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INTERVIEW

2015.08.28

絶賛放送中!TVアニメ『それが声優!』原作・あさのますみインタビュー

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7月よりTVアニメとして放送されている『それが声優!』。本作は声優としても活躍している声優・あさのますみ(浅野真澄)と『ハヤテのごとく!』の原作者である漫画家・畑健二郎がタッグを組み、同人誌からスタートした新人声優の成長を描く物語。今回は『それが声優!』の原作者であるあさのますみに、声優に対する想いや実体験といった”本音”を熱く語ってもらった。

声優になりたい方だけではなく、将来就きたい仕事がある方や叶えたい夢がある方にも見ていただきたいです

――あさのさんはアニメ『それが声優!』の原作を手掛けられ、また、声優としてもご活躍されています。本作のテーマでもある「声優」という職業について、あさのさんご自身のエピソードをいくつか伺います。作中で、主人公・一ノ瀬双葉が「こんなに仕事に就くのがむずかしいなら、自分の夢の中で、一番むずかしい仕事にチャレンジしよう」と、語るシーンがありますが、あさのさんが声優になろうと思ったきっかけは?

あさのますみ 作中で、主人公・一ノ瀬双葉が語る理由とまったく一緒です。就職しようとしても全然就職出来なかったんですよね。こんなに仕事に就くのが難しい世の中なら、無理に会社を決めて興味のない仕事をするよりも、少し賭けにでて声優に挑戦してみようと思って、声優の勉強をはじめました。

――声優以外の選択肢はありましたか?

あさの もともとは出版社に就職して編集の仕事をしたかったんですよね。大手の誰もが知っているような出版社から、小さな下請けをやっているような出版社までさまざまありますが、私は映画雑誌を作るのが夢でした。でもとても叶いそうになくて「自分のやりたいことが何なのか?」と考えるようになりました。自分が好きなジャンルの本でなくても出版社に入ればそれでいいのかと考えると、少しづつ自分のやりたいことから離れていくような気がして……。

――声優という難しい職業を選択されましたが、なってみて現実と違ったことは?

あさの 声優という職業は、なってからも不安定なんですよね。今は仕事はあるかもしれませんが、3ヶ月先には仕事の予定が何もない可能性もあります。「声優になった」という実感が持ちづらいと言いますか……。一度なってしまえば、ずっとやっていけるものだと思っていたので、そうではないという現実にいちばんびっくりしました。

――実際に声優になったという実感はどれくらいで湧きましたか?

あさの 声優の仕事だけでご飯が食べられるようになったら自分は声優だと名乗ろうと思っていました。私の場合は事務所に所属してから1年くらいで一応アルバイトをせずに生活が出来るようになりました。これは人によって全然違うのですが、半年で食べられるようになる人もいれば10年経っても生活が出来ない人もいます。また一度生活出来るようになった人が、その後仕事が減って生活できなくなるということもあります。

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――声優になって良かったことは?

あさの いろんなジャンルの人たちと知り合うことができるのはよかったです。自分の人生に何が起きるかわからないのが声優という仕事だと思うんですよ。例えば5年前の自分に「これから描く同人誌がアニメになって原作者って呼ばれるようになるよ」って言ってもきっと信じないと思うんですよね(笑)。出会い次第で声優としての人生が予想もしない方向に向かっていくところが私はすごくおもしろいなって思います。

――逆に良くなかったことは?

あさの 自分の発言と違うことが私の言葉としてひとり歩きしていたり……。いわゆるアンチと呼ばれる人たちからいろいろ言われることもありますが、受け流すすべを身につけると、気にならなくなりました。

――声優になる前に会いたかった人で、声優になって会うことができた方はいらっしゃいますか?

あさの 子供の頃に声を聴いていた声優さんにあったときはすごく感動しました。「子供の頃、あのアニメ見てました!」と心の中で思いながら共演させていただきました。後は編集者になりたかったということもあって漫画家さんや小説家さんにお会いできたときもうれしかったです。すごく個性的で魅力的な方が多いのでお話をしていてすごく楽しいですね。

――声優という職業でいちばん大変だったことは?

あさの 心の不安定さと上手に付き合うことですね。明日は自分がどうなっているかわからない職業なので、慣れないうちは、ちょっとしたことに一喜一憂したり、心のバランスを崩してしまったりと難しいんですよね。なので慣れるというよりは、自分の生活が不安定な状況を受け入れて、上手に付き合っていくことだと思います。不安定であることは、ある程度覚悟していたつもりなんですが、「こんなにも?」と最初は驚いてしまいました(笑)。

――声優になってからいちばん大きな失敗は?

あさの ゲームのアフレコのとき、風邪気味で風邪薬を飲んだら睡眠作用があったらしくて……少しウトウトしてしまったことがありました。デビューしてから3年くらいで忙しかったということもありましたが、当時は風邪との付き合い方が全然わかってなかったのでそんな大失敗をしてしまいました。

―――現在の風邪の付き合い方はどんな感じでしょうか?

あさの 手洗いうがいとかはもちろんなんですけど、自分の体調の変化に敏感になりましたね。行きつけの病院に行けば「○日までに治してください!」と多少は融通は効くんですけど、最近はそんなにとんでもない状態にはならないですね。

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――声優に必要な資質はなんでしょうか?

あさの メンタルの強さでしょうか。作中でもありましたが、自分がやっていた役が他の人に変更になってしまうことはよくあります。でもそんなことでいちいちメンタルをやられてしまっても仕事になりません。なので自分のメンタルを常に強く保っていられるということは声優として大事な資質だと思っています。

――最近の新人の声優さんをご覧になっていかがですか?

あさの 私のデビューが15年前で良かったなってつくづく思います(笑)。今はイベント、歌、ラジオ、グラビア……といろんなことを当たり前のように求められていて、それに応えなきゃいけない状態だと思うんですよね。だからすごく大変そうだなって思いますし、その分新人の声優さんもしっかりしているなって思うことが多いです。

――デビュー当時と今では違うことは何かありますか?

あさの 仕事の内容でいえば、デビュー当時と比べるといろんなジャンルの仕事をさせてもらっています。ナレーションの仕事であったり、吹き替えの仕事であったり、仕事の幅を広げるのは大切なことなので、本当にありがたい環境だと思っています。私の場合は執筆もさせていただいていますし、好きなことをやらせてもらえて、幸せです。

――声優向きのアルバイトってなんでしょう?

あさの 声優の仕事って前日に突然「○時に〇〇に来て!」ということがよくあるので、そういう事態に対応してくれるアルバイト先を見つけることが大事なことですね。アフレコは朝10時から始まることが多いので、早朝に働いたり、工場などで顔が外に出ないようにアルバイトをするといった感じです。

――職業柄気をつけていることは?

あさの 放送禁止用語は常日頃から口にしないようにしています。普段使っている言葉というのは何かあったときにとっさに出てしまうことがあるので、絶対に使わないように気をつけています。

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――今までにいちばん印象に残っている役はなんですか?

あさの どの役もすごく印象に残っているのですが、吹き替えの仕事で7年間同じ女の子の役をさせていただいたことがありました。その女の子は最初は11歳くらいの少女だったのが、7年経って大学生まで成長していったんですよね。海外ドラマのアフレコは半年アフレコしてまた半年お休みして……といった感じなので、半年経って映像を見ると「成長している!」と驚きました。7年同じ女の子に声を当て続けて、リアルな成長を実感出来たことがすごくおもしろかったです。

――そんな、声優あさのますみの想いと経験が詰め込まれた『それが声優!』がアニメ化されましたが、自身の原作がアニメ化されたご感想は?

あさの 不思議な感じでしたね。ひとことでは言い表すことが出来ないくらいいろんな想いがありました。アニメになって視聴者に届くと、自分がAだと思っていたことがそのまま伝わるのではなく、Bだと思う人も出てきて、いろんな解釈の仕方があるんだなって思いました。シナリオ会議にも毎回参加しましたが、どのように台本が完成していくのかという過程も見ることができ、自分が声優として演技をする上でも非常に参考になりました。そのセリフ、そのシーンにどんな想いが込められているのかが今までよりも想像しやすくなりましたね。また劇伴のレコーディングの見学にも行きましたが、演奏をする人たちが、当日楽譜をもらって初見で演奏されていたことに驚きました。自分の知らない世界を目にして、いろんなところにプロがいてお仕事をされているんだなって感じました。

――今回作詞も担当されている楽曲がたくさんありますが、作詞をしてみていかがでしたか?

あさの 自分が同人誌の中で適当に曲名をつけた「耳の中へ」という曲があるんですけど、その歌詞を実際に書いてくれと言われた時は「いやぁ……このタイトルでどんな歌詞を書いたらいいんだろう……」って(笑)。

――タイトルを決めるときは全くイメージは無かったんですね(笑)。

あさの そうですね。とにかくダサいタイトルにしようしようとは思っていたんですけどね。作詞は大変ではありましたが、キュートなメロディに助けられましたし、最終的にはお気に入りのフレーズなどもできて、今は気に入っています。

――最後に『それが声優!』をご覧のみなさんにひとことお願いします。

あさの 声優になりたい方だけではなく、将来就きたい仕事がある方や叶えたい夢がある方にも見ていただきたいです。そういう方たちにこの作品を楽しんでもらえたら、作者としては本当にうれしいですね。

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Photography By 小賀康子 / Hair&Make 高柳公太郎(VANITES)
Interview By 田中尚道(クリエンタ) / Text By 藤田隆盛(クリエンタ)


●リリース情報
原作コミック
それが声優! 1~3巻 発売中
原作:あさのますみ 作画:畑健二郎
価格:各¥697(税込)
※ローソン/HMV/エルパカBOOKS購入特典
「オリジナルカバー(描き下ろし・2重カバー仕様)」

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<読者プレゼント>
あさのますみ直筆サイン入り第1巻を含む、原作本第1巻~第3巻をセットで3名様にプレゼント!
詳細はこちら
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Blu-ray&DVD
TVアニメ『それが声優!』第1巻
9月30日発売
第1話・第2話収録
【Blu-ray初回限定版】
品番:KIXA-90577
価格:¥6,800+税
<パッケージ>
キャラクターデザイン佐々木政勝 描き下ろしジャケット&特製スリーブケース
<映像特典>
ノンテロップOP・ED
イヤホンズ密着ドキュメント「それがイヤホンズ!」ディレクターズカット版
<音声特典>
イヤホンズ(高野麻里佳・高橋李依・長久友紀)&あさのますみによるオーディオコメンタリー
<CD特典>
サウンドトラックCD Vol.1
<封入特典>
スペシャルブックレット(あさのますみ・畑健二郎作 隙間劇場漫画・畑建二郎描き下ろしジャケット・キャラクタープロフィール・設定資料・イヤホンズ日記/ゲストインタビュー)

【Blu-ray 初回限定アフレコキット版】
品番:KIXA-90584
価格:¥6,800+税
<パッケージ>
キャラクターデザイン佐々木政勝 描き下ろし特製ケース
<映像特典>
ノンテロップOP・ED
コンテ撮アフレコ体験映像(第1話)
あさのますみ主演 声優現場紹介ビデオ
<音声特典>
主役3キャラクター音声ON・OFF切り替え機能(第1話)
イヤホンズ(高野麻里佳・高橋李依・長久友紀)&あさのますみによるオーディオコメンタリー
<封入特典>
第1話リサイズ台本/めざせ人気声優!双葉のお仕事マル秘ノート(畑建二郎描き下ろしジャケット・声優活動に役立つ実用ブックレット・ゲストインタビュー 他)
【DVD 通常版】
品番:KIBA-2237
価格:¥3,800+税

©あさのますみ・畑健二郎/イヤホンズ応援団

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