リスアニ!WEB – アニメ・アニメ音楽のポータルサイト

INTERVIEW

2014.06.24

「ガンダム35周年」を祝うカバー・アルバム『NT GUNDAM COVER』発売記念スペシャル・インタビューその1・玉置成実編!

――続いてが『Gガンダム』のEDテーマ「海よりも深く」。ずっと刻みが速くて、ある意味これがいちばんボカロPらしいアレンジになっていますね。

玉置 そうですね。当初よりテンポを落としていただいたんですけど、それでも何回も噛みそうになりました(笑)。テンポが速かったせいもあるんですけど、この曲がいちばんレコーディング時間が短かったですね。

――玉置さんは『Gガンダム』ぐらいからがリアルタイム世代ですか?

玉置 私は『Gガンダム』は後追いですね。『G』って世界観が独特じゃないですか。賛否がはっきり分かれる作品だと思うんですけど、私はすごく好きで『G』の曲は入れたいってずっと言ってました。あの個性はシリーズのなかでもほかにないものだと思うので。

――僕ら30代ぐらいの世代は、放送当時はそっぽ向いてたのに、今になって見返して良かったって言ってるんですよ。天の邪鬼な部分が多分にあると思うんですけど、『G』とか『X』とかを今になって再評価するみたいな感じで。

玉置 インパクトありますからね。私も最初観たときはびっくりしました。そこが逆にクセになるというか。

――この曲はアニソン系のクラブ・イベントでもかけると盛り上がるんですよ。なのでこのアレンジをかけてみても面白そうだなと。そして次が『ガンダムW』の「JUST COMMUNICATION」。

玉置 これも「歌ってそうだよね」って言われたんです。原曲から声が聴こえる感じがするって。

――たしかにいちばん違和感がないというか、普段の玉置さんの楽曲とあまり変わらない歌い方なのかなと。

玉置 そうですね。たしかにあまり深く考えずナチュラルに歌ってましたね。

――この曲もアレンジはまさかの展開ですね。

玉置 私も歌はラフの状態で録っていたので、完成が全然想像できなかったんですけど、仕上がってみてびっくりしました。「わあ!こうなるんだ!」って。

――じゃああの裏打ちのリズムとかは歌ったあとで入ったんですか?聴いていて「これ、人間が歌う曲なんだろうか」とか「よく歌えたな」と感心してしまいました。

玉置 気を抜くとつられますよね。クリック音が大事というか(笑)。

――そして「DREAMS」があって、「暁の車」があって最後にご自身の「Believe」で締めると。これもかなりクラブミックス寄りというか、ダンサブルな方向にアレンジされてますね。

玉置 もう原曲がイントロからして勢いがあるので、またガラッと変えたいっていう意識がありました。

――この曲もメタル的というか、ギター、ベース、ドラムのボリュームはかなりアップしていますね。

玉置 原曲はデジタル色が強いので、そのイメージを生楽器で崩してみたいなと思いまして。

――全編を通して踊れるアレンジに仕上がってるアルバムですね。

玉置 そうですね、私らしい作品になったと思います。ガンダムということを抜きにしても面白いアルバムになってるなと。

――僕も本当にニヤニヤしながら聴いてました。リスナーが原曲をよく知っているというのは、カバー・アルバムにおいて大事だと思うんですよ。原曲と聴き比べて「こうきたか!」って驚く楽しみがあるので。その点このアルバムは、ガンダムファンなら1曲ごとに驚きながら聴けると思います。

玉置 聴いてほしいですね。もちろん賛否はあると思うんですが、私自身がカバーすることに意味のあるものにしたかったんです。まったく玉置っぽさがないアレンジでカバーすると、せっかく作る意味がなくなってしまいますし。そこは想像以上の音で作れたなと思ってます。「どうしてこの曲が入ってないんだ」っていう意見もありましたけど、それはもう平に「すみませんでした」と(笑)。2枚組にできればよかったんですけど……。40周年のときにはまた頑張りますので。

――今後もイベントがあったり、玉置さんご自身のライブもあるとのことですが。

玉置 そうなんです。リリースイベントでお台場のガンダムの前で歌わせていただけることになって。

――ガンダムの前でガンダムを歌うっていう。

玉置 ぜひともやりたかったんですよ。35周年っていう節目のおかげか、面白いことがたくさんできていて、ジャケットの写真とかも普通は絶対できないですよ。バンダイのスタッフさんがついてくださって、わざわざプラモを持ってきていただいたりして。モコモコのラグの上で立たせるだけでも大変なのに、立体感のあるポーズをつけてくれて。

――玉置さんご自身、どの作品が直撃世代にあたるんですか?

玉置 デビュー当時は中学生だったので、どれかといえば『SEED』なんですよ。絵とかも女の子が入っていきやすくて、周りの子も観ていました。

――そう考えると、『SEED』との付き合いは本当に長くなりましたね。では最後に、アニメ音楽専門のメディアとして、現在のアニメ音楽についてお聞きしたいと思います。玉置さん自身もTom-H@ckさんに声をかけるぐらいなので、いろいろな作品を観て聴いてらっしゃると思いますが、そういった視聴経験のなかで感じた、この業界の面白さって具体的にどんなものでしょうか?

玉置 そうですね……やっぱり作品に対してきちんと一から作っているものって、やっぱり視聴者にはしっくりくると思うんです。内容と歌詞がリンクしているとか、作品と音がマッチしてるとか、その世界観がバチッとひとつになっているものは引き込まれます。

――具体的に映像と音楽、物語の内容と音楽がマッチングしたなっていうタイトルはありますか?

玉置 最近だと『はがない』ですね。昔のものだと『うる星やつら』、『らんま1/2』とか、あのへんの楽曲が大好きです。曲やサウンドの作り方もクレイジーというか、いわゆる普通の歌謡曲ではないんだけど世界観には合ってるっていう。『キルラキル』の藍井エイルちゃんの曲もテンション上がりますよね。「観なきゃ!」って戦闘態勢になって、観終わったあとは「次回が楽しみだな」って気持ちになる。自分もせっかく歌えるのであれば、観てくれる人のために歌いたいなって思うので、そういう作品とリンクしてるものがいいなと思います。

――なるほど。パフォーマンスも含めて、今後のイベント展開も楽しみにしています。

玉置 ありがとうございます。あとは部員が3人しかいない私の「ガンプラ部」を広げていきたいなと(笑)。

――そういえば岸さんも昔ガンプラを作ってらっしゃったそうですよ。

玉置 ほんとですか!?お誘いしてみようかな(笑)。

Interview by 西原史顕(リスアニ!)
Text by 市川太一(クリエンタ)

[プロフィール]
タマキナミ/6月1日生まれ、和歌山県出身のアーティスト。’03年、TVアニメ『機動戦士ガンダムSEED』のOPテーマ「Believe」でデビューし一気に脚光を浴びる。以降続編『SEED DESTINY』も含め、OP/EDテーマを4曲担当。同時に、キレのあるダンスを存分に披露するPVもたびたび話題となっている。近年では歌手活動のみならず、その歌声とパフォーマンスを生かしてミュージカルでも活躍。活動の幅を広げ続けている。


■CDリリース情報
玉置成実『NT GUNDAM COVER』(エヌティーガンダムカバー)
2014年6月25日発売
news-1406132120-c002

価格:¥2,500+税
品番:TECI-1407
<収録曲> 
1.めぐりあい(機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編)
2.嵐の中で輝いて(機動戦士ガンダム第08MS小隊)
3.MEN OF DESTINY(機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY)
4.Z・刻をこえて(機動戦士Zガンダム)
5.サイレントヴォイス(機動戦士ガンダムZZ)
6.ETERNAL WIND ~ほほえみは光る風の中~(機動戦士ガンダムF91)
7.海よりも深く(機動武闘伝Gガンダム)
8.JUST COMMUNICATION(新機動戦記ガンダムW)
9.DREAMS(機動新世紀ガンダムX)
10.暁の車(機動戦士ガンダムSEED)
11.Believe -NT GUNDAM COVER-(機動戦士ガンダムSEED)

スペシャル・インタビューその2(クリエイター編)に続く!

関連リンク

SHARE

RANKING
ランキング

もっと見る

PAGE TOP