INTERVIEW
2026.10.24
昨年12月にアーティストデビュー25周年を迎え、今年ベストアルバム『THE MUSEUM Ⅳ』やアジアツアーを開催した。その後、『魔法少女リリカルなのは』シリーズ最新作とのタイアップシングル「CRIMSON BULLET」のリリース、7年半ぶりとなったオーケストラライブ“NANA MIZUKI LIVE GRACE 2026 -OPUS Ⅳ-”の開催など、声優アーティスト界のトップランナーに相応しい怒涛の活動を展開してきた水樹奈々。そして、渾身のニューシングル「暁の星」をリリース。TVアニメ『天は赤い河のほとり』第2クールOPテーマとなる本楽曲は、水樹のルーツにあたる歌謡曲の芳醇な香りを取り入れつつ、アニメで描かれる時空を超えた物語をドラマチックに表現した愛の歌。今後、水樹の新たな代表曲として歌い継がれていくであろう、入魂の1曲となっている。様々な深い愛の形を歌ってきた水樹奈々が本楽曲に込めた想いに迫る!
INTERVIEW & TEXT BY 北野 創
――先日開催されたオーケストラライブ“NANA MIZUKI LIVE GRACE 2026 -OPUS Ⅳ-”。自分も現地で拝見しましたが、とにかく素晴らしかったです。
水樹奈々 ありがとうございます!私も最高でした!幸せすぎて、終始細胞が活性化していくような時間で(笑)。リハーサルから耳が幸せで、本当に至福の時でしたね。
――“LIVE GRACE”シリーズは2011年の初回から数えて今回で4回目、コロナ禍を挟んだため約7年半ぶりの開催になりました。どんな公演にしたいと考えて企画されたのでしょうか。
水樹 まず、よりオーケストラとの親和性の高い曲をチョイスできたらと思っていました。過去3回の経験があったからこそ「こういう楽曲も合うんじゃないか」と自分の中で選択肢が広がっていたので、王道の楽曲や元々ストリングスがアレンジとして入っているものはもちろん、意外性のある曲も含め、色んなものをお届けしたくて。例えば今回披露した「Friday Night Fever」は、皆さんの中ではダンス曲のイメージがあると思うので、“LIVE GRACE”で披露されるのは意外だったと思うのですが、ホーンセクションを立たせたビッグバンド風のアレンジに仕立てることで、すごく贅沢なものになると思ったんです。指揮の藤野(浩一)さんからも「どの曲も親和性が高くて、よく考えて選曲してくれたのが伝わってきて感動した」と言っていただけて、すごく嬉しかったです!
――藤野さんのお墨付きをいただいたわけですね(笑)。
水樹 でも相当悩んだんですよ。歴代の“LIVE GRACE”公演とはなるべく被らない内容にしたいですし、今だからこそのセットリストにしたかったので。しかも前回から7年半も空いたので、その間にリリースした新曲もたくさん入れたいし、全体の流れやバランスも考えるとすごく難しくて。最新曲の「CRIMSON BULLET」のような、元々ストリングスが入っていないゴリゴリのバンドスタイルの曲も落とし込みつつ、最終的に自分の中で「これだ!」と納得いく選曲や流れで組むことができたので、藤野さんからの言葉はとても励みになりました。
――オーケストラ、バンドとカルテットによるアコースティックコーナー、コーラス隊も加わって100人超による合奏など、楽曲によって編成も様々で。なかでも門脇大輔カルテットとの「innocent starter ―MUSEUM STYLE―」には感動しました。
水樹 ありがとうございます!“LIVE GRACE”だからこそ絶対にやりたいと思って。『THE MUSEUM Ⅳ』(2026年1月21日リリースのベストアルバム)のために「innocent starter ―MUSEUM STYLE―」を制作するタイミングではもう“LIVE GRACE”の開催が決まっていたので、それも視野に入れての構成でした。門D(門脇大輔)が精鋭部隊を連れてきてくださって、最高でしたね。緊張感もありつつ、とにかく曲への没入感がすごくて。リズム隊がいないので、自分がしっかり軸になって率いつつも、私を含めた5つの音が融合する、この瞬間にしかない揺らぎみたいなものが感じられて。歌っている時は本当に無我夢中というか、ヒリつく瞬間もあれば、自分の感情が波のように揺れる感覚もあって。すごくスリリングで、いつもの穏やかな「innocent starter」とは全然違いました(笑)。
――やはり普段のライブとは感覚が異なるんですね。
水樹 1曲1曲へかける集中力は、普段のライブと比べて倍くらい違うと思います。例えば、歌い慣れた「ETERNAL BLAZE」であっても、聴こえてくる音がまったく違うので別物に感じるんです。単純に考えても100人以上が音を奏でているので、オリジナルバージョンとは違うアプローチや音の聴こえ方になりますし、その中で自分がどう歌えば一番マッチするかを常に考えなくてはいけなくて。いつも以上に瞬発力が必要で、感覚を研ぎ澄ましてステージに立っていたので、ライブが終わった後はすごく眠かったです(笑)。終演後はトレーナーさんにクールダウンのメンテナンスをしてもらうのですが、「頭が異常に凝っている」と言われて(笑)。
――肩や足よりも、頭なんですね(笑)。
水樹 もうガッチガチで。いつもとは人数が違うので様々なところに意識を向けてずっと頭がフル回転でした。頭を押されるたびに「痛たたたた!頭が痛いです!」みたいになって(笑)。終わった後の自分の体の状態を見て、相当気を張っていたんだなあと気付きました。きっと全細胞で応えるステージだったんだと思います。
――そんなに大変だったとは……。でも、MCでは“LIVE GRACE”を「第7回までは続けたい」という目標を話されていましたね。
水樹 大変でしたが、またやりたいです(笑)。これだけの人数が集まるリハーサルは難しくて、全員揃ってのリハは1日のみ。いつもなら1週間くらいかけて行うのですが、ちゃんと通して合わせられたのは本当に1回しかなかったので、本番は緊張感がすごくて。色々大変なことはありましたが、それを遥かに超える魅力が“LIVE GRACE”にはあるのでぜひ今後も続けていきたいです。藤野さんが「僕が動けるうちにやってよ、もう71歳になっちゃったよ」とお話しされていましたし(笑)、今回はコロナを挟んだこともあり間が空いてしまいましたが、今後はもう少しショートスパンでやれたら良いなとは思っています。
――そのライブで初披露されたのが、今回のニューシングルの表題曲「暁の星」。TVアニメ『天は赤い河のほとり』の第2クールOPテーマになりますが、最初にお話をいただいたときの感想はいかがでしたか?
水樹 まず、「今、この作品がアニメ化されるんだ」ということにとても驚きました。篠原千絵先生の作品は大好きで、『闇のパープル・アイ』なども周りの女子たちと一緒に楽しんでいました。『天は赤い河のほとり』も学生時代に読んでいたので、時を経て今アニメ化することにまず驚きつつ、そのOPテーマを歌わせていただけるなんて、本当に光栄なことだと思いました。子供の頃に好きだった作品に携われるなんて本当に幸せなことなので。
――当時、作品に対してどんな印象をお持ちでしたか?
水樹 大人の世界ですよね!キスシーンが多い!(笑)。『天河』は高校生の頃に読んでいたと思うのですが、「お母さんに見られるとまずいかも」みたいな感じでドキドキしながら読んでいました(笑)。篠原先生の作品は少し大人っぽい印象があって、お姉ちゃんがいる子たちはみんな読んでいたんですよね。その年頃は女子のほうがマセているじゃないですか。私も夕梨(ユーリ)に自分を投影して「カイルみたいな素敵な人、現れないかしら」と思いながら読んでいました。夕梨(ユーリ)は現代に恋人や家族もいるし、「私が同じ立場になったらどうするのかな」と色々妄想しながら楽しんでいました。
――主人公の夕梨(ユーリ)は数千年の時を超えて、古代オリエントのヒッタイト帝国に召喚されてしまうという、今どきの異世界転生ものを先取りしたような作品ですよね。今回、改めてその物語に触れて、当時とは見え方も変わったのではないでしょうか。
水樹 読み返して当時のことを思い出しながら同じようにキュンキュンしつつ(笑)、でも大人になったからこその視点がありました。昔は夕梨(ユーリ)やカイルと敵対するポジションの人たちを「許せない!」と思って見ていましたが、それぞれにしっかり背景があって、自分の身を守るためだったり、虐げられた過去があってそうせざるを得ない状況になっていたり、すべてのキャラクターにドラマがしっかりとあって。誰目線になるかで物語が変わってくることに気づいて、改めて深い作品だと思いました。
――大人になっても楽しめる作品ですよね。
水樹 時の流れを感じさせない、今触れてもとても新鮮な気持ちで楽しめる作品です。最初にいただいたアニメの資料に、「自分の道は自分で切り拓く」という夕梨(ユーリ)のたくましい姿が、まさに現代の人たちに届けたいメッセージである、という企画意図が書かれていたんです。今は色んな人の意見が手軽に聞けてしまう時代なので、自分の軸が曖昧になってしまったり揺らぎそうになることもあるけれど、どんな時でも自分の道は自分で切り拓いていくしかない。私もすごく共感しましたし、今の若い世代の方にもぜひ触れていただけたらと思いました。
――そんな本作に、水樹さんはウルスラ役の声優としても出演されています。
水樹 そうなんです!タイアップのお話と同時に「ぜひ、ウルスラ役もお願いしたいです」と作品サイドからお話をいただいて、「えー!」とまたびっくりして(笑)。本当に嬉しかったです。
――原作を読んでいた当時、ウルスラにはどんな印象がありましたか?
水樹 ストレートに言うと、最初はすごく嫌な奴ですよね(笑)。夕梨(ユーリ)の評判を下げるために偽イシュタルとして登場するので、シンプルに「ひどい!」と思って。ウルヒに唆されてやっていることなので、逆らえないですし、仕方がないんですけどね。でも、その後は夕梨(ユーリ)に忠誠を誓って、かなり深くドラマに関わってくるので、物語の中でだいぶ印象が変わるキャラクターだと思っていました。大人になって読むと、彼女の覚悟がより刺さりましたね。
――演じるうえで意識したことはありますか?
水樹 最初はとにかく「嫌な奴」とインパクトを残せるように、夕梨(ユーリ)と対極にあるような存在であることを意識していました。贅の限りを尽くして嘘で塗り固められた派手な登場をして、夕梨(ユーリ)の心の強さやピュアさに触れてガッと変わる。きっと彼女にとって人生を変える出会いだったんですよね。同性ですけど人間として惚れて「一生この人についていこう」と。そこから彼女の本当の人生が始まる、というイメージで演じられたらいいなと思っていました。偽イシュタルを演じられる時点で相当肝の据わった人だと思うので、そもそもが強い人なんだろうなと解釈して。ネタバレになるので詳しくはお話できませんけど、彼女が覚悟を決めて行動するシーンは、マンガも読んでいたのでもちろん知ってはいましたが、泣きました。
――本当にドラマのある作品ですよね。そんな『天河』に寄り添って制作されたのが「暁の星」だと思います。非常にドラマチックで、美しさと険しさを兼ね備えたような楽曲ですが、作品のどんな部分をイメージされたのでしょうか?
水樹 これは完全に夕梨(ユーリ)目線で、夕梨(ユーリ)が夜に独白しているようなイメージで作りました。誰にも言えない心の内をポツリポツリとしゃべり出すような、Aメロ・Bメロからサビにかけて自分の葛藤の渦みたいなものがワーッと解き放たれて出てくるようなイメージです。
――“LIVE GRACE”のMCでお話されていましたが、楽曲はコンペで選んだらしいですね。
水樹 はい。第2クールは激動のストーリーなので、ドラマチックに見せていきたいとのことで、アニメ制作チームからは「水樹さんらしいマイナーアップの激しい曲でお願いします」とオファーをいただきました。作家の皆さんにもその旨をお伝えしてコンペ用のデモを作っていただいたのですが、その中にあったのがこの曲で。全然違った切り口だったのでびっくりしましたが、一気に引き込まれてしまって。『天河』の世界の乾いた砂漠の景色が自分の中でバァーッと浮かんで、「もうこれしか考えられない!」となったんですよね(笑)。それでアニメサイドに「リクエストとは違う形なんですが、この曲いかがでしょうか?」とお話ししたら、最初は「エンディングっぽい曲調なので、やっぱりアップテンポのほうがいいのでは」という雰囲気だったのですが、「水樹さんの感覚を尊重したい」と結果OKをいただいて。私の直感を信じていただいて本当に感謝しかありません。
――『天河』の世界観にピッタリですし、自分も“LIVE GRACE”で初めて聴いた瞬間から一聴き惚れしてしまいました。すごい楽曲がきたなと思って。
水樹 嬉しいです!実は藤野さんも一番好きだと言ってくださって。私はタイアップ作品の曲を選ぶ時、自分の頭の中でオープニングの絵コンテが勝手に切られて流れる現象がいつもあって、今回、その直感を頼りに選んだのがこの曲なんです。物語自体は色んな戦いや怒涛の展開が巻き起こっていくなかで、主軸にあるのは夕梨(ユーリ)とカイルの時を超えた愛のお話。夕梨(ユーリ)の心の動きや描写が中心にあるので、それを表現できる曲にしたいなと思って。
――しかも、ただの愛ではないですからね。
水樹 そう!本人の選択で歴史が大きく変わってしまう、歴史を動かす愛の物語なので、普通の恋愛ストーリーとは規模が違っていて。かといって、私の楽曲でいう「愛の星」のような宇宙規模の壮大な愛でもなく、もっと人肌を感じられる距離感でありたいので、その温度感を大事にしました。プラスして物語の何が起こるかわからない予測不能な感じと、この変拍子がすごく合うなと思って。翻弄されていく様というか。そこにビビッときてしまったんです。
――水樹さんとしても新境地を切り拓くような感覚があったのでは?
水樹 ただ、メロディのベースはすごく歌謡曲なんですよ。だからこそ『天は赤い河のほとり』の世界観ともすごくマッチするなと思っていて。80年代を彷彿とさせるようなドラマチックで情熱的な曲なので、幼き頃よりその素養を培ってきた私としてはかなり燃えました(笑)。この曲は同じメロディの繰り返しが多いのですが、それは当時の歌謡曲では定番の手法で、歌い方次第で曲の世界が変わってくるので、本当にボーカル力が試されるんです。私がいつも歌っているテンポが速くてキーが高い曲に比べると簡単そうに感じると思うんですけど、特に最初のブロックはほとんど音がないシンプルな状態から始まるので、息遣いや発声の仕方1つで全然変わるんです。歌い手としての力が試されるからこそ、様々な経験を重ねた今チャレンジできた曲だと思います。
――同じメロディのリフレインが多いなかで、どのように歌を組み立てていったのでしょうか。
水樹 何度も歌っては聴いてを繰り返して「これだ!」という表現を見つけていきました。Aメロは気づいたら口をついてフッと音が出て歌になっていたようなイメージで、その一言を音にしたら止まらなくなってしまった自分の溢れ出す思いに繋がっていくように、メリハリを細かく調整していって。サビもただ情熱的に歌い上げるだけではくどくなってしまうので、自分の中で揺らいでいるもどかしいニュアンスを入れつつ、最後は目線を外に向けるようにして、自分で道を切り開いていきたいという思いを音に落とし込めたらいいなと。強弱の「弱」の中にも色んな角度からの弱を作ったり、「強」もストレートにスパーンと行くところもあれば八分目や六分目で止めてみたりと、つまみを1ミリ単位で動かすような細かい調整を散りばめていきました。そうすることで渦の中を回っているようなグルーヴを表現したくて。ただ、歌い方を考えすぎても気持ちがナチュラルに溢れ出すような流れが生まれないので、考えつつも考えないというか、自分の体に委ねる部分もありました。短い中にも集中力がとても必要な、実はすごく難易度の高い曲です。
――お話を聞けば聞くほど奥深いですね。Aメロのポツリポツリと言葉が紡がれる部分での艶やかさや、サビで開いていくところでの強さと儚さの絶妙なバランスなど、自分も水樹さんの歌声に引き込まれてしまいました。歌詞は白井裕紀さんが書かれていますが、どう受け止めて表現しましたか?
水樹 歌詞はすごくストレートで、夕梨(ユーリ)の気持ちが少しずつ変わっていく過程がしっかりと描かれていて。最初は状況に翻弄されて、カイルに守ってもらっていたけれど、それだけじゃダメだと自分の力で何とかしようと動き始めて、最後はカイルを引っ張っていくくらい勇敢に立ち向かう存在に変わっていく。全体を通して夕梨(ユーリ)の心の変化と成長が描かれているので、そこをメロディと共に伝えられたら良いなと。特に“愛し愛される刹那に”のあたりからは、覚悟が決まって人間としての進化がすごく感じられる部分なので、最初の方の危うく消えてしまいそうな儚さとは違った歌い方にできたら良いなと思っていました。
――1曲の中で1つのドラマが完結するミュージカルのような印象も受けました。サビ終わりに登場する“愛と共に”というフレーズも、1サビとラスサビでは全然ニュアンスが違いますよね。
水樹 そうなんです!最後の“愛と共に”は「私がイシュタルとしてカイルを引っぱっていく!この国のために全力を尽くします!」と覚悟が決まっている、すごく勇ましくてかっこいい姿をイメージして歌いました。
――オープニングアニメでも、楽曲の展開に合わせて夕梨(ユーリ)の成長が表現されていました。
水樹 夕梨(ユーリ)がめちゃくちゃ走っていましたよね(笑)。次から次へと色んなことが巻き起こって、それを切り拓いて前へ進む力をより感じて、すごく素敵なアニメーションでした。
――ちなみにアニメで流れるバージョンはイントロのアレンジが違いますよね。
水樹 はい。この曲は歌で始まるんですけど、アニメ的にはいきなり歌から始まると唐突に感じてしまうので、イントロをつけてほしいとリクエストをいただいて、『天河』バージョンになっています。あのブラスサウンドが入ることで、より昭和のドラマ感が増したというか(笑)。私もお気に入りです。そのバージョンはシングルには収録されないので、ぜひアニメで楽しんでいただければと思います。
――作品から離れた水樹さん自身の曲としてはどう捉えていますか?
水樹 私自身もこういった曲が大好きで、これまでも歌謡曲調のものはアルバムやシングルのカップリングには収録していましたが、表題曲として発表するのは今回が初めてなので、1つの節目となる大事な1作になったと思います。『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズの激しい曲にも必ず歌謡メロが取り入れられていて、それが私らしさになっているなかで、全体的にテンポもゆっくりで聴かせるタイプの曲が表題というのは本当に珍しいことで。今だからこそチャレンジできたのかなと思います。
――そして、この楽曲のもう1つの大きなトピックがMUSIC CLIPです。なんと水樹さんがコンテンポラリーダンスに挑戦されていて。
水樹 まったく経験がないのにやってしまいました(笑)。監督のルーシーさん(今井“LuCY”淳也)から「次はコンテンポラリーダンスが良いと思うんだよね」と企画書をいただいて。いつも2パターンの企画を用意してくださるんですけど、今回はAがコンテンポラリーダンス、Bがバーの小さな舞台でバンドを引き連れて歌っているバージョンで、私も今回だからこそチャレンジできるのはAだなと思って、満場一致で決まりました。でも、リップシンクは一切なくて、ダンスだけで歌を表現するように言われてダンサーじゃない、私にできるんでしょうか…と(笑)。
――あはは(笑)。
水樹 ルーシーさんは、以前私がライブで「ダブルシャッフル」という曲でステップを踏んでアドリブで踊っていたのを見て「これならいける!」と思ったらしいんです。「あれはライブのステージが私をトリップさせてそうなっただけで…撮影となったら別ですよ!」と話したら、撮影の2~3日前にリハーサルをやらせてもらって。そうしたら広いスタジオで、オーディション会場みたいに記録用カメラを回されているなか、みんなが座っている前で「さあ、奈々ちゃんの思う『暁の星』をどうぞ!」って(笑)。何が正解かわからないし、恥ずかしかったですが、もう体当たりでやるしかないですよね。先生からも「ずっと動きっぱなしではなく、ただそこで佇んでいるだけでも伝わるものがあるし、歌と同じでメリハリだから、静と動のバランスをうまく取ってみてください」とアドバイスをいただいて、イメージを膨らませて本番に臨みました。
――映像を拝見しましたが、初めてとは思えないほど様になっていました。屋内駐車場で傘を手に踊る姿や、夜の屋外で発煙筒に囲まれて舞うシーンがとても素敵で。
水樹 ありがとうございます!結構長回しのワンカットで撮っているところが多く、特に冒頭はワンカットなので、決まった振付ではない私の動きとカメラマンさんとの呼吸が合わないと良いカットにならないんです。なので汗だくになりながら何度も回しました。発煙筒のシーンは夜になるのを待って撮ったんですけど、本数に限りがあるので「3回しか撮れません、失敗できません」と言われて(笑)。カメラマンさんとの呼吸を合わせるのが痺れる瞬間でした。でも、がむしゃらに立ち向かっていく姿が夕梨(ユーリ)の心情ともリンクするのかなと。完璧ではないけれど今できる最善を尽くすというパッションを込めて頑張りましたので、初挑戦ならではの体当たり感を感じていただけたらと思います!
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