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REPORT

2015.02.28

LiSA 3rdアルバム『Launcher』ハイレゾ先行試聴会 レポート

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2015年2月21日、LiSAの3rdフルアルバム『Launcher』のリリースを目前に控えたこの日、同アルバムの収録曲をハイレゾ音源で初披露する先行試聴会が、品川のソニー本社ビルにて開催された。

会場となった大会議場は、ズラリと並べられた長机に『Launcher』収録曲の歌詞カードと、意味ありげな赤と白のカードが配られており、さながら会社説明会のような雰囲気。開場と同時に入場してきたファンたちもこの空気は予想外だったのか、場内を見渡して驚きながら着席していった。

開演時間になり、司会進行役のアニプレックス枦山氏がこのイベント概要を改めて説明する。ここでゲストとして、ハイレゾ音源に詳しいAV機器ライターの野村ケンジ氏が登壇し、まず「ハイレゾとは何なのか?」について解説してくれた。いわくハイレゾ音源とは、「従来よりもデカく、高密度な音データ」だという。CDや圧縮音源にするとやむなく削れてしまう音も再生できるため、録音時の状態に限りなく近い自然なサウンドが楽しめるのが最大の特徴だ。
まず“耳ならし”として、『Launcher』収録曲から「Rising Hope」のmp3音源とハイレゾ音源を順番に流しての聴き比べが行われた。いつもなら曲に合わせて踊りまくるLiSAッ子たちだが、今回ばかりは野村氏の「ハイレゾになることで個々の音の広がりや深さが増すので、曲のノリがよくなる。グルーブが出る。魂のこもった音になる」という言葉にうなずきながら静かに聴き入っていた。

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ハイレゾ音源についてのレクチャーが終わったところで、この日の主役であるLiSAと、彼女のサウンドディレクター兼レコーディングエンジニアを務めるげんだむ(岡村 弦)氏が登壇。LiSAは開口一番に「みんなカタいよ!」「『Rising Hope』があんなふうに聴かれてるとこ初めて見た(笑)」と会場を沸かせた。またLiSAとげんだむ氏は会場に設置されたハイレゾ音源用の環境にも注目し、「家にも欲しい!」と盛り上がる。
今回ソニーから特別に貸し出されたという機材は、HDDオーディオプレーヤー「HAP-Z1ES」、ステレオアンプ「TA-A1ES」、3ウェイ・スピーカーシステム「SS-AR1」が1ペアという、市販モデルの最高級品を組み合わせたもの。これにはLiSAも「なかなかない機会だよ!みんなラッキーじゃない?」と興奮した様子だった。

ここからアルバムに収録される新曲をフルで聴いていく流れになり、まず1曲目の「Mr.Launcher」が流される。するとLiSAがステージから客席に下り、空いている座席に座って聴き始めた。曲の最中も周囲のファンにフランクに声をかけ、リラックスした様子でイベントを楽しんでいく。曲が終わってステージに戻ると、「歌詞を見ながら聴けるのが嬉しいね」と、ライブとは違う形で曲が聴かれる感想を述べつつ、「ライブではみんなで一緒に歌ってほしい。期待しかしてないからね!」とファンへの期待を語った。

続いては「超LiSAっぽい曲お願いします!」とUNISON SQUARE GARDENの田淵智也に制作を依頼したという「rapid life シンドローム」。基本的にLiSA楽曲のアレンジはスタジオで個々のミュージシャンがアドリブで決めていくが、特にこの曲はレコ―ディング時にげんだむ氏がバンドメンバーを煽りまくって一発録りしたという。そのサウンドは、野村氏をして「これめっちゃノリいいっすよね!」と言わしめるほど臨場感溢れるものだった。

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3曲目の「」はLiSAが「エロいやつ」と紹介する一曲。LiSA自身が「書けた瞬間にキタ!!って思った。会心の出来」だという歌詞の解説から、「歌声もエロさを出すためにスタジオの照明をピンク色にして録った」というレコーディング秘話まで明かされた。野村氏も「マイクを変えたのかな?ってぐらい声を変えて歌っているのがわかる」とハイレゾ的観点から感想を述べたあと、「つまりエロいってことですよ」と淀みなく付け足していた。

試聴4曲目は制作スタッフからも人気の高い曲だという「アコガレ望遠鏡」。eba氏作曲のこの曲について、LiSAは「実はだいぶ前にいただいた曲だったけど、ここぞ!というタイミングで歌いたくて温存していた」と言うほど思い入れがあるとのこと。さらにこの曲の歌詞は古屋 真氏に依頼する際に、LiSAのデビュー以来毎年開催されている「LiSAッ子お泊まり修学旅行」でのファン同士の交流の様子をイメージとして伝えたという。このエピソードにげんだむ氏がほろりとする横で、野村氏は曲ごとのドラマーによるグルーブの違いを鋭く指摘していた。

長丁場になってきたため、LiSAが「後ろの人、大丈夫?」とファンを気遣いながら5曲目「FRAGILE VAMPIRE」へ。げんだむ氏がこの曲の演奏は最初の1テイクで1発OKになったことを明かすと、聴き入っていた野村氏は「この正確なドラムがですか!? 生物として体に流れる時間が違うとしか思えない」と、ドラマーの山内”masshoi”優氏のプレイに驚きをあらわにしていた。

じんとの共作となった6曲目の「ANTIHERO」は、主にネット上における「“正解”の不確かさ」を思って作った曲とのこと。この曲は各所にLiSAによる様々な「罵倒セリフ」が挿入されるが、ハイレゾのクッキリ音質でこれを聴いた野村氏は、「ある方面の嗜好の人には大変なお宝音源ですよね」とキレ味のある感想を述べ、「さすがっすケンジさん!」とLiSAから熱いリスペクトを受けていた。

7曲目は、LiSAをして「これもmasshoiさんのドラムが大変なことになってます」と言わしめる「Bad Sweet Trap」。げんだむ氏もドラムについて、「何も言わなくてもスタジオですごいアレンジになっちゃった」と絶賛。制作時のエピソードを聞かれたLiSAが、「私が書いた詞の原型に、田淵先輩が修正を入れて返してくれて、キャッチボールみたいにやりとりして出来あがった」と、田淵智也との共同作詞について明かす一幕も。

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試聴会も残り2曲となり、LiSAは8曲目の「エレクトリリカル」を「みんなビックリしてください」と自信ありげに紹介した。イントロから「バンドサウンドのド真ん中が定位置」というLiSAのイメージをいい意味で裏切るチップチューンが流れると、会場からはどよめきの声が上がる。さらに間奏ではボーカロイド的なLiSAの歌声が流れるが、これが無加工の生声だと明かされると更に大きなどよめきが起きていた。本人いわく「仮歌のボーカルにボカロが使われてることが多くて、聴いてるうちに真似できるようになった」とのことで、一聴しただけではボーカロイドにしか聴こえないほどの再現度だった。ここで興味深かったのは、野村氏の「チップチューンなどの16bit音源は、もともとCDとビット数が同じなので、ハイレゾにしても違いが出ない」という意見。野村氏はそこから「バックの音は変わらないが、上に乗る人の声はハイレゾの恩恵を受けるため、結果的にボーカルがきわだつ」と続け、今後のハイレゾ環境でのサウンドメイクにおける可能性のひとつを示唆していた。

試聴会最後の曲はLiSA作詞作曲の「君にピエロ」。LiSAは「CDは腕利きのシェフたちが作ってくれたフルコース。だけどその中に、私の手作り愛妻弁当を入れたかった」とアルバムにおけるこの曲のポジションを紹介。「去年の武道館ライブの後に作った」という曲に込めた想いをLiSAが語っていると、隣のげんだむ氏がなにやら別の音源を流し始める。それはなんと、LiSA自身がギター一本で弾き語りをしたデモ音源だった。予想外の事態にLiSA本人は「やばい!ディレクターこわい!」とあわてていたが、会場のLiSAッ子にとっては最高にレアな体験になったことだろう。

9曲をすべて聴き終えたLiSAは、「去年の武道館があって今がある。すごくカッコイイアルバムができました。ぜひ何回も聴いてください」と、完成したアルバムへの自信を語った。それを受けてげんだむ氏は、「毎日遅くまでLiSAとやりとりをしてて、なんだか自分の若い頃を思い出しながら作った」と今回の制作を感慨深そうに振り返っていた。野村氏は「ハイレゾはしかめっ面をして聴くものじゃない。あくまで作り手が工夫して作った音をあまさず楽しむための手段のひとつです。今日集まったみなさんには、それが伝わったはず」と、今回の試聴会の意義を総括し、イベントをしめくくった。

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その後はこの日集まったファンに向けて「ハイレゾ人格付けチェック」なるゲームコーナーが催された。ゲームの内容は「シルシ」のハイレゾ音源とmp3音源を順番に聴き、どちらがハイレゾ音源かを卓上の赤と白のカードを挙げて当てるというもの。枦山氏が「みなさんの今日の勉強成果が試されますよ!」と煽り、各バージョンの「シルシ」を流していく。客席でゲームに参加したLiSAは「やばい!わかんない!」と困惑していたが、なんと観客の8割近くが正解するという快挙を見せる。「この正解率は予想外でした……」と、枦山氏はよく訓練されたLiSAッ子たちに驚嘆し、急遽LiSAとの決勝ジャンケン大会が行われることに。これを勝ち抜いた幸運な1名には、LiSAのサイン入りソニーハイレゾウォークマン「NW-A16」が賞品として贈られた。

Text by 市川太一(クリエンタ)

※VOCALOIDならびにボーカロイドはヤマハ株式会社の登録商標です。


●リリース情報
LiSA 3rdアルバム『Launcher』
2015年3月4日発売
【初回生産限定盤(CD+BD)】
価格:¥4,500+税
品番:SVWC-70056~57
【初回生産限定盤(CD+DVD)】
価格:¥3,800+税
品番:SVWC-70058~59
<CD>
1. Mr.Launcher
2. Rising Hope
3. rapid life シンドローム
4. 蜜
5. アコガレ望遠鏡
6. BRiGHT FLiGHT
7. L.Miranic
8. FRAGILE VAMPIRE
9. ANTIHERO
10. Bad Sweet Trap
11. エレクトリリカル
12. 君にピエロ
13. No More Time Machine
14. シルシ
<Blu-ray/DVD>
1. OP映像
2. crossing field
3. コズミックジェットコースター
4. ミライカゼ
5. say my nameの片想い
6. 覚醒屋
7. 僕の言葉で
8. traumerei
9. DOCTOR
10. シロイトイキ
11. いつかの手紙
12. アシアトコンパス
13. EGOiSTiC SHOOTER
14. ROCK-mode
15. WiLD CANDY
16. Rising Hope
17. 逆光オーケストラ
18. BRiGHT FLiGHT
19. best day, best way
20. No More Time Machine -MUSIC CLIP-
【通常盤(CDのみ)】
価格:¥3,000+税
品番:SVWC-70060

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