ミュージックレイン1期生としてデビューした寿 美菜子、高垣彩陽、戸松 遥、豊崎愛生が今年で声優デビュー20周年を迎える。それを記念したライブイベント“ミュージックレイン声優成人式”の開催に向けて、メンバー1人1人の20年間を振り返っていく特集の第2回には高垣彩陽が登場!これまで歌ってきたキャラクターソングを披露する予定のライブを目前に、キャラソンに感じる魅力や印象的な楽曲の数々について掘り下げていく。
INTERVIEW & TEXT BY 仲上佳克
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――声優活動20周年を迎え、“ミュージックレイン声優成人式”が開催される運びとなりました。まずは開催が決まってのお気持ちをお聞かせください。
高垣彩陽 2006年に『桜蘭高校ホスト部』でデビューいたしまして、無事に声優生活 20周年を迎えることができました。数年前から20周年で何かやりたいという話はしていて、記念イベントやキャラソンライブみたいなことをやりたいなというのはずっと思っていたんですね。最初はスフィアで何かやらないかとご相談いただいた日でしたが、せっかくなので4人で20周年を祝う日にしたいと。それで(寿)美菜子が“声優成人式”というタイトルを考えてくれて、キャラソンを歌いたいという希望をここで叶えられることに。色んなタイミングが繋がって、開催できることになったので、やっぱり私たちは“持っているな”と思います(笑)。
――元々キャラソンライブをやりたかったというお話でしたが、最初に歌ったキャラソンは覚えていますか?
高垣 人生初のレコーディングがキャラクターソングで、『Venus Versus Virus』(2007年)の名橋ルチア「inner world」という歌でした。初めてのことばかりで、大変緊張しながらスタジオに行ったのを覚えています。元々自分は歌を歌いたいという憧れが強かったですし、キャラクターソングを聴くのもすごく好きだったのですが、名橋ルチアという1人の女の子の想いが歌になって、それを私が歌うことができる喜びだとか、色んな気持ちが溢れて、レコーディングが終わったあとにめちゃめちゃ泣いたんですね。そうしたら、本当に偶然、そのレコーディングの日に隣のスタジオで『Venus Versus Virus』でWヒロインの鷹花スミレを演じていた茅原実里ちゃんがレコーディングをしていたんです。みのりんには仲良くしてもらっていたから、そこでばったり会えて、私もわーって泣いちゃって。それを見たみのりんが「おめでとう」って抱きしめてくれて、「歌うことの始まりだね」って。「ここからまた素敵な音楽に、いっぱい彩陽は出会えるよ」と言って抱きしめてくれたのは忘れられない思い出です。
――素敵なエピソードですね。
高垣 みのりんも歌うことに対してすごく特別な思いをもっている人なので、そんな彼女から歌うことへの祝福をもらえたのは、とても心に残っています。しかも、これもまた不思議な話で、デビュー作の『桜蘭高校ホスト部』の第1話のアフレコが2月22日だったんですけど、その1年後の2月22日がこの「inner world」のレコーディングだったんですよ。だから勝手に2月22日は、自分の中でラッキーデーだと思っています。
――キャラソンは声優になる前から好きだったんですね。
高垣 私は『らんま1/2』(1989年/2024年)が大好きで、『歌暦』(1990年発売)とか、キャラソンのアルバムがいっぱい出ているんですよ。私は当時リアルタイムで聴いていたわけじゃなくて、ちょっと大きくなってから聴き始めたんですけど、「拝啓、あかねさん」という響 良牙くんが手紙を読む歌があったり、全員出てきて歌う「乱馬ダ☆RANMA」がエンディングにもなっていたりとか本当にキャラクター然とした歌ばかりだったんです。これがキャラクターソングというものか‼と。「乱馬ダ☆RANMA」は1人で全部声真似して歌うくらい、アルバムを聴き込んでいました。だから自分がいざキャラソンを歌うとなった時も、アフレコの延長線上だと思いたいという気持ちがあって、それは今も変わらないスタンスなんですけど、芝居の一環という感覚が自分の中で強かったです。学生時代に触れていたミュージカルも、オペラも役が歌っているということなので近いなと。声楽の先生もよく「演唱する」という言葉を使っていて、“演じたまま歌う”という思いでレコーディングに臨んだ感じでした。不思議だったのは、家で練習していたときに「ルチアの声で上手くここの音は出せないかも」と思ったところも、現場に行ったら出た、ということが結構あって。『戦姫絶唱シンフォギア』(2012年~)の雪音クリスちゃんとかもそうなんですけれども、キャラクターが連れていってくれる音域があるなって、いつも驚いてます。
――そこにキャラクターソングの不思議な魅力があるというか。
高垣 キャラクターソングは声優の特権というか、醍醐味の1つ。私がキャラクターソングで特に好きだなと思う部分は、作品の中では吐露されなかった、言葉にできなかった想いが歌で伝えられるところ。音楽を通してそのキャラクターだからこその世界で届けられることが私は魅力だなと思っているので、キャラソン大好きですね。作品が決まって、「キャラクターソングありますよ」となると、すごく嬉しいんです。
――では、今までたくさん歌われてきたキャラクターソングの中で、印象に残るものをいくつか挙げていただけますか。
高垣 そういう意味では「歌わせてくれてありがとう」と心から思えて、キャラクターの想いと自分の想いを昇華させてもらえたようなキャラクターソングが1つあって、『true tears』(2008年)の「透明な羽根で」という曲なんですけど、石動乃絵があの日言えなかった想いがこの歌に込められているんだって、感動した1曲でしたね。あと、『はなまる幼稚園』(2010年)の柊の「キグルミ惑星」は、これはもう水島(精二)監督と音楽のNARASAKIさんの仕掛けというか、こんなキャラクターソングもあるんだ!っていう。改めて見ても歌詞が深いですし、曲も壮大で、この曲はリリースされてから海外の方がアレンジしてまたリリースされたり。(ラスマス・フェイバー率いるPlatina Jazzがジャズアレンジし、2010年発売のアルバム『Rasmus Faber presents Platina Jazz ~Anime Standards Vol.2~』に収録。
)私もソロのツアーで歌ったりしていたんですけど、「キグルミ惑星」を歌うと聞いたから、これを聴くためだけに東京から大阪に来てくれる関係者の方がいたりして、「キグルミ惑星」旋風的な時期がありましたね。
――今でいう「バズる」のような現象が起きていましたよね。
高垣 「キグルミ惑星」は曲が一人歩きというか、広がっていったという感覚はありました。あとは、私の大好きなジャンルとキャラクターソングが重なったと思っているのが『TARI TARI』(2012年)。合唱がテーマの作品だったので、役として合唱曲を歌うという。それも作中で自分たちが作った曲であったり、亡くなったお母さんが作った曲であったりという、その役の想いを引き継いだまま合唱曲を歌うことに意味があるのが自分の中では新しかったですし、私は元々合唱が好きで、大学のときも合唱の授業が一番好きだったんですよね。まさかこの仕事をしていて合唱できる日が来ると思っていなくて、『TARI TARI』の合唱曲はすごく思い出深いし、大好きです。『イナズマイレブンGO クロノ・ストーン』(2012年~2013年)でもキャラクターソングを歌っているんですけど、私は倉間典人という男の子役で、浜野海士役の金野 潤さんと男の子同士のデュエット(「DO OUR BEST!!」)だったんですよ。相手も男性だし、自分の役も男性だから男性キーで、それこそ「私、こんな低い声で歌えるんだ!?」とびっくりするくらい、キャラクターが連れて行ってくれたなという感覚がありました。この曲も、作中ではあまり語られなかった自分たちの気持ちを歌にしていると私は捉えているので、歌えてよかったなと思います。それから『みつどもえ』(2010年~2011年)とか『シンフォギア』とか、本当に語り尽くせないくらい印象に残っているものはありますね。
――もちろん、どの作品にも思い入れはあるでしょうから。
高垣 『みつどもえ』の話はしておきましょうか。『みつどもえ』はキャラクターソングをたくさん歌って、三姉妹で歌ったオープニング(「みっつ数えて大集合!」「わが名は小学生」)も作曲がヒャダイン(前山田健一)さんで、「こんな曲、聴いたことない!」という曲で。丸井みつばというキャラクターもピーキーな声でやっていて、突き抜けた役だったので、キャラクターソングも突き抜けている。彼女にしか歌えないという曲がたくさんあって、毎回楽しかったです。三姉妹でまたいつか歌いたいなという夢を、私はまだ諦めていません。『みつどもえ』でライブもやったんですけど、それもすごく楽しくて忘れられない思い出ですね。最近でいうと『鴨乃橋ロンの禁断推理』(2023年~2024年)で、2回だけのゲスト(2024年/第19・20話)だったんですけど、シンガーソングライターの“にょにょん”という役で3曲レコーディングして、しっかりリリースしているんですよ。この3曲もすごくいい曲で、歌が核になる役で私を信じてご縁をいただけたことがすごくありがたいことですし、今までの活動や色んな楽曲たちが繋いでくれているのかなと思っています。
――作中で歌うキャラクターの名義でリリースした楽曲というと、『CANAAN』(2009年)ネネ役として歌った「チャイナ気分でハイテンション!」がありました。
高垣 ネネでラジオもやっていましたからね。今でいうVTuberみたいな感じで、普通にメールが来て、それに対してキャラで答えるという。確かにこれも劇中のアイドルで、歌う役でご縁をいただいて、岡田麿里さんの歌詞を歌えたのもありがたいことでした。
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