INTERVIEW
2026.10.22
次世代ガールズバンドプロジェクト『BanG Dream!(バンドリ!)』発のバンド、Ave Mujicaの狂乱たる物語に新たな道筋を示す、完全新作として劇場公開を迎えた映画『BanG Dream! Ave Mujica prima aurora』。荘厳なマスカレード(ライブ)とメンバーの新たな距離感が描かれた日常パートという二部構成は、観客に鮮烈なインパクトを与えた。そのマスカレードの熱狂をそのまま封じ込めたミニAlbum『神の名を』のリリースに合わせ、ティモリス/八幡海鈴役の岡田夢以とアモーリス/祐天寺にゃむ役の米澤茜を直撃。バンドの新境地が提示された新曲群のメンバーから見た注目ポイントから、劇中劇における役作りやアフレコの裏話、そして来たるTVアニメ続編シリーズへの期待まで、Ave Mujicaが紡ぎ出す深淵なる世界の魅力をじっくりと紐解く。
INTERVIEW & TEXT BY 北野 創
PHOTOGRAPHY BY 堀内彩香
――映画『BanG Dream! Ave Mujica prima aurora』がついに公開されました。バンドやキャラクターのいろんな新しい一面に触れられる作品になりましたね。
岡田夢以 最初にお話を聞いたときは、TVアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』の総集編にプラスアルファしたものになるのかなと思っていたので、全編新しいストーリーで作られることにびっくりして。続編のTVアニメにも繋がっていく内容なので絶対に必見だと思います。
米澤茜 私も完全新作ということに驚きましたし、個人的には二部構成になっているのが見どころだと思っていて。ライブシーンと日常シーン、それぞれで楽しめる要素がいっぱいあるので、みんなに観てほしいです。
岡田 二幕構成ってムジカならではの感じがするよね。演劇っぽくて。
――第一幕のライブパートも幕間劇が挿まれて、演劇要素を取り入れていた初期のムジカのリアルライブを思い出しました。お二人の場合、ライブパートではティモリスとアモーリス、日常パートでは八幡海鈴と祐天寺にゃむを演じているわけですが、同一人物とはいえ演じる際に違う感覚があるものですか?
岡田 アフレコ時も「違う感覚で」というディレクションをいただきました。演劇のパートはキャラクター自体が演じている場面になるので、「できる限り強調して演じて欲しい」と言われて。特に海鈴ちゃんは日常パートだとずっとローテンションで淡々としているので、ティモリスではその差を大きくするように意識しました。海鈴が頑張ってみんなについていく感じで演劇をやっている、みたいな。でも「海鈴は意外とノリノリで演技をやっている」という裏設定があるんです(笑)。
米澤 かわいいよね(笑)。アモーリスとにゃむもまったく違っていて。ステージに立つアモーリスとして意識しているのは話す時の距離感。舞台なので声量もお客さんに向けて届けるイメージで、ステージ口調でしゃべるようにしていました。にゃむはハイテンションで「イエーイ!」みたいな感じだけど、アモーリスはどちらかというと男らしいというか、逞しい感じを表現できるように演じ分けています。
――お二人としては、どちらの方が演じやすいですか?
岡田 私はステージに立っているときのティモリスの方がやりやすくて。やっぱり情緒がある方が表現しやすいんですよね。今回の映画の場合、演目的にティモリスが悪役キャラで、ドロリスと対峙する役柄だったので、「ホラーな感じでお願いします」と言われて、できる限りおどろおどろしい感じで楽しく演じました。
米澤 私も演じやすいのは圧倒的にステージのアモーリスです。むしろにゃむは演じるのが難しくて。私は普段の声が結構低めだけど、にゃむは声が高いし、はっちゃけ方が私と違ったり、私が普段馴染みのない熊本弁を使ったり。アモーリスは声のトーン的にもやりやすいんですよね。あと、Ave Mujicaの楽曲自体がクール、ダーク、かっこいい系なので、それに合っているキャラクターの方がやりやすい感覚があって。クールな曲をやっているから、自分もクールに話した方がつじつまが合うというか、ギャップがなくてやりやすいなと思っています。
――今回のミニAlbum『神の名を』には、第一幕のライブパートで披露された全4曲が劇中と同じ順番で収録されています。ライブの幕開けを飾った1曲目「神の名を」は荘厳なシンフォニックロックですが、お二人はどんな印象を受けましたか?
岡田 ライブの1曲目ということもあってか、すごく気合いを感じました。ムジカの世界観を提示する意志が強くあって、バンドの代名詞になってもおかしくないくらいムジカを強く表現している楽曲だと思って。それとドラムの演奏が大変そうだよね(笑)。
米澤 この曲はとんでもないよ(笑)。私は今、いろんな意味で一番大事にしている曲です。歌詞に“新たな幕開け”とある通り、私は新しいムジカが始まることを示す曲と解釈していて。もしライブでこの曲を演奏することができたら、ムジカの幅が一気に広がると思うんですよね。新しいムジカを見せることのできる、さらに高みを目指すバンドになることを宣言するような曲なのかなって。甘えが一切ない、覚悟みたいなものをすごく感じるし、「これができたら世界に行けるかも」と思ったりしています。
岡田 この曲はドラムだけでなく全パートの楽器が難しくて。ベース的には、今回の新曲4曲のなかでは「神の名を」と「BADDY BADDY」がトップ2ですね。途中に楽器隊がユニゾンで速く細かく弾くところが2か所くらいあるんですけど、今までの難関パートを総集めした感じなんです(笑)。
米澤 これは勝手な想像なんですけど、私たちが次のステップに進むために作ってくれたのかなと思っていて。
岡田 それはあるよね。私たちに対して「このレベルの楽曲にもチャレンジできる」と信頼を置いていただける感じもするので、それが嬉しくもあります。
――歌詞の内容的にも、神の名を奪い謳う気概と覚悟が描かれていますものね。
岡田 ムジカの曲には「神」が入る曲が意外と多いんですよね。この曲も「新しい神曲がきたー!」と思いました(笑)。その中にも繊細さがあるのがムジカらしくて。楽器がいなくなるパートのドロリスの歌い方も印象的だし、この音域の幅がすごい曲を一人で歌えるところは、りこち(佐々木李子)の真骨頂な感じがする。
米澤 ドロリスの歌は本当にすごいよね。ライブでできたらいいなと思っています!
――楽しみにしています。映画でこの曲のライブシーンをご覧になった感想はいかがでしたか?
米澤 物理的にすごいなと思ったのが、この曲、バスドラムを踏み続ける曲なんですけど、アモーリスはそれをピンヒールで演奏していて、すごいなあと思いました。「そんなわけなくない?」みたいな(笑)。
――米澤さんはピンヒールでは演奏できない?
米澤 さすがに無理です(笑)。モーションキャプチャーでは、バスドラはスニーカーで演奏したんですけど、映像はピンヒールになっていたので、アニメーションならではの演出だなあって。
岡田 海鈴ちゃん的には、ライブの1曲目だからか、楽曲のテンション感に合わせて割と重心が低めだなって思いました。細かくたくさん動くというよりは、動きを最小限に抑えている感じがして。やっぱり自分の演じているキャラクターの動きが気になるんですよね。それをリアルライブでも取り入れたいので。
――2曲目は「A Song Of Romance Pt.2」。静と動が交互に押し寄せるような、美しくも激しくドラマチックな1曲です。
米澤 今までになかったスタイルの曲ですよね。先に「A Song Of Romance」のデモをもらっていたので、曲名を見て「ファイル名を間違えたのかな?」と思ったんですけど、聴いたら全然違う曲だったから「これが正解なんだ」と気付いて(笑)。現状、このアルバムの中では一番聴き込めていないんですけど、確信しているのは、絶対自分にとって大事になる曲だと思います。ライブでやることによって、回数を重ねるほどに泣ける曲になるんじゃないかなって。
――それはどんなところが?
米澤 具体的な理由があるわけではなくて、本当に直感なんです。今までのムジカの曲で言うと、「Imprisoned XII」や「碧い瞳の中に」みたいなバラードっぽい曲は、ライブで繰り返しやっていくうちに、ステージの照明の光景とかその時のプライベートの出来事とかいろんなものが重なって、そこでようやく自分にとっての意味を持った曲になる傾向があるんです。この曲もそういう曲になる予感があって。今後、この曲をゆっくり理解して、自分と当てはめていくんだろうなと思います。
岡田 私は最初聴いた時、途中までピアノだけでバンドが入ってこないので、「Symbol III : ▽」みたいな完全にバンドなしの曲なのかなと思ったんですよね。そうしたら途中からバンドがバーンって入ってきたので「Georgette Me, Georgette You」の方だったと思って(笑)。私、そういう形態の曲がすごく好きで、リズム隊的には「待ってました!」という気持ちになるんですよ。特にこの曲はリズム隊が入る時のインパクトが大きくて「ドン!」って感じなので、「かっこいい!」と思って。
米澤 わかる!
岡田 それとバンドは追いかけて入るところが、自分的には、先に歩いている仲間に後ろから追いつくみたいなイメージで、仲間の絆を感じるんです。そういう形態の曲にそもそもエモさを感じるので大好きな曲です。あと、歌詞の“欲深い”というフレーズがすごく立っているなあと思って。普段「欲深い」なんて言わないし、しかも最後は“誰もが欲深い”になるのが、その通りだなと思って。
米澤 自分に当てはまりそうなところがたくさんあるよね。
岡田 ムジカの曲は常に、歌詞からチャレンジ精神を感じるんです。「こんな言葉を使うんだ!」って思うことが多くて。この曲も「あい」という言葉が文字で見ると“愛”や“哀”といういろんな漢字になっていて。言葉遊び的な面白さをムジカ楽曲からすごく教えてもらっています。
――“薫(くゆ)るキャビア”も、人生でまず使うことは無さそうなフレーズですけどインパクトがすごいですからね。
米澤 歌詞に“キャビア”が出てくること自体すごく意外で。でも、こんなにも美しい歌詞になるのがすごいよね。
岡田 “るぅ らら”とかもね。
米澤 そうそう。“るぅ らら”だけで感動しちゃうから。それを歌で表現できる李子もすごい。感情をバーッと出しているような歌い方で、大好きな曲です。
――アニメーションの描写や演出で印象に残っている場面はありますか?
岡田 この曲は最初のドロリスとオブリビオニスの場面とか、キャラクターの顔のアップが多いイメージでした。顔が近くで見えるのがありがたくて(笑)。それで言うと今回、TVアニメを経てライブの表情やカメラワークも進化を感じました。
米澤 きっと歌詞のどの部分で誰が映っているのか、意味があるんじゃないかと思ったりして。それを考察してみるのも楽しいと思います。
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