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INTERVIEW

2026.04.21

前田佳織里、声優デビュー10周年の節目に語る自身の哲学とアーティスト活動にかける思い、表現の世界で見つけた「自分の居場所」

前田佳織里、声優デビュー10周年の節目に語る自身の哲学とアーティスト活動にかける思い、表現の世界で見つけた「自分の居場所」

みんなへの“ラブレター”であり、“会話”でもあるアーティスト活動

――アーティスト活動についても聞かせてください。2023年のデビューから振り返って、どんな経験になっていますか。

前田 元々バンドでステージに立って歌うことがきっかけで、エンタメに関わるお仕事をしたいと思ったので、アーティスト活動は、原点回帰という感覚が強いです。もちろん最初は「自分の歌声って何だろう?」とか自分のアーティスト像について悩んだ部分もありましたが、自分そのもので歌うこと自体に抵抗はなくて。自分が今考えていることをみんなに届ける“等身大のラブレター”を出せることが、アーティスト活動の面白さだと感じています。自分自身の進捗報告みたいなイメージですね。

――なるほど。現在までにEPを3枚リリースしていますが、それぞれどんな想いや進捗を伝えるラブレターになりましたか?

前田 1st EPの『未完成STAR』は、始まりの“ありがとう”という気持ちが第一にありました。2nd EPの『Grab the World』は“遊び心”を大切にしていきたい気持ちが自分の中で芽生えてきたタイミングで、この頃からライブでもアドリブパートを入れてみたり、いろいろなことができるようになりました。3rd EP『I’m ready!』は自分も作詞に挑戦した「Progress」もありますし、前作を経て自分らしい“遊び心”や方向性を確立できたからこそ、“これからもよろしく”という一枚になったと思います。あとは3rd EPのタイミングで1stライブを開催できたことが大きくて。自分のやりたい演出を全部詰め込んでいただいて、納得のいくパフォーマンスができたんです。そこからさらに今後やりたいことも浮かんできましたし、アーティストとして成長させてもらいました。

――楽曲にも前田さんの等身大の想いが反映されたものが多い印象ですが、ライブや楽曲制作には前田さんの意向がどの程度反映されているのでしょうか。

前田 楽曲制作はイメージを話し合う最初の段階から関わっていますし、曲調に関しても「ここはもう少しメリハリをつけてもらえると嬉しいです」みたいな感じで、周りのスタッフさんの意見も踏まえた上で、自分の意見もしっかりと伝えます。もちろんタイアップがある場合は、その作品の作風を意識して表現しますが、他のEP収録曲はいわば自由に作れるところがあるので、「今回はバラードを収録しよう」とか「この箇所にラップを入れてみよう」とか自由に挑戦しています。

――ラップ入りの曲は結構ありますよね。お好きなんですか?

前田 はい。『金曜日のしじみ』というラジオ番組でも「狂犬ラップ」というコーナーをやっているくらいなので(笑)。リスナーさんから募集したリリックを私が即興でラップするっていう。ちゃんみなさんやChelmicoさんといったラップがかっこいい女性の方が大好きで、普段から聴いたりしています。

――アーティスト活動の場合、声優のお仕事よりも自己表現の要素が強くなりますが、その楽しさと難しさについてはどう感じていますか?

前田 楽しさを感じるのは、ライブで自分のやりたかった演出や楽曲が完成して、なおかつお客さんのおかげで予想以上に盛り上がった時です。「この曲、こんなに楽しんで下さるんだ……」と感じたり、ステージの神様が微笑みかけてくれたのかな?と感じたりする瞬間が結構あって。ライブはその場限りのもので、同じ曲を歌ったとしても同じようには絶対にならないものじゃないですか。だからこそ、その瞬間瞬間を大切にしたいなと思っています。難しさを感じるのは、正解がないなかで模索しながらステージングを考えることです。「自分はこれをやりたいと思っているけど、みんなは喜んでくれるだろうか?」というのは、面白さでもありますが、不安もあるなと思います。

――では、1stライブで自分の予想を上回る楽しさを感じた曲は?

前田 「ショータイムは終わらない」ですね。元々大好きな曲だったのですが、ライブのステージで歌いながら「私はこの場所でしか生きられない!」と強く感じて。早着替えの演出もあったので、バンドの皆さんが演奏で繋いでくださったのですが、その演奏もめちゃめちゃかっこよかったです。その場を楽しんで演奏してくれていることが音から伝わってきましたし、私もリハでは出すつもりのなかったガナリや叫びが自然と出てきて、予想以上のぶち上がりソングになりました。あの爆発力には自分でもびっくりしました。レコーディングの時も曲のパワーを感じてはいたんですけど、その瞬間の自分では出せなかったんですよね。

――「ショータイムは終わらない」は、楽曲自体がライブステージを題材にしたような内容ですしね。

前田 そうなんです。音源には音源の良さがあるし、それをライブでパフォーマンスすることで違った魅力が引き出せると思うので、“ライブをする楽しさ”を改めて実感する一曲だったかなと思います。

――前田さんの活動の原点には、学生時代のバンド活動があるというお話ですが、ステージに立つことは前田さんにとってどんな意味を持っていますか?

前田 昔の自分はコンプレックスが多くて、人と同じことをやりたくても不器用でうまくいかなかったり、自分の理想を実現するためにやらなくてはならないことが多かったりして、割と早い段階で人生を諦めていたんです。人に何かを伝えることも苦手だったし、「どうしようかなー」と思っていたんですけど、高校の時にバンドを組んでライブをしたら、歌やパフォーマンスを通じて「すごいよかった」とか「なんか伝わったよ」と言ってもらえて、「あ、会話してるな」って思ったんです。なのでライブは私にとって伝える場所であり、会話なんです。まずは「来てくれてありがとう」「時間をくれてありがとう」って感謝を伝える場所。そして言葉にせずとも、自分を洗いざらい出すことができる場所。ライブをしていると安心する気持ちもありますし、私の中では日常に近い感覚もあって。もちろん緊張もしますけど、やっぱりみんなと対話させてもらっている場所ですね。

――デビュー曲「光ったコインが示す方」の歌詞に“コインの表と裏”とありますが、前田さんの楽曲にはパブリックイメージの明るい部分だけでなく、時には葛藤やコンプレックスも表現されている印象です。その意味で自分らしさが表れている楽曲を挙げるとすれば?

前田 「ポジティブガール」ですね。どの楽曲もクリエイターの方が私の内面を深く掘り下げてくださって、「あれ、昔から友達でしたっけ?(笑)」と思うくらい解像度高く書いてくださるのですが、この曲には特に好きな歌詞があって。それが“始めは未完成 どんなスターも”というフレーズで、キャッチーな曲調と歌詞の内容が自分っぽいなと思いますし、「あまり背伸びせずに今の自分でやるしかないよね」みたいな心情が表れていて、すごく好きな曲なんです。もちろん私も「こうなりたい」という目標や向上心はありますけど、どれだけ背伸びしても無理なこともある。そんな時に、今やれる自分の100%を積み上げていけばいいと思うんです。そうすればおのずと、100%が200%、300%となっていって、いつか理想の自分に届くかもしれない。そんな感覚が反映されている楽曲です。

――「Dream’s Top Star!!」の歌詞にも“単純にポジティブ思考だけじゃなく”というフレーズがありましたが、それが前田さんならではのポジティブさだと。

前田 まさにその通りです。ポジティブって一般的には「明るい」とか「楽しい」というイメージだと思うのですが、私にとってのポジティブはそういうことではなくて。「無理しない」とか「自然体」というのもポジティブのひとつなのかなと思っています。私自身のパブリックイメージも「明るい」とか「気さく」という印象があると思うのですが、私は確かに比較的明るいのかもしれないけど、四六時中めちゃめちゃテンションが高いわけではなくて。そもそもネガティブがないとポジティブにはなれないし、月と太陽みたいな感じで両方がないと成立しないと思うので、作家さんたちは私のそういう部分を見抜いてくださっていて嬉しいです。

――ご自身で作詞した「Progress」も、ある種の葛藤や悔しさを土台に立ち上がっていくような楽曲でした。

前田 「Progress」に関しては、作詞に挑戦する難しさもあったのですが、自分の中ではやっぱり皆さんに現状の進捗を報告したい気持ちがありました。一回自分をさらけ出してみようと思って、最初は一人ぼっちだった自分が、色んな人と出会って開けていく人生を一曲で表現したので、歌詞を書き終えた時はなんか恥ずかしかったです(笑)。田仲圭太さんと一緒に素敵に仕上げることができて良かったです。

――“へたくそで不器用でも ありのままの私で伝える それが生きる私の証だ”というフレーズが、すごく真っ直ぐで素敵だと思います。

前田 ありがとうございます!やっぱり愛が大切だと思うんですよね。どんなに下手だったとしても、今できることをやりきって愛を見せる。ライブでは毎回自分の中でいろんなテーマを設けますが、まずは愛が伝わるということを一番大事にしていて。それは今後もライブに限らず、ステージやアフレコを通して表現していければと思っています。

――アーティスト・前田佳織里をひと言で表すなら?

前田 “テーマパーク”です。私の中ではコミカルとかっこ良さを両立させたい思いがあって、1stライブの時、リハが終わった後に、マネージャーさんが私の考えた演出を見て「他でやってない新しいスタイルで面白いと思う」と言ってくれたんですよね。その意味でライブに来たら夢のような時間を過ごして楽しんでもらえる、いろんな音楽があっていろんな世代の人を受け入れられるテーマパークのような存在になりたいです。

――30歳の誕生日当日となる4月25日には、初のバースデーイベント“前田佳織里BIRTHDAY EVENT~かおりんうまうまハッピー~”が東京・神田明神ホールで開催されます。

前田 感謝の気持ちをお伝えするのはもちろんですが、「お祭り」にしたいなと思っています。昼公演には日笠陽子さん、夜公演には矢野妃菜喜ちゃんがゲストに来てくれますし、会場の神田明神ホールは私が『古畑前田のえにし酒』で最初に撮影した場所でもありますし、その後も『Tokyo SAKE Collection』でご縁があったり、神田明神の横の名酒センターさんともずっとお仕事をしています。『ラブライブ!シリーズ』も馴染み深かったりとすごく縁を感じるしかない会場なので、みなさんハッピーに楽しんでいただける「前田佳織里祭り」にできればと思っています!

――そしていよいよ迎える30代、どんな時間を過ごしていきたいですか?

前田 いろんな方が「30代は自由だよ」と言ってくれるので楽しみです。お仕事に対しては今後も「何でもやります!」というオープンな姿勢は変えずにいたいですし、10年やっているとスタッフさんも親戚みたいな感覚になってきて、「久しぶりだね」みたいな会話ができるのがすごく嬉しいんですよね。今までの人生で、こんなにも自分の居場所を与えてくださることがあまりなかったので。なので愛を持って一緒に作品を作っていくことで、恩返しをしていきたいです。

――最後に今後の声優/アーティスト活動の展望、やりたいことをお聞かせください。

前田 声優としては、やっぱりアニメが大好きなので、常にアニメの第一線に関わってけるように、実力を持って中心に入っていける30代になりたいです。役どころとしては、ワンクールだけではなく、長い年月をかけて演じる作品にも巡り会えたら嬉しいですね。あとは自分の「陰」の部分をバーンと出せるような、ガッツリと闇堕ちするキャラにもアニメで挑戦したいです。アーティストとしては、テーマパークでライブがしたいです!この間、松平健さんがサンリオピューロランドでライブをしていましたけど、私もああいうコラボレーションをやってみたくて。きっと楽しいものが生まれると思うので、いつかコラボさせていただけるように頑張ります!


●イベント情報
「前田佳織里BIRTHDAY EVENT~かおりんうまうまハッピー~」
公演日時:2026年4月25日(土)
会場:東京・神田明神ホール
【昼公演】開場 13:00/開演 13:30
【夜公演】開場 17:30/開演 18:00

関連リンク

前田佳織里
オフィシャルサイト
https://maedakaori.jp/

オフィシャルX
https://x.com/kaor1n_n

オフィシャルYouTube
https://www.youtube.com/@kaorimaeda_official

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