──『クレバテスⅡ-魔獣の王と偽りの勇者伝承-』(以下、『クレバテスⅡ』)EDテーマ「Awake Anew」について伺えたらと思います。『クレバテスⅡ』には、どのような印象をお持ちでしたか?
KIHOW 今回の物語では、キャラクターたちの成長が描かれていると思います。先ほど自分について話したことにも通じますが、それぞれが葛藤し、自分では受け入れられない部分や認められないことを経験しながら、新しい自分を獲得していく。この曲は、そうしたキャラクターたちの心情に寄り添っています。
──楽曲はどのように作っていったのでしょうか。スタッフの方からも「本当にすごいスケジュールだった」と伺いましたが……。
Tom-H@ck 確かに、ものすごく忙しい時期ではありましたね。当時は他にもバラードを何曲も作っていて、頭の中ではそれぞれを切り分けていました。ただ、いくつもの楽曲を行き来するなかで、自分自身はどちらか一方に寄りすぎない、ちょうど中間の感覚にいることができました。
この曲に関して大きかったのは、エンジニアの藤巻(兄将)さんがクリエイティブに作り上げてくれたことです。アナログ機材をものすごく活用する方で、先ほど話した、30年、40年前の不自由さを、今の自由な発想に繋げているというか。
──藤巻さんはどのような方なのでしょうか。
Tom-H@ck 藤巻さんは僕より少し年上なんですけど、ああいうタイプのエンジニアは本当に珍しいんです。ローの作り方も、普通のアニソンにはあまりないものになっているんですよ。キックとベースがボーカルと絡み合いながら進んでいき、そこに、サビの最初に上がってくるシンセがある。「こんなサウンド、他にないだろう」と思いますね。それから、KIHOWのボーカルがめちゃくちゃ良かった。僕もボーカルに合わせて、アレンジを変えていきました。ボーカルが良いと、楽なんですよ。今回は、めちゃくちゃ楽でした。
KIHOW そう思ってくれていたとは……今、初めて聞きました(笑)。褒めていただいたあとになんだか申し訳ないのですが、レコーディングに関しては、そこまで何かを考えていたわけではないんです。最近は、楽曲を聴いたまま、まずは歌ってみるというスタイルでレコーディングすることが多くて、今回の曲も、割と思うままに歌っています。
──だからこそ、ということもありそうですね。
Tom-H@ck うん。等身大のKIHOWが出たことが良かったんじゃない?飾り気のない、成長した今のKIHOWが、そのまま歌に出たというか。
KIHOW 確かに、それはあるのかもしれません。今回の楽曲のテーマにも通じていると思います。hotaruさんから「自己受容」がテーマだと聞いた時に、まず「今の自分にぴったりだな」と思ったんです。
私は元々、外からの影響を受けるよりも、常に自問自答しながら、自分の世界の中で答えを出し、自分なりに前へ進んでいくような生き方をしてきました。でも、ここ数年は国内ツアーを重ねるようになって、それが1つのきっかけになって、自分の外側にある意見を受け入れたり、今まではあまりしてこなかった、自分以外の人と比べたりするようにもなりました。ただ、最終的に辿り着いたのは、「自分はおかしいのかな」と苦しく思ったことや、悲しく感じた過去も含めて、今の自分を作っているんだということで。
──すべてひっくるめて、自分であると。
KIHOW はい。それを自分で理解できた時に、悲しかったことや、苦しかった自分自身の記憶が、逆に今の自分を勇気づけてくれるようになったんです。ちょうど、そういうことを感じ始めた頃に、この曲のレコーディングがあって。テーマを聞いた時に、歌詞も読んだんですけど、すごく驚きました。今までもあったことですが、hotaruさんはどうして今私が感じていることを歌わせてくれるのだろう、すごい歌詞だなと。
Tom-H@ck というか、それ、めちゃくちゃすごい話だと思うし、「私はこう思っていた」「今はこう感じている」と、自分の中で整理して話せていることも、すごくないですか? しかも、言葉に揺らぎや偽りがない。なかなか難しいことをやっていると思うんですよね。
KIHOW そう言われると、実際難しい日々ではありましたね(笑)。ただ、色々受け入れられたことで、ようやく「Awake Anew」の世界観を、素の自分として表現できるようになってきた。もしかすると、自分は少しずつ、そういう段階に入ってきたのかもしれないです。
──来年でMYTH & ROIDとしての活動が10年になりますよね。
KIHOW はい。そういう節目でもあるので、自分が積み上げてきたものを見せていきたいですね。それは「Why? RED induction」も同じです。ライブを重ねるなかで学ばせてもらった熱量を、この曲で自分を知る全ての人に今の自分を絶対に見せたい。この曲で「わからせたい」という思いがあります。
最近MYTH & ROIDの曲を聴いていなかったけれど、『幼女戦記』だから久しぶりに聴いてみようと思った方にも、一聴しただけでわからせたい。そういう強気な面も出ているのかもしれません。
──ものすごく良いお話ですね。アニメ作品が、こうした楽曲や表現との出会いをもたらしてくれたところもあるのだと思います。
KIHOW それは本当に大きいと思います。MYTH & ROIDは、3人のクリエイターが集まってアーティストになったようなユニットだと個人的に思っています。だからこそ、アニメの世界観やテーマがあることで、より力を発揮できるんです。タイアップはもちろん、オリジナル曲でも、何か軸となるテーマがあることに強いユニットだと思っています。
──ツアー〈MYTH & ROID Tour 2026-2027 “I know your fire”〉がスタートしたところです。
KIHOW 今回は来年まで続く長いツアーで、初のアジア公演もあります。ファイナルは来年2月6日(土)のKT Zepp Yokohamaで、この会場でのワンマンは初めてなので、みんなに集まってもらえたら嬉しいです。
──地方公演も多いですよね。
KIHOW この3年ほど、Myrrorたち(※ファンの呼称)を探しに行くような気持ちで、色々な場所を回ってきました。久しぶりのツアーなので、待っていてくれた分、ここから一緒に爆発していけたらと思っています。
Tom-H@ck ツアー初日に後半のスケジュールも発表となりましたが、今回は初めて海外公演も組み込まれたツアーです。規模がさらに広がった感覚はありますね。
また話が逸れますが、僕はアニソン業界の黄金期に活躍できたことで、その後の時代の変化も見てこられたと思っているんです。そうした流れを見てきたなかで思うのは、アニソンアーティストのライブは、これから厳しい時代になっていくだろうなということで。ただ音源を流して、バンドを入れて、ステージに立つだけではなく、その人たちがライブをすることで何を表現し、何を世界へ発信するのか。そこに向き合わないと、生き残れない時代だと思います。
──アーティストとしてのアイデンティティに加えて、エンターテインメントとしての力も求められると。
Tom-H@ck そうですね。ライブは、そのアーティストにしかできないエンターテインメントの究極形だと思うんです。耳だけではなく、五感すべてを使って表現できる場所なので。MYTH & ROIDとしても、今回のツアーで活動を広げながら、新しい道や景色を見つけて、さらに階段を上っていきたいなと考えています。
──先ほども話題に挙がっていましたが、来年はKIHIOWさんのデビュー10周年。今後、さらに驚かされるような展開もありそうですね。
Tom-H@ck 「あの大変な2曲を作っていた裏で、これもやっていたのか」と思っていただけることもあると思うので、それも楽しみにしていてほしいですね。そして、ここから20年、30年と長く続けて、「アニソンを海外へ発信するアーティストといえばMYTH & ROIDだよね」と言われるところまで行けたらと思っています。
●配信情報
MYTH & ROID
「Why? RED inducution / Awake Anew」
配信中

作詞・作編曲:MYTH & ROID
配信リンクはこちら
https://nex-tone.link/GPsD8PYbf
【STAFF】
原作:カルロ・ゼン(「幼女戦記」/KADOKAWA刊)
キャラクター原案:篠月しのぶ
監督:山本貴之
シリーズ構成・脚本:猪原健太
キャラクターデザイン・総作画監督:細越裕治
サブキャラクターデザイン:谷口宏美・牧孝雄・栗田新一
服飾デザイン:谷口宏美
魔導具デザイン:江畑諒真・月田文律
銃器デザイン:秋篠Denforword日和・大津 直・月田文律
プロップデザイン:森山 洋・秋篠Denforword日和
設定考証:鈴木貴昭
美術監督:平栁 悟 (アートスタジオ・ザオ)
色彩設計:中村千穂
撮影監督:木舩颯人
3DCGIディレクター:高橋将人
特技監督:シュウ浩嵩
編集:神宮司由美
音楽:片山修志
音響監督:岩浪美和
アニメーション制作:NUT
製作:幼女戦記2製作委員会
【CAST】
ターニャ:悠木 碧
ヴィーシャ:早見沙織
レルゲン:三木眞一郎
ルーデルドルフ:玄田哲章
ゼートゥーア:大塚芳忠
ヴァイス:濱野大輝
グランツ:小林裕介
ケーニッヒ:笠間 淳
ノイマン:林 大地
ミケル:杉田智和
ウィリアム・ドレイク:森川智之
リリーヤ:日笠陽子
メアリー:戸松 遥
©︎カルロ・ゼン・KADOKAWA 刊/幼女戦記 2 製作委員会
【STAFF】
原作:岩原裕二(「LINEマンガ」連載)
監督:田口清隆
シリーズ構成:小柳啓伍
キャラクターデザイン・総作画監督:佐古宗一郎
サブキャラクターデザイン・総作画監督:近藤奈都子
アニメーションディレクター:塚田拓郎
動画検査チーフ:余島郁枝
美術監督:森川 篤
色彩設計:岩沢れい子
撮影監督:浅川茂輝
CGディレクター:辻 直希
編集:定松 剛
音楽:信澤宣明
音響監督:田口清隆
音響効果:古谷友二
録音調整:佐竹徹也
アニメーションプロデューサー:栗山政一郎
アニメーション制作:Lay-duce
【CAST】
アリシア:白石晴香
クレン:田村睦心
クレバテス:中村悠一
ラスウェル:杉田智和
ルナ:会沢紗弥
ナイエ:黒沢ともよ
ロッド:関 智一
ヴォーデイン:黒田崇矢
レイ:梅田修一朗
メリーメリー:菊池ゆりな
アンドリュー:橘 龍丸
ティゲル:鈴木崚汰
リオン:峯田大夢
サラサ:久野美咲
エディソン:西山宏太朗
ミレア:関根明良
ローメイン:佐野史郎
©Yuji Iwahara/LDF/クレバテスⅡ製作委員会
『クレバテスⅡ -魔獣の王と偽りの勇者伝承-』 公式サイト
https://clevatess.com/
『幼女戦記Ⅱ』公式サイト
http://re-zero-anime.jp/tv/
MYTH & ROID オフィシャルサイト
https://mythandroid.com/
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