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2026.10.24

KISHOW from GRANRODEOがBillboard Liveで描いたソロアーティストとしての現在地。多彩な楽曲で魅せたプレミアムステージを振り返る

KISHOW from GRANRODEOがBillboard Liveで描いたソロアーティストとしての現在地。多彩な楽曲で魅せたプレミアムステージを振り返る

GRANRODEOのボーカリスト・KISHOWが、ビルボードライブ大阪・東京で開催したスペシャルライブ“KISHOW from GRANRODEO Billboard Live”。e-ZUKAとの共演、懐かしいJ-POPのカバー、バラードからファンクまで。GRANRODEOのライブでは見られない、あらゆる曲調も自分のものにする変幻自在の歌声。大人の夜を彩った、8月12日の東京公演1stステージを振り返る。

TEXT BY 阿部美香

縦横無尽に表情を変えるボーカルが彩る、ビルボードライブのひととき

KISHOWの歌い手としての魅力を聞かれた時、真っ先に挙がるのはGRANRODEOでのパフォーマンスだろう。ハード&メタリックなロックをワイルド&パワフルに、太く、圧倒的な迫力と凄みのある歌声と圧巻の躍動感と共に聴かせるボーカリスト――それが、KISHOWのパブリックイメージであることは間違いない。だが、そんなベースがありながらもGRANRODEOでは、ハード&ラウドな楽曲以外で聴かせるKISHOWの違った一面がある。切ないバラードでは優しい歌声で溢れ出る感情を淀みなく伝え、おちゃめなポップスではアイドル顔負けのキュートで甘い歌声で翻弄する。その緩急に満ちた“歌心”はまさに、GRANRODEOの代表曲の1つ「変幻自在のマジカルスター」というタイトルを思い出させるように実に多彩。どんな楽曲にもフレキシブルに、しかも“KISHOWらしさ”を存分に加えながら、軽々と乗りこなしていく。

そんな変幻自在な歌のイリュージョンを、“e-ZUKA節”から離れた楽曲群で鮮やかに見せつけてくれたのが、2024年リリースのアルバム『深夜零時』だった。アダルトでバラエティに富んだ新感覚のシティポップにトライした、“KISHOW(from GRANRODEO)”名義のソロワークス。そこで提示されたのは、アーバンなR&Bから、サイケデリックなR&R、本格派のソウル&ファンクまで、多彩な音楽性を誇るGRANRODEOでもこれまでやってこなかった曲調とサウンド、そして、ひと味違うボーカルスタイル。アルバムリリース後の東名阪ツアー“KISHOW LIVE TOUR 2024 MIDNIGHT CIRCUS”でも、ファンにさえまだ全てを見せきっていなかった、ポップシンガーとしてのポテンシャルの高さを発揮した。翌2025年は、デビュー20周年という大きな節目を迎えた彼の“ホーム”であるGRANRODEOの活動をメインに据えていたが、GRANRODEOの音楽性が円熟味を示せば示すほど、ソロシンガー・KISHOWにまた会いたい!というファンの想いは、さらに膨らんでいたはずだ。

そして今年8月、満を持して開催されたのが、スペシャルなライブステージ“KISHOW from GRANRODEO Billboard Live”だった。会場はタイトル通り、8月10日がビルボードライブ大阪、8月12日がビルボードライブ東京で各昼夜2公演を開催。ちょっと贅沢な食事やお酒を味わいながら、アーティストの歌と演奏を間近で楽しめるビルボードライブは、アダルト&スタイリッシュなKISHOWソロにぴったりな大人のライブ空間となった。東京公演では、ロビーに飾られたファンからの豪華なフラワースタンドも、ビルボード東京というスペシャルな空間を華やかに彩る。コンパクトなステージをコの字型に取り囲む段差のついた客席は、普段、GRANRODEOのライブが行われるスタンディングがメインのライブハウスや大きなホールとはまったく違う、ライブレストランらしいラグジュアリーで落ち着いた雰囲気なのも、特別感を高めてくれる。

 

ゲストギタリスト・e-ZUKAとジャジーに交わる特別なセッション

ビルボードライブ東京での2回公演、1stステージの開幕は17時。各テーブルではKISHOWが愛飲する焼酎「いいちこ」を取り入れたコラボカクテルやジューシーな牛肉をあしらった豪華なコラボフードを楽しみながら、オーディエンスが開演を待っている。時が満ち、オープニングSEとして流れてきたのは「深夜零時(Interlude)」。KISHOWがe-ZUKAのインストナンバー「DD BLUES」に合わせて、部屋で1人、フェイクで遊んでいるというコンセプトのこの曲が、これから始まるKISHOWとオーディエンスとの濃密で親密な時間を象徴しているようだ。巻き起こる手拍子を浴びながら、客席を通ってバックバンド“Midnight Lovers”――大内 慶(Gt)、田辺トシノ(b)、一ノ瀬久(dr)、滝澤俊輔(key)、後藤天太(sax、fi)がステージへ。期待に静まりかえった会場を別世界に誘うように鳴らされたキラキラのウィンドチャイムからスタートしたのは『深夜零時』のオープニングを飾った「Every single night」だ。イントロにのって、KISHOWがすり鉢状にステージを見下ろす客席上の階段から降りて、軽やかな足取りでステージへ。その「深夜零時(Interlude)」が想起させたフリーな風景から繋がるように、KISHOWのリズミカルに跳ねるボーカルが伸び伸びと響く。いつものライブとは違う雰囲気に、少し緊張気味の客席をリラックスさせるように、自らクラップを煽りながら、軽やかにバンドとスウィングした。

少し照れたように、「一昨日は大阪でしたが、初めてですね、ビルボードライブ東京。楽しみにしてたんですけど、雰囲気もとても良く。まさかね、最前(列)のお客様も、こんなに(ステージが)近いとは思ってなかったと思うんです。手を伸ばせばね、きーやんのスネに触れられる!みたいな」と言いながら、足を伸ばして笑いを誘う。そして「早くもこの段階でゲストを。GRANRODEOっていうバンドから、あの孤高のギタリストを」とe-ZUKAを呼び込む。KISHOWと同じく上階に姿を現したe-ZUKAが、かくれんぼをするように階段を上ったり下ったりして遊び出すと、客席から歓声が上がる。ようやくステージに辿り着いて椅子に腰掛け、ギターをセッティング。東京公演前日の8月11日が誕生日だったKISHOWにとって、この日は51歳になって初めてのステージ。e-ZUKAが「おめでとうございます!」と祝うと、客席からも大きな拍手が贈られる。最初の挨拶では話も若干堅苦しかったKISHOWだが、e-ZUKAが隣に来ると、2人のトークがいつも通りのゆるりとした雰囲気になるのも面白い。

「51歳のKISHOWさんとは初コラボ。記念すべき共同作業の1曲目です」とe-ZUKAが告げ、KISHOWがタンバリンを振って始まった最初のe-ZUKAフィーチャリング曲は「Flower Tambourine Dance」。原曲は古き良きグラムロックを彷彿とさせるパンチの効いたロックアレンジだが、そこにe-ZUKAが乗せたのはフルアコースティックギターによるジャジーなオブリガート。KISHOWの張りのある歌声もソフトになり、不思議な聴き心地が生まれる。e-ZUKAのオクターブ奏法にユニゾンで絡むKISHOWのフェイクも新鮮。このライブでしか聴けない新アレンジで楽しませた。次にステージを包んだのはローズ・ピアノのメロウな響き。そこにe-ZUKAがジャズフレーバーのギターソロを重ねていく。都会の夜のジャズクラブのようなムーディーな雰囲気から、8ビートでバンドがイン。まろやかなe-ZUKAのギターソロとアルトサックスのソロが交差し、KISHOWがマラカスを振ってグルーヴィーに歌い出してはじめて、この曲がガラリと姿を変えたGRANRODEOの「Treasure Pleasure」であることがわかって驚かされる。原曲でのKISHOWは、ヘビーなサウンドをねじふせるような歌声を聴かせていたが、ジャズアレンジの「Treasure Pleasure」ではボーカルにも余白をもたせ、自在にフェイクを織り交ぜる。高音部では透き通ったファルセットでアクセントをつけながら、切なさをたたえたメロディを際立たせていた。原曲とはまったく違うアレンジに、熱い拍手が贈られた。そしてもう1曲、GRANRODEOナンバーから繰り出されたのは「Take it easy」だ。アルバム『FAB LOVE』ではロサンゼルス・レコーディングにて制作されたこの曲。西海岸の風を感じるアメリカンな曲調に、生のアルトサックスとe-ZUKAのジャジーなオブリ。バンドメンバーによるライブならではのクワイヤ風コーラス。クリーンなギターソロが加わると、KISHOWの雄大な歌声にも優しさが宿り、また新しい表情を見せてくれた。

次のページ:懐かしの名曲が“KISHOWの歌”に変わる珠玉のカバー

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