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REPORT

2016.12.20

“原点”と“今”とを携え、2017年へジャンプ!小松未可子 ハピこし!ライブ2016 “Imagine day, Imagine life!”レポート

“原点”と“今”とを携え、2017年へジャンプ!小松未可子 ハピこし!ライブ2016 “Imagine day, Imagine life!”レポート

11月20日、品川ステラボールにて、声優・小松未可子のバースデーライブ「ハピこし!ライブ2016 “Imagine day, Imagine life!”」が開催。トイズファクトリーへとレーベルを移籍した今年も無事開催された秋のお祭りは、笑顔と涙とが入り交じった、今の小松未可子を存分に感じられるライブイベントとなった。

序盤にして感極まるほどの、彼女のあふれる想い

まずはモノクロのイメージムービーが映し出され、そのOPムービーをバックにバンドメンバーが入場。彼らの演奏がムービーのinterludeに乗り、ムービーにも色が添えられ、カウントダウンが終わるとともに、ステージ壇上に小松登場。スポットが当たった彼女は、堂々とひと言「小松未可子でーす!」と名乗りを上げる。そして、ライブタイトルにも冠された最新シングル「Imagine day, Imagine life!」で、彼女が音楽で遊びまわる2時間が、ここに幕を開けた。さらにシンセブラスの音色が印象的な「LISTEN!!」で、会場のテンションは一気に上昇。コロコロと表情の変わるBメロでは、観客から返ってくるコールも完璧。小松も各所で会場のあちこちを指差しながら、楽しそうにコミュニケーションを交わす。誰より彼女自身がみんなの声が聞きたかったかのように、最後の「LISTEN!!」のシャウトでは、自分ではなく観客に、笑顔でマイクを向けていた。

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曲を歌いきった小松。まずは「今年も『ハピこし!ライブ』を無事開催できたのは、新しい“これから”の私の第一歩を見に来てくれた皆さんのおかげです!」と述べ、お礼代わりに2曲続けてキャラソンを披露。まずは『ニセコイ』より「TRICK BOX」を、原曲よりもバンドサウンドの色合い濃いめに披露。さらに『灰と幻想のグリムガル』からの「わんだぁらんど♪」ではステージセットの階段上方まで登り、より会場全体を感じながら歌声を届けていた。

そこで一瞬うしろを向き、「だから返事はいらない」がスタート。開けていくサビのサウンドと眼下に広がる青のペンライトとが、新しい空を飛び回る彼女を暗示させる。しかし小松、2コーラス目で階段から降りてきたかと思えば、ふとタオルを手に。さらにサビでは一瞬声を詰まらせ、歌えなくなってしまう。それも仕方がない。この曲の歌詞は、まさしくこのステージにたどり着くまでの彼女の1年間の想いを凝縮したかのようなもの。その心情が不意にあふれ、感極まったのだろう。それでも終盤はきっちり持ち直し、涙しながら「ありがとう」と後奏中に告げ、小松は一旦ステージを降りた。

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その雰囲気を一変させたのは、天をつんざくような、“あの曲”のリフ。そして、合わせてモニターに映された「MIKAKO’S STATION」のロゴに、場内は爆笑に包まれる。さらにサングラスをかけ黒のジャケットを羽織った姿で、拍手に包まれ再登場する小松。そして「今日のゲストの、紹介です」との呼び込みを受け、階段上方からこの日のトークゲスト・Q-MHz(畑 亜貴、田代智一、黒須克彦、田淵智也)が登場と、完全に“あの音楽番組”のフォーマット。つい数分前とまったく違う空気のコーナーに、小松自身も「感極まったあとにこのカッコか……(笑)」とこぼしていた。

さて、この4人を迎えて行われたコーナーは、「答えをImagine! Q-MHzアンケートクイズ」。様々な設問に対して事前に4人が回答。その一部を黒くマスキングしたものを小松がImagine=想像していくとともに、引っかかったポイントをトークで広げていくコーナーだ。

「小松未可子をプロデュースすると決まったとき、どんなことをしてみたいと思った?」「プロデュースしてみて感じた手応え」といったテーマについて、オープンになっているほか3人の回答も含めてトークが展開されていく。ここでは互いに、そして意外と小松に対しても容赦のないトークが展開され、場内はライブとはまた違った意味での盛り上がりと笑いに包まれる。逆に小松からも4人とやってみたいことなどが語られたが、真っ先に挙げたのが、ライブツアーや地元・桑名でのライブ。そのほか、別のアーティストの楽曲のカバーなど、活動へのアイデアは湧き出て止まらないようだった。

そんな軽妙なトークと真面目な話題の両方を楽しめたトークコーナーに続いては、デート型恋愛シュミレーションを模した映像コーナー「どきどき!みかこしメモリアル♪」がスタート。こちらもどこかで見たことのあるロゴやゲーム画面を映しながら、主人公の少年とヒロイン役を小松が演じ、ストーリーをハッピーエンドで締めくくった。

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ライブにリリース……盛りだくさんの2017年も、音楽で“遊べ”!

さて、ここからライブの後半戦がスタート。しっとりとしたナンバー「アンブレラ」で場内を再びアーティスティックな空気へと引き戻し、ファンもペンライトさえ振らずにじっと聴き入る。続く「ふれてよ」もミドルナンバー。もちろん冒頭に並んだ勢いある楽曲での弾け方もいいが、こういったテイストの楽曲にしっかり声を乗せて表現できるところも、変わらぬ彼女の魅力。「新しい面を」というMCもあったが、それと元来持ち味の1つとして感じられたミドルポップでの歌声の持ち味を、変わらず併存させてくれていることが感じられたのも、またうれしい。

曲明けには重大発表を、立て続けに行う小松。まずは自主企画ライブ「Humming Maps」の開催。来年1月22日には渋谷CLUB QUATTROにて田所あずさと、4月16日にはshibuya duo MUSIC EXCHANGEにてfhánaとのツーマンライブを行う。ともに異なる音楽性を持つアーティストではあるが、特にfhánaとは『天体のメソッド』以来の縁もある。それぞれどんなライブになるのか、期待して待とう。

そして、Q-MHzプロデュースによるニュー・アルバムの発売も決定!こちらは来年春の発売を目指して制作中で、小松自身が作詞を担当した曲も。「いろんなチャレンジを取り入れられたら」と、ますますリリースが楽しみになるような言葉を聞かせてくれた。

そして早速、そのアルバムから新曲「純真エチュード」を初披露。イントロから思わず跳ねてしまった小松のテンション通りの、ひときわ楽しめるハッピーなロックチューンだ。
煽りのパートも存在するので、音源化後にはライブでよりいっそう一体感を生み出しそうな予感も感じさせた。
さらにバンドメンバーの紹介などで会場のボルテージを上げ、続く「short hair EGOIST」ではパレオのようなスカートをひらひらさせながら、ステージを所狭しと跳ね回る。そのまま、ちょっとポップでトロピカルな「MAGIC RADIO」へ。サビ明けに上がったコールの熱は、直前のプレイもあってか明らかに上がっていた。

そして本編ラストを飾ったのは、この日に何よりふさわしい1曲「エンジェルナンバー」。直前に行われたコール・アンド・レスポンスの効果もあって、イントロからアツさを増し続けるステラボール。1サビ明けに跳ねながらその場でくるくると回ってみせた小松の姿は、あたかもその熱に踊っているかのよう。また、楽曲内には「Happy Birthday!!」のコールが含まれているが、この日ばかりは小松自身の誕生日への祝福はもちろん、今日を無事に迎えたアーティスト・小松未可子の第2の誕生日を祝うという、ふたつの意味合いが込められていたように感じた。そしてラスサビでもそのコールを受け止めたら、客にマイクを向けながら再びステージを駆け回り、ジャンプでステージを締めくくった。

あとには残された無人のステージ。流される客出しBGM。しかしファンは、「み・か・こ・し!」とアンコールを求める声を挙げ続ける。5分以上もの長きにわたってコールが響き続けたところで、それに応えてステージは突如明るくなる。バンドメンバーが、小松がステージに戻ってきた。その1曲目の、イントロのキーボード音で、ステラボールは一気に沸き上がる。なぜならそれが、「Black Holy」のものだったから。彼女がソロアーティストして第一歩を踏んだ大切な曲を、気負いすぎずに力強く堂々と歌い上げる小松。その視線は、終始ただまっすぐ前を向いていた。

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だがそのアンコール、彼女にとっては“賭け”だった……と、曲明けのMCで語っていた。「『エンジェルナンバー』でライブが終わっても、おかしくない形にしていました」と、文字通り“ファンの声に応えて”の、正真正銘のアンコールだったことを明かす。そのさきにははじまりの曲を置いたという点まで含めて、彼女のこの日にかける想いのほどがうかがえた。

そして「いろいろなことがありまして」と切り出し、激動だったこの1年を振り返る。「当たり前のようにいることってできないんだ」と、続けることの難しさを感じた小松。ただこの日のアンコールに達した会場のように、「皆さんの流れと力と想いや願いで、突き動かされてる自分を感じます。きっと私が信じた人たちは大丈夫、信じられる。それは皆さんもそうですし、出会った人たちが本当に自分を動かしてくれるなぁって思いました」という感覚を率直に語る。さらに、「自分は毎年、ここからの一歩を踏んでいるような気がして。そのなかでも、自分の原点の一歩と新しい一歩を踏み込めたような気がします。今日この場所に立ててすごくホッとしたけど、皆さんが来てくれなければ、このライブを開くことはできませんでした。本当に来てくれてありがとう!」と続け、深く一礼する小松。その言葉と想いを受けて、場内を温かくも大きな拍手が包んでいった。

そして「新しいスタッフさん、バンドメンバーの皆さん……新しい小松未可子を見届けに来てくれた皆さんと一緒に、最後に1曲一緒に歌えたらなと思います」の言葉に続けて歌われる、二度目の「Imagine day, Imagine life!」。“原点の一歩”である「Black Holy」に対して、こちらは“新しい一歩”だ。2コーラス目では階段上方まで登って再びフロア奥まで見回しつつ、Dメロではステージ両サイドのお立ち台に登り、ひとりでも多くのファンと視線を交わしていく。それも、希望を含んだ視線で。改めて、再出発の一歩目が、この曲で本当によかった……なんて感慨を観ているこちら側に持たせながら、“みんな”と改めての第一歩を踏み出したライブは、こうして幕を下ろした。

この日様々なことが発表されたように、小松未可子はこれからさらに本格的に、自由な世界で遊び続けていく。そんな彼女と一緒に私たちも思いっきり遊びまわりたいし、この日最後に小松と交わした「また来てね!」の約束も、何度でもかなえたいと感じた。

 Photography By 森 久 Text by 須永兼次

小松未可子 ハピこし!ライブ2016 “Imagine day, Imagine life!”
2016.11.20@品川ステラボール
【SET LIST】
M1.Imagine day, Imagine life!
M2.LISTEN!!
M3.TRICK BOX
M4.わんだぁらんど♪
M5.だから返事はいらない
M6.アンブレラ
M7.ふれてよ
M8.純真エチュード(新曲)
M9.short hair EGOIST
M10.MAGIC RADIO
M11.エンジェルナンバー

[ENCORE]
EN1.Black Holy
EN2.Imagine day, Imagine life

関連リンク

小松未可子オフィシャルサイト

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