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INTERVIEW

2026.07.23

水瀬いのり、自身初の野外イベントのために作ったポップチューン「Summer Challenger」に込めた想いに迫る!

水瀬いのり、自身初の野外イベントのために作ったポップチューン「Summer Challenger」に込めた想いに迫る!

30歳のバースデーとなる昨年12月2日にアーティストデビュー10周年を迎えた水瀬いのりが、この夏、新たなチャレンジに取り組む。それが9月12日・13日に山梨・富士急ハイランド・コニファーフォレストで行われる、自身初の野外ライブイベント“Inori Minase OPEN AIR LIVE 2026 Summer Challenger”。その2日間をより特別なものにするべく、ライブの開催に先駆けてリリースされるのが、同ライブのテーマソングとなるニューシングル「Summer Challenger」だ。ヒットメイカーのヤマモトショウを迎えた本楽曲は、夏らしさ全開の躍動感に溢れたポップチューン。カップリング2曲を含め、彼女が見せてくれる新しい夏の景色に迫る!

INTERVIEW & TEXT BY 北野 創

ヤマモトショウとの初邂逅で生まれたチャレンジ満載のサマーソング

――新曲「Summer Challenger」は、水瀬さん初の野外ワンマンライブ“Inori Minase OPEN AIR LIVE 2026 Summer Challenger”のテーマソング。そもそも野外ライブはどういう経緯で開催することになったのでしょうか。

水瀬いのり 昨年12月にアーティストデビュー10周年を迎えて、ベストアルバムのリリースやライブツアーなどを通して10年という月日を振り返るなかで、まだやっていないことがたくさんあることに気付いたのが大きくて。私はデビューしてからしばらくの間、自分のやりたいことを上手く言葉にできない時間が長かったのですが、それを取り戻すかのように、チームの皆さんが私のやりたいことや興味のあることをたくさんヒアリングしてくれたんです。そんななかで「星空を見ながら自分の歌を歌いたい」「屋根のない場所で、大地のもと、みんなで歌を歌えたら最高かも」ということをポツポツとお話していたら、皆さん「待ってました!」と言わんばかりのスピードでその夢を叶えるために動いてくださって。個人的には2、3年かけて叶えていくペースで発信したつもりだったのですが、瞬く間に会場や日程が決まっていって「えー!」っていう(笑)。嬉しい悲鳴というのはこういうことを言うんだなと思いました。しかも自分の中ではコニファーフォレストという広さは想定していなくて。

――どんなイメージだったんですか?

水瀬 もう少しキャンプファイヤー的な、みんなで焚火を囲んで歌ったりして、それを楽しく聴いている人もいればお酒を飲んでいる人もいるような、旅の一座が道中で楽しんでいる一夜のようなイメージだったんです。それがコニファーフォレストで2DAYSという規模になったので「うわー!」と驚いてしまって(笑)。10周年のライブツアーも自分の中では集大成であり、ひとつのギフトのような気持ちでしたが、野外ライブはある意味それのアンコール的なものとして、自分自身が燃え尽きてしまいそうだなと思って、それだけは気をつけようと思っています。

――夏の野外は暑いですからね(笑)。ちなみに野外ライブをお客さんとして楽しんだ経験はありますか?

水瀬 あります。ちょうど10年前くらいに、同じコニファーフォレストで開催されたSEKAI NO OWARIさんの野外ライブをツアーバスに乗って観に行きました。コニファーフォレストと言えば(水樹)奈々さんもライブを行ったことがありますし、私の大好きなaikoさんもビーチで歌われていたりしていて。ホールやアリーナと違ってスタンド席が無いぶん、すごく開放感がありますし、ステージの姿を見て楽しむというよりは環境そのものを楽しむもの、音に心地良く身を委ねて、ふと空を見上げれば満天の星空が広がっていて……というのが野外ライブの醍醐味だと思うんです。それを自分の音楽で体感できると思うと、想像するだけで鳥肌が立ちます。

――そんなライブのテーマソングとして生まれたのが「Summer Challenger」というわけですね。

水瀬 今回、9月にライブを行うのとリリースが7月、他にもシングルの発売日に合わせてポップアップショップの開催も決まっていて、「この夏を水瀬いのりと一緒に楽しもう!」という気持ちで制作しました。私は暑さが苦手で、暑いと思考が停止してしまうし眩しいのも嫌いなんですけど、みんなとなら夏を楽しめるんじゃないかということで、「Summer Challenger」と言いつつ、私の中では「Summer Challenger(夏と仲良くなりたい)」という副題があるイメージです(笑)。

――アハハ(笑)。そんな水瀬さんが夏の野外ライブに挑戦するための1曲でもあると。

水瀬 はい。「チャレンジャー=挑戦者」という強い言葉がタイトルに付いていますが、歌詞の中に“夏ってそう、誰が決めるものでもない”と出てくるように、「暑いだけが夏じゃないよね」っていう水瀬いのりらしい観点からも歌えたらいいなという気持ちで楽曲の制作に取り掛かりました。

――水瀬さんはこれまでにも「夏の約束」や「八月のスーベニア」「夏夢」などの夏ソングを歌っていますが、いずれも夏のセンチメンタルな部分が強く出ている楽曲でした。でも、この曲は全然違いますよね。

水瀬 今回は管楽器が鳴っていて、豪華なブラスの音たちと一緒に弾けるような爽やかなメロディラインの曲になっています。いわゆる夏ソングと言われてパッと思い浮かぶもの、日光が燦々と照りつけてくる感じや水しぶきが連想できるような曲に今回はしたかったので。今までの夏ソングが、夏の夕暮れや帰り道に蜃気楼を見てあの日の情景を思い出す、みたいな感じだったとするなら、この曲は「目の前にあるものを夏として楽しんでいっちゃおう!」みたいな、気力や体力が溢れるエネルギッシュな曲になったら良いなと思って生まれました。

――そんな楽曲の作詞・作曲を担当したのが、水瀬さんとは初顔合わせとなるヤマモトショウさん。アイドルをはじめ様々なアーティストに楽曲提供している、令和のJ-POPシーンを代表するヒットメイカーの1人です。

水瀬 街中で流れている楽曲や流行にそこまで敏感ではない私ですら、ヤマモトショウさんの作った楽曲は自然とキャッチしていて。その中でも、私はFRUITS ZIPPERさんの「フルーツバスケット」という曲がすごく胸に刺さって、何度も繰り返し聴いていたんです。個人的にヤマモトさんの作る楽曲はBメロが切ないものが多くて、「Bメロがサビでもいいくらいだなあ」と思っていたんですけど、ある日、テレビを観ていたらとある番組でヤマモトショウさんが楽曲の作り方について説明していて、「まずAメロを最初に作って、そのAメロより良いメロをBメロに、Bメロより良いメロをサビにする」みたいなことをおっしゃっていて、「それだ!」と思ったんですよね。もちろんAメロから最高なのですが、Bメロに入った瞬間のドラマチックさに約束された勝利を感じるので、個人的に大好きな作家さんなんです。

――ということはヤマモトさんに指名でお願いしたんですね。

水瀬 はい。今回、お忙しい方なのでお引き受けいただけるかわからないなかでお願いしてみたのですが、快くお返事をいただき、驚異のスピードで作っていただいたのがこの曲でした。私たちのチームは、作家さんが楽しんで作ってくださることを大切にしているので、私からプロデューサーさんに「どんな夏の曲にしたいか」をお話ししつつも、まずはヤマモトさんが思うものをぶつけていただく形でお願いして。ショウさんがどれくらい私の近況を見てくれたかはまだ聞けていないのですが、歌詞を読む限り、私の温度感を探ってくれたんだろうなと思いましたし、私からはほぼ何も言うことがないくらい素敵な楽曲を返してくださいました。特に1番のAメロ冒頭の歌詞が“仕方なくやった宿題”で始まるところの説得力がすごくて。

――いいですよね。“仕方なくやった宿題 その日記に、助けられる思い出、”という歌い出しのフレーズは、水瀬さんらしさをすごく感じました。

水瀬 私も「えっ!」と思いました。その後もサビで明るくなっていくなかにも切なさや過ぎていく時間を噛みしめるフレーズが残っていて。無責任に明るく楽しく歌うのではなく、ちゃんと「それぞれでいいよ」というメッセージ性があるところが、独り歩きしていなくていいなと思います。トラックダウンでヤマモトさんにお会いした時、この曲の歌詞はヤマモトさんご自身が夏に感じていた思いを書いたとおっしゃられていたのですが、もしかしたら私とヤマモトさんの温度感が近かったのかもしれないです。サビの“駆け抜けた夏が、私たちになるの”も「私だけの夏」ではなく「私たちの夏にしよう」というメッセージが感じられて、今回の野外ライブのテーマともマッチしているなと思いました。

――コール&レスポンスのパートもふんだんに入っていますし、まさにライブ会場の“私たち”みんなで作る楽曲ですよね。

水瀬 サビの“超”という掛け声は、1サビ、2サビは明るくでいいんですけど、落ちサビはしっとりめで“超”と言う必要があるので、皆さん的にはちょっと高度な掛け声を入れなくてはいけないんですけど(笑)。でも私がこの部分を歌うとサビに入れなくなるので、100パーセントみんなにお任せになるんです。ちゃんと“超”と言っていただかないと“超センス最高”じゃなくて普通の“センス最高”になって箔がつかないので、このコールはぜひ練習してきてほしいですね。“超”にも情緒があるので、しっかりと強弱をつけてくれると嬉しいです(笑)。

――水瀬さんのファンは毎回ライブでも素晴らしい結束力を見せてくれるので大丈夫そうですね。

水瀬 そうなんです!みんなすごく真面目だから、「新しい使命を課せられた」と深く受け止めてしまって、今このインタビューを読みながら真顔になっているんじゃないかな?(笑)。後半パートの“Summer day”という追っかけのフレーズもコール&レスポンスができる部分になっているのですが、ここは野外ライブでみんなとよりたくさんコミュニケーションを取って開放的な時間にしたかったので、ヤマモトさんにお願いして足してもらったパートなんです。深く受け止めることなく、あくまで楽しみながら参加してもらえればと思います。

――ただ、この曲、水瀬さん自身が歌いこなすのはなかなか大変そうだなと思いました。リズムの取り方やバックの演奏とのシンコペーションも意識しないといけなさそうですし。

水瀬 そうなんです。ヤマモトさんの作る楽曲は、1つの音に対してハメていく歌詞の文字数が多いのも魅力だと思うんですけど、この曲はAメロの始まりの部分からそういう魅力に溢れていて、舌が滑らないように一文字ずつドキドキしながら録りました。私、声優なんですけど(笑)。あとは軽やかに聴かせたいけど、BPMが速くてサビが走りやすいので、前に出る感じというよりも伸び伸び歌うことを大切にしたり。自分としては珍しく、どこにアクセントをつけるかを含め、自分の中で結構プランニングしたうえでレコーディングに臨みました。

――ヤマモトさんは現場にいらっしゃったんですか?

水瀬 それがレコーディングの日は、ヤマモトさんも編曲を担当してくださった宮野弦士さんも都合で現場に来られずだったので、プロデューサーさんとミキサーさんと私の3人だけという今までで一番少ない人数でした。宮野さんから事前に気をつけてほしい内容をいただいていたので、それを元にプロデューサーさんがディレクションしてくださったのですが、それもある意味、チャレンジでした。レコーディングではパートごとに分けて録っていきますけど、ライブでフルサイズ歌いきるとなると体力が必要なので、最高の「Summer Challenger」をお届けできるように頑張りたいです。

――歌詞の最後が“今を生きていく”で締められているのも、日常に寄り添う感じがして、水瀬さんがこれまでご自身の音楽を通して伝えてきたこととも重なるように感じました。

水瀬 サビのラストには“明日、未来、その方向が、美しくなる”というフレーズもあって、それまでは現実的だったのが急に詩的な表現になるところが素敵な塩梅ですよね。この“今を生きていく”という言葉は、聴く人やタイミングによって感じ方が変わってくると思うのですが、ライブで歌う時は、目の前にお客さんがいて、バンドがいて、チームがいて……という環境になると思うので、きっと“宣言”みたいな気持ちで歌えるんじゃないかなと思っていて。レコーディングの時もここは楽器の音がスッとなくなるので、「同じ時を過ごす今」を一緒に生きていこうというチャレンジへの硬い握手というか、ちょっとヒーロー的な感じで、対象者が明確にわかるように想像して歌いました。“いきたいとこありすぎるダメ?”というセリフっぽいパートもあって、キャラソンではないけど、私の中にある「夏を楽しみたい人格」が先頭に立って歌っているなかで、落ちサビの静かになるところには“アーティスト・水瀬いのり”らしい情緒が出ているのかなと思っていて。そのコントラストが楽しい曲になりました。

――そういえば前回のインタビューで「30代は無邪気でエネルギッシュに過ごしたい」とおっしゃっていましたが、この曲はそういうモードも反映されているのかなと思って。

水瀬 確かに、それはあるかもしれません。私はいつからか仕事を仕事と思いすぎて、責任感が先に立つあまり、楽しむことや好奇心が二の次になっていた部分があったんです。完璧にしなくては、ノルマをクリアしなくては、という世界だからこそ、枠を外れることをするのに勇気がいるようになっていて。でも29歳から30歳になった瞬間に、今までの20代というシリーズが完結して新しい箱に移れた気がしたんです。そうなったら、前例のないことをやるのも全然ありだし、全部30歳のせいにしようと思って(笑)。

――30代になったんだから新しいことをしてもいいだろう、と。

水瀬 だって「私、30代を迎えたので」と言えば、髪を切ってパーマをあてたことも何となく納得してくれて論破できそうじゃないですか(笑)。28歳で急にこれをしても「もしかして映画に影響されたのかな?クスクス」みたいに思われるかもしれないけど、「30歳になったから気分転換で」と言えば「ああ」って。便利だなあと思って最近はよく言っています。

――それが「Summer Challenger」という今回の楽曲や野外ライブのチャレンジにも繋がっている。

水瀬 そうです。このシングルのカップリングを含めて、歌の表現もここから先「こんな水瀬いのり、まだ聴いたことない」というものを届けられる予定なので、大いに期待していてほしいです。もちろん変わらない良さは追求しつつ、「こんなに楽しく遊べるようになったよ」というのを温かい目で見守ってほしいなと思います。

――その話を踏まえると、先ほどの冒頭の歌詞“仕方なくやった宿題 その日記に、助けられる思い出”も、20代の活動の積み重ねがあったからこそ今がある、という意味合いにも受け取れますし。

水瀬 確かに。やっぱりどこか切なさも感じられる歌詞なんですよね。トラックダウンの時にお話したのですが、ヤマモトさんはDOMOTOさんの大ファンらしくて、ご自身の音楽ルーツもJ-POPや歌謡曲で、哀愁のあるものが意外と好きというお話をされていたんです。そんな方が令和の最先端の「かわいい」を担っているギャップが面白いなあと思いましたし、アイドルも時代と共に流行が変わっていったり戻っていったりする中で、時代によって「好き」が変わっていくというお話もして。私は何かを生み出したり想像したりするのがすごく好きなので、ものづくりという観点のお話ができて楽しかったです。ヤマモトさんからは「プロデューサーとかの裏方も向いてそうですね」と言っていただいて、「私も自負しております」と思いつつ、プロデューサーもその場にいたので「ああー」って感じになったんですけど(笑)。編曲の宮野さんもトラックダウンの時に「踊っちゃっていいですか?」ってノリノリで。すごく楽しくて、またお二人とご一緒できる機会があったらいいなと思う制作期間でした。

――ぜひ実現していただきたいです。続いてMVについてもお話をお聞かせください。この取材時点ではまだ未完成とのことで拝見はできていないのですが、撮影はいかがでしたか?

水瀬 確か梅雨に入った時期で、全国的に曇りや雨の中、その撮影日だけ晴れるという奇跡的な日になりました。私、以前は“曇り女”だったんですが最近は“晴れ女”で、撮影チームの皆さんは雨になる場合を想定して色々と準備してくださったみたいなんですけど、開口一番「水瀬さんは晴れるんだった。心配いらなかった!」と言われるくらい快晴の中で撮影しました(笑)。夏の曲のMVを撮るのは初めてでしたが、今回は炭酸やフルーツジュース、扇風機、放水シャワー、最後は海岸に行くシーンもあって、夏詰め合わせパックのような内容です。髪を切ってから初めての撮影だったので、髪型もパーマをあてた状態で。それと私、30歳になってカラコンデビューしたんです。

――えっ!じゃあこの曲のMVでもカラーコンタクトレンズを付けているんですか?

水瀬 はい。MVは光の入り方もあって普段から綺麗に撮っていただけるので、多分言われないと気づかないくらいの変化だと思うんですけど、今回はカラコンデビュー作品でもあります。私は目が悪くて、20歳で初めて度入りのコンタクトデビューして、そこから10年かけてカラーコンタクトレンズにたどり着き、次は40歳でピアスデビューかなと思っているんですけど。

――だいぶゆったりしたペースですね(笑)。

水瀬 10年単位でお洒落を覚えるみたいな(笑)。カラコンは友達に付き添ってもらって買いに行ったのですが、その友達が今は光が入り込むとキラッとしてかわいくなる水光レンズ的なものが主流と教えてくれたので、ナチュラルなブラウンとグレーの2色を購入して。でも、初めてつけたのは友達とお出かけする時だったんですけど、恥ずかしすぎて真っ黒のサングラスをずっとかけていました。

――カラコンの意味がないじゃないですか(笑)。

水瀬 室内でもサングラスのままだから、友達から「どうしたの?」って言われて、「あ、じ、実は、カラコンを入れてみたんだ」っていう、夏休み明けの高校生みたいなことを30歳でやっていました(笑)。で、公の場でつけるならしっかりとメイクしていただいている時がいいなと思っていたので、このMV撮影が初めてになると思います。髪を切るときは各所に相談せず勝手に切るんですけど、カラーコンタクトに関しては結構各所に確認をして(笑)。「Summer Challenger」のチャレンジにかけて挑戦したので、ぜひ観ていただければと思います。

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