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2017.05.05

新人離れしたレベルのステージングに全国ツアーの期待も高まる!西沢幸奏 1stワンマンライブ“SHIENA NISHIZAWA LIVE “Break Your Fate” at AKASAKA BLITZ“レポート 

新人離れしたレベルのステージングに全国ツアーの期待も高まる!西沢幸奏 1stワンマンライブ“SHIENA NISHIZAWA LIVE “Break Your Fate” at AKASAKA BLITZ“レポート 

待望の1stフルアルバム「Break your fate」を3月15日に発売したばかりの西沢幸奏が、4月30日、アルバムと同タイトルの1stワンマンライブを赤坂ブリッツで開催した。ライブのセットリストを想定して作り上げたというパワフルなアルバムを引っさげてのこの公演。彼女だけではなくファンにとっても待ちに待ったものであることを示すように会場には限界いっぱいの1300人が来場し、公演中にはそこかしこでモッシュが繰り広げられるなど、熱狂の一夜となった。

定刻になり客電が落ちると同時に赤いランプとサイレンがこだまする。1300人の観衆はその非日常的な演出にさらに熱気を高め、大歓声と大きな拍手でメンバーと西沢幸奏を迎える。オープニングナンバーはもちろん、「Break your fate」だ。轟音を巻き起こし、ロックアーティストさながら黒いギターをかき鳴らしつつ熱唱する西沢の姿にオーディエンスは最初からトップギアの盛り上がりだ。デビュー以前からライブを通じて表現を磨き続けてきた西沢にとって、念願だったであろうこの1stワンマン。そこに緊張の面持ちはまったく見られず、笑顔でステージングを楽しんでいるようすが力強い歌声から伝わってくる。「熱すぎるよ!」と、MCの最初から明るく話す彼女は続けて「今、一番感じていることがあります……夢は叶うんだなってことです!」と絶叫し、「出し惜しみとか嫌いなんで、最初からブッ飛ばしていくけどいいですかー!?」と煽りを入れ、「Shark」へ。ステージには火柱が上がりさらに観衆の熱気を高め荒々しく、歯切れよいボーカルで押していく。アルバムの流れ通り、ファストに攻めていくこのライブの次の曲はもちろん「Gemini」。お立ち台に登り煽りつつも、「Oh! Gemini」の箇所ではオーディエンスとともにコーラスを作り、興奮の天井を更に高く押し上げていく。

メンバー紹介でそれぞれの技術にオーディエンスが歓声を上げたのに続いては「Goodbye Graffiti」を投入。ファストで切なげなメロディのイントロに拳を振り上げ熱い反応を見せる。この日のオーディエンスのスタイルはロックのライブさながらで、ライト類よりもヘッドバンギングをしたり跳ねたりすることで熱意を示す人々が圧倒的多数だった。この曲の時点ですでにフロア前方にはモッシュが発生し、アニソンライブのなかでもパワフルなファンが集ったもようだ。キレキレのドラミングから美しいサビメロが展開しファルセットを駆使してそれを表現する西沢。カスレ声の表現すらも愛らしい。間奏部分ではオーディエンスにクラップを要求し、八分で刻む歓声と泣きメロを背負いつつシリアスな歌声を聴かせ、爽やかなギターリフで締めくくった。テンションの高い時間は続く。「Meaning」はイントロからコーラスが湧き、熱く盛り上がるなかタイトな演奏に乗せキレのある歌声を叩きつける。ロングトーンから落ちサビの切なげな歌声に転換するところでは手拍子が湧き、そこから力強い声に戻っていく。最後にギターを掻き鳴らし、まるでベテランバンドのフロントマンであるかのようにポーズを決める西沢。繰り返すが、この日が彼女の初ワンマンライブだ。

1年前はドイツでのイベントに出演し、緊張の連続だった西沢だったがファンに会う度にその怖さは吹っ飛ぶとMCで語る。「それを思い出すと今目の前に広がっている景色を感じるだけでウルッときてしまします」という言葉に重なるエレアコのコード。「ずっと皆さんと歩んできたから、きっとすごくこれから良いことが待っているんだろうなって前向きな気持ちでいっぱいです」と感謝を込めて「Just One」のタイトルをコールすると温かい歓声が湧く。アップテンポに展開し、爽やかな声とファルセットを魅力的に聴かせて披露した。「Cross」、「Light and Shadow」と、ミドルテンポの展開では、一音一音を丁寧にしっかりと届ける姿、太いベースにも負けない力強い声を示していく。MCではアルバムの曲順をライブのセットリストのように組んでいったと説明し、そのなかで置き場を熟考したのが「ピアチェーレ」だった。「出会わなければずっと歌わなかったかもしれない」曲だからこそ、「愛着が湧いた」というこの曲は「今、大事にしている歌に感情を乗せることを教えてくれた曲」と紹介してから、しっとりと歌い始める。時に上を向きつつ、ゆったりと世界に浸りながら『ARIA』の作品の空気を示していく姿にオーディエンスは聴き入っているようすだ。最後にはゆっくりとマイクを離しつつ歌い上げる形で締めくくり、大きく礼をして温かい拍手を浴びていた。「約束だよ」では、ゆっくりと物語るように歌を紡いでいく。サビで熱を帯びて転換するところなど、伝えることを強く意識していることが見えてくる。この曲は彼女が初めて作詞作曲をしたナンバー。MCでそのことに触れ、初めてのオーディション、レコーディング、MV撮影とこれまでの道のりを振り返る。そして強く印象に残っているのが「劇場版 艦これ」主題歌「帰還」だ。語りかけるような歌い出しからじっくりと世界を広げ、歌い上げていくさまはまさに劇場的。緩急や息遣いをたっぷり使い、情感あふれる表現で絶唱し盛り上げ、感涙を誘う。手を上にかざし、一旦ステージから去る彼女の背をファンの温かな拍手が追いかけていた。

上着を脱いでノースリーブ姿で再登場した西沢に歓声が湧くと、フロアにパワーが再充填された。ガールズロックのノリでシャウトし煽りを続ける彼女に手を振り上げ跳ねる観客。スモークが焚かれ、「吹雪」へ。フロアはイントロの時点でライブ冒頭のテンションを上回る熱気で、コーラスを返し、手拍子を入れる。それに応え確かな歌声で伝える彼女は上体を反らしギターを鳴らし、最後に「叫べ!」と絶叫し、会場全体で「届け」を響かせた。こうしたパフォーマンスのひとつひとつからも新人離れした実力が伺える。パワフルな「Reason To Scream」、「Brilliant Star」と続け、まだまだ力を残している彼女は随一の人気曲である「Brand-new World」、「The Asterisk War」と『学戦都市アスタリスク』の主題歌を連続して投入。ステージから再び火柱が立ち、フロアはオクターブが上がるほど声を高らかに上げ、モッシュの規模はさらに大きくなり、会場は揺れる。パッションを燃やし尽くすかのごとくハイテンションの空気の中、彼女は一心不乱に歌い続ける。その姿はまるで何かが乗り移ったかのような隙のない集中力だ。

MCでは「今日は本当はすごく怖かったけど、皆さんの顔を見たら全然大丈夫だった!」と明るく語りかける。「何を怖がる必要があったんだろう。ここに広がる景色が約束されていたんだから、全然怖がることはなかった。やっとここまで来られて、今日よりももっと熱いライブをたくさんやっていきたいと思うんですけど、皆さんついてきてくれますか?」の感動的なコメントに熱いリアクションを示すオーディエンス。「ここからずっと一緒に進んでいこうという気持ちを最後にみんなと共有して終わりたいと思います」と紹介し、「Feel This Morment」を歌う。英語詞は少し大人っぽく歌い、そしてやはり笑顔でギターを掻き鳴らす。2番からは観客のクラップが加わり、曲調からも大団円の空気が醸し出される。曲の最後にはメロにかぶせ「この歌のテーマのように、皆さんがいるから私ってひとりじゃないんだって、心から思うことができました。これからも私の信じる音楽に着いてきてほしいです。ありがとう」とメッセージを投げかけ、ローングトーンで「We are Feel This Morment」と会場全体で合唱し、大サビを何度もこだまさせた。

「幸奏」のコールに応え、メンバーとともにライブTシャツに着替えて再登場した西沢幸奏がこの夏全国12箇所のツアーを伝えると、歓声とともに大きなどよめきが湧いた。「いいライブはもちろん、皆さんと会うということを一番のテーマに回っていきたいと思います」と力強く宣言して、オーラスは再び「Break your fate」。声も最後まできっぱりとし、コードをかき鳴らすストロークは力強く、ファンとともに頭を振って歌いきり、最後は「絶対また会いましょう!」とシャウトして締めくくった。ライブをイメージしたアルバムに相応しく、ソリッドにまとまった今回の初ライブ。歌唱力はすでにスタジオ盤でお墨付きだが、それに加えてステージでの鬼気迫る集中力、オーラとも言える堂々たる振る舞いは、初ライブにして新人離れの高いレベルに彼女を置いた。夏のツアーではひとつひとつの会場でどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、そしてその先には何があるのか今後必見だ。ファンも非常に熱くすばらしいライブを見せてもらった。

Text By 日詰明嘉

SHIENA NISHIZAWA LIVE “Break Your Fate” at AKASAKA BLITZ
2017.4.30
セットリスト
1.Break your fate
2.Shark
3.Gemini
4.Goodbye Graffiti.
5.Meaning
6.Just One
7.Cross
8.Light and Shadow
9.ピアチェーレ
10.約束だよ
11.帰還
12.吹雪
13.Reason To Scream
14.Brilliant Star
15.Brand-new World
16.The Asterisk War
17.Feel This Morment
En.Break your fate


●ライブ情報
SHIENA NISHIZAWA LIVE TOUR“Break Your Fate”

<公演スケジュール>
7月8日(土) 福岡県 DRUM SON
7月9日(日) 熊本県 熊本 B.9 V2
7月15日(土) 北海道 COLONY
7月16日(日) 兵庫県 神戸 VARIT.
7月17日(月・祝) 大阪府 阿倍野 ROCKTOWN
7月29日(土) 愛知県 RAD SEVEN
7月30日(日) 岐阜県 CASPER
8月5日(土) 岩手県 Club Change
8月6日(日) 宮城県 space Zero
8月11日(金・祝) 広島県 広島 Cave-Be
8月12日(土) 愛媛県 松山 サロンキティ
8月13日(日) 岡山県 CRAZY MAMA 2nd Room

チケット料金:オールスタンディング 3,000円(税込・ドリンク代別)
※未就学児入場不可

西沢幸奏オフィシャルモバイルファンクラブ「Face to Face」
メンバー限定で最速チケット先行予約受付中
受付日程 5月1日(月)10:00~14日(日)23:00まで

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