REPORT
2026.07.20
「名古屋ただいま!LiSAでーす!」と改めて挨拶。「昨日の初日の名古屋すごかったな。でも今日は、この15周年、たわわに実ったイチゴを連れてのファイナルです。ファイナルを地元同然の名古屋で行うということは、どういうことかわかってますね?」と問いかけるLiSAに、「もちろん、昨日以上に盛り上げるよ!」というように、大歓声が応える。「どこよりも楽しむ準備はいい?たたわなイチゴにする準備はいい?」と煽り、全員で再び声を出してピースサインを掲げる。LiSAッ子のいつも以上の一体感に差し込むように、天からピアノの音色が降り注ぎ、始まったのは「Rising Hope」だ。LiSAが真正面に拳を突き出して歌い出すと、フロアが一気に青く染まる。巻き起こるクラップ。それまで華やかな色に彩られていたステージは電飾だけの演出になり、ほのかに色づいた剥き出しの白いライトに包まれる。エモーショナルに躍動するLiSAとフロアを埋め尽くすオーディエンスの大きなコール。去年の“~RiP SERViCE~”のステージ前半、バンドと歌だけの生のパワーで、シンプルにLiSAの音楽の力を見せつけた、あの時の感動が思い出される。LiSAの声に激しく重ねられたオーディエンスの“「僕は要らない まだ見たい未来があるから」”の大合唱はそのまま、ここにいる全員のLiSAとの未来への想いを代弁する。
みんなの想いを離すもんか!というように、突き出した拳をギュッと握りしめたLiSAは、バンドのかき回しを浴びながらセンターステージへ。待ち構えていたスタンドマイクに手をかけて、次に放ったのは、まさに15年前、アーティスト・LiSAが鮮烈な存在感を知らしめたソロデビューシングル「oath sign」だ。ギターソロのパート、会場の大きな掛け声を逃さぬようにと、LiSAが頭上にマイクスタンドを掲げる。歌い終え、そのマイクスタンドからサッとマイクをもぎ取って、次に届けたのは「crossing field」だ。TVアニメ『魔法科高校の劣等生』『Fate/Zero』そして『ソードアート・オンライン』。ここで披露された楽曲はどれも、今も彼女の活動を支え続ける作品群で、初めてLiSAが主題歌を担当したナンバー。15年間を振り返るに相応しい選曲は、彼女が歩んできた歴史に想いを馳せさせ、同時に今のLiSAバンドのサウンドで聴くことで、格別の感慨を残す。「crossing field」を歌いながらランウェイを堂々と歩き戻って、余裕の表情で「名古屋の皆さん、そんなもの?」とオーディエンスを煽る逞しいLiSAのステージングに、ライブアーティストとして成長してきた15年という年月を、感じずにはいられなかった。
初期ナンバーが続いたところで、ステージはガラリと景色を変える。不穏なSEが流れ出し、黒く陰ったステージ背後のLEDスクリーンに赤い波がせり上がり、一面を真っ赤に染める。バンドが激しいイントロを奏でると、PABLOといくちゃんを両脇に従えて真っ赤な衣装に身を包んだLiSAが、お立ち台の上にすっくと立つ。スタートしたのは、“太陽”をキーワードに据えた「träumerei」だ。力強い歌声のLiSAがまるで赤い海の中を泳いでいるようにひらひらと両手を舞わせると、黒と赤が交差するステージに妖しいシルエットを映し出す。ハイキーなシンセリードが野太く響く「träumerei」のアウトロが終わると同時に、LiSAが歌い出したのは、赤色に相応しい「紅蓮華」!オーディエンスの合唱がしっかりと重なり、LiSAが手を広げてその声を掴み取る。激情が爆発し、突き刺さるバンドの音。あっきーのアバンギャルドなピアノソロが暴力的に鳴り響き、すべてが真っ赤に燃え上がる。LiSAの“紅蓮の華よ咲き誇れ!運命を”の歌声に、LiSAッ子たちが“照らして”と歌い繋いでいく。
そしてハードなかき回しに翻弄されるなか、ゆーやんのドラム台の前にバンドが集まると、雄々しい“おーおーおー”の声が導かれ、背中を向けていたLiSAが羽織っていた上着を脱ぎ捨てる。くるりと振り向くと、お立ち台の上にはフロアタム。ゆっくりと台に上がり、フリンジのついたマレットをおもむろに掲げると、みんなの合唱を鼓舞するように振り下ろす。そう、曲はもちろん、地中の真っ赤なマグマの中から生まれたダイヤモンドがモチーフの「ADAMAS」だ。激しく振られる赤いペンライト、マレットを何度も激しく振り上げ、振り下ろすLiSAのリズムと畳み掛ける歌声にのせて、バンドが加速する。赤いライトが点滅しながら心臓の鼓動を刻み、押し寄せる“赤”の奔流にすべてが飲み込まれていった。
“赤”をテーマに熱情をぶつけたこのブロック。めくるめく「紅蓮華」を終えると、ゆーこーがクールなベースソロを奏でだす。クラップが湧き、バンドがジャジーな演奏を始めると、どこからかサックスの音が絡んでくる。バンドの後ろのLEDスクリーンの上にスポットが当たると、そこにいたのはこのツアーのためのゲストサポート――トロンボーンの半田信英、サックスの堂地誠人、トランペットの真砂陽地による「15(イチゴ)ホーンズ」だ。魅惑的なサックスがバンドとセッションを始めると、LiSAはドラム台の横のランウェイへ。赤いライトを浴び、床を這うように体をセクシーにくゆらせながらコケティッシュに「⾚い罠(who loves it?)」を歌う。ゆったりと始まった曲は次第にテンポを上げると、15ホーンズと合流したLiSAのダンスも激しさを増す。突き刺さるようなブラスの響き。ライブならではの生アレンジ感と音圧が、楽曲に新しい命を宿す。
昨年5月の日本武道館“~RiP SERViCE~”公演ではストリングス、そして今回はブラストリオ。14周年を超えたあたりから、LiSAはライブの音作りについて、「バンド出身の自分だからこその原点回帰をしたい、バンドの音、生の音にシンプルにこだわりたい」というようなことを、よく語ってくれていた。15ホーンズとのその想いが今回のツアーにも反映されているのが、よくわかった。“赤”にまつわるナンバーが立て続けに畳み掛けられたこのブロックは、これまでのLiSAのライブの迫力をまた一つ更新し、鮮烈な印象を残した。
デンジャラスな“レッドゾーン”をゴージャスなジャズタイムで締めくくったLiSAは、颯爽とステージを後にした。ステージに残ったバンド&15ホーンズが、メンバー紹介を兼ねたセッションを繰り広げる。それぞれがソロを繋ぐたびに歓声が上がり、スクリーンにボーカル・LiSAの名前が映し出されて、LiSAがステージに跳ねながら駆け込んでくる。15ホーンズが吹き上げるイントロは「HADASHi NO STEP」! ここまでのセクシーな出で立ちから一転し、キュートな衣装に着替えたLiSAが、坂道ランウェイを駆け上がって15ホーンズと肩を並べて軽やかな歌声を響かせる。ピンク、パープル、オレンジ、イエロー……カラフルなライトが交差し、LiSAの動きに合わせて、ピンクの光が左右に揺れる。
「名古屋―!この15年、たくさんの空を超えて、またここ名古屋に帰ってきましたー!」。そう大きく告げて、「BRiGHT FLiGHT」へ。“今日は記念日 いい旅が そうね、出来そうじゃん”と歌う「BRiGHT FLiGHT」にのせて、LEDスクリーンいっぱいに広がる、青い空と空からの景色。LiSAは楽しそうに15ホーンズを引き連れて、センターステージへと進み、輝くブラスの音色が空を飛ぶ爽やかな風をアリーナに運んでくれた。拍手に見送られて15ホーンズがセンターステージを下りると、LiSAが「この(センターステージからの)ヤバい景色、見てみたいでしょ?にゅーメンズ、カモン!」とバンドを誘い、アコースティクセットが準備されたフロア中央に集合する。
「わぁ、どうしよう!すごい楽しい!」とニコニコ顔のLiSAは、この日のステージには、映像収録が入っていることも報告。そしてオーディエンスを見回し、過去2回、同じ場所でライブを行った“〜LADYBUG〜”ツアー、“〜LiTTLE DEViL PARADE〜”ツアーだけでなく、15年前に行った最初の“〜Letters to U〜”ツアーグッズを持っているファンを見つけて驚き、喜びの声をあげる。若き日、レインボーホールと呼ばれていた時代から「ここの舞台」で歌うことを夢見てきたというLiSA。「色んな日を超えて、今日、この新しくクロコくんホールの中で、あなたとお祝いできる日を、幸せを噛みしめながら、1曲お届けしたいと思います」。そう言って届けたのは「Letters to Me」だ。LiSAが10周年のタイミングで、デビューから自分が歩んできた道を振り返って作詞したこの曲。冒頭、“もう今は音の出ないウォークマンを抱きしめ ここで歌ってる”のフレーズを、かつての自分に言い聞かせるように、 “ガイシで歌ってる クロコで歌ってる”と歌い替えたLiSA。感慨を込めた強く、優しい歌声を支える、粒立ったアコースティックサウンドが、この曲に込められた今のLiSAからかつてのLiSAへの想い、そしてLiSAの歴史を見守ってきたファンの想いを、温かく包み込んでいた。そして、センターステージに残ったLiSAが「Letters to ME」の歌詞になぞらえて語りだす。
「名古屋駅から走り出した15年前の私に伝えたい。15年後、こんなに最高な景色をこの名古屋で迎えられてるよって。それは、あなたが繋いでくれた今日です。あなたが一緒に繋いでくれた、この15周年です。今日は本当にありがとうー!」
メインステージに戻っていたバンドが、その言葉に重ねて息の合ったリフを奏で、LiSAは「まだまだ一緒に繋いでいこう!「Patch Walk」!!」と宣言する。“わたしは ほら 確かにここにいる 絡め 固く結んで 次の未来へ”、“ここまで来れたことが誇らしい”……LiSAの歌声はどこまでも伸びやかに、幸せな時を刻む。インターバルではLiSAが大きく手を左右に振り、客席の“ララララララ~”の大合唱と一体になる。
アニメに寄り添った世界観をリアルに表現するアニソンアーティストとしてのLiSA、吹き出すエモーションを激しくぶつけるロックアーティストとしてのLiSA、等身大のワタシを歌うポップなLiSA。そして、そんな15年間を総括して、次への道を指し示すLiSA。ここまでの各ブロック。彼女がずっと培ってきた音楽との軌跡を詰め込み、楽曲で長い歴史をなぞってきたことに、とてつもない幸せを感じてしまう。さらにその曲たちはすべて、LiSAッ子との“デート=LiVE”の中で彼女がずっと大切に育て、育ててもらってきたナンバーばかりだと気づき、さらに嬉しくなった。

客席の大合唱に高々とサムアップしたLiSAがお立ち台を下りてステージから姿を消し、バンドと15ホーンズが演奏を始めた曲は、最新アルバムのトップを飾った「OPENiNG -LACE UP-」。聞き覚えのある名曲のフレーズが散りばめられたインストゥルメンタルナンバーが、“これまで”を経てきたLiSAの“今”に照準を合わせる。ステージ頭上から、ゆっくりと巨大イチゴのセットが下降。もう一度上昇を始めると、そこにLiSAの姿が!
歓声の中で鳴り響くエンジン音、吹き出すスモーク。ドラムカウントとともに「DECOTORA15」が走り出し、LiSAが「ぶっ飛ばしていくよー!」と叫ぶ。LEDモニターにはデコトラが映し出され、ビカビカの電飾とイエローのライトがド派手に光り、オーディエンスの雄々しい掛け声がこだまする。大きくアクションしながら、LiSAが“ぶっ飛ばした”ボーカルで客席を煽り、“もっと遊んでDECOTORA 幻のようなクロコくんホール!”と笑顔で歌い替え、“だって一緒がいい!一生涯!”と声を張り上げる。次に放ったのは、ミラーボールの光を浴びた「rapid life シンドローム」。バンド&15ホーンズが、LiSAと一緒にわちゃわちゃとメイン&センターステージをはしゃぎ回り、ポップな熱狂をさらに追い立てる。ステージの上の一体感とフロアの一体感が渦を巻き上げ、聴こえてきたのは……“RED or GREEN”のあのコールだ。ステージが赤と緑の光に包まれ、再び下りてきた大きなイチゴの前に凛とLiSAが立つ。 “RED or GREEN”の連呼を浴びて、お立ち台に座り込み、寝転び、艶っぽくパフォーマンスしながら、歌声を響かせる。センターステージでPABLOといくちゃんが激しくギターをかき鳴らし、バンドがアグレッシブにサウンドを聴かせる中で、イチゴセットに乗り込んだLiSAが上空へと引き上げられていく。その姿はまさにQUEENの名に相応しい。クールな表情でフロアを睥睨し、天を高く指さしてダイナミックに歌い上げ、間髪入れずに「Shouted Serenade」へ!
歌が始まるとともに、一斉にLiSAが見下ろす世界が青く変貌する。まだ足りない!と、激しく「名古屋ー!!!」とシャウト。叩きつけるようなリズムがスピードを増し、怒号のような“Hey!Hey!”の声に煽られたLiSAの歌がフロアに降り、大きなイチゴがゆっくりと下降。“心に嘘はつかない その手は離さないんだよ”で握られた拳が、力強く伸ばされた。一瞬の暗転を挟んで、印象的なイントロが耳を襲う。ステージに光が戻った瞬間、地上に降り立った猛々しい“QUEEN”が両手を広げてランウェイを疾走。興奮に囲まれたセンターステージにたどり着き、「Catch the Moment」を放つ。今日何度目になったのか、もう数え切れないオーディエンスの大合唱に、LiSAが「歌って!」と声をかけ、どこまでも“Catch the Moment”のフレーズが広がっていった。
「大切な瞬間、全部全部全部全部掴んで、この先の未来へ行こう!どんな逆光もぶっ飛ばして、その先に行こう!……ラスト!!」
本編ラスト、LiSAが自分もタオルを持って、「タオル回してー!」とシャウト。勇壮なブラスを響かせた「逆光オーケストラ」がスタートする。“想い出話なんて 下手なままでいいよね”と不器用に、真っ直ぐに、悲しいこと苦しいことを乗り越えて、眺めていた鮮やかな地図へと飛び込んでいったLiSA。そしてここからは、先のまだ見えない物語が待っている――。歌いながらセンターステージからランウェイに戻る途中、ニコニコしながら客席に振っていたタオルを投げ込み、バンドの待つメインステージへと走るLiSA。みんなと一緒にピースサインを掲げて歌い終えた彼女の笑顔は、かけがえのないLiSAッ子という仲間を得た喜びに溢れていた。
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