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2014.07.28

キャラクターが歌い手としての新しい魅力を引き出す可能性。「ワンダーフェスティバル2014[夏]」『シンデレラガールズ』キュートセレクションステージレポート

幕張メッセで開催された国内最大のフィギュア・ガレージキットイベント「ワンダーフェスティバル2014[夏]」内「WONDERFUL HOBBY LIFE FOR YOU 20」特設ステージにて7月27日「『アイドルマスター シンデレラガールズ』スペシャルステージ“キュートセレクション”」が開催された。

来年1月からのアニメ化が発表され、ワンフェスのステージイベントも恒例になってきた『シンデレラガールズ』だが、今回のステージは“キュートセレクション”。ゲーム内に存在するキュート・クール・パッションの三属性のうち、キュート属性のアイドルを演じる島村卯月役の大橋彩香、前川みく役の高森奈津美、小日向美穂役の津田美波、佐久間まゆ役の牧野由依が出演した。同様の属性イベントとしては「パッションセレクション」が7月19日の『ニコニコ23時間テレビ』内で実施されているが、キュートキャラだけが集まるイベントは初めての開催だ。

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立錐の余地もない超満員のステージに、4人は「お願い!シンデレラ」を歌いながら登場。衣装はピンク色をベースに大きなリボンをあしらったり、幾重にもフリフリのフリルをあしらった「ザ・アイドル」という感じだ。イベントが行われたのが「グッドスマイルカンパニー」「マックスファクトリー」「Phat! – ファット・カンパニー -」などのフィギュアメーカーが合同出展するブースなこともあり、それぞれが“キュート”にちなんだお題に沿ってアイマスフィギュアを紹介していくという趣向だ。

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“たぬきキャラで”少しやけくそ気味にフィギュアをアピールした高森、“ヤンデレでかわいく”紹介した牧野、“恥ずかしながら絞りだすようなひと言”の津田、“ブリっ子でストレートにかわいく”の大橋と四者四様のお題に、ときに突っ伏しながらチャレンジした4人。いずれ劣らぬ好演だったが、ビジュアルも含めて佐久間まゆが乗り移ったような牧野の「かわいいヤンデレ」が最も投票で支持を集めていた。

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ライブステージコーナーでは、なんと各メンバーのソロ曲もありの豪華な内容。高森は新衣装におなじみの猫耳をつけて「おねだり Shall We ~?」を披露。冒頭の鼻歌からはにかんで微笑むところで完全にキュートスイッチが入っているのが流石だ。「にゃー!にゃー!」コールを要求して煽る高森に客席が応えていく様子はまるでライブ会場。フルライブでは大階段があったりの大掛かりなステージで「みく劇場」を作り出す高森だが、ワンフェスの簡素な雰囲気でも彼女の楽しそうな笑顔と雰囲気、表現力に変わらずに引き込まれてしまった。高森は「お願い!シンデレラ」のクール・キュート・パッションパートを制覇(対応する属性の出演者がいないときは、誰かがかわりに担当する)したことを明かし、「困った時には高森でお願いします!(高森)」とニヤッと笑いながらの売り込みに余念がなかった。

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津田が歌い始めるのを見て、キュート属性、特に今日の出演者は声優とキャラクターの性格や雰囲気が違っていても、歌に入った瞬間からキャラクターがオーバーラップするような「空気」を強烈に放つ、入り込むタイプが多いように感じた。「Naked Romance」を歌う津田の表情がなんとも小日向美穂っぽいことが近距離のステージイベントだとわりわかる。現実の「今」ではなかなか成立しない正統派アイドルらしい佇まいが“キャラクター”をまとうことで自然なかわいらしさとして届いてくるのはアイマスならではだろう。「ソロ曲は二回目なんですけど、本当にうれしかったです。私もすごい楽しかったのでまたこういう機会があったらいいなと思います(津田)」

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そして牧野由依は、今回のステージが『シンデレラガールズ』関連イベントへの正真正銘の初登場。アーティストとしての牧野を知っている人間なら、佐久間まゆっぽいショートヘアのウィッグに、アイドルアイドルした衣装がこれほど完璧に似合うことに驚いたに違いない。小指から手首にまとわせた赤いリボンは「赤い糸」であり、束縛の象徴であり。「エヴリデイドリーム」の冒頭、軽く小首を傾げながら左手首にリボンの赤を添わせる姿はどこか暗示的だ。かわいい、ちょっと重い、かわいい。だが軽やかなイントロとともに80年代アイドルライクな振りが始まるとやはり圧倒的にかわいい!ベースの歌唱力はそのままに、キャラクターを演じて歌うかわいさを山盛りで乗せてくるのだから、これはもう強い。また、アイドルらしい手の振りの多用により小指に結んだリボンが常にひらめくのが楽しいな……と思って気がついたのだが、普段の牧野は右手にマイクを持って左手にニュアンスをつけながら歌うことが多いが、今回は逆手にマイクを持っている。「まゆが隠していることが多い左手に添えた赤いリボン」に意味を持たせるためにそこまでやるか、と唸らされた。「初めて『シンデレラガールズ』のステージで歌わせてもらって、緊張しましたね!また一緒のステージに立てるように頑張ります!(牧野)」

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トリで登場はもちろん大橋彩香。今回はキュート勢のみの参加だったこともあり、今までにワンフェスで行われた『シンデレラガールズ』イベント唯一の皆勤参加となった。ワンフェスというステージで大橋が歌う「S(mile)ING!」を定点観測していると、とにかく圧倒的に安定感が増している。「安定したボーカルのCDに比べて、情感があふれ出るライブがいい」パターンはたくさんあるが、CD音源に比べて圧倒的に安定しているのはたゆまぬ努力の成果でしかありえない。そしてボーカルが安定し、それに裏打ちされた自信を手に入れたことで、大橋のいちばんの魅力であるひまわりのような笑顔がより輝き、そして微笑みながら歌っている姿には美しさすら感じる。子供っぽさを感じた初期に比べて、アイドルとして、センターとして大きく成長したことを(歌っている間は)強く感じた。「いやー、楽しかったー!今日は心に余裕ができてのびのび歌えた気がします!楽しかったです!(大橋)」

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そしてラストの4人曲は、なんと「お願い!シンデレラ」のハピハピver.。諸星きらり(松嵜 麗)と双葉 杏(五十嵐裕美)のイメージが極めて強い曲だが、「にょわにょわ」パートは客席が野太く担当するというまさかの裏ワザ。個人的にはやっぱりあんきらがいないと!と思うが、今日だけ(かもしれない)のキュートステージで、二度と聴くことができない(かもしれない)組み合わせのハピハピver.というのは面白くも感じた。

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それにしてもワンフェスのステージイベントのトリを務めるイベントで、6曲もの楽曲を披露。グッドスマイルカンパニーの安藝貴範社長、マックスファクトリーのMAX渡辺社長も客席の盛り上がりと幸せそうな表情に感嘆するようなステージを『シンデレラガールズ』のメンバーが繰り広げたことに、遠くまで来たなという感慨を感じた。ステージとワンフェスの最後は、4人が音頭をとっての「WONDERFUL HOBBY LIFE、FOR YOU!!」の大合唱で締めくくったのだった。

Text&Photo by 中里キリ

「ワンダーフェスティバル2014[夏]」『シンデレラガールズ』キュートセレクションステージ
2014.07.27 幕張メッセ

(C)BNGI/PROJECT CINDERELLA

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