『ラブライブ!スーパースター!!』の澁谷かのん役、そして、同作品のスクールアイドル・Liella!のメンバーとして活躍している伊達さゆりが、2026年3月25日にミニアルバム『Party!Party!!Party!!!』をリリースし、待望のソロデビューを果たす。彼女の好きを詰め込んだ、ポップでキュートな全6曲について、たっぷりと語ってもらった。
INTERVIEW & TEXT BY 塚越淳一
――待望のソロデビューですが、デビューに至る経緯をお聞かせください。
伊達さゆり 元から歌うことが大好きだったんですが、それは自己満足で、ただ楽しいから歌うという感じで。それが、ありがたいことにLiella!などの活動を通して、皆さんに歌を聴いていただく機会が増え、そこで、“歌う”ということが難しくなってしまったんですね。趣味で歌っているだけでは、上手くいかないことがたくさんあるんだなということを痛感したんです。だから、ソロデビューをしたいという想いがあったのかと言われたら、その自信さえもなかったというか。歌や自分の声に向き合うことも怖くなっていたので、「歌なんて、そんな……」という感じになっていたんです。ただ「こういうのが苦手なんです」「こういうことができないんです」という本心は、周りの方々に伝えていて、ある時「歌っている本人は自信がないのかもしれないけれど、観ていて楽しそうだよ」と言ってもらえたんです。それに、応援してくださるファンの皆さまからも、「歌っている時に活き活きしていて楽しそう」と言ってもらえたので、一歩踏み出してみてもいいのかなと思うようになり、今回、ソロデビューが決まったという流れでした。
――好きだからこそ、悩んでしまうというのは、性格的なところなのでしょうか。
伊達 どうなんですかね。これまで色んなお仕事はしてきましたが、歌になると呼吸がしづらくなるんです。自分の中で、上手くいったと思う日がなくて、このミニアルバムのレコーディングも、やっぱり課題があって、「ここはできなかったな」とか「もうちょっとこういう歌い方をすれば良かったかも」と、1~2週間経ってから考えたりしてしまっったりもしていました。ただそこで、スタッフさんに「そこがあなたの強みなんじゃない?」と言われたことがあって……。「悩んだり落ち込むことがなくなってしまったら、そこで成長が止まってしまうし、上を目指さなくなったら、それはもうあなたではなくなっているから、悩むのは長所でもあるんじゃない?」と。その言葉に救われて、今では、そうやって悩むのも自分だなと思えるようになりました。
――完璧や正解がない世界ですから、それは本当に長所だと思います。ソロプロジェクトをするにあたって、テーマやビジョンがあったのでしょうか?
伊達 楽曲を作っていくにあたって、まずはどういう楽曲が似合うのかという話から始まりました。私はこういう曲をやりたいけれど、イメージや声質と合うのだろうか?と思っていたんですが、私がやりたいものを、スタッフさんが満場一致で「良いね」と言ってくれたんです。それが、アルバムのリード曲である「⾃LOVE♡♡」です。この曲は私が描く王道ソングで、どこか、TVアニメのOPテーマのようなイメージがあるんです。それと、アーティスト写真やジャケット写真がカラフルなピンク色でド派手で、そこももしかすると皆さんが想像する私のイメージとは違うかもしれないんですが、私の「こういうのが好きなんです」というのをスタッフの皆さんが受け止めて即決してくださったので、ありがたいなと思いました。ただ、それが私のチーム内だけの一致だったらどうしよう、という不安な気持ちもありましたけど……(笑)。
――公開された写真を見たとき、確かに意外だと思いましたが、それが良いというか。ファンも、伊達さんが好きなことをやってほしいと思っているんじゃないかなと思います。
伊達 ありがとうございます。実際、そういったコメントをいただくことも多くて、「伊達ちゃんがやりたいようにやってください」という言葉に救われていますし、嬉しいですね。
――では、方向性を決めてから、このクリエイターにお願いしようという流れで?
伊達 ミニアルバムなので、6曲作ろうというのがまず決まって、リード曲は王道にするから、キャラクターチックな歌もやりたいとか、派手な歌もうたいたいとか、ダークでネガティブ要素満載な曲にしたいとか、曲ごとに方向性を決めてから、作家さんにお願いしていきました。
――豪華な作家さんが並んでいたので、ファンも喜ぶだろうなと思いました。
伊達 本当にありがたいことです。少し前に楽曲のタイトルと作家陣を公開したのですが、皆さんの反応がすごくて!素晴らしい方々に作っていただいたので、だからこそ、私が頑張らなきゃ!となりました(笑)。
――伊達さん的に、思い出深い方はいらっしゃるのですか?
伊達 渡辺 翔さんの曲は、好きでよく聴いていました。すごく耳に残る曲だなあという印象です。渡辺 翔さんに限らず皆さん素晴らしくて、それこそヒャダインさんも昔から聴いていましたし、自分が作詞をした「First Feelings」も、歌詞だけ見ると、自分だなあと思うんですが、岸田勇気さんがアレンジをしてくださった完成版を聴くと、どうやったら歌詞をこんなにも輝かせることができるんだろうと思うくらいのものになっていたので、本当に素晴らしいクリエイターさんばかりだなと思いました。
――作詞をする話は、元々あったのですか?
伊達 自分から作詞をさせてくださいとお願いしました。私は器用ではなく、1つのことを集中してやらないとできないタイプなので、今回は1曲なのですが、そこで伝えたい想いも色々出てきました。実際、作詞をしたのは2回目になるのですが、前よりもすらすら書けたと思います。
――それは、一度経験したことが大きかったのですか?
伊達 最初に作詞した時は、全力でなぐり書き!みたいな感じで書いたんですが、レコーディングで歌い終わった後に、「もっとこうすれば良かった」という思いがたくさん沸いてきたんですね。今回はその反省を踏まえて書くことができました。
――悩んで、それを次に活かせているので、やはり悩むことは長所なのだと思います。
伊達 それも、次の機会をいただけないとできないことなので、今回、作詞をするチャンスをいただけたことが本当にありがたかったです!
――書きたいテーマは、すんなり決まったのですか?
伊達 自分の中で、こういうテーマで歌詞を書きたいですというのを伝えたうえで、渡辺 翔さんに作曲をしていただいたので、先にテーマが決まっていました。
――それは、デビューに対する想いやファンへの感謝ということですよね。
伊達 タイトルが「First Feelings」なので、デビューや新たな歌に対する気持ち、初めて出会う感情みたいなことを表しているんですが、歌詞では、応援してくださる方や、いつも傍で見守ってくださる方、すべての人にありがとうの気持ちを書いているんです。なかなか言葉にすると上手く伝えられないんですけど、歌詞だと書けるし、それを作家さん方が更に輝かせてもくれるので、すらっと書くことができました。
――“周りは光ってるのに どうして? 僕だって キラキラしたくて”という序盤のフレーズも、先ほど話していた、一歩踏み出した伊達さんの心境に重なるなと思いました。
伊達 これはもう私自身のことなんですけど、悩んでたり落ち込んだりしている時って、どうしても周りがキラキラ見えてしまうし、それは私に限らずあることだと思うんです。でも、そんな時期に少しでも頑張って笑顔でいれば、徐々に道が開けてくる。それはこの数年間の自分の経験で、嘘ではなく本心から思っていることなので、歌詞の最初のほうに書こうと思いました。
――“⻘春はまだまだ終わらせたくない”という歌詞も良いですね。やっぱりステージには、煌めきや輝きがあって、それに向かってレッスンするのは青春に近いと感じていたので、それをまだ終わらせたくないんだなと、受け取りました。
伊達 私ももう学生ではないんですけど、この活動ってすごく濃いんですよね。それって自分が濃くしているとかではなく、周りの皆さんのおかげで。まるで青春を作ってもらっているような感覚なんです。ライブをしたり歌っている時に思うのは、大変だし辛いこともあるけどそれがあるから楽しい時がより本当に楽しく感じる、それは部活動に近いんですよね。それって一言でまとめると青春だなと私は思うので、この言葉を選びました。
――その後に続く“悔しさだってすべて幸せに変えてみせる”も、伊達さんらしいなと思いました。
伊達 ここは強気で書いたところでもあります。作詞をする時に、ノートにメモを書くんですけど、こういう言い切った文章は恥ずかしくてこれまで書けなかったんです。だから歌詞にするか迷いましたが、言い切りも大事かなと思い殻を破って書いてみました。今までの自分なら書けなかったことなので、「これでお願いします」と提出した自分の変化が嬉しかったです(笑)。
――“ぼくという存在に終わりが来ても”という、少しマイナスな言葉も出てくるのですが、これはどう受け取ればいいのでしょうか?
伊達 悲しい感じに聞こえますが、意外と包み隠さずそのままの意味です。ここにいられる、活動させてもらっていることは当たり前ではないし、明日何が起こるかわからない。だから伝えられる時に、「あなたに会いたい」とか、「大好き」という想いを歌で残しておきたくて。少し重ためなメッセージですが、そのままの意味で受け取ってほしいなと思います。
――そんなストレートな歌詞を、どのように歌おうと思いましたか?すごく想いが伝わってくる歌だと思ったのですが。
伊達 この曲は最後にレコーディングしました。私はいつも、レコーディングの際に歌詞を見ながら歌っていたんですが、そうすると自分の想いが届きにくくなってしまったと感じた時があって……。どこか、マイク前の空間だけで歌っているような感覚になってしまい、そこから、目を閉じて歌ってみたり、歌詞を見ずにその人物を思い描いて歌ってみたり、本来なら初期にやるようなことを、初心に返ってやってみたんです。この「First Feelings」に関しては、歌詞を見て歌うより、想像しながら歌ったほうがすごく感情が乗ると思ったし、それが自分の中で初めての感覚でもあったんです。何度かチャレンジしたなかであまり変わらなかったことが多かったのですが、この曲はピースがガチッとハマった感じがして、想像以上の出来になったと思っています。
――きっとそれは、自分の歌詞だからでしょうね。他の曲で言うと、お芝居をしているように歌う曲もありましたは、この曲は心からの歌詞だから、それが歌にもしっかり表れていたと思います。
伊達 ありがとうございます!
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