リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2017.02.21

劇場版に続いて主題歌を担当!TVアニメ『リトルウィッチアカデミア』EDテーマ「星を辿れば」リリース記念、大原ゆい子インタビュー

劇場版に続いて主題歌を担当!TVアニメ『リトルウィッチアカデミア』EDテーマ「星を辿れば」リリース記念、大原ゆい子インタビュー

映画『リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード』に続いての起用となった大原ゆい子。今回の主題歌では大原自身が作詞・作曲を担当、彼女らしいメロディと歌声で視聴者の心を温める。全力で『リトルウィッチアカデミア』の作品世界と向き合った日々を垣間見る。

――『リトルウィッチアカデミア』の主題歌に決まったときのことを教えてください。

大原ゆい子 時期は覚えていないんですけど、去年の早くにアニメの話と主題歌の話を同時に聞かせていただいて。最初はただただうれしくて、曲を作るって前に舞い上がっていました。その後、「そうだ、曲作んなきゃ」ってなって。エンディングということなので、一日の終わりに「おつかれさま」っていうテイストの曲を、というお話をいただいてから、メロディだけの曲を何曲か書きました。A、B、サビまであるものや『リトル』っぽい断片的なメロとかを作ってからディレクターさんとやりとりして、何曲か完成させたらまた確認して。その中から1曲選んでもらって、それに歌詞を書くという感じでしたね。

――かなり入念に曲作りされたんですね。

大原 でも、何曲か作っていくうちに整理されて、自分で聴いていてもこれがいいというのはあって。それが選ばれたので苦労したという感じではなかったです。Aメロからサビへの流れは、ほっと一息して帰れるような感じになっていると思います。

――「おつかれさま」な感じ以外にメロ作りで意識したところはありましたか?

大原 あとは、『リトル』の絵ってとても可愛いので、ポップでありながらも優しくて誰にでも口ずさめるような感じをめざしました。

――歌詞はかなり苦労したというお話ですが。

大原 いつも歌いながら歌詞を書くんですけど、精神崩壊しそうになるくらいに悩みました(笑)。どうやったら自分の言葉で『リトルウィッチアカデミア』を表現できるのか。すごく『リトル』が好きなので、中途半端なものは書けないという気持ちが自分の中に強かったんです。それにどうしても、使いたい言葉と実際の響きが違うというのが出てきて。聴いたときに言葉の響きが悪いと気持ちよく終わりにできないと思ったんですね。優しく「また明日ね」っていう単語じゃないと使いづらいというのもあって、作品に合う言葉を自分が持ってる言葉と合わせるというのがすごくうれしかったです。シンガーソングライターとして歌うときのことも考えるので、そこは難しかったですね。

――そこから抜け出したきっかけは?

大原 「アッコの気持ちに寄り添うことがいちばんの近道かな」って思いながら、3人でいる姿をアッコの目線で想像したり、1クール分の脚本を読んだり、頭を整理しながら書いていたんですけど、最初はイメージが全然沸かなかったんです。ただ、“待ちきれない 物語の続きを探そう”ってふと口ずさんだとき、「そうだな」って思えたんです。自分も早く『リトルウィッチアカデミア』を見たい、待ちきれないという気持ちだったし、未来のことを思うアッコ、「私はどんなふうになるんだろう」っていう気持ちがキーになって、そこを軸に書いていきました。サビのこの部分が早くに出来たんです。

――それだけ思い入れのある『リトルウィッチアカデミア』ですが、大原さんから見てどんな作品だと思いますか?

大原 『魔法仕掛けのパレード』もそうでしたけど、見終わったときに自分が花束みたいな何かをもらったような気持ちになれますね。胸がいっぱいになって幸せな気持ちになるイメージです。友達と遊んだ後の「楽しかったね」みたいな。言葉にするのは難しいんですけど、私の『リトル』のイメージは「宝物」です。だから、きらきらした感じの言葉を使いたかったんですね。

――manzoさんのアレンジもきらきらでしたね。大原さんから何かイメージは伝えられたんですか?

大原 直接のやり取りはしていないんです。でも、私は星とか夜とかつながる星座といったイメージだったんですけど、manzoさんのアレンジを聴いたときもそういうイメージが浮かんだので、「星空を思い浮かべるようにアレンジしていただいたのかな」と感じました。

――それは歌にも影響ありましたか?

大原 ありましたね。作っているときはわりと「一所懸命なアッコ」というイメージがあったので、家では元気というかポップな感じで弾き語りしていました。でも、manzoさんのアレンジをいただいたら空を舞うようなきらきらした音が入っていたので、どれだけそこに楽器として寄り添えるかってレコーディングでもバイオリンの音を聴きながら考えたんですけど、難しかったですね。

――どう難しかったか教えていただけますか?

大原 自分で作ると「この曲はこういう曲」っていう先入観があって、レコーディングで客観的に1回まるっと歌ってみたのを後で聴いてみると、「違う」っていうのがあって……。ちょっと表現しづらいんですけど、「自分が思っているよりももっと柔らかく、可愛く、きらきらした感じで歌わないといけないな」ってレコーディングで思ったんですね。

――そこを出すためにどう工夫したんですか?

大原 終始笑いながら歌ってました(笑)。笑いながら歌うと楽し気に聴こえてくると思って、口角を上げてこういう感じ(ぎこちない笑顔)で。結構ずっとこの顔で歌っていました。実は「Magic Parade」のときもやっていて、そのときに苦戦した経験が生きて、今回はスムーズにできたようには思います。

――前回歌った「Magic Parade」とはどんな違いがありますか?

大原 前回はMANYO先生が作られた素晴らしい楽曲で、ライブで弾くたびにすごさを感じているんですけど、あらためて自分で作ることになって、「マジパレ」のすごさや言葉の美しさ、聴いたときにぐっと涙しそうになるメロディを知って、「自分はまだまだだな」って思いながらも、この曲は自分でも気に入っていて……。多分、MANYOさんよりも私の方が『リトル』のことを好きかな。それぐらいですかね(笑)、MANYOさんも「アニメミライ」のときから好きだって仰ってはいたんですけど、負けないぐらい自分も『リトル』のことが好きですし、寄り添うって気持ちでは負けないと思っています。

――作品のために曲を作るというのは難しい作業でしたか?

大原 読んだ本に刺激されて曲を作るとか、ドラマを見て……ということはあったんですけど、作品という意味を持たせた歌を作る経験は初めてでした。さっきもお話したんですけどやっぱり言葉の面で大変で、ちょっとニュアンスが違うだけでそぐわなくて自分の中で「?」になったり、何百回も最初から脚本を読み直したり、それで変えたりという箇所もあって。私も聴きながら歌詞を見て、「あ、ここがこうなんだよな」って思うときがありますし、アニメファンの方に向けて一連の流れの中で一言一句を選んでいくのは難しいですね。

――でも、ご自身で気に入っているって仰いましたね。

大原 そうですね。自分でも歌ったときにすごくいい気分になれるのでお風呂の中でよく歌います。でも最近は、(OP曲の)「Shiny Ray」ばっかり歌っていて、「Shiny Ray」中毒になっちゃっているんですけど。「星を辿れば」中毒にもならないと(笑)。

――イベントで『リトル』のファンにもお披露目済みですが、歌ってみた感想はいかがですか?

大原 (イベントが)始まる前はやっとフルで聴いてもらえるって喜びが大きかったんですけど、『リトル』が大好きという方達なので、その真剣なまなざしを見ると心臓が(笑)。普段のライブよりも緊張しますね。

――ライブ活動を精力的にこなしている大原さんですが、別の緊張が?

大原 そうですね。やっぱり全然違う感じがしますね。「好きになってもらえるかな」っていう気持ちもありますし、アニメのことを想像しながら聴いてくださっているのかと思うと、自分がそっちの立場に立ったときのことをいろいろと考えてしまって純粋に歌えないというか。真剣に聴いてくださっているので「真剣に応えなきゃ」って感じでこわばっちゃいます。そこは頑張っていかないと。

――先ほどから大好きと仰っているので、今回の『リトル』についての感想もぜひ。

大原 脚本を読んだときから「こんな感じかな」って頭の中で想像していたんですけど、それ以上にキャラクターが生きていました。『リトル』のいいところって、声優さんの演技も含めてキャラクターの表情が伝わってくるところがすごく胸を刺すんですね。だから、『リトル』が好きな人はきっと同じような気持ちだと思って、(EDに「星を辿れば」が流れる)2話はそわそわしながら観てました。だから、まだちょっと純粋な気持ちでは楽しめていないですね。そのうち慣れると思いますけど。今はまだ自分の曲がTVから流れるというのも不思議な感覚なので。

――カップリングの「莟」も『リトル』をイメージさせる曲ですが。

大原 そうですね。『リトル』と重ねたというわけではないんですけど、自分の今いる状況に前向きになって頑張ろうという気持ちを込めた曲になっています。この曲は、レコード会社の人に送るときから、これが選ばれたら自分が今描きたい歌詞を書こうって決めていたんです。だから、かなり今の自分の精神状態に近い曲にはなっています。

――「今の自分の精神状態」っていうのは?

大原 自分に刺さるメロだったので、自分に向けて歌いたいと思ったんです。だから、もっと頑張ろうっていう前向きな歌詞で、今頑張っている人が聴いたら自分と重ねてもらえるのかな、って思っています。力強く歌っているので、1曲目とはギャップを感じるかもしれないですね。

――もうひとつのカップリング「ユビオリ」は、どういう気持ちから生まれた曲ですか?

大原 これは音楽活動を始めた初期からずっと大切にしていた曲なんです。私は高校の頃から曲は作り始めて、専門学校を卒業する直前に初めてライブをやったんですけど、そのライブ活動をやっている初期に作った曲です。『マジパレ』にはこういう恋愛要素のある曲はなかったので、変化をつけられたとは思っています。あと、「星を辿れば」は『リトル』の曲ですけど、「ユビオリ」はちょっと過去の自分を思い返したようなところもあって。なんか、すごい大切にしていて、でもいつかCDにしたいと思っていたので、すごくいい機会をいただいたと思います。

――温めていた1曲なんですね。

大原 分岐点というか、過去の自分を思い返すときはいつも自分で聴き返しています。音楽活動を始めたとき、「これならCDにできる」と最初にしっくり来た曲なんです。作った当時はライブをしながらオーディションを受けていて、ちょっとずつちょっとずつ進んではいたんですけどなかなか思うような曲が書けない、と思っているときに書けた曲でした。ホントにそのときの素直な気持ちを書いた曲で。まあ、ちょっと恋愛な曲なのでアレなんですけど(笑)。

――自分で切り出しましたね(笑)。

大原 でも、作ったときのことはそんなに覚えていないんです。もうちょっと、もうちょっと、っていろいろなところを直していたことは覚えているんですけど。

――そうやって長年手をかけてきた曲が完成したわけですが、完成形を聴いてどういう気持ちでしたか?

大原 そうですね。すごく繊細に包み込むようなアレンジにしていただきました。弾き語りで歌うことが多かったので、感情をぶつけるというか、曲への想いをぐっと出してしまうような曲だったんですけど、レコーディングも客観的に挑めるようになりましたし、「もっとここは大切に歌った方が聴こえやすいんじゃないか」とか思えるようになりました。

――1枚のシングルとして見た時、どんなCDになったと思いますか?

大原 3曲が違う顔なので、飽きずに聴いてもらえると思います。「星を辿れば」はやっぱり帰り道とか寝る前に聴いてもらえたらと思うし、「莟」はどうにも抜け出せない何かに自分がはまったときに聴いてもらいたいですね。「ユビオリ」も遠くにいる人を思ったりちょっと大切な人を想像したりしながら聴いてもらえれば。自分としてはボリュームのある1枚だと思います。

――オーディションに合格して『リトル』の主題歌を勝ち取ったわけですが、合格以降でいちばん変わったことといえば何でしょうか?

大原 やっぱりシンガーソングライターだと、自分の作品は自分の好きに表現するという方が多いと思うんですけど、自分を客観的に見られるようになったというのが大きいですね。もちろん、自分が(歌っていて)気持ちいいというのがいちばんではあるんですけど、どう聴こえるかとか、誰かに歌ってもらったらどんなふうになるのかとか、自分も経験してきた「聴く立場」という目線から曲を見られるようになったとは思います。そういった面で言えば、曲作りの幅は広がったというか、作り方変えられるようになってきましたね。でも、客観的に見られるといってもあくまで自分の感性なので、レコーディングしていても「こうすれば良かった」っていうのはあるんですけど、でも「嘘はついていないな」とは客観的に思っています。いくらきれいな言葉でも「ホントにそんなふうに思えるのかな」って歌詞にはなっていない、歌詞を見たり聴いたりしたときにすっと受け入れられる歌詞だとは思います。

――最後に、2度目の『リトル』の主題歌を果たした今、何か望むことはありますか?

大原 「魔法が使えるようになりたい」とかそういうことですか?

――いや、すみません、現実の話で(笑)。でも、魔法が使えたら何かしたいんですか?

大原 もう一個、地球を作りたいです。

――それは何の得が?

大原 その、危ない人達だけそっちに移住させて、平和な世の中にしたいと思って。テロとか怖いので。

――なるほど(笑)。

大原 『リトル』に関わらせてもらったことでいうと、作品があってそれに対して曲を作るということは自分にとってすごく楽しいことなので、今後もそういう活動をしていきたいとは思うようになりました。

――ぜひ、「魔女っ娘アニメの主題歌と言えば」という存在に。

大原 そんなに引き出しはないです。魔女っ娘に憧れてはいましたけど……『おジャ魔女どれみ』が大好きだった世代なので。

――でも、他のアニメでも曲を作られることを期待しています。

大原 そうする中で、アニメのファンの方も、私のファンの方も混ざり合っていけたらいいですね。私のライブが好きな人がアニメイベントに来たり、『リトル』のファンの方がシンガーソングライターのイベントに来たり。実際、『リトル』で知ってずっと来たかったんです、って言ってくださる方もいるので。そうやって楽しみの幅を広げてもらえたらうれしいです。私も『リトル』への想いを持ちながら歌い続けたいです。本当に(エンディングでの)吉成(曜)さんの絵が素敵なので、一緒に聴いてもらえてうれしいって毎回感動しているんです。

Interview&Text By 清水耕司(セブンデイズウォー)


●リリース情報
EDテーマ
「星を辿れば」大原ゆい子
2月22日発売

【アニメ盤(CD+DVD)】
161225-c006

品番:THCS-60134
価格:¥1,600+税

<特典内容>
DVD(ノンクレジットオープニング収録)
オープニングムービー絵コンテブックレット
<仕様>
アニメ描き下ろしジャケット/ジュエルケース

【アーティスト盤(CD+DVD)】
161225-c007

品番:THCS-60135
価格:¥1,600+税

<特典内容>
DVD(「星を辿れば」ミュージックビデオ収録)
フォトブック
<仕様>
アーティスト撮り下ろしジャケット/ジュエルケース

【通常盤(CD)】
161225-c008

品番:THCS-60136
価格:¥1,200+税

<仕様>
アーティスト撮り下ろしジャケット

<CD>
1.「星を辿れば」
2.「莟」(つぼみ)
3.「ユビオリ」
4.「星を辿れば」(Instrumental)
5.「莟」(Instrumental)
6.「ユビオリ」(Instrumental)

関連リンク

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP