“引き金”は引かれた――。ClariS第3章初のワンマンツアー“ClariS -03- 1st TOUR 2026 ~Trigger Anthem~”は、これまで築き上げてきたイメージを自ら更新する覚悟のライブだった。ClariSの15年の歴史を噛みしめながら“現在進行形の物語”へと進化することを選んだ3人の決意、そして挑戦曲「Revive」が示した“解放”の意味とは。日本武道館という目標を改めて掲げた今、ClariSはどこへ向かうのか。その現在地を、メンバーの言葉から紐解く。
PHOTOGRAPHY BY 堀内彩香
INTERVIEW & TEXT BY 冨田明宏
――まずは“ClariS -03- 1st TOUR 2026 ~Trigger Anthem~”について伺います。ライブを観ていた多くの関係者が「すごいライブだった」と口を揃えていて、これまでのClariSのイメージを大きくアップデートする内容だったと思います。改めて振り返っていかがですか。
クララ ClariS第3章がスタートしてから1年3ヵ月が経って、ようやく迎えた初のワンマンライブだったので、そこに対する思い入れはすごく強かったです。ファンの皆さんが「ClariSのライブを観たい」と思って来てくださる、その愛のある空間を2人にも感じてほしいという気持ちがずっとありましたし、自分としても「やるしかない」という覚悟で臨んだステージでした。ライブタイトルの引用に「Trigger」という楽曲を選んだのも、その思いがあったからです。この曲は第3章にとって最初の挑戦でもあり、3人で新しい音楽を提示する最初の一歩でした。“Trigger”には「弾き金」と「きっかけ」という意味がありますが、自分にとってもこの曲は大きなきっかけであり、弾き金を引いてくれた存在でした。だからこそこのライブでは、弾き金を引いた後のClariSを見せたいという思いで構成を考えていきました。終わってみて改めて感じたのは、私はこのワンマンツアーのステージという場所が本当に大好きだということですね。ワンマンライブのステージに立つこと、そして皆さんと同じ時間を共有することが、自分に本当にとってかけがえのないものなんだと実感しました。それと同時に、エリーとアンナがこの1年3ヵ月で見せてくれた成長もすごく大きかったです。自分の15年に匹敵するくらいのスピードで成長してくれて、安心して背中を押すことができた。だからこそ自分自身もステージを楽しめたし、2人が音楽を楽しんでいる姿を間近で感じられたことが、本当に嬉しかったです。第3章が始まった頃は、どうしても自分が引っ張らなきゃいけないという意識が強かったですが、今回のワンマンでは3人で同じ覚悟を持つことができた。それがすごく大きくて。3人で作ったからこそ、ClariSとしての決意をしっかりと示せるステージになったと思います。
――アンナさんはいかがでしたか?
アンナ この1年3ヵ月は本当にあっという間でした。目の前にある新しいことに1つ1つ向き合って、それに集中して頑張るということを繰り返していたら、気づいたらワンマンライブを迎えていたという感覚で……。でもステージに立った瞬間、ファンの皆さんの熱量をすごく感じて。「ちゃんと見届けるぞ」という真剣な想いが圧のように伝わってきて、その瞬間に手が震え始めてしまって。最初は本当に緊張していたんですけど、ライブが進むにつれて、どんどんお客さんとの距離が縮まっていくのを感じました。それがすごく嬉しかったですし、今までは楽曲を通してしか伝えられなかった思いを、自分の言葉で直接伝えられたことも大きかったです。“Trigger Anthem”という形でこのライブが残ったことも嬉しいですし、大きな達成感もありました。でも同時に、ここから更に上に進んでいかなきゃいけないという責任も強く感じました。
――ありがとうございます。ではエリーさんはどうですか?
エリー もう本当に、言うなれば感情の回転寿司状態でした(笑)。
クララ・アンナ どういうこと!?
エリー 色んな感情が次から次へと流れてくる感じ。ビュッフェみたいに自分で取りに行くというより、向こうからどんどん押し寄せて来る感じというか。
アンナ 回転寿司も自分で皿を取らない?(笑)。
クララ 相変わらず表現が独特すぎる(笑)。
エリー たくさんの情報が流れてくるけど感情の処理が追い付かないまま、気づいたら「もうお腹いっぱい!」状態になっちゃう感じで。お寿司のネタみたいに最初はバラバラな種類だったものが、セットリストを組んでいく中で少しずつ1つにまとまっていって、「みんなでライブに向かっているんだな」という実感が生まれていきました。レッスンやリハーサルを重ねるなかでスタッフさんもどんどん増えていって、「ワンマンライブをすることって本当に大きなことなんだ」と感じて、責任もどんどん大きくなっていって。そういう色んなものを全部背負ってステージに立ったら、1曲目の「Trigger」で銃口を作る手が震えて乱射状態になっちゃって(笑)。でも、このセットリストを届けられるのは今しかないと思って、途中からは楽しむことに集中できました。
――ライブのスタートが楽屋の様子を映し出すところから始まっていたのも絶妙で、これから始まるライブが「現実と非現実の接続」と「現在進行形のClariSへの接続」を同時に行っていて。
クララ まさに。あの演出もClariSをファンのみんなと作っていく物語にしたくて、楽屋前でいつもやっている3人の気合い入れから見てもらったんです。今日もこれからも、みんなで作っていくんだよって。
――ライブ終盤のMCも非常に印象的でした。それぞれの原点や、ここまでの歩みが一気に溢れ出るような時間だったと感じて。
アンナ あの瞬間は、この1年半だけじゃなくて、自分の人生も全部思い出してしまって。歌手を目指した時のことや、歌いたいという気持ちをなかなか周りに言えなかった時のこと、オーディションの画面を見ながら「どうしよう」と悩んでいた時間、色んなことが一気に蘇ってきてしまって、思わず涙が出てしまいました。でも、あの空間だからこそ伝えられた言葉だったと思いますし、あの温かさの中でしか出てこない気持ちだったとも思います。クララちゃんがずっと大切にしてきた“ワンマンライブの温度”というものを、実際に体験できたこともすごく大きかったですし、その思いを自分たちも同じ熱量で届けたいという気持ちでステージに立てたのは、本当に良かったなと思います。
――エリーちゃんの「諦めなくて良かった」という話も、クララちゃんの「守るために変わっていく」という話も、ClariSが今まさに現在進行形の物語として始まった瞬間を見届けた思いだったし、更には日本武道館単独公演という目標も改めて明確に言葉にしましたね。
クララ ずっと目標としては掲げてきたものではあったんですが、正直なところ、どこか少しぼんやりしていた部分もあって。夢としては見ていたけれど、「今の自分たちで本当に掴めるのか」という実感が少し薄れていた時期もありました。でも第3章が始まって、エリーとアンナと一緒に1年3ヵ月を過ごしていくなかで、「本当に叶えられるかもしれない」と思うようになったんです。この2人がいたからこそ、今回のステージも作れたし、あの場で改めて言葉にすることができました。15周年を迎えて、改めてこういう目標を言うことに少し迷いもありましたが、言葉にすることで自分たちの意識も変わるし、ファンの皆さんと共有することで一緒に進んでいける。そう思って、あの場でしっかり伝えました。実際に、その後にファンの皆さんが「一緒に行こう」と言ってくださったことがすごく嬉しくて。本当に続けてきて良かったと思いましたし、3人でのClariSの可能性を改めて強く感じることができました。
――その流れの中アンコールで披露された新曲「Revive」は、今回のライブの中でも非常に象徴的な存在でした。まさにClariSの「変化を恐れない姿勢」を体現してもいる曲ですが、改めてこの楽曲について聞かせてください。
クララ 最初に楽曲をいただいた時は、「私にできるのかな」という不安がすごく大きかったです。これまでのClariSのイメージとは明らかに違う、真逆とも言える方向性だったので、これを成立させられるのかという怖さも正直に言ってありました。
――「Don’t mess with me(私をナメるな)」という歌い出しから始まる曲をClariS歌う日が来るとは(笑)。
クララ 本当にそうですよね(笑)。でも同時に、ここで挑戦しなければいけないという気持ちもあって。レコーディングでは、かなり緊張しながらスタジオに向かったのを覚えています。実際に歌ってみると、自分の中に眠っていた感情が呼び起こされるような感覚があって。知らなかった自分の一面が引き出されていくような、まさに“自分の中の何かをReviveする”体験でした。
エリー 私は最初に聴いた時、「これ、ClariSが歌って大丈夫?」って思いました(笑)。それくらい今までのイメージとは違っていて。でも歌詞を見ていくと、「これは絶対にライブで楽しい曲になる」という確信もあって。ただ、エネルギーがすごく強い曲なので、そのまま歌うと自分が飲み込まれてしまう感覚があったんです。なので、どうやってこの曲に追いつくか、理想とする表現を歌に変換できるかをすごく考えて、色々と試した結果、「3キロの重りを持って中腰で歌う」という方法に辿り着きました(笑)。身体的な負荷をかけることで、歌の重心も低くなって、ようやくこの曲のエネルギーに近づける感覚があって。気づいたら2時間くらいその状態で歌っていたんですけど、それでも全然苦じゃなくて、それくらい「Revive」にのめり込んでいたんだと思います。
アンナ 私はレコーディングの時に、「新しい自分、こんにちは」って思いました(笑)。本当に人格が変わったみたいな感覚で、巻き舌だったり、「Highになれよ」みたいな挑発的な歌い方だったり、今までやったことがない表現が自然に出てきて。でもそれがすごく楽しくなっていって、「こういう自分もいるんだ!」と思えたことが大きかったです。MVの撮影でも、「Revive」が自分たちの体に入っているので、歌詞の世界観そのままの自分が出ていて、考えてやったというよりは自然に出てきた表現でした。でも初日のワンマンライブでファンのみんなと一緒にMVを観た時は、やっぱりすごく恥ずかしくて(笑)。
――MVが一般公開されてから、Xでは色々な国の人が「これは私の知っているClariSですか?」みたいなことをポストしていて。
エリー そのポスト、たくさん見ました(笑)。
クララ それはそう思いますよね。受け入れてもらえるか、最初は不安もありましたが、2人の歌を聴いて「すごくかっこいい!」と思えてからは、自分も楽しめるようになりました。MVの撮影では、私も金髪にして強めのメイクをして、ここまで変えたからこそ逆に振り切れた部分もあって。ただ、これまでのClariSのイメージを体現する白い衣装の柔らかい表情をしなければいけないシーンでも、曲が流れるとどうしてもついつい挑発的な顔になってしまって(笑)。それを抑えるのが大変でした!
――話を聞いていて思ったのは、ClariSの中に「Revive」をインストールして“変化”したというより、元々内側にあった感情や表現が「Revive」で“解放”された、という近い感覚の方が近いのかもしれないですね。
クララ まさしくそうですね。新しいことをやったというよりは、自分の中に元々あったものを解放した感覚です。15年の中で積み上げてきたClariSらしさを一度壊して、「こういう一面もある」ということを提示できた曲だと思います。でもそれはやっぱり今まで築き上げてきたClariSとファンのみんなとの信頼関係があるからなので。ずっと「Revive」な状態の私たちで活動していくわけではないのでご安心ください(笑)。
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