サイリウムはなくても、あふれる笑顔がいちばんの輝き!“佐藤聡美1st Tour”東京公演レポート

佐藤聡美1st Tour『しゅがちゅん。~☆を集めに行くツアー2014~』”の東京公演が、2014年8月2日にshibuya duo MUSIC EXCAHNGEにて開催。佐藤聡美が創りあげたかった空間をみんなで作って、みんなで楽しく盛り上がった、素晴らしくアツいひとときがそこにはあった。

今回の彼女のツアーでは、彼女自身の意向で応援は“ノー・サイリウム”。アニメ・声優系イベントでは使われることがもはや常識に近かったサイリウムなしに行われるライブで、彼女が形作りたいものは体現するのか?と、期待に胸が高まる。
自らのギターを“勇者の剣”と称する彼女らしく、客入れBGMは某RPGのテーマ曲。 “さとみクエスト”の幕開けを待ちわびるにはふさわしい。

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そして、紗幕越しにギターを携えた佐藤のシルエットが映し出され、幕が落ちれば「Brave Morning!!」からツアー・ファイナルのスタート!アルバム『☆(スター)』のジャケットを飾った白ワンピースでお目見えした彼女は、物怖じするどころか満面の笑みでギター・ボーカルを務める。その姿は、「弾けるかどうか不安」と語っていた半年前が嘘のよう。若干のぎこちなさは残しながらも、自信たっぷりの表情で堂々と立っていた。
続く「♡’s☆cReaM♪(アイスクリーム)」では、噴射機から出されるすさまじい量の炭酸ガスで爽やかさと冷たさをお届け。サビ前のセリフをキュートに放ったかと思えば、その炭酸ガスをお立ち台から客席全体へ楽しそうに撒き散らし、とろけそうなフロアを少しだけ冷やす。このように、ファンとのコミュニケーションを取る場面が多々見られたのが今回のライブの特徴。タオル曲「Starlight Fortune」では、掛け合いの多さを存分に発揮していた。かと思えば、彼女の“役者”としての顔が原曲よりも歌声にさらなる色をつける。

MCではフロアから乱れ飛ぶ「かわいいよー!」の声に「……わるくない。」半分戸惑い、半分照れをみせる佐藤。そんな、パフォーマンスとは一線を画した彼女のマイペースなMCには「しゅがらしくていい!」との声も飛んでいた。

お立ち台を存分に使っていたのが続く「魔法のようなもの」。このアクティブさは、元々ロック好きな彼女の想いが、ファンを目の前にしたことによってあふれんばかりに発露した結果だろう。逆にそんな彼女を観たフロアのファンはもちろん、間奏で彼女とアイコンタクトをした“しゅがぁず。”(=バンドメンバー)は、みんな“魔法のようなもの”にかかっていたはずだ。
そして“東京しゅがハーモニーオーケストラ”なるバイオリン隊を引き連れて「さよならギャラクシー」を披露。生音ならではの疾走感をこの曲に与える。

続くMCでは、このツアーを迎える前にしゅがぁず。と密かに都内の小さいライブハウスで武者修行をしていたことを明かす。そのときスタッフからは「本番ですごく感動するよ」と言われていたが、「その意味がツアーになって実感できた」と改めて笑顔で語る彼女。きっと、その武者修行からが本当の意味での“アーティスト・佐藤聡美”の冒険の幕開けだったのだろう。
一転、夕暮れに包まれたステージ上からしっとりと届けられた「オレンジdays」で前半戦は終了。ステージ後方のスクリーンにはファンから寄せられた『☆』発売前の「☆」にまつわる写真が次々と映し出され、まさに “天体観測”の様相を呈す。その中にはなんと、しゅがぁず。や佐藤自身のものも。

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上映後、佐藤は浴衣姿で再登場。「天体観測ときたら、次はお祭りでしょ!」とカバーゾーンに突入だ。まずは名曲「輪舞 -revolution」(TVアニメ『少女革命ウテナ』OPテーマ)を凛々しく披露。元々の彼女のイメージにはあまりない姿ではあったが、例えばこれにスタンドマイクが付加されたらどれだけかっこいいだろう――などと、不覚にもさらなる“りりしゅが”像を夢想してしまうほどの素晴らしさで、ひとりでも多くの人に“表現者・佐藤聡美”のステージを観てもらいたくてたまらなくなる。続いてもスタイリッシュに「月華-tsukihana-」(TVアニメ『地獄少女 三鼎』OPテーマ)を歌唱。のちのMCでも語られていたが、この作品は彼女にとって初メイン作で、まさに「役者・佐藤聡美クロニクル」を感じさせる選曲。そしてカバー曲ラストは「優しさの理由」(TVアニメ『氷菓』OPテーマ)。爽やかなサウンドに力強くもどこか甘い彼女の歌声が合わされば、まさにそれは“氷菓”そのものだった。

続けて今度はツアー開催記念EP盤に収録の「恋のメロンソーダ」へ。サーフ・ミュージック調のアイドル・ソングのアクセントとなるのは、やはり顔・声の表情。“佐藤聡美ならでは”の甘さを感じる瞬間だ。

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そんな楽しい時間も終わりが近づく。「私もやだやだー!」とおどけて見せながらも、「今回満足できなければ次に繋げればいいだけ!」と力強い決意ものぞかせる。そしてパチンとスイッチが切り替わったかのように、荒々しく「まだまだ行けんのか東京ー!!」「もっともっとー!!」とお立ち台に片足をかけて叫び煽る佐藤。その雄々しさに全力でファンも乗っかり、ライブは終盤戦へ突入する。
「You Know」ではその声に応えるかのようにまたも客席ギリギリまで攻めれば、「最後まで盛り上がってくぞー!!」の叫びとともに、「White Canvas」「sweet! sweet!! sweet!!!」へとなだれ込む。ラスト曲「sweet!――」ではトランペット・トロンボーンから成る“東京しゅがぱらだいすオーケストラ”が登場。ステージ上の佐藤もテンションMAXなようで、MCもどんどん攻撃的に。かと思えばオチサビではキュートさものぞかせる彼女は、本当に不思議で、本当に魅力的なアーティストだ。「楽しかったよ!またライブやろうねー!」とのメッセージとともに、ここでひとまずライブは幕を下ろす。

しかしまだだ。まだ1曲、大切な「あの曲」が残っている。すかさず「アンコール!」の声が上がり、その声が徐々に「しゅ・が・あ!」へと塗り替えられる。
そのアンコールの声に応えて……なんと物販の紹介(笑)。とともに、グッズを携えたしゅがぁず。が徐々にステージ上に登場し、最後に佐藤が登壇して披露する曲は、もちろん「ミライナイト-Studio Live ver.-」だ!

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ストリングス・ブラスの両オーケストラも再登壇し、この日のフルメンバーで披露されたこの曲。「桜の花びら」という歌い出しからもわかるように、春の爽やかさと希望が描かれたこの曲。それを歌う彼女が携える“勇者の剣”のストラップは桜色で、気づけばステージも同じ色に染まる。

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そんな視覚的要素でこの曲の世界観に没入すれば、次に感じるのは「歌が好き!一番大事なこと」のフレーズの大切さと重さ。ここに至るまで様々な楽曲やステージを経てきたからこそ、このフレーズはより説得力を持ち胸を打つ。同時に、ステージに立つ彼女の笑顔もたまらなくうれしい。楽しそうに「もっと!」と煽る姿が、余計にそう感じさせていた。最後の「オーライ!」はファンへコールさせ、しっかりフロアをリードしたギターボーカル・佐藤聡美。「楽しくてあまい時間が過ごせたよ!いい思い出をありがとう!」との言葉とともに、全員でジャンプして曲を締めた。

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うれしさのあまり「一人ひとりの顔、見とこ!」としっかりフロアと向き合い、「また絶対会いましょう!」と改めて決意と希望を口にした。
そして、10月の「いい意味で裏切れる(佐藤談)」という2ndシングルのリリースを発表したのち、ノー・サイリウムなどのお願いに協力してくれたファンに「こんなにいいファンはほかにはいないよ!」と改めて感謝の言葉を告げ、彼女の1stツアーは幕を下ろした。

サイリウムのない、いわゆる「アニメファンの流儀」とは一線を画した世界となった今回のライブ。しかしファンはそれを心の底から楽しみ、キラキラ輝く笑顔で彼女を見送った。流儀など関係ない。みんなが一緒に、みんなで盛り上がれれば、そこは笑顔という輝きで満ちあふれることを証明してくれた。
そんな輝きだらけの会場において強い輝きを放っていたのは、やはり佐藤聡美その人である。“勇者の剣”を携えてステージ上を絶えず笑顔で縦横無尽に動き回っていた彼女こそが、この日のduoでは間違いなくひときわ輝く「☆(スター)」だったのだ。

Text by 須永兼次(リスアニ!)


佐藤聡美1st Tour『しゅがちゅん。~☆を集めに行くツアー2014~』
2014.08.02@shibuya duo MUSIC EXCAHNGE
SET LIST

M1…Brave Morning!!
M2…♡’s☆cReaM♪
M3…Starlight Fortune
-MC-
M4…魔法のようなもの
M5…さよならギャラクシー
-MC-
M6…オレンジdays
M7…輪舞-revolution
(TVアニメ『少女革命ウテナ』OPテーマ)
M8…月華-tsukihana-
(TVアニメ『地獄少女 三鼎』OPテーマ)
M9…優しさの理由
(TVアニメ『氷菓』OPテーマ)
-MC-
M10…恋のメロンソーダ
(1st Tour 開催記念EP盤より)
-MC-
M11…You Know
M12…White Canvas
M13…sweet! sweet!! sweet!!!

EN…ミライナイト-Studio Live ver.-
(TVアニメ『生徒会役員共*』EDテーマ)

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