二次元と三次元とが、完璧なる融合を見せた世界。“EGOIST LIVE TOUR 2014”東京公演レポート

2011~2012年に放送されたTVアニメ『ギルティクラウン』の劇中アーティストとしてryo(supercell)プロデュースのもとデビューし、同作のOP/EDテーマや挿入歌を提供。放送終了後にはフルアルバムを発表した上、別アニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』のEDテーマを担当するなど、番組の枠を超えて活動を展開してきたEGOISTが、初の国内ライブツアーを大阪・東京・名古屋で敢行した。

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アニメという二次元の存在が、ライブハウスというリアルな三次元空間に如何にして姿を現し、如何なるパフォーマンスを披露するのか?シーンの高い注目により全公演が即日完売を果たしたなかで幕を開けたZepp Tokyo公演は、最新鋭のCG技術と生々しい息吹が絶妙の化学反応を果たしたものとなり、新世紀の新たなエンターテイメントを示して、オーディエンスの心を激しく震わせた。

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開演時間になると鐘の音が鳴り、舞台を覆うスクリーンに“EGOIST LIVE TOUR 2014 ”の文字が浮かぶ。続いて“ねぇ、完璧なものって?”と、完璧を形作る線と点についての哲学的モノローグが語られるが、その声は『ギルティクラウン』でEGOISTのボーカル・楪いのりを演じていた茅野愛衣のもの。つまり、これはいのりの精神世界ということか。そして“Zepp Tokyo!会いたかったです。行くよ!”の声が響くと、オレンジ色のステージ衣装、通称・金魚服をまとったchellyがスクリーンに登場。「Extra terrestrial Biological Entities」の心地よいエレクトロビートに乗せ、細かくテンポを刻むchellyの動きは生身のアーティストと寸分違うことなく、とても二次元の存在とは思えないほどリアルなその様に、まずは度肝を抜かれる。

3DCGで創られたキャラクターがアーティスト自身の体の動きとリアルタイムでリンクしてパフォーマンスする最新技術を採用することで初めて可能になったバーチャルライブは、スクリーン上のサイバー映像や場内を飛び交うレーザー光線と完璧なシンクロを果たし、瞬時に会場を宇宙の果てへと連れ去ってゆく。衣装の袖をひらひらと揺らめかせながら、ステージを右へ左へ移動するchellyにクラップが沸く「LoveStruck」、星空をバックに歌われる切ないバラードにサイリウムが左右に揺れる「キミソラキセキ」と、フロアの熱気&一体感も高まるばかり。“私は唄おう 名もなき物のため”というモノローグから、それを歌詞に持つ「Euterpe」へと繋ぐのも見事で、音と映像を駆使した曲間の繋ぎの上手さ、そこからライブ全体をひとつの物語へとドラマティックに紡ぎあげていたことも、この日の大きな特徴と言えるだろう。

モールス信号にポエムが乗り、『PSYCHO-PASS サイコパス』のダイジェスト映像より雪崩れ込んだ同作のEDテーマ「名前のない怪物」からは、chellyも黒いドレスにお召し変え。疾走ロックに長い髪が靡く「雨、キミを連れて」を挟んでは、“みんな楽しんでる?私もとっても楽しいです!緊張感もあるけど安心感もあって、それは皆さんのおかげ”と生声によるMCもなされた。ディープなダンスビートに手拍子が起こる「elbadaernU」、曲中で“Zepp Tokyo!まだまだいくよ!”と勇ましく煽った4つ打ちサイバーチューン「好きと言われた日」とアッパーに攻めたてて、“実は次の曲で最後になります”と告げれば、客席からは“えーっ!”の大合唱。そして“あなたの隣で道なき道を一緒に歩いてくれる、そんな曲です”と贈られたバラード「All Alone With You」では、サビで黒ドレスが一瞬にして白いドレスへと変わり、囁くように“ありがとう”と告げて消える、その一連の流れにバーチャルという儚い存在がゆえの美学を叩きつけられた想いがした。

「The Everlasting Guilty Crown」から始まったアンコールでは“ハイハイ!”とフロア中から拳があがり、熱狂は一段とグレードアップ。続く「Lovely Icecream Princess Sweetie」の曲頭で黒Tシャツ&ミニスカートへと衣装チェンジしたchellyが、ポニーテールを揺らしてかわいらしいダンスでオーディエンスを魅了すると、フロアから沸き上がる「手遅れ」の大合唱で盛り上がりはピークに。そこから一転、白ドレスで“あなたの愛する人に、この歌が届きますように”と珠玉のバラード「Departures ~あなたにおくるアイの歌~」が贈られると、消え入る寸前の美しい高音ファルセットが人々の胸を締めつける。chellyの歌声は決してタフなものではなく、どちらかと言えば繊細でか弱いものだが、息を吸い込む音まで露わにする懸命さが切なすぎて、存在と非存在の狭間にいる唯一のアーティストにはうってつけ。“ありがとうございました”と星空に消える少女ボーカリストに、これ以上ふさわしい声はないのだ。

ダブルアンコールでは客席からのリクエストに応え、再び「名前のない怪物」を熱唱。その際、“あ、今、聞こえた”とフロアを指差す動きもリアルで驚かされた。“今日はホントに楽しかったです!”とステージを隅から隅まで走って挨拶する姿も、生身のアーティストと何ひとつ変わるところはない。アーティストとして完全に独り立ちを果たしたEGOISTの新たなる挑戦は、きっと音楽シーンの常識を変えてゆくだろう。

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Text by 清水素子

“EGOIST LIVE TOUR 2014”
2014.08.31@Zepp Tokyo

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