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INTERVIEW

2026.08.19

MYTH & ROIDが語る現在地!Wタイアップシングル「Why? RED induction」と「Awake Anew」で見据える次のステージ

MYTH & ROIDが語る現在地!Wタイアップシングル「Why? RED induction」と「Awake Anew」で見据える次のステージ

プロデューサーのTom-H@ck、作詞家のhotaru、ボーカルのKIHOWからなるコンテンポラリー・クリエイティブ・ユニット、MYTH & ROIDが、TVアニメ『幼女戦記Ⅱ』OPテーマ「Why? RED induction」と、TVアニメ『クレバテスⅡ-魔獣の王と偽りの勇者伝承-』EDテーマ「Awake Anew」という対照的な2曲を同時リリースした。

Tom-H@ckとKIHOWに、2曲の制作背景や、KIHOWのボーカリストとしての変化、ライブで培ってきた表現について聞いていくなかで、話題はアニソンを取り巻く時代の変化へ。そうした対話から見えてきたのは、彼らが貫いてきた音楽への哲学と、KIHOWのデビュー10周年を前にさらなる進化を目指す姿だった。

INTERVIEW & TEXT BY 逆井マリ

「JINGO JUNGLE」の先で鳴らす、野性味と悲しみ

──まずは『幼女戦記Ⅱ』のお話から伺えたらと思うのですが、OPテーマのオファーを受けた時はどのようなお気持ちでしたか?

KIHOW シンプルに、「『幼女戦記』をこのタイミングでやるんだ!」と驚きました。私が前回歌ったのは『劇場版 幼女戦記』(2019年)で、そこからももう5年以上経っていたので、TVアニメ第1期となると、さらに前になります。第2期を待ち望んでいた身としてはすごく嬉しかったです。
それから、『幼女戦記』といえば、皆さんはやはり第1期OPテーマである「JINGO JUNGLE」の印象が強いと思うんです。劇場版では、深い悲しみを感じさせる楽曲的には落ち着いたテンション感の「Remembrance」を歌わせていただきましたが、TVアニメでまた歌うのであれば、パンチのあるMYTH & ROIDを『幼女戦記』と一緒に表現できるのではないかという思いもがありました。

Tom-H@ck 僕も同じような感覚ですね。それと、時間が経ってからも、また声をかけていただけるのはありがたいなと思いました。

──今回の楽曲は「JINGO JUNGLE」をさらに進化させながら、そこに新しい色も加えたような印象を受けました。

KIHOW 先ほどお話しした「JINGO JUNGLE」の野性味やアグレッシブさを継承しつつ、今回の物語に合う悲しみの要素を加えたかったんです。それを新しい形で出したいと思っていました。

Tom-H@ck 「JINGO JUNGLE」は、殺意というか、攻撃的なものが最初から最後まであって、「そのまま突っ切ってください」というオファーだったんです。今回はそこに、悲しみや、裏切りに遭った時のどうしようもないダークさを加えました。単純にマイナスというよりも、人間の感情がもつ悲しい部分が散りばめられた楽曲になったと思います。今回は、曲タイトルをKIHOWが決めたんですよ。

KIHOW 今までそういったことはしてこなかったんですけど、この曲を歌い、制作の過程を見ているなかで、これからのMYTH & ROIDにとって、すごくエネルギーになるような曲だと感じたんです。特にライブでは、頼もしい武器のような存在になっていくのではないかと思いました。自分がもっとこの楽曲の中に溶け込むための、キーワードじゃないですけども、トリガーになるようなタイトルが欲しくなって。

──目を引くタイトルだなと思っていました。

KIHOW そう思っていただけたなら、すごく嬉しいです。「Why? RED induction」、直訳すると、“どうして? 赤い誘導”という意味になります。『幼女戦記』の世界観も含めて、この曲の中では、何か悪いことが起こる時に、それを誘導する物事や人が存在することを前提にしています。戦わなければならないから、それについていくわけですけども。でも、なかには戦いたくない人もいるのではないか、ということが私の頭の中にありました。そこで、「Why?」という問いかけによって「どうしてそんなことが起こるんだろう」という悲しみや概念を含ませたいと思い、タイトルの頭に入れています。

──KIHOWさんは今回、ご自身が楽曲の中に入っていくためのトリガーが欲しいと考えたとのことですが、このタイミングでそう思った理由はあったのでしょうか。

KIHOW この曲を初めて聴いた時に、特別なものを感じたんです。それに、Tomさんがこの曲を作ったとき、「この曲、めちゃくちゃ好きなんだよね」と言っていて。普段はあまりそういうことを言わないんですけど、すごく嬉しそうにしていたんですよ。

Tom-H@ck 僕は全然、「嬉しい」とか、ポジティブなことを口に出さない人間だから(笑)。

KIHOW たぶん、いつも全力で曲を作っていて、全部が自信作だから、あえて言わないのかなというのは前提としてあるんですけど。そんなTomさんが言葉に出すくらい好きということは、本人の中でも、すごくテンションが上がる楽曲に仕上がったんだろうなと感じたんです。
私自身もすごく好きな楽曲で。普段、MYTH & ROIDでは歌うことをメインにやっていますけど、この作品の中にもっと自分も入り込みたい、もっと自分事にしたいという思いがあって、タイトルを付けたところもあります。ライブでも、もっと自信をもって歌える気がしたというか。これからのライブのことも含めて、特別な思いがあったからこそというのはありますね。

──歌詞を最初に読んだ時は、どのような印象を受けましたか?

KIHOW サビの頭にある“All the fire, all for burning”の、“burning”という言葉が、すごく頭に残りました。「燃やせばいいんだな」と(笑)。サビの中で言っていることは、この曲においてすごく重要だと思うんです。歌詞を最初からずらっと見ていくなかで、「ああ、こういう曲なんだ」と、その言葉から読み取った部分がありますね。

──Tom-H@ckさんは、歌詞を読んだ時にどう感じましたか?

Tom-H@ck hotaruとは小学生の頃から一緒にいて。この歌詞を見ると、作品とMYTH & ROIDが表現したいものを書いているのはもちろんなんですけど、根本にある、hotaru自身の熱量も絶対に込められているんですよね。今回は、それをすごく感じました。彼って、ものすごく繊細なんですよ。真面目で実直な人間に見えるんですけど、実は中身がぐちゃぐちゃで(笑)。でも、クリエイティブな人間って、そうじゃないですか。

──そうですよね。色々な感情を持っているからこそ、たくさんの引き出しがある。

Tom-H@ck それを外に出すのも、本来は苦手な人間だと思うんですよね。色々な感情をぐちゃぐちゃに混ぜ合わせて、その混ぜ合わせたものが、少しずつ歌詞に出ているんだと思います。今回は、それをものすごく感じました。直接的に出てきたというのは、アーティストやクリエイターとして、真っ直ぐなものが表現されたというか。良いことなのかなと思います。彼も僕と一緒に40歳を超えてきたので、そこからクリエイティブなものを絞り出すのは、それはそれで大変なところもあると思うんです。きっと永遠に渦巻いている、噴火前のマグマみたいなものが、彼の中にはずっとあるんだろうなと。

──Tom-H@ckさん自身はどうですか。そうした噴火するようなものは、ずっとありますか?

Tom-H@ck 僕ですか。僕はもう、抑制する力がついてはきてるんですけど……でもずっとありますよ。MYTH & ROIDをやっている時は、それがすごく解放されている感じがありますね。ステージの上などでは特に。最近、編集者の箕輪厚介さんがYouTubeで、「人間にはA面とB面がある」という話をされていたんですけど、知っていますか?

──知らなかったです。

Tom-H@ck 要は、どのジャンルにも、A面で輝く人たちがいるじゃないですか。例えば、メジャーな場所で華やかに輝く人たちはA面で、表立った場所とは違うところで輝く人たちはB面、というような。で、良い意味、悪い意味ということではなく、僕たちは間違いなくB面だと思っていて。

KIHOW ははは(笑)。

Tom-H@ck MYTH & ROIDは歌詞や表現方法も含めて、“B面の王”みたいなものを目指しているのかもしれないなと思ったんです。もちろんその結果としてA面になっていたら、それはそれで良いし、アニメーションが好きな海外の方にとっては、僕らの音楽がむしろA面に感じられることもあるかもしれない。何をA面、B面と捉えるかは、その人の立場によって変わると思うんです。僕ら日本人にとって洋楽が自国の音楽とは別側にあるように、海外の方にとって日本のアニメ音楽が中心になることもある。A面とB面は、表裏一体のものだと思います。で、まさに今回の制作を通して、クリエイティブについて色々考えたことがあって、それが今の話に通じてくるんです。

──「Why? RED induction」の制作に。

Tom-H@ck はい。例えば、この曲のドラムセクションだけを抜き出して鳴らしたら、めちゃくちゃダサいんですよ(笑)。それほど難しいこともしていなくて、同じようなパターンを貼りつけているだけなので。クリエイターとしては、それだけを聴かせられるようなものではないし、昔の僕だったら「クリエイティブが死んでいるんじゃないか」と思っていたかと。
でも、さっきのA面とB面の話にも繋がるんですけど、ナイン・インチ・ネイルズって、日本人からすると完全にB面の存在じゃないですか。もしかすると、アメリカでもB面寄りかもしれないですけど、グラミーを獲るような音楽性を持っている人たちですよね。で、彼らの音楽も、ドラムには一切フィルが入らず、骨太のドラムが延々とループして、そのうえでロックサウンドやボーカルが展開していくような作りになっている。最近は、あえてそういうことをよくやっています。

──なるほど、土台はシンプルな音作りを。

Tom-H@ck 日本人には、重箱の隅をつつくように、細かなものを積み上げ、技術的に優れたものを作るところがあるじゃないですか。細かいところまでクリエイティブが行き届いている。音楽でもドラムのフィルが緻密に考えられていて、1番と2番では毎回違う。僕自身も、これまで複雑に作っていました。でも温故知新じゃないですけど……ここ30年、40年の間に、良いと思われてきた音楽は、実はそういう部分だけではない。骨太な音楽の感覚をもっと追求して、それを現代の音楽と融合させていけば、また新しいものが出来るんじゃないかなと。

──だからこそ、「Why? RED induction」は、心に響いてくるのかもしれないですね。

Tom-H@ck そうだと思います。最近の音楽を聴き慣れている人からすると、物足りなく感じるかもしれない。「もっと盛り上げてほしい」「もっとシンバルやハイハットがガチャガチャ鳴ってほしい」と思う人もいると思います。でも、そういうことをあえてやらずに、振り切りました。不自由さの中に、新しい自由を見つけるような感覚ですね。

──まさに『幼女戦記』という作品にも通じるような気がします。

Tom-H@ck そういう感じしますよね。

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