「学園アイドルマスター」(以下、「学マス」)が2026年5月でゲームサービス開始から2周年を迎え、4月15日には親愛度コミュ「#STEP3」で登場した新ソロ曲を収録した3rdシングルの第2弾をリリース。リスアニ!では「学マス」2周年と3rdシングルリリースを記念したキャストインタビューを実施し、新たな楽曲を中心にキャスト自身の成長も深堀りしていく。今回は、「空と約束」で大きな成長をみせて一歩先に進む、倉本千奈役の伊藤舞音に話を聞いた。
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INTERVIEW & TEXT BY 千葉研一
――もうすぐ「学マス」はサービス開始から2周年を迎えます。先日は“学園アイドルマスター 初星音楽祭”(以下、“初星音楽祭”)、昨年末は“THE IDOLM@STER M@STERS OF IDOL WORLD 2025”(以下、“MOIW2025”)もあり、とても充実した2年間だったと思いますが、今の率直な気持ちからお聞かせください。
伊藤舞音 駆け抜けている時は時間があっという間に感じますけど、まさにそんな感じで。すごく密度の濃い2年間だったなと思います。
――合同ライブとはいえ、2年経たずにドーム(京セラドーム大阪)に立ったわけですからね。
伊藤 なんだか夢みたいです。早い段階で名だたる先輩の背中を見ながらステージに立てるなんて、こんな贅沢はないなって思いました。
――“初星音楽祭”はいかがでしたか?
伊藤 “祭”とあるように曲の味付けが普段とは違っていて、アイドルと一緒に新しいことをたくさん体験できました。「学マス」のすごいところは、毎回毎回より新しさを研鑽していくというか、前のめりな姿勢を制作の段階から感じるんです。私たちの成長にも繋がりますし、特別なお祭りの機会をどう大切に過ごすか考えていましたね。
――では、この2年間を通して、ご自身のなかで特に大きかった楽曲やライブなど、ターニングポイントを挙げるならどこでしょうか?
伊藤 やはり最初のターニングポイントは、“学園アイドルマスター DEBUT LIVE 初 TOUR -初心公演-”(以下、“初 TOUR”)です。500人規模の会場で、手探りの状態での初めてのステージ。私にとってもここがライブデビューでした。一番緊張したのは“初 TOUR”でしたし、一番体力が必要だったのも“初 TOUR”、レッスンを一番丁寧にやっていただいたのも、失敗したらどうしようと一番思ったのも、すべて“初 TOUR”でした。「千奈ちゃんもこんな気持ちだったのかな?」と思いながら、3人(花岩香奈、伊藤、薄井友里)で寄り添ってステージに立った、その後のすべてにおいて“お守り”になっているのが“初 TOUR”です。当時、千奈ちゃんと(姫崎)莉波ちゃんはコミュでも関わっていたのですが、(葛城)リーリヤちゃんとはまだあまり関わっていなかったので、どういう感じのライブになるんだろうと思っていたんです。キャスト同士の仲もまだ手探りのところがあって。今はこんなに仲良く、かけがえのない友人ですが、すごく大切な仲間という気持ちが芽生えたライブでもありました。(花海)佑芽ちゃん、(篠澤)広ちゃんとの“補習組”とはまた違う、“初心組”は最初からやってきた仲間という意識が強いです。
――“初 TOUR”で伊藤さんのステージを観た時から、歩く姿や立ち居振る舞いも含めて千奈そのものだと感じたのですが、ステージに立つ時に意識していることはありますか?
伊藤 特に意識しているのは、動きや雰囲気、表情感です。千奈ちゃんはお嬢様ですけど、私は普通の生まれの人間ですから、所作などに自然と品を出すのは難しいじゃないですか。だから、ゲームでの動きを参考にして、挨拶をカーテシー(片足を後ろに引き、膝を軽く曲げて行う挨拶)にするとか、千奈ちゃんなら常に笑顔で人のお話にたくさんリアクションするだろうな……などと考えました。ステージに上って幕が上がったら、「私は伊藤舞音じゃない」と思っています。
――カーテシーはとてもきれいで、大きなライブで全員が並んで礼をする時も、どこに立っているかわかります。ライブのパフォーマンスにも千奈らしさが出ていますし。
伊藤 千奈ちゃんは何事も全力でやる子なので、「(全体曲やユニット曲で)自分が歌っていないところも歌詞を口ずさんじゃうのかな」とか「とにかく大きく全身で踊るのかな」とか、できないなりに一生懸命やれることをすると思うんです。私も千奈ちゃんにならって、苦手なダンスも前向きに大きく踊って、みんなとステージに並んでも遜色ないようにしたい、とすごく意識しています。
――そういったことも含めて、ご自身で成長したと感じるところを教えてください。
伊藤 あまり泣かなくなりました(笑)。元々すごく緊張しやすくて、知っている人なら私が泣いているところを見たことがあると思います。でも、最近はあまり泣かなくなったんです。ステージ上での意識の持ち方は、特に合同ライブを経験して変わったと思います。それまでは、無我夢中でがむしゃらに、レッスンでやってきたことを取りこぼさないように表現しようと無意識レベルでやっていて。それが、意識的にカメラを見るとか、振付をその場でアレンジしてみるとか、ステージに立っていても「より千奈ちゃんならこうする」と冷静な心で表現できるようになりました。これは“初星音楽祭”で頑張ったことの1つでもありますね。あとは歌もそうです。例えば“初星音楽祭”では、湊みやちゃん(紫雲清夏役)や天音ゆかりちゃん(雨夜 燕役)の歌い方を聴いて「こうすれば体力の配分も大丈夫なんだ」「こう歌ったら、より素敵に聴こえるんだ」と感じたことを、本番で実践してみました。実際に息も上がりづらくなりましたし、新しい表現を見せられたと思います。
――歌でいえば、“THE IDOLM@STER 20th anniversary ORCHESTRA CONCERT SYMPHONY OF BRILLIANT STARS”の頃から、伊藤さんの素の歌唱力の高さが話題になっていました。
伊藤 自分では歌が上手いとは思っていないですが、私の持っているものが千奈ちゃんのポテンシャルに繋がるなら全部使おう!という意識でいるので、上手いと言っていただけるなら嬉しいです。
――ここからは楽曲のことを深掘りしていきます。「#STEP3」で登場した「空と約束」は、千奈の成長を強く感じる1曲となりましたが、楽曲の第一印象はいかがでしたか?
伊藤 仮歌をいただいた時点で、「#STEP3」では「生徒会長になるために(十王)星南ちゃんに挑む」というストーリーの流れを聞いていました。でも、千奈ちゃんのこれまでのソロ曲は「Wonder Scale」や「ときめきのソルフェージュ」のように、壮大さの中に明るさがあるじゃないですか。だから、イントロのフルートのソロを聴いて「え?なんかいつもと違うぞ!?」と驚きました。聴き進めていったら、大人になりきったわけではないけれど、確実にステップアップして少し遠くにいったといいますか。背筋を伸ばして一歩先に進む千奈ちゃんの背中を見ているような歌だと感じて、ちゃんと泣きました(笑)。
――レコーディングに向けて、どのように表現しようと考えましたか?
伊藤 最初は、聴くと絶対に泣くポイントがあって、全然練習にならなくて……(笑)。
――それはどこですか?
伊藤 “愛するように往こう”のところです。ここで毎回、ぶわーっと噴水みたいに泣いてしまって本番で歌えるか不安でした。それに、流れは聞いていましたが「#STEP3」のコミュを収録する前だったので、千奈ちゃんの持ち前の明るさをものすごく意識して練習していたんです。自由にちょっと音程を外れてお散歩するような歌い方をするとか、“欲張っていい…??”のところをセリフっぽく歌ってみるとか。それが、レコーディングの前に「コミュでこういうことがあります。この曲はこういう意図で作られました」と具体的に聞いて、覆りました。白が黒になるくらい完全に覆ったんです。なので、歌うときはずっと緊張で心臓がバクバクしていました。どうかどうか千奈ちゃんのためにしっかり余すことなく表現したい……と、間違えることを恐れていたんですね。そんな私を見て、大澤めいさん(バンダイナムコスタジオ所属のサウンドクリエイター)たちが『その緊張感は、「#STEP3」(の楽曲を)歌うにあたり持っていていいものかもしれないです』と言ってくださいました。千奈ちゃんも緊張しいな子ですし、生徒会長を目指すにあたって、人前に立って堂々と喋る彼女と重ね合わせられるかなと思い、緊張を隠さず素直に歌ったんです。
――コミュを読んだ方ならわかると思いますが、まさに千奈ですね。
伊藤 そのうえで、1番は千奈ちゃんが生徒会長になった姿を想像しながら、小さい子に絵本を読み聞かせるように、背伸びはしているけど彼女のポテンシャルを表現して歌い、2番ではいつもの千奈ちゃんを意識して大切に歌いました。
――技術的なところでは、「初星学園HR」(学園アイドルマスター 「初星学園HR #STEP3 倉本 千奈」)で話していたように、成長を意識した響かせ方にしたそうですね。
伊藤 そうなんです。音の響かせ方を少し深いところまで使っています。千奈ちゃんって、真面目な話をする時は声質が少し下がりますので、そのニュアンスを込めました。それから、サビでは意図的にファルセット(裏声)を使っているんです。これまでも自然と出てしまったファルセットはありますが、基本的にはファルセットを使わないで歌おうと考えていました。でも、この曲は繊細な表現をより出すために、1番と2番のサビはファルセットを使い、ラスサビはしっかり地声で押し切って高いところを出す。そういう技術的なアプローチにもこだわることで、千奈ちゃんの成長を表現できるかなって。(作中で)プロデューサーさんと「今回はあなたの成長を見ていただくために、こういうことをしてみましょう」と話していたんじゃないかな、と想像しながら歌いました。
――確かに、最後だけ地声になっているのがすごいなと。
伊藤 私は元々ファルセットがすごく苦手だったので、大切な「#STEP3」のこの曲と一緒に苦手なファルセットを成長させていきたいと思っています。
――そのほか、注目してほしいポイントはありますか?
伊藤 たくさんあります。なんならインストも聴いてほしいです!オーケストラの演奏のなかに、しっかりストーリーがありますから。全部注目してほしいですが、1つ挙げるなら、サビ前ですね。“ありがとうは言うより 言われたい ささえを請う声は 出すより聞きたい 欲張っていい…??”と千奈ちゃんが歌うのは成長ですよね。ここも泣きそうになるポイントで、すごくこだわってレコーディングしました。仮歌さんはすごく技術的な歌い方で、それをなぞりたくなるような感じだったんです。千奈ちゃんもこれを聴いたら頑張って真似をして練習するのかな?と思ったんですけど、ここはあえて彼女のあどけなさや背伸びをする部分を混在させて歌っています。
――ちなみに、「空と約束」の英語タイトルはご覧になりましたか?
伊藤 はい。「A Tiny Brave Promise」ですよね。
――直訳すると「小さな勇気の約束」。“Brave(勇気)”と入っているのも感慨深いですし、十王星南の「小さな野望」の英語タイトル「Tiny Ambition」とも繋がりを感じます。
伊藤 そうなんですよ!「空と約束」のMVのコメント欄でプロデューサーさんがおっしゃっていたので、すぐに「小さな野望」のMVを観に行きました。どちらのMVも絵本のようなタッチで、なんだか星南ちゃんの物語と千奈ちゃんの物語が同じ絵本の世界で起こっているみたいに感じますよね。生徒会長の星南ちゃんの背中を追いかけて初星学園に入学した彼女が「小さな勇気の約束」というのも、粋だなと思いました。どこまで意図的だったのか聞いてみたいです。
――邦題であれば作詞の大森祥子さんかなと思いますが。
伊藤 「Wonder Scale」を書いてくださった大森さんが、「#STEP3」の楽曲でもう一度書いてくださっていることも、文脈をすごく感じますよね。
――「Wonder Scale」の主人公が成長した姿を描いている、とのことで。
伊藤 良い意味で、成長しすぎですよ。「空と約束」は千奈ちゃんの成長を感じて幸せな気持ちでいっぱいになるんですけど、ほんの少し寂しさも感じます。同じように、寂しいと思ってくださったプロデューサーさんはいらっしゃいますかね?
――いると思いますよ。「Wonder Scale」の歌詞を改めて読み直すと、最初のフレーズが“深い森に指す陽のような 希望になれたらいいな 私いつか”で、それが今回ちゃんと希望になれているのも素敵だなと感じました。
伊藤 千奈ちゃんの中のひだまりを希望に変えて、それを伝えていく側としてどんどん大きくなっていますからね。しかも、「Wonder Scale」では“私いつか”と言っていて、「空と約束」の1番でも“この空に誓う「いつか」”と言っていたのが、最後は“この空に誓う「絶対」”って。コミュでも夢を見る責任の重さを口にしていましたけど、責任を重く受け止めて、それを夢や希望として明るく放出できる千奈ちゃんは本当に強いなって思います。
――読み解いて、ぜひ皆さんそれぞれで解釈してもらいたいです。「空と約束」はライブシーンも素敵ですが、こちらはご覧になっていかがでしたか?
伊藤 感動しました。ドローンでクジラが登場したのもすごかったですし、「Wonder Scale」で駆け上がった階段を「空と約束」では降りてきて、私たちに手を差し伸べてくれるんです。それを見て、アイドルに“成った”なと感じました。千奈ちゃんの中の蕾が1つ開花して星に近づいたような眩しさとか、表情もすごく格好良くて、衣装と髪型も相まって大人っぽいですよね。「Wonder Scale」では音の世界を表現するようなドレッシーな衣装を身にまとって、タクトと共に自分だけの音を奏でていた千奈ちゃんが、今度は星空を背負ってステージに立っている。髪型や靴はシンプルで、ドレスとネックレスで星を表現しているのもすごく良いなと思いました。シンプルな部分は彼女の飾らないところ、ドレスは背伸びして空を背負うための武装といいますか、すごくお気に入りです。
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