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REPORT

2014.10.11

やっぱりゆっちの歌声が、大好きでした。「Yui Makino LIVE “Welcome to the Yuchhiyland ~牧野的夢中空間~”」レポート

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10月5日(日)にshibuya duo MUSIC EXCHANGEにて開催された、牧野由依のワンマン・ライブ「Yui Makino LIVE “Welcome to the Yuchhiyland ~牧野的夢中空間~”」。牧野の歌声と巧みなパフォーマンス能力が、彼女自身の思い描くそれぞれの“エリア”の魅力を来場者に存分に届けていた。

台風近づくなか、歌姫の登場を待ちわびるduo。3年ぶりのシングルを引っさげてのワンマン・ライブということで、その待望さもひとしおなはず。もう「新曲はまだですか?」なんて自虐はいらない。彼女がファンに届ける「夢中空間」が、今このとき広がろうとしていた。ステージ背景には“Yuchhiyland”のロゴと、ジェットコースターにサーカステント、観覧車。そこにそれぞれケモノ耳をつけたキャスト(=バンドメンバー)が入場すれば、いよいよYuchhiylandの開園のときだ。

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まずはなんと“Pちゃん”として、ピアニカで「遠くまで行こう」のイントロを演奏しながら登場した牧野。なるほど、これは入場ゲート付近のエンターテイナーといったところか。1コーラスを歌い上げたのちに一旦退場するPちゃんは、「みんなー、Yuchhiylandへようこそー!」とナレーションでお客様をお出迎え。“エリア説明”も交え、この日のセットリストの顔ぶれの豊かさを早くも予感させていた。

 

ハッピーにキュートに、そして時に切なく。
その歌声は「何色にだってなれそう」。

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ナレーションが終われば、お召し替えの済んだ歌姫がステージに再登場。3年振りのニュー・シングル「囁きは“Crescendo”」で、たちまち来場者の表情を笑顔に変える。この多幸感は、楽曲自体もさることながら、新譜をファンに届けることのできた彼女自身からもにじみ出るものなのだろうか……などと思っていたら、舞台上からいきなり金テープが発射!一瞬たりともステージから目が離せない、いや、離したくないと感じさせるほどの展開だ。そんな「何色にだってなれそうなmoment」から、牧野がいかに色を変えていくのかも、このライブの見どころだ。

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テーマパークといえば欠かせないのが「Merry-go-round」だろう。ひたすらにハッピーでキュートなゾーンを繰り広げる彼女の周りでは、幸せが回り続ける。そしてそれは、すべての来場者にも染み渡っていくかのようだった。そしてこの曲では“幸せ”のほかに“楽しさ”もプレゼント。Pちゃんがカゴに入れて持ってきたアメをフロアに撒き始めたのだが、途中から歌そっちのけでアメを撒く展開で、笑顔を振りまく。続く「Zipper」では観ている側が「どんどん好きになっちゃう」ほどのキュートさを振りまき、とりわけフリを交えたDメロでは来場者をメロメロにしていた。

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ここで“園長”と自称してMCを始める牧野。だが、理想のテーマパークを作ろうと考えてふと「自分のテーマパークの思い出」を思い返すと、「ない」と気づいた、と笑わせる。しかし、今ここでは過去なんて関係ない。彼女が語るように、「自分の希望がいっぱい詰まったYuchhiylandで、楽しい思い出をいっぱい皆さんと一緒に作れたらいい!」のだから。

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さて、一行はファンタジーゾーンを抜けて、花が咲き乱れるスペースへと移動。その花の香りを感じさせる、少し切なげなナンバー「春待ち風」からこのエリアはスタートする。彼女ならではの魅力である弾き語りで披露されたこの楽曲では、開始前に表情を変え、楽曲を自らの中に“入れる”作業が見られた。このあと幾度となく公演中に見られるこのスイッチの切替は、彼女の楽曲に向かう真摯さを端的に表したもの。だからこそ、鍵盤・歌声の両面から絶妙なバランスのほのかな切なさが漂ってくるのだろう。その切なさは続く「二度目のハツコイ」へも引き継がれる。こうしてシンガーにとどまらず“アーティスト・牧野由依”が紡ぎ出す音だからこそ、より胸をきゅっと掴む響きが生まれるのだろう。

そんな切ないエリアを抜けたところで、一同は一旦売店へと寄り道。ライブグッズの紹介でひと盛り上がりだ。ここでのMC力もさすがなもので、自分の曲のワンフレーズにのせてグッズを披露する様は堂に入ったもの。切なさを超えた先には、ひとときの楽しさがあった。紹介の最後には「……ぜひ!(※同時に物販エリアを指差す)」という鉄板の流れも、笑いを誘う。

 

激しい楽曲でも凛と立つ、彼女の“選択”。

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そうして楽しさの方向に舵を切ったYuchhiylandは、イベントエリアに突入。“コンサート”ではない“ライブ”ならではの、キャラソンコーナーのスタートだ!「若草色のクライナー・フォーゲル」で爽やかさの中にほんのりキュートさを交えれば、「絶対高校デビュー計画」は一転してロッキンなナンバー。彼女もステージ上を縦横無尽に動きまわり、さらにはコールを煽ったりと、これまでにないベクトルの元気さとパワーを見せつける。

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そしてそのパワーは次なる楽曲でシリアスなベクトルを向く。「快楽原理」だ。ラスサビ前の間奏では客席に背を向けて改めてまた曲を“入れる”し、後奏では微動だにせずに、凛と立つ。非常に激しい曲なのに、ここで彼女はあえて動かないことを選択した。それは、曲の終わりまでの一挙手一投足すべてを自らの表現と考え、楽曲の世界にベストな手法を取るという彼女のポリシーの表れだ。そして前2曲も含めてはっきり“キャラソン”としてそれぞれ色分けをしてくる彼女の歌声の魅力を、改めて感じざるを得ない瞬間だった。

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