOPテーマ)
M10「ViEW」by SawanoHiroyuki[nZk]:mizuki
M11「mio MARE <2v-alk_v>」by SawanoHiroyuki[nZk]:Yosh
M12「CRYst-Alise」by SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle(ゲームアプリ『ヴァルハイトライジング』メインテーマ)
M13「Next 2 U -eUC-」by SawanoHiroyuki[nZk]:naNami(「機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096」EDテーマ)
M14「HERE I AM <2v-alk_v>」by SawanoHiroyuki[nZk]:Gemie
M15「Into the Sky」by SawanoHiroyuki[nZk]:Tielle(『機動戦士ガンダムユニコーン RE:0096』OPテーマ)
M16「pian0s0l0」
M17「ëmot1on」※BONUS TRACK

<DVD>
「Into the Sky」MUSIC VIDEO
「gravityWall」MUSIC VIDEO
「sh0ut」MUSIC VIDEO
「e of s(game edit)」MUSIC VIDEO
「澤野弘之 LIVE[nZk]004(2016/11/03@TOKYO DOME CITY HALL)」ライブ映像

●ライブ情報
“SawanoHiroyuki[nZk] LIVE 「2V-ALK」”
2018年 2月5日(月)“walk the A line”
2018年 2月6日(火)“walk the B line”

OPEN 18:00/START 19:00
会場名:Zepp DiverCity(東京)

券種/料金(税込)
スタンディング ¥6,000
2F指定席 ¥7,000
※入場時、ドリンク代別途必要

一般チケット発売日:2017年12月10日(日) 10:00~

チケット先行情報:
SawanoHiroyuki[nZk]2ndアルバム「2V-ALK」購入者限定チケット先行受付
応募期間:2017年9月19日正午 〜 2017年10月10日(火)23:00

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