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REPORT

2014.12.02

客席に魔法をかける極上のエンターテイメント空間!「THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS 2ndLIVE PARTY M@GIC!!」ライブレポート

次は“かわいく”おもてなし

かわいくおもてなしコーナーの頭で新鮮な印象を受けたのが、五十嵐、高森、三宅の「アタシポンコツアンドロイド」だった。キュート属性曲として面白くてカワイイ楽曲ではあるが、クールの「Nation Blue」のような、歌い手の個性やカラーを引きずり出すようなタイプの曲ではないと思っていた。しかし今回3人と人数を少なめに構成し、五十嵐、高森、三宅という演技力で魅せる三人の役者を揃えたことで、それぞれが考える違った「かわいさ、キュートさ」が目に見えるようで、今までで一番かわいく、心に響く「ポンコツ」ぶりだった。

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牧野由依の「エヴリデイドリーム」はかつてワンフェスのミニステージでの披露はあったものの、ライブ会場での披露は初めて。コーナータイトルにふさわしくカワイさに大きく針を振ったステージングで、その佇まいは80年代アイドルの正統を感じさせる。現実世界のアイドルにはもはや望めない、最後の正統派アイドルがそこにいた。もちろんただかわいいだけでなく、表情のはかなさやその奥に、ほんの少しの“危うさ”を感じさせるのが“ままゆ”の真骨頂。アイドルらしい振りに合わせて小指に結んだ赤いリボンをたなびかせている姿が印象的だが、実は佐久間まゆのジャケットイラストに合わせて、普段と逆手にマイクを持って歌っているのも隠れたこだわりだった。

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たくさんのダンサーと歌い踊る大会場という状況を、一番うまく使ったのが立花理香の「花簪 HANAKANZASHI」だったかもしれない。きらびやかな和風のテイストの布地を、ゴシックテイストを取り入れた和ドレスに仕立てた立花と8人のダンサーがステージに現れると、ステージに和傘の華が咲いた。はんなりとした「花簪 HANAKANZASHI」のリズムにあわせてくるくると傘を回し、和太鼓のカッカッの響きに合わせてキビキビとポージングを変えていく様子はまるでよさこいの群舞のようだ。しかし本当にすごいのは、そんな華やかな集団の真ん中で確固たる存在感を放つ、目元涼やかな立花の艶やかさだろう。しっとりと、時に情感豊かに歌い上げる姿には、客席のあちこちから恋に落ちる効果音がポップアップしていた。ステージ後、会場が一番ざわざわとしたどよめきに包まれたのはここだったかもしれない。

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東山奈央の「Angel Breeze」は、最もライブでの披露が待ち望まれていた楽曲のひとつだろう。「わかるわ」というフレーズがネタとして注目されがちなキャラクター・川島瑞樹をアイドルとして着地させているのは、東山のボーカルの圧倒的な清涼感と透明感だと思う。少しハスキーがかった高音で、キャラクターの声を再現したままでの完璧なパフォーマンスにはよくぞここまで…と思わされる。すっと指先を動かす動きのなめらかさが美しくてアイドルらしいなと感じたが、ステージ中の東山は脇を締めてきゅっと動くと聖子ちゃんらしく見える、を意識していたとのこと。少し前の牧野のステージは80年代アイドルそのもののようだと感じたが、東山のステージは「80年代のアイドルに憧れる大人の女性のはにかみときらめき」を感じさせて、役者としての凄みを感じた。

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金子有希の「お散歩カメラ」は、「みんなの笑顔が撮りたいなー!ふふっ」の一言で、まるで藍子がそこにいるような印象に。黄色と緑のサイリウムに包まれた花道を、センターステージに向けてゆっくり歩きながら笑顔を探しにいくようだ。ゆったりのんびりしたステージングは金子と藍子の人柄を感じさせるもので、「いくよー!カシャ!」の声と共に、スクリーンにカメラレンズの絞り羽根が閉じる様子が重なりシャッター感を演出していたのは技アリだった

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大舞台、シンデレラ城の大階段、大勢のダンサーたちと会場いっぱいの大観衆。レビューショウを思わせる高森奈津美の「おねだり Shall We~?」が最高に輝く条件は整った。スクリーンでは金の瞳のゴージャスな黒猫が妖しい輝きを放つ中、白猫みくになりきった高森が黒猫ダンサーズとたわむれながらオンステージを見せる。高森がお尻を振る振り付けで、生き物のように動くみくしっぽは、高森の小さな、しかし譲れないこだわりだった。

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そして大会場で完全に“化けた”のが、桜咲千依の「小さな恋の密室事件」だった。夜の洋館にゴーストが舞うミステリアスな背景をバックに、黒マントをすっぽりとかぶったゾンビダンサーズを従えての怪奇派のショウステージ。だがかわいい。圧倒的にかわいいのは、黒マントをたなびかせた桜咲本人がとにかくかわいいからとしか言いようがない。やがて歌の進行とともに長い夜は開け、会場は夜明けの輝きに満たされる。非常に物語性の高いステージだった。もうひとつ特記したいのは、小さく儚くささやくように歌うフレーズで、一万人を超える客席が静寂に包まれ、会場の一番後ろまでささやきが届いたであろうこと。一緒にステージを作る客席の意識と、ささやきに込めた想いと緊張感が物音を許さない説得力を持っていたことが合わさった結果だろう。

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12月31日発売の「Cute Jewelries! 002」からは、大橋、大空、立花、牧野のキュートカルテットが新曲「パステルピンクの恋」をライブ初披露。ピンクのキュート衣装で統一されたカラーリングもあいまってパフォーマンスはかわいいの一言!伸び伸びとソロを歌い継ぐパートがあり、それぞれの味を見せるのが見所。良い意味でこれまでのアイマスっぽくない新鮮なステージだった。

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ここでステージには大橋、高森、福原、青木、上坂、渕上、松井、松嵜、山本、佳村の自己紹介後半組が登場。「メッセージ」イントロから歌いだしにかけてのファンタジックな煌めきは『シンデレラガールズ』の物語感を凝縮したイメージ。このタイプの楽曲ではやはりクール勢の歌声の透明な存在感をより感じる。「アイドル」と「シンデレラ」の内後者をより色濃く感じさせるこの曲は、『シンデレラガールズ』ライブのもうひとつの柱になっていきそうだ。

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ライブも半ばを折り返したところでさらに10人の自己紹介が入るところがこのライブならでは。「ねぇプロデューサー、わたし輝けてるかな?」と語りかけたあとふにゃっと素に戻って挨拶した渕上や、会場の場所とゲームにちなんで「みくは原宿エリアの、ボスなのにゃー!」と叫んだ高森が特に印象的。山本が「P君たちの熱気がもっともっと熱くなったら、お姉ちゃんが薄着になってくれるかもね!」と叫んで佳村をあわてさせる場面もあった。

 

そして“超ハジけた”おもてなしへ

後半の幕開けは、全員が登場しての「ゴキゲンParty Night」から7人ずつに別れて広いメインステージをいっぱいに使っていく。大橋の号令で全員でジャンプしたりの楽しさいっぱい!MCで少し落ち着いたテンションを再び盛り上げると、ここから始まる“超ハジけた”おもてなしタイムは、客席のライフとMPに挑戦する狂気のセットリストとなった。

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その幕を開けたのは、松田颯水の「毒茸伝説」!ステージ上で大胆に“武装”を完了した松田は哄笑と共に「かかって来ぉい!」。まずはこの曲、CDのまんまでライブで歌えるのな!という素朴な驚きを改めて感じる。今日の松田はいつも以上のテンションで、カメラを覗きこむ視線にも仄かな狂気を感じる。トリップ感のあるパートで音の洪水をバックに歌い上げる様子は、ある種のシャーマン、祭祀のような空気さえ漂わせる。このあたりが本当にぶっ飛んでいるのか、役者として星輝子を演じきっているのかを伺わせないギリギリ感がたまらない。松田は「絶対王政のつもりでやった」とコメントしていた。

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続く三宅麻理恵の「メルヘンデビュー!」で暴走は加速する。もはや『シンデレラガールズ』のステージではおなじみになってきたこの曲だが、今回は全力全開のダンサーズが後押し。「うーどっかん!」に合わせて大の字ジャンプしたダンサーズが220度は開脚していたのには目をむいた。そして、この日の客席には『シンデレラガールズ』だけを見るために集まった一万人以上と、その向こうのライブビューイングの観客たちがいた。万の「ミミミン!ミミミン!」コールを受けながら、センターステージと共に迫り上がっていく三宅の姿はまるで指揮を取るコンダクターのよう。ダンサーのハイテンションと客席の熱気に当てられて限界以上を引き出された三宅自身も、最後の「好き好き大好きうーどっかん!」はやけくそ感するある絞り出し方だった。これぞライブ、これぞウサミンワールド!

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客席の息の根を止めに来る流れ、この2曲が来たら次はもしや、もしや…とちらほらピンクのサイリウムが折られる中、五十嵐裕美の「あんずのうた」が始まると客席は悲鳴とその数倍の大歓声に包まれた。かつて遠く徳島の地で初めて歌われた『シンデレラガールズ』楽曲は、今やライブでもっとも楽しみにされる楽曲となった。それでもさらなる進化を感じたのは曲中の「休憩」のシーンで、五十嵐が休憩に入ると昔は戸惑いがちなこともあった客席がバッチリとかわりのボーカルを入れる。そしてダンサーズまでもがだらんと座り込んで休憩していたのには思わず笑ってしまった。

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そして、アイマス史上屈指の暴走タイムは、五十嵐と杏にとって史上最も働いた時間でもあった。歌い終えた五十嵐がステージから帰ろうとすると、そこに松嵜麗演じる諸星きらりが登場!ライブステージ上で生「あんきら劇場」が始まると、きらりの発案で杏と客席が「ましゅまろ☆キッス」の振り付けを一緒に勉強することに!今までのあんきら劇場と言えば杏が飴目当てで働くことが多かったが、今回は「きらりの頼みなら仕方ないなぁ…」という感じだったのが、3年間関係性を積み重ねてきたんだな、と感じさせられた。松嵜がここでダンスレッスンコーナーを入れることを希望したのは、超ハイスパートなハジけタイムの中でかわいい「ましゅまろ☆キッス」が浮かないように、楽しさを持ち帰ってもらうために考えたとのこと。客席と一緒に歌って踊る松嵜はいつも以上に楽しそうで、スティックを振りながらの一緒にダンスは『シンデレラガールズ』ライブの新しい名物になりそうだ。

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ヘドバンしたり、ミミミンしたり、メデメデしたり、ほっこり一緒に踊ったり。おなじみの顔ぶれがいつも以上のパフォーマンスを見せたあと、最後に待っていたまさかの隠し球がライブ初登場となる鈴木絵理の「ミラクルテレパシー」だった。サイキック感のあるイントロと共に登場した鈴木は、くりくりの瞳をさらに見開いた表情の豊かさ、そして初ライブとは信じられない抜群の舞台度胸が魅力的だ。客席を高めに高めた鈴木とダンサーたちは、間奏でステージ上に突如サイキックカーテンを用意。どうやらサイキック人体消失マジックで、サイキックダンサーを消してしまおうというのだ。見事サイキック人体消失マジックに成功した鈴木がさらにカーテンを一撫ですると、そこにいたのは出番を終え、お茶を持って控室でサイキック休憩中だったサイキック五十嵐裕美!出したり消したり、もうよくわからないがとてつもなく楽しいサイキックサプライズだった。だが鈴木が真に非凡だったのは、そんな楽しくもゆるい寸劇で弛緩しかけた空気を、「全てをひとつに届けー!」のワンフレーズで再び歌の世界に引き込んだこと。そこからテンションの高さに情感を加えた落ちサビ、そして最後に客席全体を巻き込んでのサイキックユニゾンの流れは、まさに無敵。その後のMCで「今日はスプーンを用意してきました」とカメラにスプーン型のネイルを見せつけてから指を曲げ「スプーン、曲げ!」と言い切る度胸といい、いやはや、すごいニューカマーが現れたと驚かされた。

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強烈な流れの最後を受け止め、締めくくるのは、原、佳村、山本の勝手(に名乗ってる)ユニット「よくばりSi☆s」による「Orange Sapphire」!面白チームのイメージが強い三人だが、絆の深い城ヶ崎姉妹コンビにパッションの真ん中に立つエネルギーの塊、原を加えたトリオは無敵感が強く、パッションあふれるこの曲をここで歌うのはやはりこの3人しかいない。ラスサビの頭、少し切なさをにじませるロングソロパートを大観衆のどまん中で歌い上げる原を見ていると、やはりパッションの柱はこの人なんだなと感じた。

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