INTERVIEW
2014.12.03
2014年の“アーティスト・蒼井翔太”は1月に「Virginal」を発売し、5月に初ワンマン・ライブを大成功に納め、さらにシングル「TRUE HEARTS」の発売もあり、ジェットコースターさながらの勢いで駆けてきた。そんな一年を締めくくる3rdシングルが完成。彼のイメージを覆すような挑発的な「秘密のクチヅケ」について話を聞く。
――12月のシングル『秘密のクチヅケ』を最初に聴いたときの印象を教えてください。
蒼井翔太 ロックだなって思いましたね。今までにもロックは歌ってきているんです。「月下の華」は和風ロックという感じの曲でしたし、「SHOT A LOVE!」はスクール・ロックな感じで、ジャンルとしてロックに分類されるかな、という楽曲は歌ってきていたんですけど、今回の曲のような純粋なロック・チューンというのは初めてで。だからこそ「初めてロックを歌うんだ」っていう気持ちは強かったですね。
――そもそもロック系もお好きだと伺っていたので、歌うための素地はあるような気がしますが。
蒼井 でも自分の声や歌い方がロックのスタイルに合うかどうかは、歌ってみるまでは全然自分でも想像ができていなかったんですよ。だから歌ったときには実は苦戦もしました。自分的には。
――そうなの?
蒼井 毎回、上松(範康)さんの作ってくださる曲っていうのは、どんな曲でもメロディがすごく繊細で綺麗なんですよ。でもそのメロディラインを持っている上でのロックとなると、いつものようにメロディを大事に大事にしながら歌い上げる、というやり方では違った響きになってしまう。上松さん的にも僕的にも今回の曲は荒々しく歌いたいっていうのがあったんですね。今まで綺麗に歌い上げてきたものを、ドーンと崩した、これまでの蒼井翔太とはまったく違うものをやりたいということもあって、挑戦してみましたね。ピッチに惑わされることなく、きっちりと歌うんじゃなく、シャウトする部分や、声をぐしゃ、と歪ませるように歌う部分であったりを意識して歌いました。だからこそ、自分の中では結構な度合いの挑戦ではありました。
――実際に挑戦し終えた今、どんな感想がありますか?
蒼井 違いますよね。声もいつもより低めだし、歌い方も荒々しいですし。でも歌ったあとにライブの光景がイメージできました。こんなふうにしよう、こういうパフォーマンスにしようっていうのが出来てきた感じはありますね。
――荒々しく歌うという表現に関して言えば、キャラソンで役柄として荒々しさを出すのと、蒼井翔太としての荒々しさはやっぱり違う?
蒼井 キャラクターは、キャラクターの性格としての答えなり正解があるので、その中で荒々しさを出すというのはやりやすいんですよね。でも蒼井翔太として出す、となると、そもそも持っていないものなんですよ。だから一生懸命、引き出しを探しましたね。自分の中の引き出し。「蒼井翔太に荒々しいってカテゴリーあったっけ?」って探して。でもほかのアーティストさんのCDを参考に聴かせてもらったりもして、勉強しました。こういう風に声をひっかければセクシーになるな、とか。シャウトはこんなふうにすると、シャウトとしてちゃんと響くんだな、とか。勉強しましたね。表現は広がりました。今までシャウトなんてしたことなかったですから。
――実際に上松さんとはどんなやりとりをしながら作っていったの?
蒼井 今回はスケジュールが合わなかったんですよね。いつもならお話をしながら目の前で作っていってくださるんですけど、僕の時間がうまく合わせられなくなっちゃったので、データのやりとりをしながら作っていったんですけど、セクシーで、ちょっと挑発的な歌にしたい、というお願いをさせていただいて作っていきましたね。
――セクシーで挑発的……そもそも今あるイメージをひとつ、崩そう、という構想はあった?
蒼井 そうですね。毎回、毎回、まったく違うものを出すためにも挑戦をしていきたいっていう部分もあって。なので、3枚目ですが、すべてで違うものを作りたいっていうのはありましたし、可能性を広げたいっていう挑戦だったり、意識だったりはありました。だから完成したものを聴いて「カッコ良く歌えたな、今までの歌とはまた別モノになったな」と感じられたので、ちゃんとハードルを越えることはできたな、と感じますね。毎回、上松さんや周りのスタッフさんたちが、楽曲に出会うたびに新しいハードルを用意してくれていて。それを頑張って全部自分で超えていくっていうのは数ある目標のひとつでもあるし、今回もまた超えられたと実感できたからこそ「よし、次も頑張るぞ」と思えましたね。
――しかもライブで盛り上がること間違いなしな1曲。
蒼井 そうなんです。前回のワンマン・ライブの後からまたリリースも重ねてきていますし、今ではライブでやりたいことも増えましたね。作品が増えるごとに、ライブへの見え方は反映されていって広がっていくな、と感じています。
――そんな今回の「秘密のクチヅケ」ですが、さきほどもキーワードとして出てきた「挑発的」という言葉。それを表すような歌詞も印象的です。
蒼井 僕の中では、狡いとわかっているけれど好きな人を閉じ込めるっていう意識がまったくなかったので、この曲の歌詞を見て「ひぃ~~!?」って思っちゃいましたね、最初。歌の中で僕、こんなことをするの!?って(笑)。歌の中での話ではあるんですが、そういう強い想いって病みつきになりそうだなって思っちゃったりもしました。歌の中でですよ! あくまでも歌詞の世界観としてですよ!!(強調しつつ笑)。ただ表現の中でキスマークを想像させるものをまた違う言い方で表したり、挑発的だったりっていうのを出しつつも、僕っぽい言い方だったり要素も入っているんですよね。僕ならではの挑発になっているなって感じますね。
――ご自身でも歌詞を書かれるから、今回の歌詞からも吸収するものはあったんじゃないでしょうか?
蒼井 刺激になりましたね。こういう表現の仕方もあるんだなって思ったりもしました。僕の作詞は出てきたものをそのまま、というやり方なので。まだ。だからいろいろな言葉に変換して伝えることもできるというのを教わりましたね。
――そしてもう1曲。「glitter wish」は蒼井翔太作曲!
蒼井 えへへ(照れ笑い)。
――自分のやりたいこと、表現したいものを形にすることに慣れてきたのかな、と。
蒼井 そうですね。表現としてもひとつ、皮が剥けた曲になりました。というのも、今まで自分が作ってきたものって、自分の中から出てきたものをアレンジしてもらって歌うっていうスタイルで、言ってしまえば、自分の好きなものをみんなに聴いてもらうっていう形だったんですね。それでも「蒼井くんの作った曲が好きです」って感想をもらっていて、うれしかったんですが、今回はオリジナル・アニメの「この男子、石化に悩んでいます。」の主題歌になっていて、監督さんとお話もさせてもらって、作品に沿った世界観との融合で作る、というやり方だったんです。だからまた少し、これまで蒼井翔太が作ってきた曲に沿っているようでいて、また新しい曲になったと思います。
――モチーフがある作り方はどうでしたか?
蒼井 難しかったです。実際に台本を読んで、自分が感じたことを楽曲にしていったんですけど、自分の持つ語彙の中で作品を見て感じたことを言葉にしていくことに不安があったんです。書いたけれど果たして監督の考えている作品イメージに合っているのか、とか。提出するたびに胃が痛くなりましたね。それともちろん作品に沿った曲だけど、作り上げてみて、どんな人が聴いても届く作品になったかなと思います。今は早く皆さんに聴いてもらいたいです。
――またテイストのガラリと違う2曲で蒼井翔太の歌の世界をファンの皆さんに届ける今作ですが、そんな2曲も聴けるライブが決定したそうですね。
蒼井 はい。TOKYO DOME CITY HALLでやらせていただきます。すごく広いところですし、ステージから見たらみんなの声が降って来る感じかな、と想像しています。曲も増えたので、いろいろとやれたらいいなと思ってますし、日々、やりたいことも増えてますし。色んな物で表現をしたい、と思って溜め込んでいる最中で。大きなところだからこそできることを、今の自分が出来ることを存分に出していきたいなと思います。
――デビューから確実にステップアップしている感はありますが、そんな蒼井くんが見据える3年後の自分の姿、というのを教えてください。今、種をまいて、水をやって、育てて、花咲く3年後の蒼井翔太とは。
蒼井 3年後……そうですね……。武道館に立ちたいです。まだまだ夢はありますが、その先もある、ということで、この夢を刻んでおきます。
Interview & Text by えびさわなち
■CDリリース情報
蒼井翔太 3rdシングル「秘密のクチヅケ」発売中
【初回限定盤 CD+MV DVD】
価格:¥2,000+税
品番:QECB90067
【通常盤】
価格:¥1,200+税
品番:QECB67
発売元:ブロッコリー
販売元:キングレコード
<CD収録内容>※全種共通
1.秘密のクチヅケ
作詞 上松範康(Elements Garden)
作曲 上松範康(Elements Garden)
編曲 岩橋星実(Elements Garden)
2.glitter wish
作詞 蒼井翔太
作曲 蒼井翔太
編曲 藤間 仁(Elements Garden)
3.秘密のクチヅケ*off vocal
4.glitter wish*off vocal
<DVD収録内容>
1.秘密のクチヅケ MV
2.秘密のクチヅケ MV メイキング
<初回限定盤封入特典>
2015年5月5日に開催予定の蒼井翔太2ndライブ 先行抽選応募券封入
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