REPORT
2026.09.17
アニメやコミカライズなどのマルチメディア展開で人気を集めるアプリゲーム「アズールレーン」の日本配信9周年を記念したスペシャルライブ“AZUR LANE SPECIAL MUSI9 LIVE”が、9月5日・6日の2日間、東京・新宿住友ビル三角広場の特設ステージにて開催された。“音”をテーマにした9周年アニバーサリーイベント“AZUR LANE MUSI9 FES.”の一環として行われた今回のライブは、同時に「アズールレーン」の音楽の多様性を示す催しでもあった。様々なアーティスト/キャスト/ミュージシャンによる音楽の饗宴、そのDAY2公演の模様をお届けする。
★DAY1公演はこちら
https://www.lisani.jp/0000318118/
PHOTOGRAPHY BY 飯久保はるか(Yostar)
TEXT BY 北野 創
エルベ(CV:稗田寧々)とヤーデ(CV:愛原ありさ)姉妹の愛くるしい注意事項のアナウンス映像が指揮官たちの士気とモラルを高めるなか、ライブはDAY1公演と同じく12人編成のアズレンロイヤル室内楽団による演奏で上品に開幕。まずは室内楽をコンセプトに制作されたOVA『アズールレーン Queen’s Orders』の劇伴の楽曲を軸に構成した「クイーンズオーダーズ・メドレー」にて、昼下がりのティータイムの如き優雅なひと時を演出する。真っ白な衣装で統一した姿も見目麗しく、耳と目と心が洗われていく。続いてソロヴァイオリン担当のAyasaが登場すると、日本語版6周年記念曲「黄金航路」のカバーを披露。ステージ背面と両サイドに備えられたスクリーンに投影される海のグラフィック映像やライト演出の効果も合わさって、まるで希望を胸に大海を航海しているような気持ちになる。かと思えば「アズールレーン・メドレー」では、スクリーンに海中の景色が映し出されるなか、Ayasaの弾く主旋律がリードする形でゲーム内のボス戦のBGMなど緊張感あふれる楽曲が奏でられ、戦いに身を置くKAN-SENたちの過酷な物語の思い出が浮上。ぜひアレンジCDを正式リリースしてもらいたいほどの素晴らしいアンサンブル、生演奏ならではの素敵な音楽体験となった。
ライブはDAY1公演と同様、マフィア梶田、広瀬裕也、三輪木 大(Yostar)によるMCパートを間に挿みながら進行。クーちゃんことパーミャチ・メルクーリヤ(CV:吉岡麻耶)の呼びかけで会場が一体になって体を動かしたり声を出す「イマーシブ・インタラクティブ・ウォームアップ!」の時間で臨戦態勢を整えた指揮官たちを迎えたのは、DAY1に続いての出演となった声優/シンガーソングライターの榊原ゆい。まずはショートアニメ『アズールレーン びそくぜんしんっ!』のEDテーマ「まひるいろシエスタ」を届ける。ベースはダンサブルな打ち込みサウンドながらも、「アズールレーン」ではオーロラ役として指揮官にはお馴染みの榊原による安らぎに満ちた歌声が癒しをもたらしていく。最後は“あとちょっとだけ…すやり”という歌詞に合わせて顔に手を当てて眠るようなポーズをとって静かに締め括ると、そこから榊原本人が作詞・作曲したアニメ『アズールレーン びそくぜんしんっ!にっ!!』のOPテーマ「しゃいすまっ!」へと急旋回。平成のアニメソングや美少女ゲームソングの系譜を継ぐ……というか、往年の雰囲気そのまんまのアップテンポで賑々しいサウンド(編曲は大久保薫!)に指揮官たちも血が騒いだのか、大きくコールして盛り上がり、笑顔でハッピーな空間を作り上げる。榊原は「指揮官さんと一緒に盛り上がれたらと思って作った曲」と語っていたが、まさにその通りの光景が広がっていた。
その流れからアニメ『アズールレーン びそくぜんしんっ!にっ!!』のEDテーマ「Lu lu lun♪~ウラハラ気分はオートマティック~」を歌唱したのは、榊原と同じく平成の時代からアニメソングや美少女ゲームソング界隈で活躍してきたシンガーの橋本みゆき。この楽曲もまた当時の空気感をそのまま纏った懐かしくも今の時代にはフレッシュに響く曲調に仕上がっており(編曲は山口朗彦!)、橋本の溌溂としていて真っ直ぐに響くソウルフルなクリアボイスとストリングスを交えた麗しいポップサウンドが胸のトキメキを加速させていく。榊原と橋本、美少女KAN-SENを愛する指揮官たちにとってはある種のレジェンドとも言える二人のステージにグッときた人も多かったのではないだろうか。
そしてここからはDAY1公演にはなかった展開、キャストによるKAN-SENたちのキャラクターソングのブロックに突入する。その先陣を切ったのは、伊藤あすかによるサンディエゴのキャラソン「私はNo.1!」。日本語版配信1周年記念イベント“AZUR LANE 1st ANNIVERSARY”にて販売された、「アズールレーン」のキャラソン展開第1弾として生まれた楽曲だ。そういった歴史やバックボーンを踏まえずとも、往年の電波ソングのノリをそのまま踏襲した賑やかではっちゃけたコーレス満載の曲調は会場を瞬間沸騰させるほどの楽しさで、歌い出しの「わ・た・し・は☆No.1!」という声から会場はいきなり爆発的な盛り上がりを見せる。間奏での「よくわかんないけどやっちゃえー!」という元気印なセリフもサンディエゴそのもので、大騒ぎを巻き起こしつつ一気に駆け抜けていった。
サンディエゴに変わっては、同じくユニオン陣営であるエンタープライズの出番。歌うのはもちろん彼女のCV(キャラクターボイス)を担当する石川由依。エンタープライズを意識したのであろう、黒いネクタイにアシンメトリーなジャケットとスカート衣裳を着た彼女は、TVアニメ版『アズールレーン』のキャラソンシリーズ第1弾として発表された「Pledge of liberation」を凛々しくも力強く歌唱する。歌と朗読で構成した単独ライブを企画・開催するなど歌唱力と表現力には定評のある石川だが、おそらく歌いこなすのは難しい部類に入るであろうアップテンポかつアグレッシブな本楽曲を、エンタープライズの声音そのままで生歌唱する力量には驚嘆。キメの“覚悟を撃ち抜け”のフレーズにて指で銃のような形を作って撃つようなアクションをするなど魅せ方も一工夫されており、指揮官たちも熱く呼応していた。
キャラソン枠、第3の刺客ならぬ続いてのKAN-SENは、今年5月にゲームに実装された鉄血所属のゲッツ・フォン・ベルリヒンゲン。キャストは明坂聡美、歌うは8月にYouTube公式チャンネルで公開されて話題となったゲッツのソロ曲「Sweet Dreams」だ。登場早々「無防備なあなたは、無慈悲なる冷光に射すくめられ、偽りの仮面であることに気づくでしょう」と妖艶にして高圧的なセリフを放って会場を掌握すると、「盛り上がってくださいね、指揮官どの」とつぶやいて激情溢れるメタルコアの海へと指揮官たちを引きずり込む。媚びるような甘さを湛えた歌声ばかりでなく、黒と赤のゴシックなドレス衣装もゲッツのイメージそのもの。最後はセリフをアレンジして「だってここは9周年の会場ですもの、うふふ」と蠱惑的な微笑みを浮かべ、指揮官たちの理性を吹き飛ばした。
続いては鉄血陣営のヤーデ役を務める愛原ありさがステージに登場すると、エルベとのデュエットソング「満点/赤点くださいな!」を一人でパフォーマンス。YouTubeにてショートバージョンが公開されているが、フルバージョンは本ライブが初お披露目となる。キュートなショートドレス風の衣装を身に纏った彼女は、自分で考案したというかわいらしい振り付けを踊りながら、本来はエルベが歌うパートも含めてソロで表現していく。2番Aメロのサウンドがメルヘンチックになるパートではクルッとターンして優雅に魅せたかと思えば、間奏では「いい子の人?悪い子の人?みーんな花丸ですの!」とコーレスを行ったりと、キャラクターのイメージを踏まえつつ楽曲の世界観を増幅させるステージを展開し、ラストは愛らしくピースしながら「ありがとうございますの!」と締めくくった。
キャラソンパートのラストを飾ったのは、篠田みなみが歌うレキシントンⅡのソロ曲「朝焼けの示す場所で」。レキシントンⅡがゲームで実装されたことに合わせ、2026年1月に発表されたばかりのオリエンタルな響きを持った壮大なバラード曲だ。薄いピンクの衣裳を着た篠田は、慈愛に満ちた歌声を会場いっぱいに広げていく。そのすべてを包み込むような優しい声音からは、ある種の母性が滲み出ており、“ねえ疲れたんでしょう ここでおやすみなさい”といった歌詞を含め、良きお姉さんキャラであるレキシントンの印象そのままだ。篠田が後のMCパートで「指揮官もそうだし大切な妹のサラトガちゃんに向けての曲なのかなと思いながら、大切に大切に歌わせていただきました」と語っていた通り、いろんな人の心に寄り添う気持ちが伝わる名唱だった。
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