岸田教団&THE明星ロケッツ 待望のニュー・アルバム『LIVE YOUR LIFE』リリース記念!ロング・インタビュー【前編】

アニソン・シーンを疾走する孤高のロック・バンド、岸田教団&THE明星ロケッツ。今年1月に開催された“リスアニ!LIVE 2017”での激奏も記憶に新しい彼らがおよそ2年ぶりにドロップするニュー・アルバム『LIVE YOUR LIFE』の深淵に迫る1万字ロング・インタビュー。その前編は、日本武道館のステージに初めて立った“リスアニ!LIVE”、そして『LIVE YOUR LIFE』に流れる“世界観”というキーワードについて、ichigo(Vo)と岸田(B)に聞いた。

――メジャー3rdアルバム『LIVE YOUR LIFE』がついにリリースと。

ichigo やっと出る運びとなりました。

岸田 2年ぶり。

――以前“リスアニ!LIVE 2017”のバックステージで岸田さんと、アルバム制作とライブ制作が被っていたと話していて。

ichigo ふふふふ(笑)。

岸田 これを作りながらライブの制作をやっていました。

ichigo ちょうど丸かぶり(笑)。岸田的には丸かぶりだよね。私は歌録りが終わってライブの制作に入れたんだけど。はやぴ~はどうだった?

岸田 はやぴ~さんも終わっていた。正確にはライブのリハーサルスケジュールを削ることによって丸かぶりを避けた、ですね(笑)。ライブの準備をしないことで。

――リスアニ!でその話をするのは恐ろしいですが(笑)、それだけスケジュールが逼迫していたと。

ichigo だってライブの前々日、ウチら必死だったもんね。

岸田 そのときまで一回も合わせられなくて。

ichigo でもそのときは不思議なグルーヴが出たね。

岸田 やっぱね、俺思ったんだけど、今回イケるって思ったらとんでもないことが起こるし、今回ヤバいと思ったときは大体調子いいんですよ(笑)。何もできずにお互い会いもせず、本来バンドとしてはバラバラな状況でテンションが揃わずにクソみたいなライブをするであろうときに、最近でいちばんいいライブができたって終わったあと思ったという(笑)。

ichigo 全員がヤバいなって緊張感があって、危機意識を持ってちゃんと自分の仕事をしようと臨んだ結果ですね。いつもそうあるべきなんだけど。

――そうしたケミストリーが生まれたのは、みなさんが待望していた日本武道館でのステージだから、という見通しがあったからもしれないですね。

ichigo 本当によかったです。ワンマンが目標にあるなかで、武道館に立てたことは本当によかった。

岸田 立ってみると意外と広くなくて、「イケる!」って思いました。「知ってる知ってる、野音とそんなに変わらない」って。野音の客席が三段重ねになっているイメージですね。

ichigo 解放感という広さは変わらないで遠さは感じないという。リアリティがある広さというか。

岸田 だからやりやすかったですね。ライブハウス感のあるイメージで、ロックバンドがロックバンドとしてできる限界のステージってここなんだなって。距離感的にもそんなに疲れない。十分自分のイメージで収まるサイズ感でしたね。

――一方でフェス形式のなかで、初登場の岸田教団へのオーディエンスの反応も大きく、非常に盛り上がったステージでした。

ichigo 温かかったですよね。「あ、受け入れてくれた」というか。

岸田 あそこで流れが変わった感があって。

――冒頭の「HIGHSCHOOL OF THE DEAD」の爆発力も素晴らしかったでが、「GATE~それは暁のように~」や「天鏡のアルデラミン」のようなシンガロングがある曲はライブだと強力ですね。

ichigo そこはいちばんグっとくるところでした。

岸田 「GATE」のみんなでシンガロングしているときの、謎の劇場版感ね(笑)。

――そして最後にアニメ主題歌ではない、ワンマンでは定番の「星空ロジック」をプレイしたのも感動的でしたね。

ichigo そうですね。あそこは我々だけのストーリーね。そこは申し訳ない(笑)。

岸田 何度も確認したんですよ!「いいんですか?こんなことして許されるんですか?」って(笑)。「星空ロジック」知っている奴何人いるんだろう?って思いながら弾いていましたよ。

ichigo でも盛り上がってくれたよね、不思議と。ありがたかったですね。

――昨年の野音で宣言した「いつかワンマンで武道館に立ちたい」というストーリーがあったからこその光景ですよね。そこに共感があり、未来へつながるというか。

岸田 たしかに。最近はその方向性ですね。僕も自分発のストーリーを大事にしていきたいなと思っているので。

ichigo そういうことは曲作る段階で言っとけよちゃんと(笑)。初めて聞いたわ。

岸田 でも今回のアルバムはそうですね。タイアップのシングルがいっぱいあるなかで、シングルはアニメ作品のストーリーを受けている以上、やっぱりほかの新しい曲もストーリー的なものをちゃんと用意してアルバムを通してストーリー仕立ての作品であるイメージを持って作ったほうがいいかなって思ったし、逆に言うなら自分の仕事はそこであって、それ以外のことはもういいかな、って。

――曲を作ってストーリーを作る以外はもういいかと(笑)。

ichigo まあ昔から曲を作るのはうまいよね(笑)。バンドマンよりソングライターの面が強いかなって。

岸田 所詮、一生懸命頑張ってベースのサウンドがどうとか研究するよりも、やっぱり片手間でできるものが強い!やる気も情熱もないのに、たまたまやってうまくいったものは本当に才能があるんだなって。

――エッジが効いた物言いですが(笑)、岸田さんのなかでソングライティングが求められていることであることに開眼した作品が、この『LIVE YOUR LIFE』というアルバムなんですね。

岸田 求められてやっていることのほうが、自分がやりたくてやっていることより才能があるに決まっているんだよね。俺は元々レコーディング・エンジニア志望から始まっているから、アーティスト活動は自分の情熱を持って始めたものではないんですよ。でもやっていて求められているから続けていて、「これってなんなんだろう?」って答えが出ていなかったんですけど、最近、「求められてやっているということは、本当に自分に向いていることなんだって」悟りを開きまして。

――アルバムの前提としてその意識があったと。それもあってか、『LIVE YOUR LIFE』というストレートな大文字のタイトルに至ったのかなと。

ichigo これは迷ったんですよ。最初は表題曲の「LIVE MY LIFE」の曲のデモをもらったときに、この曲は私が歌詞を書こうってなって、最終的に曲タイトルが「LIVE MY LIFE」になったんですけど。それでアルバム・タイトルは『LIVE YOUR LIFE』に……ってなんかアレじゃない?こっぱずかしくない?ってなって。

岸田 最初はアルバム・タイトルも『LIVE MY LIFE』になるところで、でも「LIVE MY LIFE」は自分に向けて歌っている曲だから、アルバムはみんなのために向けてのものだから『LIVE YOUR LIFE』に変えようぜって。

ichigo “LIFE”っていう単語が岸田教団っぽくないって考えていて、いっぱい考えて結局落ち着いて……照れくさいですね。

――こんなストレートなメッセージが岸田教団の作品に刻印されているのは衝撃でした。

岸田 ただ、今をもってしても頑張れソングは一曲もないですけどね(笑)。

ichigo 最初は頑張れソングを書こうと思ったんですよ、ichigoは。「LIVE MY LIFE」で前向きなことを書きたくて、「それでいいんだよ、君はそれでいいよ」って書こうと思ったら、結局「私これでいくね」って歌詞になった(笑)。最初「LIVE YOUR LIFE」だったんですけど、「これは私」だと思って「LIVE MY LIFE」になったという。「もういいわ」って(笑)。

岸田 自分のことを歌うことによって、みんなの人生に何かしらあればいいなって意味が込められているという。

――そうしたメッセージ性が楽曲にあるというのが、本作では多く見受けられたんですね。もちろん今まで言ってきたことの積み重ねであるんだけど、そうしたメッセージ性を持つようになったのはなんだったんでしょう?

ichigo 年齢もあるんでしょうね。

岸田 いちばん大きいことは悟りを開いたということです(笑)。

――「自分にはこれしかない」と悟った瞬間、みんなに優しくなれるというか。

岸田 そうそうそう。

――また先行シングルである「GATE」でのヒロイズム的な世界観が影響を与えているのかなとも思ったのですが。

岸田 そこは時代性ですよね。一周回って、「GATE」を作って、「GATEⅡ~世界を超えて~」のほうが頑張ったし、「EGOISTIC HERO」も頑張ったんですけど、改めて「GATE」が時代的に合っていたというか。あの曲は良くも悪くも、『GATE 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり』って作品があってそれに合わせて作ったもので、自分が完全にやりたかったことではないんですよ。アニメの曲ってそうじゃないですか。自分がやりたいことを100パーセントのものをアニメにぶつけて、何になるんだと(笑)。

ichigo 『GATE』のための曲だからね。

岸田 そうそう、俺のための曲じゃない。だからこの曲が自分のなかで心の底から好きかというと100パーセントではない。『GATE』という作品と合わさって真価を発揮する曲だと。でも改めて時代がめぐってこの曲を聴いて、いちばん長く残りそうだなって思ったんですよ。

ichigo これライブで聴くとめっちゃいい曲になるらしいよ(笑)。

――らしいって、そらやっている側はわからないですよね(笑)。

ichigo もちろんいい曲だと思って歌っていますけどね。最近はライブの最後あたりでやることが多いんですけど、ライブを締めるに相応しいとか、いったん丸くまとめるにはいい曲だなって。それをよく感じてくれているんだなって。

岸田 こういう長く残る曲って、俺がやりたいやりたくないって関係ないんだなって。この感じってなんだろうって考えたら、この曲は『GATE』という作品を受け取って俺が書いているせいか、若干メッセージ性が強いんですよ。このメッセージは俺ではなくて、原作のメッセージなんですけど。要はタイアップというものはそうなんですよね。原作を読んで、その原作に入っているメッセージをどう表現するのかチャレンジするものじゃないですか。

――なるほど。

岸田 で、結果うまくいっていると思います、この曲は。だから作曲者として曲がうまく書けたというよりは、作詞者として原作のイメージをよく拾えたなっていう。その表現のやり方をやって、メッセージ性がある曲のメリットというものは感じました。だったら自分発の曲でも与えていいのではないかと思って、今回のアルバムは曲の前にストーリーを考えました。何を言いたいかを決めてから書こうと。

――まず世界があって、その中にいる自分の想いを聴き手と共有するような。

岸田 たしかに、その通りです。

――そこで聴き手は鼓舞されたり勇気づけられたりする……というのを岸田教団の曲から感じとることができる、この新鮮さ(笑)。

ichigo なんと!(笑)。

岸田 その世界観はなるべく人がやらないような、自分たちならではの世界観を考えなくてはならないと思って、鏡を見ながら考えました(笑)。このツラで言っていいものを考えるというか、あとは自分の生き方や哲学を盛り込むようにしましたね。僕の生き方や哲学はほぼほぼゲームからのものなんですけどね。

ichigo 例えば岸田から「nameless survivor」の曲をもらって「いいじゃん」ってなったんですけど、オーダーが「こいつ、世界の問題と目の前の女の問題ごっちゃにしてない?っていう内容にして」って言われたんだけど(笑)。

――また直接的で、ゲームやラノベにはよく見受けられる設定ですね。

ichigo いっぱいあるじゃないですか。ただ私たちの日常にはないかもしれないですけど、もしかしたら世界のどこかであるかもしれない。

岸田 自分がよくわからないもやもやした感情を持ちながら、世界のために何かをしなくてはならない葛藤ってあるじゃないですか。俺の人格で言えば「どうでもいいわ!」ってなるんですけど(笑)。

ichigo それをichigoがロマンティックに書いて(笑)。

岸田 どうしても俺が書けなくて、自分で曲を書くときのテーマで、自分で歌詞を書けないんですよ(笑)。全然共感できなくて。ずっとichigoさんに「イケメンで、イケメンで」って言っていた。

ichigo 私この曲すごい好きなんですよ。曲とストーリーと歌詞の内容と楽器がうまくいっているという。

岸田 楽器も、歌詞が先にできているから、それを基にして編曲しています。だから音楽的にはアップダウンが激しい感じ。曲全体はシンプルなのに、曲のダイナミクス、強弱の流れをコントロールすることを主眼に置いて、細かいフレーズはあまり考えず、それより曲のストーリーに合わせて全体の音の強弱が変わってくると使っている。なので、細かいフレーズについてはこだわりがなくて、強いて言えば曲のキーになっているものであるんですけど、全体の流れの波、ストーリーの流れって大雑把じゃないですか、そこに音がリンクしているイメージを考えたんです。

――そうしたサウンドのなかで、ここでのichigoさんのボーカルも素晴らしいですね。

岸田 この曲よかったね。

ichigo うん、よく歌えたと思う。

岸田 この曲に関してはものの見事にイメージ通りに行ってくれてよかったと思う。イメージ通りに行かなければすべてが台なしになっていたかもしれない。ボーカルがいいこと前提で作っていたから、ichigoさんに「お願いだから雨に打たれているイケメンの感じを出してくれ!」って思っていた(笑)。

ichigo できないことを丸投げしているだけだからね(笑)。でもそれを正確にキャッチしたんだと思う。

岸田 この曲は楽器関連が大枠のダイナミクスのコントロールに終始しているので、楽器がボーカルを助けてくれる要素がないんです。歌に何もなければこの曲に何も残らない。楽器がガチャガチャしているとこの世界観にならないんです。

――確かにアルバム冒頭で鳴り続けていた爆音が、この曲でスッと収まるというか。

岸田 そういうものは全体通して意識しています。

(後編に続く)

Interview&Text By 澄川龍一(リスアニ!)


●リリース情報
『LIVE YOUR LIFE』
3月22日発売
1703141705-003

【アーティスト盤(CD+特典DVD)】
品番:1000640261
価格:¥3,500+税

<CD>
1. 希望の歌 (新曲)
2. GATE~それは暁のように~
3. zero-sum game (新曲)
4. GATE Ⅱ ~世界を超えて~
5. nameless survivor (新曲)
6. 天鏡のアルデラミン
7. life logistics (新曲)
8. EGOISTIC HERO 9. Ruler (新曲)
10. Blood on the EDGE
11. vivid snow (新曲)
12. LIVE MY LIFE (新曲)

※デジパック仕様
※ライブ・チケット優先販売申込券封入

<DVD>
LIVE MY LIFE Music Video
Blood on the EDGE Music Video
天鏡のアルデラミン Music Video
GATE II ~世界を超えて~Music Video
GATE~それは暁のように~Music Video
LIVE YOUR LIFE TV-SPOT

ご予約はこちら

【通常盤(CD)】
品番:1000640260
価格:¥2,800+税

ご予約はこちら

【LP盤(アナログ)】※メロンブックス 限定販売商品
品番:1000642675
価格:¥3,200+税

●イベント情報
Twitter特別企画

『LIVE YOUR LIFEの推し曲と感想を教えて!』
全曲試聴動画を見て、あなたのお気に入りの曲と感想をtwitterに投稿しよう
募集期間:3月20日(月)19:00~4月3日(月)23:59

投稿していただいた方の中から抽選で5名様に岸田教団&THE明星ロケッツ
メンバー全員のサイン入りポスターをプレゼント!
詳細はこちら

『LIVE YOUR LIFE』発売記念イベント
「岸田教団&THE明星ロケッツ 春のトークショー 発売日だよ全員集合!」
3月22日(水)@アニメイト秋葉原 B1Fイベントスペース
開場/開演 19:00 / 19:30

「ichigoの出張ラジオ ゲスト:岸田教団&THE明星ロケッツ」
4月29日(土)@都内某所
開場/開演 未定

●ライブ情報
岸田教団&THE明星ロケッツ ワンマンツアー2017
7月28日(金)【大阪】梅田CLUB QUATTRO
開場/開演 18:15 / 19:00
7月30日(日)【愛知】名古屋 ELL
開場/開演 17:00 / 18:00
8月4日(金)【東京】TSUTAYA O-EAST
開場/開演 18:00/ 19:00
8月5日(土)【東京】TSUTAYA O-EAST
開場/開演 17:00 / 18:00

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