INTERVIEW
2025.12.06
声優、歌手、舞台俳優と多岐にわたり活躍を続ける蒼井翔太が、最新デジタルシングル「薺(なずな)」を配信リリース!来たる2026年1月17・18日に開催される自身初のオーケストラコンサート“蒼井翔太 LIVE Orchestra 2026 Moments”に向けて制作された、大きな節目となる新曲だ。自身が作詞・作曲に携わった壮大かつ繊細なバラードに秘めた想い、そして新たな決意を語ってもらった。
INTERVIEW & TEXT BY 阿部美香
――今作のタイトルになった「薺(なずな)」は、春の七草の1つとしても知られる植物ですよね?
蒼井翔太 はい。「薺」は皆さん「ペンペン草」という呼び方だと、もっと聞き覚えがあるかもしれないですね。ぶわっと大きく咲く花ではなく、小さくてかわいらしい白い花なんです。でも、その花言葉は「私のすべてを捧げます」という、とても壮大なメッセージを持っていて。この花言葉は、蒼井翔太としてのアーティスト人生や、日頃から僕が歌っている瞬間にみんなに思っていることと、すごくリンクしていると感じていて。いつか「薺」をテーマにした曲を作りたいとずっと思っていました。
――その想いが、来年1月の初オーケストラコンサート“蒼井翔太 LIVE Orchestra 2026 Moments”の開催という節目と繋がって、リリースに至ったと。
蒼井 そうなんです。僕にとってオーケストラコンサートはとても大きな夢だったからこそ、それが叶う瞬間に、みんなにどんなことを歌で伝えたいかな?と考えたんです。もちろん伝えたいワードはたくさん出てくるんですが、やっぱり究極の……自分の心の底から湧き上がってくるものを曲にしたかった。それが「薺」なら込められるなと思ったんですよね。
――楽曲は壮大なバラードでありながら、聴いていると心が落ち着き、癒されるような感覚もあります。
蒼井 タイトルは「薺」ですが、僕の中での楽曲の世界観としては“深海”、海の中をイメージしました。この曲は、ヘコんだときや自信がなくなってしまったとき、一人だと感じてしまったときにこそ聴いていただきたかった。そうした感覚になるとき、人は心の奥深くに自分から潜ってしまう……光の見えない深海に例えられるなと思ったんですよ。僕が歌を歌って皆さんの前に立ち、小さな光になるから、その光に手を伸ばす勇気だけは捨てないで!という想いを曲に詰め込みました。
――楽曲クレジットを拝見して、制作に携わられたクリエイターさんが非常に多くて、驚きました。
蒼井 そうですよね、「PSYCHO:LOGY」以来かも(笑)。実は今回、とても面白く素敵な作り方をしてくださったんです。今まで僕の楽曲を書いてくださってきたクリエイターさんが、リレー形式で1人1人がパーツを作ってくれて、それを繋げ合わせたものを1曲にしてくださったんですよ。ほかにも何曲か新曲候補はあったんですけど、僕はそれを全然知らずに「これしかない!」と選んだら……この曲で。本当に1人1人が僕のことを理解してくれているんだな、と感じて嬉しかったですね。
――そのリレー形式で作られた楽曲に、蒼井さんご自身も作詞・作曲に参加されています。具体的にはどのパートを担当されたんですか?
蒼井 制作スタッフさんから、ぜひ蒼井くんのメッセージも乗せてほしいとオファーをいただいて、Dメロを担当しました。10月にフィリピン・マニラでの“Cosplay Mania 2025”に参加させていただいたとき、リハーサルを終えてホテルに戻る車の中で、歌詞とメロディーを一気に書き上げてしまいました(笑)。
――車の中で!インスピレーションがすぐに湧き上がったんですね。このDメロの歌詞には、先ほど蒼井さんがこの曲は“深海”をイメージしたとおっしゃったときに言われた言葉が、そのままメッセージになっていると思います。
蒼井 はい。どんなにあなたが深く沈んでしまっても、僕が光になるから手を伸ばすのを忘れないで、と。
――そのメッセージとともに“たとえ僕が…幾千もの 泡になってしまったとしても”というフレーズからは、有名な童話を思い出しました。
蒼井 そう、人魚姫の物語ですよね。人魚姫は愛する人のために自ら決断をして泡になっていくんですが……僕たちアーティストとファンとの関係性においても、そういうことってあり得ると思うんですね。人生は何が起こるかわからないじゃないですか。何かが突然起こり、皆さんの前から泡となって僕が消えてしまうことだって、ないとは言い切れない。もしそんなことがあってもこの歌を信じて、いつまでもこの歌がみんなの光になってもらえますように!という願いを込めました。
――Dメロのメロディーが同じフレーズを繰り返しているのも印象的です。これにも特別な意味が?
蒼井 はい。そこは、これまで僕が変わらずにやってきたポリシーと、それを受け止めてくれる皆さんとの見えない絆で何度も何度も繰り返してきた時間をイメージしています。みんなへの感謝や伝えたい思いは変わらない。姿や表現は変わっていくかも知れないけど……そういう繰り返しがあって、みんなと繋がっていたいし、繋がることができるはず。僕が書かせていただいたDメロの繰り返すメロディーには、そんな気持ちも込めました。
――そんなDメロのあとにある“出逢えた意味 生きた証 この「歌」が向かう場所 誰より君に伝えたい”というフレーズもとても胸に残ります。蒼井さんは“この「歌」が向かう場所”はどこだと思っているのかな?と気になりました。
蒼井 うーん……魂でしょうかね。聴いてくださる1人1人の魂、人生ですね。もちろんファンの皆様へのメッセージでもあるんですけど、僕の中ではもっと大きな、魂の愛の歌。これまでの楽曲にも随所に込めてきた想いを、すべて総括したような……魂と魂が呼応しあうような繋がりを感じていただければと。目の前のことに一生懸命になっているときは、この歌のことは忘れているかと思うけど、一人になったとき、ふとした瞬間にこの「薺」の楽曲や、これまで僕が歌ってきた曲のフレーズ、僕の名前が思い浮かんでくれたら、きっとこの歌が生きた証になるし、向かう場所へしっかりと辿り着いている証になるのかなと思います。
――オーケストラコンサートに向けての曲ということで、サウンド面では壮大なストリングスが入るバラードであることは予想していたんですが、意外とポップス感の強い楽曲になっていますね。
蒼井 はい。元々“大きな1曲を作りたい”というリクエストはしていたんですけど、オーケストラをそこまでは意識していなくて。あくまでも蒼井翔太のデジタルシングルなので、EDM感は大切にしたかった。そのうえで、オーケストラコンサートで歌う際には、オーケストラアレンジで壮大に進化した楽曲の印象を皆さんに楽しんでいただきたかったので、二段構えで考えていましたね。
――なるほど!確かにボーカルも壮大な楽曲を朗々と歌い上げているという感じではないですよね。
蒼井 そうなんです。壮大な楽曲なんですけど、皆様がずっと構えて聴かなくても、すっと心に入ってくるように歌いたくて。想いはしっかり込めながらも、それを“声色に載せない”というのを、意識してレコーディングに挑んだんです。実はレコーディング前日に練習をしていて、思いっきり感情を込めて歌ってみたら……“違う”と思いまして。バラードって、感情を込めて抑揚をつけすぎて歌い上げると、“自己満”になりがちなんですよ(苦笑)。歌っている私を見てほしいとか、歌の技術を見てほしいとか。でもこの曲はそうしたくなかった。聴いた方に、歌から奥深い部分を、聴く人自身に作っていってもらいたい。だからこそ、耳に入ってくるときは、みんなの中にすっと入ってくるように……想いを込めながらも、フラットに聴こえるように歌いたいとディレクターさんにもお伝えしました。
――だからこそ心に染み入る。そんななかでボーカルにエフェクトがかかっているパートがあって、曲の世界観をより深めていますね。
蒼井 そうなんです。ラジオボイス的なエフェクトがフックになっていたり、まるで本当に水の中で歌っているような感覚にもなりますよね。今回は、僕のポリシーとして歌をあえて均一なバランスに聴こえるようにエディットやミキシングで調整して完成してもらったんですが、だからといって、僕の気持ちが入っていないわけではなくて。気持ちを込めた歌が、そのベースにはしっかりあるので、僕の想いを受け取っていただけたら嬉しいです。
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