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REPORT

2016.06.15

“わかりあえた”一瞬は、なんと素晴らしい誇りの瞬間だろうか。 fhána“What a Wonderful World Line Tour 2016”追加公演レポート

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貴重で濃い一瞬、それが音を通じて“わかりあう”瞬間

そこからアンコールを求める声が挙がるまでには、そう時間はかからなかった。熱のこもった声は長く挙がり続け、やがて逆光に照らされてメンバーが再登場。再び佐藤がギターを構え、「ソライロピクチャー」のイントロが始まると、少しずつステージに明るさが戻る。2-Aメロ、「一人また一人」の部分では、towanaが再びオーディエンスをさーっと指でさらっていき、アンコールを挟んだ会場に再び一体感をもたらした。

MCでツアーを振り返っての話題になると、yuxukiがまっすぐかつ熱い言葉を語る。ツアーファイナルにして「早く次のツアーに出たい。また来てほしい」と切り出し、「僕としては、無理のないように、地に足をつけて、みんなに僕らの音楽が浸透していけばいいと思っている。僕は大きいところでやることが目的ではなくて。大きなところでやるのって、たくさんの人に曲が届けられることが幸せなんですよ。だから場所は僕はどうでもよくて、その場所にみんなが集まってくれてるのがすごくうれしいです!」と、自分たちの生み出す音楽を最適・最高の形で届けていきたい、という意志が感じられた。

その言葉を受けて、towanaも「ライブがいちばん大好きとツアーの最初に言っていたけど、今回のツアーでますますその想いが強くなりました。その『歌いたい!』っていう初期衝動プラス、聴いてくれているみんなの顔を見て歌うことで、歌うことがもっと好きになる。皆さんがいるから感じられた“好き”の種類なんです」と率直な想いと感謝を述べ、佐藤も「アルバムのテーマって、自分たちだけでは絶対出ない。ライブやいろんな場所で演奏したり、いろんな素晴らしいミュージシャンやスタッフの方々と一緒に音楽を作ることで、いろんな影響を受けて次に繋がっている。だから、fhánaのルートはみんなで作ってるものなんです。これからもぜひ、fhánaの物語に参加してください」と、アルバムのみならず活動の芯に迫る言葉を届ける。

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そして「その先には、憂鬱の向こう側があるんじゃないかな」と続けると、「Outside of Melancholy」からライブ再開。この1stアルバムのリード曲冒頭の歌詞が、2ndアルバムに繋がってfhánaのルートを形作っていることが自然と腑に落ちた。サビの直前ではkevinがオーディエンスをノセて、フロアの1,800人とともにジャンプ。みんなで一緒に、“憂鬱の向こう側”に行けそうな一体感を醸し出していた。kevinは続く「光舞う冬の日に」でも間奏でのクラップを主導。とりわけアンコールにおいてムードメーカーの役割を担っていた。そして「kotonoha breakdown」へ。アンコールも佳境に入ったというのに、towanaの歌声には一切疲れが見えず、ハイトーンは最後まで健在なままだ。そして後奏に見られたyuxukiのともすれば暴力的でもあるような魂入ったギタープレイも、生で感じられるこの曲のポイントのひとつだった。

そして、温かく優しいバラード「gift song」で本当のラストを迎える。歌詞に歌われた「一瞬だけ分かり合う」瞬間こそ、まさにこのライブそのものなのだろう。それをじんわり味わうかのようにtowanaが歌い上げ、ファンがその歌声に聴き入って思い出として閉じ込めたところで、この日のライブは幕を下ろした。

この4人にしか作れない世界観でZepp DiverCityを包み、1,800人ものファンと互いに“わかりあう”幸せな時間を実現させたfhána。この日の公演時間・3時間は長い人生から見たら一瞬かもしれないが、きっと何度も思い出すたびに様々な感情をくれる、実に濃い一瞬だったに違いない。確かにこの一夜は、fhánaとファン互いにとっての誇るべき瞬間だったのだ。

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Text by 須永兼次


fhána“What a Wonderful World Line Tour 2016”≪追加公演≫
2016年6月4日(土)東京・ZEPP DiverCity

<Set List>
01. The Color to Gray World
02. 虹を編めたら
03. コメットルシファー ~The Seed and the Sower~
04. tiny lamp
05. divine intervention
06. little secret magic
07. Critique & Curation
08. c.a.t.
09. Antivirus
10. lyrical sentence
11.いつかの、いくつかのきみとのせかい
12. ケセラセラ
13. 追憶のかなた
14. ホシノカケラ
15. 街は奏でる
16. Cipher
17. What a Wonderful World Line
18. Relief
19. ワンダーステラ
20. 星屑のインターリュード
21. white light

EN1. ソライロピクチャー
EN2. Outside of Melancholy
EN3. 光舞う冬の日に
EN4. kotonoha breakdown
EN5. gift song

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