INTERVIEW
2026.03.14
日本人バンド史上初となる“ライブによる世界五大陸制覇”を達成したばかりのFLOWが最新曲「LIVING DEAD」を完成させた。本作は累計発行部数3000万部を超える大人気マンガでアニメも全世界配信中の人気作品『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』の新機種パチンコ機の主題歌である。ダークファンタジー作品とのコラボで、ファンタジックかつ様式美的なサウンドで響かせる新たなFLOWを感じさせる1曲はどのように生まれたのか。KEIGO、KOHSHI、TAKEの3人に聞いた。
INTERVIEW & TEXT BY えびさわなち
――今回の「LIVING DEAD」は1988年から始まった萩原一至著のコミックス『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』との初コラボです。まずは『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』という作品の印象をお聞かせください。
TAKE 週刊少年ジャンプで連載をしていた作品でしたが、当時10歳の僕には刺激が強すぎました。セクシーなシーンもあって、見てはいけないものを見ているのではないかと子供心に新しい感情が芽生えたことを憶えています。
KEIGO 当時の自分にとっては主人公が新しかったですね。そもそも悪者気質の、ダークヒーローというのは、今まで見てきたジャンプ作品に出てきた悪役が主人公になっているような感覚で。それは衝撃的だった記憶があります。主人公のダーク・シュナイダーはどうしてこんなに自信家なのだろう、と思いましたね。それまでのジャンプ作品の主人公は弱いやつが強くなっていく成長物語的なところがあったし、なんだったら『北斗の拳』すらケンシロウの成長を追うストーリーなのに、これはすごく強気で自信家な主人公。それが印象として強かったです。
KOHSHI 友達の家にあったのを読んでいたのですが、子供の自分からすると「これはエロマンガか!? 」と思っていました。
一同 あはははは(爆笑)。
KOHSHI エロいし、出てくる女の子がかわいいなという印象でした。
KEIGO セクシーだったよね。
TAKE 刺激が強いなと思う。
KOHSHI それがまさか巡り巡って、FLOWとして『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』の主題歌を歌うことになるなんて。逆に話をいただいた時には「えっ!?本当に!?」となりました。
TAKE 40年越しのタイアップですね。
KEIGO そう考えると、アニメ作品はすごいですよね。時を越えていきますから。
TAKE 作品自体も長く続いて、結果として完結はしていないですからね(現在、連載は中断中)。
――ダークファンタジーである本作。2022年からNetflixアニメにもなりました。その時の音楽を担当されたのはFLOWとも関係の深い高梨康治さんでしたね。アニメの印象はいかがですか?
TAKE 高梨さんの劇伴で、OP主題歌はcoldrainでしたよね。そして、主人公を演じるのは谷山紀章。“声優・谷山紀章”に関連する作品でFLOWが、“GRANRODEOのKISHOW”ではなく、“声優・谷山紀章”とついにコラボすることができました。
KEIGO 今までなかったんですよ。小さな役として出たものもなかったですから。
TAKE 念願叶って。Netflixのアニメもずっと観ていました。
KOHSHI ダーク・シュナイダーに紀章さんの声がぴったりなんですよ。
KEIGO キャラも含めてね。
KOHSHI 色気のある感じがいいな、という印象がありました。
TAKE ダーク・シュナイダーは(谷山の)まんまだからね。
KOHSHI ナイスキャスティング!
TAKE 他にはいないというくらいはまり役でした。
――今回はパチンコ機の主題歌。パチンコ機の主題歌はこれまでにも経験があるかと思いますが、今回の『LIVING DEAD』を作る際にはどのようなことを意識されましたか?
TAKE やはり当たっている時に流れる喜びの歌というのは少し意識しましたね。興奮でアドレナリンがドバドバと出ている時に聴いているという話を聞いたことがあります。
KEIGO ゲンを担いでパチンコする前に当たるタイミングで流れる曲を聴くという人もいるらしいですよね。
TAKE 今回の曲については、制作側と打ち合わせをさせていただくなかで、「闇の魔法使いの戦いは終わらない」というお題をいただきました。主人公のダーク・シュナイダーが次々と強敵を倒す感じの、バトルものでのかっこいいイメージと共に歌詞も含めて厨二病感のあるものを、という明確なオーダーでしたね。
KOHSHI しっかりと先方のコンセプトが入っていたので、そこに乗っかる感じでの制作はやりやすかったです。厨二病感OKというのがオーダーの中でも特に良かったですね(笑)。
TAKE その要素も作品の世界観を非常に色濃く表現しているなと思ったし、イメージが沸きやすいなかで制作したことを憶えています。こういったタイアップの際はだいたいいつも3曲くらい提案をさせていただくんですね。同じテーマでタイプの違う楽曲を3種類ずつ。その中で今回の「LIVING DEAD」を先方が選んでくださったので、この方向で膨らませていけばいいんだなということが明確になったんですが、作りながらどうしても俺の頭の中では紀章さんが歌っていたんだよな……(笑)。でもそれが楽曲とキャラクターのリンクした感覚に繋がったと思っていますし、俺の中の“谷山紀章”を憑依させて作ったことが正解になっていったのだとも思っています。
KEIGO “谷山紀章”という名の“ダーク・シュナイダー”ね(笑)。
――メタリカやジューダス・プリースト、アイアン・メイデンにオジー・オズボーン、ホワイトスネイクなどメタルやハードロックバンドのサウンドと親和性の高い作品です。楽曲のテーマや音選びなど、制作での『BASTARD!! -暗黒の破壊神-』ならではのお話をお聞かせください。
TAKE 疾走感と激しさ、そしてギターリフはテーマにも上がっていたので、作品の持っているカラー含めて意識してやっていきました。あとは主人公が魔導士なので、呪文みたいなAメロの始まり方をしたら面白いのではないかと思って、抑揚のない呪文の羅列みたいなイメージでAメロを構築して、そこから術が発動していく展開を考えたうえで構成していきました。厨二病感は歌詞に入れ込んでもらいましたが、ストリングスの優麗な感じは作品の世界観に合うと思って入れさせてもらって、音色としてはギターのリフを絡む感じの独特な雰囲気は作品に寄りそうように作りました。絵が強い作品なので、その劇画タッチな感じに、ハードロック、ヘビーメタルの雰囲気も感じますし、様式美みたいなものを自分の中でも構築していくきっかけになったのではないかなと思います。
――歌詞についてはいかがでしょうか?
KOHSHI 小難しい言い回しや厨二病っぽい発言、あとはダーク・シュナイダーの俺さまでノリノリな感じを含めて書きやすかったです。それもオーダーで明確に色を提示してもらったからだと思います。
――これまでのFLOWの歌には出てくることのなかった歌詞が並んでいますよね。
KOHSHI 新しいステージへと引き出してもらった気がします。書いていて楽しかったですよね。あまり使わない言葉なので意味を調べながら書いていく側面もありましたし、「こういう言葉があるのか」という発見もありました。ダーク・シュナイダーからイメージできるような四文字熟語を探しながら書いた感じでしたね。
――イメージを作るためにはどのようなことをされましたか?
KOHSHI もちろんアニメを観ましたし、世界観の中で紀章さんを感じながら考えていきました。やっぱり身内が出ているアニメなので、イメージもしやすかったです。キャラもそのまま、紀章さんらしいダーク・シュナイダーでしたから。Aメロの韻を踏む感じもそうですが、好きな感じで作れたので本当に楽しかったですね。
――会心のフレーズはどこですか?
KOHSHI 色々ありますが、「LIVING DEAD」というタイトルと、“生きて生きて生きるだろう”というところの対比ですね。タイトルは「ゾンビで生きている」みたいな意味もありますけど、そこの意味するものを示せたことは会心でした。それに“客星御座を犯す”(身分の低い者が天子の座を狙うこと)とか“陽炎青藍の空”(陽炎に揺らぐ、深みある青色の光景)とか、知らなかった言葉ですし。調べていくとまだ知らない言葉が色々あるんだなと思いました。ダークファンタジーの作品と向き合わなければ知ることのなかった言葉だったのかなと思っています。
――出来上がった曲の印象はいかがでしたか?
KEIGO 作品が変わればそこからインスパイアされて生み出されるものってあると思うので、新しい作品に出会うたびにFLOWの新しい側面が出てくるというのは必然だと思っていて。KOHSHIの今回の歌詞も明確な作品の世界観も出しつつ、自分たちだからこその言葉もありつつなので、作品とのシンクロが色濃い曲になったなというのが第一印象でした。今までのFLOWにはない構成と歌詞の世界観で、ダークファンタジーな雰囲気のある曲だなと感じていました。
TAKE まだライブで披露できていないので、ステージで演奏するのが楽しみです。
――実際にライブではどのように表現をしていきたいですか?
TAKE 俺様な感じの、オラオラなパフォーマンスでやりたいですね。
KEIGO ライブの構成の中でも、世界観で楽しんでもらうコーナーに入ってくる曲なのかなと予想していますが、ライブでやると印象が変わるかもしれないですから。どんなふうに育っていくのか楽しみですね。
KOHSHI これまでにない雰囲気の曲なので、照明などの演出面でも新しいものを見せられるのではないかと思っています。期待していてください。
――新たな作品に出会うたびにFLOWの新たな引き出しから楽曲が生まれることを改めて感じさせますね。
TAKE それがタイアップの面白いところだと思います。自分たちだけでは取り上げなかったテーマが、作品と交わることによって新しい引き出しを開けることで出てくる。今回は特にそうした良い化学反応が出ましたね。
KOHSHI 確かに「GO!!!」を歌っている人たちがこの「LIVING DEAD」も歌っているなんて驚きますよね。元気印ではなく、この曲については色っぽさも自分としてはテーマに入れていたので。サビのフレーズも色っぽさをとにかく言葉で出したいと思っていたんですよね。夜と月と魔法みたいなところでイメージを持って作ったので、ライブでもそうした世界観が伝わるといいなと思っています。元気印のFLOWではないものをライブでお見せできたら嬉しいです。
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