――作品タイトルの『PRESSED FLOWERS』は「押し花」を意味する英単語ですが、どんな意味を込めたのでしょうか。
楠木 元々はレコードに溝を刻む工程のことを指す「PRESS(プレス)」をタイトルにしようと考えていたんです。ただ、もう少し具体的なアイテムが浮かぶタイトルのほうがかわいいかなと思って。今までの作品の収録曲を「生花」とするのであれば、今回はそれを改めてレコードにプレスすることで、また違った楽しみ方ができると思いますし、レコードの歴史は長くてリバイバルを繰り返しているなかで、今回のレコードも長く聴いてもらえるものになればいいな、という意味を込めて、それらのイメージにもピッタリの「押し花」をタイトルにしました。私は植物や花をテーマにした楽曲が多いですし。なおかつ私の中では「音」と「花」が繋がっていることが多いんです。
――と言いますと?
楠木 私、音楽を聴いていると、パパパパッて花が咲いている感覚になるんですよ。だから曲を作る時のモチーフとして自然と出てきやすいのかなと思うのですが、それもあって今回は『PRESSED FLOWERS』にしました。
――そしてレコードと言えば、ジャケットが大きくてデザイン的にも遊べるのが特徴です。今作のアートワークはどんな部分にこだわりましたか?
楠木 まずどんなジャケットにするかを考えるにあたって、色んなレコードのジャケットを調べたんです。イラストだけのものもあれば、自分の顔をバーンとアップで載せていたり、逆にアーティスト自身を写さないデザインのものもあって。私的には顔のアップは気持ち的にちょっと厳しいけど、自分が写っていないのも寂しいかなと思って、まずは自分が写ることにしました。そこからレコードが普及していた70年代の雰囲気、ヒッピーっぽさもあるようなカラーリングで、ジャケットを見た時にレコードが聴きたくなるようなデザインにしたいと思って、ファッションやヘアメイク、セットを決めていきました。
――写真の上からイラストが描かれているデザインですね。このイラストは楠木さん自身が描いたとか。
楠木 ジャケットを色々調べている時に、細かい絵をバーッと描いているジャケットがあったんですよね。私も絵を描きますし、自分らしさを表現できて良いかなと思って、あらかじめ写真の上から描く想定でお伝えして、少し隙間がある感じで撮影していただきました。イラストは『PRESSED FLOWERS』ということで植物を意識しつつ、音が花のように現れているイメージで、自分自身や楽器からお花が咲いて部屋全体に広がっているイメージにしました。絵柄が細かくて、CDサイズだとこの細かさはきっと表現できなかったと思います、レコードジャケットのサイズだからこそ楽しめるデザインになったと思います。
――楠木さんが部屋でくつろいでレコードを楽しんでいる雰囲気が素敵です。
楠木 ありがとうございます!撮影時も「謎に似合うね」って言われました(笑)。
――楠木さんのお部屋もこんな感じ?
楠木 ギターは家から自分のものを持ってきましたけど、こんなにお洒落な部屋ではないです(笑)。でも、こういう環境には憧れますよね。レコードに馴染みがないと、どうしても肩肘張ってしまいそうですけど、これくらいリラックスして聴くのが憧れですね。
――レコードは怖くないよ、と。
楠木 はい。怖いと思っている人はきっと多いと思うんです。勝手にこちら側の敷居が上がってしまって、「なんかすごく良いものらしいから手を出さないでおこう」と思っている方は多いんじゃないかなと思っていて。逆に今はリバイバルでブームになっているからこそ、他のアーティストさんもレコードを出している方は多いですし、私も含めて気軽にレコードを聴ける時代になればいいなと思います。
――今はサブスク中心ですが、レコードには別の価値がありますからね。
楠木 昨今は音楽が日常の添え物になっているような気がするんです。何かをしながら聴くことが増えて、自分というものが中心にあって、その彩りとして音楽を聴いている。でも、レコードは音楽を聴くために準備をして、針を置くという行為が必要じゃないですか。自分中心ではなく「音楽中心」になる聴き方なので、レコードは「自分から音楽を求めて集中して聴く時間」をもたらしてくれると思います。
――それで言うと楠木さんも自宅にレコードプレイヤーの導入を検討している?
楠木 そうなんです!今プレイヤーが欲しくて。でも、どこからどう買い揃えればいいのか悩んでしまって。それこそ今はレコードも色んな聴き方があるじゃないですか。調べたら、レコードの上を車みたいな機械が回って音が鳴るものやBluetoothで再生できるものもあって。良い音で聴くのを目的にするのか、手軽に聴くことを目的にするのかでも変わってきますし、多様化しすぎていて、一歩踏み出すのに勇気が必要だと思うんです。今回のレコ―ドがそのきっかけになれれば嬉しいですし、私も今回を機に一歩踏み出そうと思って、今は色んな人に聞いてみようと思っています。
――それこそ身近にお父さまとお姉さまがいますし。
楠木 そうなんですよ。だから一緒に買い物に行ってみようかなと思います。
――今後の活動についても伺わせてください。9月には初のBillboard Live公演が決定。横浜と大阪で計4公演、しかもアコースティック編成らしいですね。
楠木 憧れの会場なので嬉しいです!インディーズ時代にずっとアコースティックライブをやっていたので、ある意味ルーツでもあって。私の曲はアコースティックアレンジが似合いそうと言ってもらうことも多いので、久々に、なおかつ今の曲をアコースティックにしたらどうなるのか私自身も興味があります。お食事やお酒を楽しみながら、BGMとして楽しんでもらえるくらい、穏やかな時間をお届けできればと思います。
――ちなみに楠木さんはBillboard Liveでライブをご覧になったことは?
楠木 実はTETSUYAさんのライブを観させていただいたことがあります。その時の会場はBillboard Live TOKYOだったのですが、本当に良すぎて(笑)。会場の空間もそうですし、いい意味でライブっぽくない雰囲気が素敵で、その時に「私もこの場所でやりたい!」という憧れが生まれたので、すごく楽しみです。
――せっかくの機会なので、これからのアーティスト活動の展望についても聞いてみたいです。
楠木 もっともっと色んなジャンルの楽曲をやりたくて。民族音楽っぽいものとか、ゴスロックもやってみたいですし、「MAYBLUES」みたいなガラージも深掘りしたい。ここ数年はライブでの表現を想定して曲を作ってきましたが、曲を作り始めた初期の頃に立ち返って、楽曲単体で詰めていく作り方をしたいんです。とにかく色んな曲をやってみたい気持ちが今は強いです……これは私が勝手に思っているだけなんですけど(笑)。
――まあ言うだけならタダですから(笑)。
楠木 ずっとやってみたいと思っているのが、ボーカルとピアノだけ、ボーカルとギターだけ、ボーカルとベースだけ、ボーカルとドラムだけの4曲入りEP。昔にライブでベースとボーカルだけのパートを作って歌ったことがあるのですが、その経験もあって、楽器ごとにバラバラのハーモニーを楽しめるEPは面白そうだなあと思って。多分、たくさんの人に聴いてもらうことを考えると明らかに必要ないと思うんですけど(笑)、1人の音楽好きとして、もっと小さな視点で遊んでみたい気持ちもあって。心の奥深くにある「これ面白いね!」という感覚を忘れたくなくないので、もっと振り切って色んなことに挑戦してみたいですね……何度も言いますがこれは私が勝手に言っています(笑)。
――音楽は自分自身が楽しんで作ることが大切でしょうからね。それともう1つこの機会に聞きたかったのが、この間、矢野妃菜喜さんに「ルリマツリ」という楽曲を書き下ろされたことで。他人に楽曲提供するのは初でしたが、楠木さんにとってどんな経験になりましたか?
楠木 すごく楽しかったです。というのも、私は普段ライブで自分が歌うことを想定して楽曲を制作しているので、「これは自分には合わないな」と思ってどうしても切り捨ててしまう部分があるんです。でも、他の人に作る時は「その人に何が似合うか」を考えるので、おみやげを選ぶ時間に近い楽しさがありますし(笑)、自分が歌うとなると合わなそうなアイデアも使うことができるので、誰かに対して楽曲を書くスタイルであれば、もっと色んなジャンルに挑戦できそうだなと思って。それと「ルリマツリ」を聴いた人が「ともり節を感じる」と言ってくださったのも嬉しかったです。意識しなくても滲み出る自分らしさがあるんだなと、自分の作る音楽の存在意義を認めてもらえたような気がしました。
――矢野さんもインタビューで楠木さんらしいニュアンスを意識して歌ったとお話ししていましたが、確かに楽曲自体からも楠木さんらしいトーンをすごく感じました。
楠木 今まで「自分らしさって何だろう?」と追い求めてきたなかで、漠然と「ここなんじゃないか」と思う部分があって、それを出そうとしてきたんです。でも、それを意識しなくても、むしろ私以外の人が歌う曲だからそれは出さないほうが良いと思いながら作っても、自分では自覚していなかった“楠木ともりらしさ”を他の人が感じてくれたことが、やたら嬉しくて(笑)。もう見失わないで済むんだと思いましたし、楽曲提供に対してすごく前向きになりました。
――おお!ぜひ期待したいです。ちなみにどんな人に書いてみたいですか?
楠木 妃菜喜ちゃんへの楽曲提供は私から「楽曲書いてもいいですか……?」って提案したんですけど、今回は女の子だったので、次は男性にも書いてみたいですし、あとは自分では絶対に歌わないプリプリ系のポップでかわいい曲も書いてみたい気持ちがあって。前向きでポジティブな歌詞を書くことがあまりないので、きっとどこかに闇が自分らしさとして残ってしまうと思いますけど(笑)、OKしてくださる方はぜひご一報ください。頑張ります!
●リリース情報
アナログ・レコード盤
「PRESSED FLOWERS」
6月17日(水)発売

完全生産限定盤 [アナログ盤]
品番:VVJL-27
価格:¥5,500(税込)
<収録曲>
■SIDE A
01. アカトキ(作詞:楠木ともり・鳴海夏音 作曲:楠木ともり 編曲:多田三洋)
02. DOLL(作詞・作曲:楠木ともり 編曲:亀田誠治)
03. 眺めの空(作詞・作曲:楠木ともり 編曲:重永亮介)
04. バニラ(作詞・作曲:楠木ともり 編曲:野村陽一郎)
■SIDE B
01. narrow(作詞・作曲:楠木ともり 編曲:重永亮介)
02. twelve(作詞・作曲:楠木ともり 編曲:arabesque Choche( Chouchou))
03. MAYBLUES(作詞・作曲:楠木ともり 編曲:KBSNK)
04. タルヒ(作詞・作曲:楠木ともり 編曲:やぎぬまかな)
●ライブ情報
【ビルボードライブ横浜】(1日2回公演)
2026年9月6日(日)
1stステージ 開場14:00/開演15:00
2ndステージ 開場17:00/開演18:00
【ビルボードライブ大阪】(1日2回公演)
2026年9月13日(日)
1stステージ 開場14:00/開演15:00
2ndステージ 開場17:00/開演18:00
■チケット料金
【ビルボードライブ横浜】
DXシートDUO ¥22,900(税込/ペア販売)
DXシートカウンター ¥10,900(税込)
S指定席 ¥10,900(税込)
R指定席 ¥9,800(税込)
カジュアルセンターシート ¥10,400(税込/1ドリンク付)
カジュアルサイドシート ¥9,300(税込/1ドリンク付)
【ビルボードライブ大阪】
BOXシート ¥22,900(税込/ペア販売)
S指定席 ¥10,900(税込)
R指定席 ¥9,800(税込)
カジュアルシート 9,300円(税込/1ドリンク付)
■枚数制限
お一人様1公演につき2枚まで
▽一般発売(先着)
受付期間:2026年5月29日(金)12:00~
・イープラスでのお申し込みはこちら
https://eplus.jp/sf/word/0000117807
・ビルボードライブでのお申し込みはこちら
横浜公演:https://www.billboard-live.com/yokohama/show?event_id=ev-21441
大阪公演:https://www.billboard-live.com/osaka/show?event_id=ev-21442
楠木ともり オフィシャルサイト
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