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REPORT

2014.12.02

客席に魔法をかける極上のエンターテイメント空間!「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 2ndLIVE PARTY M@GIC!!」ライブレポート

最後は“こころを込めた”おもてなし

四楽章の最後を飾る“こころを込めた”おもてなしタイムは、青木、上坂、桜咲、東山によるクール属性曲「Nation Blue」でスタート。遠山明孝らしさあふれるサイケデリックトランスは、属性曲の中でも特に人気が高い。過去の披露では福原綾香らの情念すら感じる青白い炎のせめぎあいのようなイメージだったが、今回は長身の青木の2つ隣には、メンバーでももっとも小柄でキュートな桜咲が立つ。そこに上坂、東山のボーカルが重なると、クリアな透明感が強く感じられる。こういう後味が軽くてスッキリした「Nation Blue」もあったのかと、新鮮な気持ちになった。

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“こころを込めた”パートは、ボーカルをじっくりと聴かせる流れが続く。ここにクール属性勢が多いのは偶然ではないだろう。「2nd SIDE」を歌う松井恵理子は目に見えて緊張していたが、その“震え”こそが大舞台を前にした神谷奈緒のイメージにぴったり重なった気がする。雨上がりの空のカラリと晴れた空のような清涼感のあるボーカルに応えるように、客席も虹色のサイリウムを掲げていく。一番の聞かせどころである「ほ・し・い・の!」と「好・き・な・の!」のフレーズでは、過去最大の人数が心をひとつに叫んでいた。

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たくさんのダンサーや、工夫を凝らした舞台演出。そんなエンターテイメント性が過去最大に高い一日だったからこそ、「You’re stars shine on me」を歌う上坂すみれの何も持たず身一つ、歌だけで勝負する潔さが際立った気がする。オーロラの下、いつもと少し違う雰囲気をまとった上坂が、アーニャとしての想いを込めた歌声は聴き手の心をも震わせるようで、サビの畳み掛けではまばゆい光を放っているようにさえ見えた。歓声よりも拍手が大きいステージだった。

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大空直美の「風色メロディ」で優しい歌声が流れ始めると、客席にはサイリウムで作った十字のクローバーが無数に咲き乱れる。弦主体のおだやかな音の中、優しくて繊細で、やっぱり優しい歌声という音が、これだけ観衆を聞き惚れさせて、癒やすことができるのだなと思わされた。大空が「クローバー畑をお散歩しているような気持ちでした。智絵里ちゃんのありがとう、という気持ちをこめました」という言葉を聞いて、その理由がわかったような気がする。

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渕上舞の「薄荷 -ハッカ-」には、イントロのピアノと歌いだしのワンフレーズで、既に泣きたくなるような何かがある。誰よりも丁寧で繊細で、儚さの中にある確かな強さ。それだけの物語を歌声から感じさせるのはやはり優れた声優ならではだろう。青いリボンの髪飾りを身につけて、センターステージで一心に歌う姿には、やはり北条加蓮を重ねてしまう。“キラキラと輝くかけがえのない時”というフレーズや“側にいたいよ”という独白は、まさにこの時のことを歌っているように思えた。

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こんなにも優しく、想いにあふれた楽曲たちのあと、ソロの最後をどうやって締めるのか。そんな杞憂は、福原綾香の「Never say never」の歌い出しの力強さが全て吹き飛ばしてくれた。花道の、客席の奥ではなく、無数の輝きの向こう側のどこかを目指すように、迷いなくセンターステージを進む福原の足取りは力強い。個人的に福原に対しては、「見るたびにパフォーマンスが良くなる」という表現をよくする。それは本番に強いことを指すのと同時に、地道に、愚直に、ただひたすら練習を重ねる彼女の性格故だ。花道を歩きながら、福原は「凛がこの会場に立ったら、客席に手を振ったりはせず、前だけを見つめて歩く」と思ったという。だから、そうした。初めて手に入れた大切な役である渋谷凛と、二人で語り合ってきた結果が今の福原のステージなのだろう。この日の発見としては、福原が伏し目がちな視線をサイドにすっと流す仕草にゾクッとするほどの艶やかさを感じた。かつての福原や凛にはなかった表情だ。ストイックに自分と向き合ってきた少女が、アニメをきっかけにたくさんの人やキャラクターと交わってどう変わっていくのかを見届けたいと、強く思ったステージだった。 

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“こころを込めた”コーナーのラストは、12月17日発売の「Cute Jewelries! 002」より「オルゴールの小箱」。歌うのは福原、渕上、松井、いや渋谷凛、北条加蓮、神谷奈緒のユニット、トライアドプリムスだ。原作ゲームでは無数にユニットが登場する中で、不思議と誰よりも心を捉えて離さないトリオユニット。その不思議な魅力は、演じ手であり歌い手である3人が、ステージで誰よりも強くキャラクターのオーバーラップを感じさせることとも無関係ではないだろう。センターステージの円形のステージがゆったりと回り、静止した三人の姿をオルゴールの人形のように見せる。大舞台で重なりあい、融け合っていく3人の歌声は、素晴らしいバランスの良さを感じさせた。

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魔法の時間はこれから

3回のステージがあった舞浜のステージと比べ、今回のライブはたった一度。出演するメンバーは最高のステージにすべく、期するものがあったはずだ。ソロの持ち歌は各自一曲であり、すなわちソロは全ての曲が勝負曲。見て聴いて、向き合っているだけのこちらにも心地よい疲労がずっしりと来たのは、それだけの熱量と想いが一曲一曲に込められていた証だろう。だからこそ、『シンデレラガールズ』チームとしても出し惜しみはなしだ。アニメ『シンデレラガールズ』を中心としたありったけの発表事項を明かすと、アニメ主題歌「Star!!」を全員で披露した。

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「Star!!」を手がけたのは、作曲・田中秀和、作詞・森由里子のコンビ。「せいいっぱい!」のワンフレーズのキャッチーさを軸に、王道の中にケレンのエッセンスを振りかける絶妙な味付けはMONACAの若きエースである田中ならでは。作詞の森は765プロでは「蒼い鳥」や「約束」など多くの千早曲で壮大な世界観を描いてきたが、『シンデレラガールズ』では「ススメ☆オトメ」や「We’re the friends!」など作品のテーマに根ざした王道を多く担当する役回り。この曲で描かれるのは、シンデレラの卵としてひたむきに頑張って、全力で駆けていく少女たちの輝きだ。

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歌い終えた大橋は、「アニメもゲームも、『シンデレラガールズ』も、まだまだ階段を登り始めたばかりです。これからもっともっと『アイドルマスター』を盛り上げていきます」と笑顔で宣言した。『シンデレラガールズ』ではなく、『アイドルマスター』。彼女たちもアイマスの世界を形作るアイドルの仲間であることを高らかに告げると、最後は「輝く世界の魔法」で、ステージの魔法を締めくくった。

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鳴り止まないアンコールに応えて登場した21人は、全員で「ススメ☆オトメ ~jewel parade~」へ。歌うシンデレラたちの瞳には、幾つもの涙のjewelが輝いているように見えた。最後の感謝を込めた挨拶を挟んで、パーティの締めくくりは会場のプロデューサー全員が大合唱しての「お願い!シンデレラ」。『シンデレラガールズ』2度目、そして一度限りのパーティの夜は終わった。しかし彼女たちの本当の魔法の時間は、もう少しだけ先。24時の鐘の音と共に、動き出す。

text by 中里キリ


 

THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 2ndLIVE PARTY M@GIC!!
11.30国立代々木競技場第一体育館
セットリスト

M01:お願い!シンデレラ(全員)
M02:We’re the friends!(五十嵐、大空、立花、牧野、三宅、桜咲、東山、原、金子、鈴木、松田)
M03:S(mile)ING!(大橋)
M04:TOKIMEKIエスカレート(佳村)
M05:DOKIDOKIリズム(山本+佳村)
M06:Twilight Sky(青木)
M07:ミツボシ☆☆★(原)
M08:絶対特権主張しますっ!(金子、鈴木、松嵜、松田)
M09:アタシポンコツアンドロイド(五十嵐、高森、三宅)
M10:エヴリデイドリーム(牧野)
M11:花簪 HANAKANZASHI(立花)
M12:Angel Breeze(東山)
M13:お散歩カメラ(金子)
M14:おねだり Shall We~?(高森)
M15:小さな恋の密室事件(桜咲)
M16:パステルピンクな恋(大橋、大空、立花、牧野)
M17:メッセージ(大橋、高森、福原、青木、上坂、渕上、松井、松嵜、山本、佳村)
M18:ゴキゲンParty Night(全員)
M19:毒茸伝説(松田)
M20:メルヘンデビュー!(三宅)
M21:あんずのうた(五十嵐)
M22:ましゅまろ☆キッス(松嵜)
M23:ミラクルテレパシー(鈴木+休憩中の五十嵐)
M24:Orange Sapphire(原、山本、佳村)
M25:Nation Blue(青木、上坂、桜咲、東山)
M26:2nd SIDE(松井)
M27:You’re stars shine on me(上坂)
M28:風色メロディ(大空)
M29:薄荷 -ハッカ-(渕上)
M30:Never say never(福原)
M31:オルゴールの小箱(福原、渕上、松井)
M32:Star!!(全員)
M33:輝く世界の魔法(全員)
EN1:ススメ☆オトメ ~jewel parade~(全員)
EN2:お願い!シンデレラ(全員)

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